HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス
原題:HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス
製作国:日本(2016年)
日本公開日:2016年5月14日
監督:福田雄一 

あらすじ

狂介は大学生になっても、パンティを被って変態仮面となり悪と戦い続けていた。しかし、恋人・愛子から「変態な狂介より、変態じゃない狂介のほうが好き」と言われてしまい、変態仮面になるのをやめる決意をする。ところが、世界中からパンティが消えるという事件が発生したことで、絶体絶命の危機が変態仮面に襲いかかる。

ネタバレなし感想

世界よ、これが日本のヒーローだ

今年もマーベルやDCコミックといったアメコミ映画が日本の映画館で大きい顔をしていました。対して、“日本の”ヒーロー映画は歴史的に評価がイマイチな作品が目立ちます。ゆえに「日本はダメだ」なんていう声も…。

いや、そうだろうか? 日本にも世界に誇れる“日本の”ヒーロー映画はあるのではないか?

その先例になりそうなのが「HK 変態仮面」です。えっ、よりによってそれ?という声が聞こえてきそうですが、ハイ、その変態です。

知らない人のために簡単に説明をまずしておきますが、でも説明不要なんですよね。内容はビジュアルが全てを物語っているとおり。説明するにしても、パンティをかぶると強くなるヒーローの話としか言いようがない。単純明快です。どうしてパンティをかぶるとパワーが生まれるのって? なんか、こう、強くなりそうじゃないですか。それが好きな子の下着ならなおさら(ヤバい文章)。

明らかに下ネタだけのB級作品に見えますし、全くもってそのとおりなのですが、でも、初の実写作品『HK 変態仮面』(2013年)が公開された当初は、意外と評価する声が聞かれました。


そして、その声は日本だけではありません。その証拠に『HK 変態仮面』はジャンル映画系の国際映画祭で観客賞を受賞するなど世界的にこのノリは受け入れられていました。

その理由は、当然、役者の熱演や製作者の作品への愛が伝わったからこそでしょうが、私は「変態」という要素もじゅうぶん貢献していると考えています。

ヒーロー映画における主人公たるヒーローというのは、ほぼ間違いなく光と影の2面性を持ち、そのはざまで苦悩するのが定番です。ゆえに『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』や『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』ではコラテラル・ダメージが議題になったり、身の回りの人たちとの関係性に悩んだりします。このヒーロー特有の苦悩は、作品を面白くすることもありますけど、そのドラマを語り過ぎると爽快感とかコミカルさが失われるという欠点も。たぶんヒーロー映画製作における永遠の課題だと思います。

その点、『HK 変態仮面』ではヒーロー特有の苦悩である光と影を「変態」の一言で説明できてしまうという必殺技を持っています。本作、続編『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』の劇中でも子どもに言われる「変態だってこと以外、すげーかっこいい」というセリフがまさにそれです。変態仮面は「変態」が光であり、影でもあり、そしてユーモアとしても機能しているという、あまりにもわかりやすい明確なロジックを持っている…もう大発明といってもいい気がする。完璧なヒーローの最終形態なんじゃないだろうか。

図らずも「変態(Hentai)」という言葉は世界で認知されてしまったようですが(意味は日本人が理解しているのと若干違うけど)、でも、この日本らしいヒーロー映画は恥じる必要はないのです。

本作の福田雄一監督は、次作では少年ジャンプの人気コミック「銀魂」の実写映画を手がけることが決定済み。本作を観れば、福田雄一監督のつくる世界を一足早く体験できます。

監督のコメントも面白いので、公式サイトから抜粋。
まずは何より本当に続編を作ることが出来たことが嬉しいです。なにしろ、一作目は制作してくれる会社もほとんどなく、宣伝させてくれる媒体もかなり限られているという状況での公開。しかし、奇跡は起きるものです。まさかの大ヒットです。しかし、ヒットしたらしたで困難はあります。なにしろ、出てくれていた役者さんたちが皆さん売れてしまいました。売れてから変態と名のつく映画に進んで出る役者はいません。続編を望んだプロデューサーは困りました。

ヒットして困る映画も珍しい。しかし!朝ドラに出ても!ゴールデンに出ても!映画で主役やっても!変態仮面をやりたい!という馬鹿な役者たちは存在しました!そう!鈴木亮平はこれっぽっちも続編を諦めていなかったのです!その肉体美を作るために彼は死ぬほどの思いをしたでしょう。彼は死ぬほどの思いをして変態をやっています。
みんな、いろいろなものを犠牲にしている、それが変態(決め台詞風に)。

予告動画






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

変態じゃない人より、変態な人ほうが好き

続編となる本作でもギャグのキレは前作同様で安心。

実は前作はPG12(12才以下は保護者同伴で観てねというやつ)だったのですが、本作ではG(全年齢指定)。そのため、下ネタが控えめなのかと心配しましたが杞憂でした。どうやら、主演の鈴木亮平・ブログによると、前作がPG12だった理由は、台詞に「チ◯コ」もしくは「ティ◯コ」が多すぎたためらしく、本作は「ティ◯コ」という台詞が一箇所だけなのでOKだったとのこと。映倫は「ティ◯コ」1回なら許してくれることがわかりましたね

個人的に面白かったのが「パンティがなくなった世界」というシチュエーション。「パンティがなくなった世界」に案外平然としている女性に反して、色丞狂介は「ノーパンはまずい」と動揺しまくっているのが、鈴木亮平の表情も合わせて何とも言えない笑いを醸し出していました。このギャグはもっと引っ張ってくれてもよかった。

今作は続編なので説明シーンが少なく、前作にあった若干のテンポの悪さなどの不満点も解消されている感じはしましたが、やっぱりなおもテンポは悪い気がする…。とくにパロディの多さは、仇になっているときもチラホラ。正直、本作はパロディに頼らずとも勝負できるポテンシャルがあると思ってます。

悪役側の魅力が弱かったのも残念。やはり前作にでてきたニセ変態仮面を演じた安田顕が最高すぎたので、今作の変態仙人というメンター役は物足りなかったなと。安田顕に関しては、もはや「変態仮面」を上回る存在感になってしまっているので、良くも悪くも主人公泣かせ。普通にガチの変態にしか見えないもんなぁ…。

ヒロインの姫野愛子を演じた清水富美加も、もっとコメディエンヌっぷりが見たかったです。

本作は鈴木亮平・清水富美加・安田顕のトリオのアンサンブルがどこまでキマるかで面白さが左右されるのだと実感しました。3人が揃うシーンが必要ですね。

HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス

監督と主演の鈴木亮平は、3部作にしたいと意欲を見せていますが、未定。

ちなみに清水富美加はこんなコメントをインタビューで残しています。
世界からパンティがなくなるというとてつもない事件が起きてしまったんで、ネタ切れじゃない?なんて思っていたんですけど、まだ宇宙があります! 変態仮面、どうなっちゃうんだろう?って考えるとわくわくが止まらないですね。想像だけじゃなくて実現したらいいなと思います。
宇宙にパンティってあるのだろうか…。

「HK 変態仮面」シリーズはまだ始まったばかり。今後数十年もリメイクとかリブートとかじっくり時間をかけて育てていってほしいと思える作品です。

ROTTEN TOMATOES
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5.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 5/10 ★★★★★