ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影
映画『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Out of the Shadows
製作国:アメリカ
製作年:2016年
日本公開日:2016年8月26日
監督:デイブ・グリーン

【個人的評価】
 星 4/10 ★★★★
 

Plot Summary

ニューヨークを舞台に活躍する忍者のカメ4兄弟「タートルズ」。彼らがかつて悪行を食い止めた宿敵シュレッダーが、マッドサイエンティストのバクスター・ストックマン博士と子分のビーバップ&ロックステディの助けを借りて脱獄してしまう。再びニューヨークに恐怖が迫る…。

ネタバレなし感想

本当にそれでもカメなのか

最近ではニューヨークには凶暴なウサギがいましたが(参考:『ペット』)、そういえばこいつらもいました。

その名も「タートルズ」。見た目がちょっと気持ち悪いけど、憎めないカメ野郎たちです。原作「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」は1984年に始まった大人気アメコミシリーズで、そのへんに疎い私でもなんとなく聞いたことはある程度。まあ、私の中でのカメのキャラクターといえば「ガメラ」なので、こんな陽気に羽目を外すカメたちはちょっと受け入れずらかったのかもしれません(ガメラも昭和シリーズは結構“悪ガキ”っぽい感じでしたが)。

そんな「タートルズ」がリブートという形で数度の実写化を経て最新技術で再び実写化されたのが、2014年。このキャラクターたちをリアルの描くのはさすがに無理がありすぎるのではと思いましたが、案外、なんなくクリアしてましたね。ハリウッドの映像技術の高さはもちろん、フィクション要素の強いキャラでも違和感なく実写と馴染ませる“ノリ”…ここが大事です。


しかも、あのマイケル・ベイ製作ということで相変わらずの大味がこの作品でも炸裂し、それが原作のアメコミのノリと上手くマッチしていたので、結果オーライ。マイケル・ベイはバカにされがちですけど、やっぱりこういうアホすぎる題材でもちゃんとカタチにしてしまう才能はずば抜けていますね。日本の映画界にはこの才能が足りないのかもしれない…。

その『ミュータント・タートルズ』(2014年)の続編である、本作『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影』。続編でもその荒唐無稽さはしっかり引き継ぎ、パワーアップしています。派手なカメラワーク、勢いまかせのストーリー、オフビートなギャグ…前作が好きな人は安心して見れるでしょう。前作の欠点をカバーする気はない感じが逆に潔いくらいです。この何も反省も改善もしないスタイル、やっぱりマイケル・ベイだなぁ…。

こんなアホな映画はアメリカにはたくさんある…と言いたいところですが、こういうノリができるのも珍しくなってきました。

というのも、近年のアメコミ映画は、「マーベル・シネマティック・ユニバース」や「DCエクステンディッド・ユニバース」のような作品群として連なりがあるものばかりが主流になっています。ゆえに作品どうしの整合性やストーリーのインフレ具合が問題になったりと、扱いがどうしてもセンシティブになってしまっていました。それはそれで面白いのですけど、自由度は低いというデメリットも消えることはありません。

一方、本作にはそういう縛りは一切ないんですね。だからこそのこの開放感です。これが気にするもののない奴らの強みなのか。カメのくせに全然誰よりもアクティブに動きやがって…。なんでフィクションの世界のカメはどいつもこいつも飛んだり跳ねたりするんだ。本当にカメなのか。いや、カメである必要性があるのか…。

こういう息抜きがあってもいいのですけど。

ただ、3D版じゃなくてもカメラ酔いするぐらいアクションシーンではカメラがぐるぐる動くので、苦手な人は手元のポップコーンとかにたまに他に目を向けながら気楽に観ましょう。息抜きどころではなくなります。私もふだんは全然画面酔いしないのに、今作はちょっと酔いかけました。危うくカメなんぞに負けるところだった…危ない、危ない…。

予告動画







↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

オンリーワンなアホさは長所

本作はその至る所でツッコミどころがあまりにも多すぎますが、この感想記事も本作の作風をまねてツッコミは大胆に割愛します。もういいや…。

でもツッコまずにこの映画を語れるのか。このハイテンション・カメ野郎に対してそれは逆に失礼ではないのか。そんなことを気にしだす始末。あれっ、私はこのカメにすでに翻弄されている…!? もしかしてどこか遠くの建物の屋上でアイツラが笑っている…!? う…なんだこの敗北感。

そんなこんなはさておき、本作のサービス精神たっぷりな映像は、内容がいかに陳腐でツッコミだらけでも楽しいものです。映画とは楽しんでなんぼのものですというエンジョイ精神を見せつけられました。だから何も考えずに眺めているだけでもいいんですね。まあ、直視していると酔うのですけど…。

前作の「雪崩シーン」を彷彿とさせる、飛行機ダイビングからの機内バトル、からの河川墜落からの激流バトルは最大の見せ場。本作の全てのアホさが詰まっています。戦車って水没しても平気なのかな…。というか、そこまでして戦車で攻撃する理由ももうこいつらに限って言えばないだろうとか。ま、いっか(思考停止フィルターON)。

逆に終盤の戦闘は明らかに物足りず残念でしたが…。なんでビルの上でなんだかよくわからない装置やら現象のせいで周囲に何か浮かんで、そこに敵の親玉が陣取っていて…という絵を繰り返すのですかね、ハリウッドは。そんなの「ここに全部の弱点も集中しておきましたよー、全兵力をこっちに向けてくださいねー」と言わんばかりなのに。これがアメリカの戦略のクオリティなのか。

Teenage Mutant Ninja Turtles Out of the Shadows

本作は登場人物全員がアホに見える…「ああ、アメコミはこんなアホでいいんだ」となんか安心する心地よさがあります。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に分けてあげたい。

ビーバップ&ロックステディやクランゲといった悪役キャラも、いい感じのタートルズと同レベルのノリで憎めない奴らでした。まあ、言っても元はただの動物だったりするわけですし、知能が低いのは当然か…。

でも、じゃあなんで人間側のケイシー・ジョーンズとエイプリルも、はっきり言ってアホなのか。エイプリルにいたっては、完全に観客へのサービスシーンでしかない序盤の衣装チェンジから潜入シーンなど、職業を忘れてます。私も彼女が現場レポートしている場面を見て「そういえば記者だった」と思いだしました。

メイキングを見ると、撮影現場も和気あいあいと楽しそうなので良かったですけど。ちなみにカメたちはフルCGではありますが、動きをトレースするために基本人間が撮影ではタートルズ役をしているんですね。なので撮影現場の映像が異常にシュールです。もうこんな姿なら、ふざけないとやってられないよなというレベル。本当にこういう表舞台には出てこない演者の活躍には頭が下がります。ご苦労様です。

一応、本作のテーマは、人目につかず日陰でのみ活動することをめぐっての「タートルズ・チーム」の在り方を問うことだったのですが、扱いはやっぱりというべきか雑。

そもそも前作であんだけ派手に暴れてたら、タートルズの目撃者くらいいるでしょうし、ヴァーン独りの功績にするのは嘘として無理がありすぎです。まあ、でもきっとこの世界の警察や市民もアホなんですよ。記者があのレベルのありさまですからね。だいたいこの世界基準ではOKなんです。そう割り切りました。

近年のアメコミ映画のヒーローたちは普通に人間社会と協力して活動している奴らが多いだけに、今作のタートルズの悩みは言ってみればすごく古風。改めて作品で問うのも、パロディ企画の同人誌として始まった「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」らしくて良いじゃないかと思ったりもしたのですが…。

タートルズ・チーム解散の危機をわりとあっさり解決してしまったのは気になりますが、あいつらのノリであればこんなものなのかもしれない。冒頭で見ていたバスケの試合や、ケイシー・ジョーンズのホッケー知識から、チームワークを学ぶのかと思ったら別にそんなことはなかった。悩むのもバカバカしかったような気もしてきます。

このアホなノリがSMAPにもあれば解散しなくて済んだだろうに…と全然関係ないことを思いました。

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