メイズ・ランナー 最期の迷宮
映画『メイズ・ランナー 最期の迷宮』(メイズランナー3)の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Maze Runner: The Death Cure 
製作国:アメリカ  
製作年:2018年 
日本公開日:2018年6月15日 
監督:ウェス・ボール 

【個人的評価】
 星 4/10 ★★★★

Plot Summary

巨大迷宮から脱出して謎の組織「WCKD」の施設からも逃げ出してきたトーマスと仲間たち。しかし、捕らわれてフレアウイルスの治療法を開発する実験の被験者になっている仲間ミンホを救い出すため、そして自分たちを裏切ったテレサに真実を追求するために、彼らは決死の覚悟で敵の本拠地の都市に侵入することを決意する。

ネタバレなし感想

最終ランナー、完走しました

ティーン向けのヤングアダルト小説の大規模な映画化プロジェクトは一時期、大流行りし、大作が連発していました。『ハンガー・ゲーム』シリーズや『トワイライト』シリーズなどに並び、その流れに乗っていたのが『メイズ・ランナー』シリーズでした。

2014年というヤングアダルト小説映画化ブームの中ではやや後発の時期に公開された第1作は順当にヒットを記録し、続く2作目の『メイズ・ランナー2: 砂漠の迷宮』は2015年に公開。3部作完結となる本シリーズは本来であればとっくのとうに3作目が公開されているはずでした。

ところが、撮影中に主人公を演じる“ディラン・オブライエン”が怪我。しかも、かなりの重傷で、撮影続行不可能になり、製作は無期延期の状態に。主役級の俳優が撮影で負傷するなんて普通であればあってはならないこと(トム・クルーズは除く)。大変な事態だったと思いますが、なんとかこの困難を乗り越えて、3作目となる本作『メイズ・ランナー 最期の迷宮』が2018年に公開するに至りました。

ただ、残念だったのは、もうヤングアダルト小説の大作映画化ブームは下火になってしまったことですね。2作目との間に時間が空いたこともあって、完全に勢いが減退モード。それでも待っていたファンもいるでしょうから、公開されて良かったです。

これだけ時間が空いていると、演じている若手俳優たちも結構キャリアアップしている人が増えました。例えば、ヒロインのテレサを演じた“カヤ・スコデラリオ”は、『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』で新ヒロインに抜擢。
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敵か味方かわからない怪しさを放つギャリーを演じた“ウィル・ポールター”は、キャスリン・ビグロー監督によるアメリカ史の闇を描く強烈な一作『デトロイト』で凶悪警官を演じて脳裏に刻まれています。
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また、主人公の仲間であるブレンダを演じた“ローサ・サラザール”は、ジェームズ・キャメロン製作で日本漫画「銃夢」を映画化した『アリータ: バトル・エンジェル』の主役でお披露目予定。

そんな感じで、成長した俳優たちの活躍も楽しみにしながら本作を鑑賞するのがいいと思います。

当然のことながら3作目なので、前2作の内容は把握しておかないとついていけません。一応、公式でも簡単なおさらい解説や動画を用意してくれていますが、一番は映画を観るのがベストです。幸いなことにたった2作です。昨今のアメコミ映画とかと比べるとはるかに楽だと思ってしまう…。

鑑賞前のおすすめ PiCKUP!
↑シリーズ第1作『メイズ・ランナー』。
↑シリーズ第2作『メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮』。

それさえ済ませば、あとは問題なし。シリーズ完結を見届けてスッキリしてください。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

迷路はありません(知ってた)

3作目である本作の中身に入る前に、前作を振り返りたいと思います。

まず1作目は「メイズ・ランナー」というタイトルどおり、謎の超巨大迷路に囲まれたゾーンに閉じ込められた若者たちが状況も掴めぬままに脱出を試みるという、いわばソリッド・シチュエーション・スリラーの要素が土台になっていました。『キューブ』をスケールアップしたみたいな内容ですね。加えて、今作は原作がヤングアダルト小説ですから、そこに若者たちの青春要素&社会への抵抗要素がミックスされる。実に王道です。

個人的には超巨大迷路というバカでもわかる大仰な設定とか好きだったので、結構楽しんで観ていました。ただ、これはソリッド・シチュエーション・スリラーの欠点なのですが、世界の全容が判明してしまうと急に観客として冷めるのですよね。とくに「WCKD」という謎の組織が出しゃばり始めるラストのオチもあんまり…。1作目はそんな印象でした。

続く2作目。今度は割と普通の隔離施設から脱出して砂漠を逃げ回る話に。「砂漠の迷宮」という邦題に反して迷路要素は皆無に近く、原作を知らない誰しもがガッカリしたはず。思えば1作目が面白いのは迷路ありきだったんですね。でもこのシリーズはそもそも迷路ありきではない。だから2作目は『キューブ2』みたいにはならない。この齟齬による、奥歯に何かがひっかかるような違和感を引きずってました。

そして、3作目。もうこの時点で私も「きっとまた迷路要素はないのだろう」とすっかり覚悟していましたし、ちゃんと適切なハードルの高さ調整ができていた気分でした。でも日本の宣伝が「伝説の迷宮に逆侵入する」なんて言葉で期待を煽るんですよ。邦題も「最期の迷宮」という、“次こそは”精神を感じるし…。まあ、最後も何も迷路はまだひとつしか見ていないのですが…。

で、結局、迷路に逆侵入するようなくだりはないわけです。厳密には組織の本拠地である都市のビルに潜入するだけ。いたって普通。どうせなら意地でもビル内を迷路構造にしておけば良かったのに…。

でも、あんまり詐欺だ詐欺だと映画を怒らないであげてください。原作小説の邦題がこうなっているのですから。映画は悪くない(軽やかな責任転嫁)。

メイズ・ランナー 最期の迷宮

バスを吊るしました!

それでも本作はアクションがちゃんとあります。監督の“ウェス・ボール”はもともとVFX畑の人なので、映像で見せるアクションは得意。

冒頭から『マッドマックス』感を感じる、走行する乗り物どうしの白熱したドライブシーン。ちなみにこの場面の撮影でトーマスを演じる“ディラン・オブライエン”は大怪我したとのことですが、それでも撮ったかいのあるオープニングの掴みとしてはバッチリでした。

ただ、冒頭以降は派手なアクションがグッと減って、終盤のクレーンでバスごと吊るす展開くらいしか真新しい見せ場がなくなるのは残念。これについては本シリーズはハリウッド映画としては中規模な予算なので、こんなものなのはしょうがない部分もあります。

しかし、3作目は明らかにサスペンス不足で、基本的に広げた風呂敷を閉じる作業に終始しているので、驚きが少ないのが辛いところ。だからこそ本来はその不足をアクションで補うべきだったのですが、これが限界だったかなと。

ドラマ面はド定番で、ニュートとテレサという大切な人の死を乗り越えて「俺たちの戦いはこれからだ!」系のエンディング。ミンホを救出することに必死になっていたのに、いつのまにやらニュートとテレサのエピソードに完全に印象が持っていかれているなど、結構ドラマはブレブレなような…。本作の脚本家である“T・S・ノーリン”、『パシフィック・リム アップライジング』の脚本家でもありますが、あんまり自分には合ってないのかな。とくに若者側と大人側の絡ませ方が上手くない気がする…。
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私自身、特別、キャラクターに愛着もなかったので、こんなものかなと思いましたが、さすがに2018年の色々価値観が変わりつつあるなかで、今作のキャラクターたちはちょっと古いかなとも思ったり。それだけここ最近で急激に映画に求められるクオリティが変わったということなんですが。

ともあれシリーズも終わったことですし、出演していた若い俳優の人たちはこれからどんどん活躍を広げてくれればそれで満足です。

おすすめ PiCKUP!
↑ヤングアダルト小説映画化で一番残念なことになってしまったのは「ダイバージェント」シリーズです。映画企画が途中で頓挫。『ダイバージェントFINAL』で止まってしまいました(邦題はファイナルとあるけど、完結作ではない)。
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