バーフバリ 伝説誕生
映画『バーフバリ 伝説誕生』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Baahubali: The Beginning 
製作国:インド 
製作年:2015年 
日本公開日:2017年4月8日 
監督:S・S・ラージャマウリ 

【個人的評価】
 星 7/10 ★★★★★★★

あらすじ

巨大な滝の下で育った青年シヴドゥは、滝の上の世界に興味を持ち、ある日滝の上へとたどり着く。そこでシヴドゥは美しい女戦士アヴァンティカと出会い、恋に落ちる。彼女の一族が暴君バラーラデーヴァの統治するマヒシュマティ王国との戦っていることを知ったシヴドゥは、戦士として王国へと乗り込んで行く。


ネタバレなし感想

インド映画史上最大

インドで最大の製作費が投じられ、インドの歴代興行収入最高額を記録し、海外でも高い評価を得た…とも聞けば、観ない理由はないでしょう。

それが本作『バーフバリ 伝説誕生』です。この映画は全2部作のうちの前編であり、古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」を元にした歴史アクション大作となっています。

監督の“S・S・ラージャマウリ”は、2012年に『マッキー』という、殺されてハエに生まれ変わった男が恋人のために大活躍するアクションコメディを手がけた人。“一風変わった”なんてものじゃない奇想天外なストーリーを成立させてしまうパワーは凄まじいものがありました。

↑ハエがアクションして人間をぶちのめす!

ハエですらあそこまでのアクション大作にできてしまう“S・S・ラージャマウリ”監督が、壮大な歴史モノを手がけたらどうなってしまうのか。結果だけ言えば、“とんでもない”ことになってます

一方で、インド映画と言うとどうしても「いきなり歌って踊ったり、派手な映像を差し込んだり、勢いだけの映画でしょ?」と半笑いな感じでバカ映画だと揶揄されがちな雰囲気がありますが、個人的には本作からは違うものを感じました。確かに“ぶっ飛んでいる”し、『キング・オブ・エジプト』『グレートウォール』のような「すげぇ映像」で押し切る感はあるのですけど、それ以上に映画としての「真面目さ」が伝わってくるというか。映像の表現力、役者の熱演、どれをとっても作り手の実力と気合を感じる…劇中で主人公のカリスマ性に周囲の人間が尊敬と驚嘆で圧倒されるシーンが何度もあるのですが、まさにそれの気分にさせられます

これだけのものを製作してくれるのなら、大金をかけるだけあると思います。

真摯な作り手の勢いに心を鷲掴みにされ、いつの間にか私たち観客さえも「バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!」と歓喜を上げていること間違いなしです。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

インドのVFX技術が輝く滝登り

インドのVFX技術はここまで凄いのかと驚愕する映像を魅せつけてくる本作。

まず、「おおっ!」となるのは、白い羽衣を纏ったアヴァンティカの幻想を追ってシヴドゥことバーフバリが滝を登っていくシーンです。スケールが尋常じゃない巨大な滝のビジュアルからして笑ってしまいそうですが、でもバーフバリにこれから待ち受けるであろう運命の巨大さを示すようで、オープニングに相応しいフィールドだと思います。この滝登りは、グリーンバック撮影で背景はもちろん作られたもの。水の表現なんてCGで一番難しいもののひとつですが、それをよくもまぁあのスケールで再現しましたよ。

続く雪崩シーンやマヒシュマティ王国の描写も良かったし、対決した野牛も迫力ありました。

第1回“国王は誰だ!?”バトル

しかし、本作の白眉はなんといっても後半の「マヒシュマティ王国の軍隊vs隣国の蛮族カーラケーヤ部隊」の群集大戦です。

この場面については、圧巻の一言。

昨今のハリウッド映画の群集大戦シーンはたいていCGの相手と戦っているのに対して、3万人(!)のエキストラを動員して撮影したという本作のこの一大戦闘シーンはとにかく「凄い」としか言いようがない。

映像の派手さはもちろん、次々繰り出される戦術が、ひとつひとつ納得がいく理にかなったものであるのもまた良いです。巨大な布を飛ばして火矢で燃やす戦法とか、強固な防御体勢とか、無駄のない「本当にこれで戦ったら勝てそう!」な感じがリアル。

それでいてこの場面は、単に派手というだけでなく、言わばバーフバリとバラーラデーヴァの二人の男の国王としての素質を問う場面であり、ちゃんと二人の違いを戦いの中で明確に見せている手際の良さを感じます。要するに、戦闘シーンで選挙活動を示すみたいなものです。あの戦闘終了後にちゃんと観客さえも「ああ、どう考えてもバーフバリが国王だな」と納得させられる説得力があります。

バーフバリ 伝説誕生

オシャレのわかる男

他にもインド映画らしいケレン味溢れる“ぶっとんだ”演出に、ときに驚き、ときに笑わされます。

バーフバリのキャラがいいですよね。ただの「筋肉こそ全て!」なマッチョ男だと思ったら、滝から落ちてきた仮面を型にして砂で女性を作る乙女チックな一面も覗かせるバーフバリ。その後、滝の上で出会ったアヴァンティカにメロメロになり、手と肩にタトゥーを気づかれずこっそり描くという変態的芸術センスを発揮。極めつけは踊り歌いながらアヴァンティカの服を脱がせ、口紅までつけて、オシャレに変身させます。コイツ、なかなかのスタイリストじゃないか…。水をぶっかけるところにフェチシズムを感じる…。

あとは、バーフバリがバドラ王子の首をスッパーンしたところで、代々忠実な王族の部下のカッタッパが槍でバーフバリに敵を討つ…と思いきやの、ズサーッからの「バーフバリ!」、そしてバーフバリもカッタッパの頭に足を置いての謎ポーズ。この一連の流れには笑ってしまいました。

冒頭のバーフバリ(赤ん坊)を片手で突き上げながら川に沈んでいくシヴァガミの絵面もいろいろな意味で凄かったなぁ…。見方を変えたら、ホラーですよね、あれ。シヴァガミの“漢気”が怖い…。

「お前の父は家臣の裏切りで死んだのだ。その裏切った相手とは…私だ」カッタッパの衝撃的な告白で幕を閉じた第1部。どストレートでわかりやすいクリフハンガーですが、2部作ものはこれくらいの“気になる”を用意してくれたほうが嬉しいですね。

第2部も見ないわけにはいかなくなる、バーフバリ信者にさせられてしまう、困った映画でした。

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