インデペンデンス・デイ リサージェンス
映画『インデペンデンス・デイ リサージェンス』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Independence Day: Resurgence
製作国:アメリカ
製作年:2016年
日本公開日:2016年7月9日 
監督:ローランド・エメリッヒ

【個人的評価】
 星 5/10 ★★★★★
 
あらすじ

かつてエイリアンの侵略を生き延びた人類。過去の悲劇を反省し、各国が協力して防衛システムを構築し、エイリアンの再来に備えていた。しかし、再び地球に襲来したエイリアンの力は想像を絶するものだった…。

帰ってきたエイリアン

まさか1996年に製作された『インデペンデンス・デイ』の続編がつくられることになるとは…。タイトルの「リサージェンス(resurgence)」は「再起・復活」という意味らしいですけど、何か復活を望む声とかあったんでしょうか…。


もう20年も前の映画ですから、若い世代は知らない人も多いでしょう。だからこそ、今もう一度つくられたのかもしれませんが…。

有名な映画ですし、評判も良かったみたいに巷では語られてます。でも、確かにアカデミー賞で視覚効果賞を受賞し、興行的にも大ヒットしましたが、脚本のクオリティは微妙な評価でした。事実、第17回ゴールデンラズベリー賞で最低脚本賞にノミネートされました。

「破壊王」の異名をもつ監督のローランド・エメリッヒは、のちに世界崩壊モノのディザスター映画を多数製作してきたことからもわかるように破壊描写にこだわりのある人。日本では、ハリウッド版ゴジラの初代作『GODZILLA』(1998年)の監督だといったほうが映画を知らない人にもわかってもらえるかも。こっちは「ゴジラ」の伝統を破壊してましたけれど…。要するに、もともと脚本に期待するような映画を作る人ではないわけです。

そんなエメリッヒ監督の出世作である前作のお話は、簡単に説明できます。

巨大な宇宙船が攻めてきて滅茶苦茶になった世界で人類が反撃する映画です。「アメリカ万歳」な、「細かいことを考えたら負け」なパニックエンターテイメントです。

では、続編はどうなのか。

何も変わってません。同じです。

そういう意味では、前作を見ておく必要もないでしょう。同じことの繰り返しなのですから。

エメリッヒ監督はストーリーについてインタビューでこんなことを語ってました。
これは普通の続編じゃない。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのように、ストーリーが続いているんだ
ストーリーが続いているのを普通は「続編」と呼ぶと思うのですけど…。まあ、監督のなかではストーリーの重要度の認識はその程度ということなんでしょう。

監督の発言だけでもツッコミどころがある本作、映画もツッコミながら楽しんでください。





↓ここからネタバレが含まれます↓




破壊はやっぱり楽しい

ローランド・エメリッヒ監督の発言集には、ツッコミどころがたくさんあります。例えば、以下のコメント。
僕の映画は、ヒーローとは程遠い人たちを描いている。ほとんどのマーベル映画は、おかしなスーツを着て走り回る人々が登場するけど、僕はマントを着けた奴らは好きじゃないね。スーパーヒーローのスーツを身に着けて空を飛ぶなんて、全くバカげている。
とまあ、こんな風にエメリッヒ監督は、自身の作品において、普通の人間たちが協力して危機に立ち向かうプロットに誇りを持っているようです。

でも、本作ではたとえ「アベンジャーズ」の面々が勢ぞろいしたとしても、到底太刀打ちできないような危機が描かれてます。

この事態を普通の人間の活躍で収束させようとすれば、そりゃあ無理やりなお話しになるのは当然。だから、キャラクターとかドラマとかには期待してはいけません。ノリさえ楽しめればOKと思って見ました。

個人的に好きなキャラクターは「白い球体」。侵略エイリアンとの戦いのリーダーを人間に任せると言い出した時は「こいつもアホなのか」となんだか可愛く思えてきました。頭よさそうにみえて実はアホキャラなんですね。
Independence Day Resurgence
エメリッヒ監督お得意の破壊描写(具体的には序盤の月での破壊シーンと宇宙母船の着陸シーン)は今回も楽しかった。宇宙母船が磁場を操ってアジアの街々を吸引して、その残骸を欧州に落として破壊する場面はもっと見たかったくらいです。ちなみにこのシーン、エメリッヒ監督いわく「アジアが欧米に進出していることの皮肉」という意味もあるらしいですが、もう滅茶苦茶すぎて社会風刺にすらなっていません。そこがエメリッヒ監督らしさですけど。

全長4800kmの宇宙母船という設定自体のアホさも嫌いじゃないです。これは個人的興味なんですが、実際このサイズの物体が地球に着陸したら、自転とか大気循環とかに影響を与えかねないように思うのですが、どうなのでしょうか? まあ、科学的考証なんてどうでもいいのが、やっぱりエメリッヒ監督らしさです。

破壊の副作用

エメリッヒ監督の破壊力は満喫できたのですが、大きな不満点もあります。それは戦いの要素。

前作では、未知の兵器(エイリアンの宇宙船)と既知の兵器(人間の現代兵器)の戦いが描かれており、明らかに劣るであろう既知の兵器が勝つからこそ、そこにカタルシスがありました。

しかし、本作の人間側の兵器や乗り物は、エイリアンの技術を流用した架空のモノ。これでは映画を見てる観客側にしてみれば、「未知の兵器 vs 未知の兵器」という構図にしかなりません。しかも、人間側の兵器や乗り物の進化具合が中途半端なのが謎。核ミサイルくらいドローン化できないものか。

そして、もうひとつ。これはエメリッヒ監督の破壊映画の構造的宿命なんですが、人の死や文明、社会といったものがどんどん軽々しくなっていくこと。「壊されてもどうせまた復興するんでしょ?」という気分になります。この点は、もうしょうがないんですが…。

ちなみに彼が次に手掛ける映画は、月が地球に落ちてくるみたいです。さらに、続きそうな終わり方の本作でしたが、『インデペンデンス・デイ3』の構想もあるそうで、宇宙での冒険を描くとか。スターウォーズみたいになるんじゃとやや心配ですが、破壊描写だけ頑張ってもらえればそれでいいです。

楽しみだなぁ…。次の被害者は宇宙…、最終的にビックバンでも起こるのかな?