コンビニ・ウォーズ
映画『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Yoga Hosers 
製作国:アメリカ 
製作年:2016年 
日本公開日:2017年7月1日 
監督:ケヴィン・スミス 

【個人的評価】
 星 3/10 ★★★

あらすじ

カナダ・マニトバ州で暮らす女子高生のコリーン・コレットとコリーン・マッケンジーは親友同士。コンビニで一緒にバイトしていて、ヨガに夢中だった。ある日、2人は店長不在のコンビニで男の子とパーティを開こうとするが、地下に眠っていた邪悪なミニナチ軍団を呼び起こしてしまう。

ホームビデオです
“ジョニー・デップ”主演『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』が大々的に日本でも公開された7月1日、もうひとつの“ジョニー・デップ”映画がスクリーンに出現していました。それが本作『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』です。

本作は“ジョニー・デップ”映画というよりは“ジョニー・デップ”ファミリー映画で、“ジョニー・デップ”の他、その元妻“ヴァネッサ・パラディ”、そして娘の“リリー=ローズ・デップ”が出演しています。

とくに注目は“リリー=ローズ・デップ”の初主演作だということ。彼女は女優・モデル両方で活躍が増しており、親が親だけに今後もメディアを賑わせ続けるでしょう。

今回、“リリー=ローズ・デップ”とコンビで主演する“ハーレイ・クイン・スミス”は、なんと幼稚園時代からのリアル親友ということで、とても仲良い掛け合いを劇中で見せています。ちなみに“ハーレイ・クイン・スミス”は本作の監督“ケヴィン・スミス”の娘。なんだこの身内のホームビデオみたいな映画…。あと、なぜかマーベルコミックの“スタン・リー”も出演しています。

ハッキリ言って本作がこうして日本で劇場公開されることになったのも、“ジョニー・デップ”パワーのおかげだろうというのは察しがつきますが、実際の中身はB級もB級。超B級映画です。だってソーセージみたいなチビなナチス生物と、雑な映像演出で戦う話ですからね。まだPLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星の方が映像面では頑張っている方です。

普通だったらDVDスルーになるのが妥当な作品。それを「スター・ウォーズ」風の宣伝(スター・ウォーズ要素は実際の作品には皆無)と、“リリー=ローズ・デップ”を惜しげもなく利用したガールズ・ムービーっぽさを強調したノリでデコレーションして公開するのだから、日本の配給もしたたかだなぁ。

なお、“ケヴィン・スミス”監督は日本のポスターを絶賛しています。
僕は日本のポスターを見た時は涙を流したよ!壮大で楽しいワンダフルな感じがとても良いよね。このポスターをアメリカの宣伝でも使ってくれたら良かったのに!映画以上のポスターが出来たね!映画よりポスターの方が良かったよ!
なら、まあいいか。

実は本作、人間とセイウチの融合を企む狂気の老人を描いたホラー映画『Mr.タスク』のスピンオフなのですが…。

↑こっちはとってもグロイです。

この『Mr.タスク』に登場したコンビニバイトの女の子二人を主人公にした映画が本作。監督の“ケヴィン・スミス”は「True North trilogy」としてシリーズ化していく構想らしいです。やりたい放題やってます。

“リリー=ローズ・デップ”及び“ケヴィン・スミス”監督のファン以外は、足を踏み入れるのは遠慮した方がいいと思いますが、広い心で受け止めてください。






↓ここからネタバレが含まれます↓





カナダをディスる

『Mr.タスク』と違ってホラー要素が全くない本作は、見てのとおりB級コメディなのですが、日本側の宣伝で押している笑いのポイントと、この映画が本来押している笑いのポイントがズレているのですよね。

日本側の宣伝ではイマドキの若者JKが変なソーセージ人間を退治するところをギャグで売ろうとしています。しかし、本作はもうひとつ外せないギャグの要素があります。これが日本人にはなじみがないのでわからないんですね。だから、日本の宣伝側もあえて触れないことにしたのだと思いますが。

そのギャグ要素とは「カナダ」です。本作はひたすら「カナダ」をディスっているだけの映画なのです。

そもそも『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』という別のベクトルでぶっとんだ邦題がついている本作。原題は「Yoga Hosers」です。「Yoga」はあのヨガですけど、「Hosers」が日本人には聞き覚えのない単語。これはカナダのスラングで「馬鹿」とか「マヌケ」という意味。ヨガはカナダ、とくにバンクーバーでは異常に人気で、首相さえヨガをしているくらい国民的なものです。本作でも、当たり前のように女子二人がヨガをしていて、当たり前のようにヨガでソーセージ生物を倒していました。

こんな感じでカナダの特徴をオーバーに小馬鹿にして次々見せているのが本作の大きなギャグです。これを踏まえて観ると、また違った面白さがあります。

コンビニ・ウォーズ

ごめんなさい

例えば、日本人にわかりやすい部分だと、主人公女子二人がバイトするコンビニのレジの後ろに“大量のメープルシロップ”が陳列してありました。いくらカナダの名物がメープルシロップでもあんなレジの後ろに並べることはないと思いますが…カナダを煽ってます。

あと、ミニナチをやっつける場面。アメリカだとまず間違いなく銃が出てきますが、カナダの武器はこれだ!とばかりに登場するのが“アイスホッケーのスティック”。カナダにはアイスホッケーのスティックがそこらへんに転がっているのだろうか…。

さらに、目立っていたのがカナダ訛りをからかったギャグ。コリーンの二人が客に「Sorry aboot that.」を連発するシーン。本当は「Sorry about that」なのですが、カナダ訛りで「about」が「aboot(アブート)」になってます。カナダ人はよく謝るというのが都市伝説化しており、それを踏まえてネタにしていました。

カナダ訛りといえば、カナダ人は「"eh"(エイ)」を言葉の語尾によくつけて言うと指摘されますが、コンビニの店名も「Eh-2-ZED」でしたね。

カナダ・ユニバース

映画の最後はカナダ国歌「オー・カナダ」を熱唱して終わってました。カナダを尊敬しているのか、バカにしているのか、さっぱりわからない映画でしたが、「Vancouver Film School」に通っていた“ケヴィン・スミス”監督のカナダ愛ということにしましょうか。

“ケヴィン・スミス”監督いわく「True North trilogy」は「カナダ・ユニバース」だそうで、今後もカナダに“愛”を向けていくようです。なんとそんな「カナダ・ユニバース」の次回作は『MOOSE JAWS(ヘラジカ・ジョーズ)』というタイトル。あの名作『ジョーズ』のヘラジカ版だと言うじゃないですか。加えて、『Mr.タスク』のセイウチ人間と『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』のミニナチも共演するとか。普通に意味がわからない。

これは観ないと…。

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