海の安全規則です!…「Netflix」ドラマシリーズ『BELOW/ビロウ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:カナダ(2026年)
シーズン1:2026年にNetflixで配信
クリエイター:ジェシー・マッケオン
恋愛描写
びろう

『BELOW ビロウ』物語 簡単紹介
『BELOW ビロウ』感想(ネタバレなし)
海のアイツも怒ります
2026年に最も嫌われるようになったもの…それは「データセンター」。水不足になり、電気代も爆上げになる元凶。データセンター建設反対の声は今後も高まり続けるでしょう。
そこでIT大企業は考えます。そうだ、海にデータセンターを作ればいいんだ!…と。
海上にせよ海中にせよ、この海のデータセンターはまだ研究途上で実現性は不透明(The Conversation)。課題も多いので、海の中がデータセンターだらけになることはなさそうですけど…。
でも私はこの話を聞いて真っ先に思うのです。そんな海にデータセンターなんて作ったら、海底に暮らす怪獣が怒ってデータセンターをぶち壊すんだ…。そう、怪獣映画で脳内が構築されている私には容易に想像つきますよ…。
今回紹介するドラマシリーズは、データセンターは全然題材にはなっていないですけど、「ほら、データセンター、海に作るとか論外でしょ?」と強大な力でわからせてくるような、そんな海からの注意勧告的な作品だと思ってください。
それが本作『BELOW ビロウ』。
本作は2026年のカナダ制作のドラマシリーズで、舞台はカナダの東海岸にあるニューファンドランド島。ジャンルは、超常現象(スーパーナチュラル)モノで、もっと具体的に言えば、アニマルパニックもしくはモンスターパニックと断言できます。どんな生き物がでるかは観るまでのお楽しみとしますが、巨大生物好きなら満面の笑みを浮かべることができるでしょう。
漁村フォークホラーとして歴史を土台にしつつ、おなじみのジャンルの流れに沿ってケレン味たっぷりの映像も楽しめる、マニアックな一品です。
『BELOW ビロウ』のショーランナーは、ドラマ『アンブレラ・アカデミー』にも関わった“ジェシー・マッケオン”。
主演は、『ヴェリティ/真実』の“ジョシュ・ハートネット”で、製作総指揮にも名を連ねています。
共演は、『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』の“マッケンジー・デイヴィス”、ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の“チャーリー・ヒートン”、ドラマ『ロックウッド除霊探偵局』の“ルビー・ストークス”、『THE MONKEY/ザ・モンキー』の“ローハン・キャンベル”、『The King Tide』の“ウィロウ・キーン”、ドラマ『Revival』の“ケイレブ・ホーン”など。
ドラマ『BELOW ビロウ』は「Netflix(ネットフリックス)」の独占配信で、全6話(1話あたり約35~45分)と短めなので、比較的サクっと観れます。
巨大クリーチャーのパニックものが大好物だという人は2026年の必見作ですので、ぜひどうぞ。
『BELOW ビロウ』を観る前のQ&A
鑑賞の案内チェック
| 基本 | — |
| キッズ | 一部で残酷な遺体が映るシーンがある。 |
『BELOW ビロウ』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
1986年、ニューファンドランド島。ペニー家は政府の移住プログラムの一環で、辺境の漁村からもっと大きい町へ移住することになり、今は家族みんなが乗る一隻の小さなボートで家ごと引っ張り、海を進んでいました。また子どものカルヴィン・ペニーも家族と一緒に大人しくボートに座り、霧深い海辺をゆっくり眺めています。
ところが何かに引っかかったのか、進まなくなります。エンジンを止め、カルヴィンの父レオは家の中に独りで入って様子を見に行きます。残されたカルヴィンはふと水面に目をやると、何か巨大な目玉のようなものを見た気がします。
そして家がいきなり沈んでいき、ボートも水中に引きずりこまれそうになります。カルヴィンは言われるがままにロープを切断しますが、家は父もろとも沈んでいきました。
40年後、カルヴィンは移住したスヌークス・アームで漁師になっていました。今日は自分の漁船で、近場の沖合に漂う氷山を探して回収しています。氷塊は売れるのです。
しかし、せっかく陸揚げしたもののを簡易検査でこれは食用に適さないので買い取れないと言われてしまいます。しかも、この氷には変な異臭もついており、確かに売り物にはなりそうにないです。
一方、スヌークス・アームの町役場では、市長のリンダ・ベストがハラハラと見守る中、住民たちが政府による新たな居住地への移住提案について話し合うために集まっていました。移住に承諾すれば高額なおカネを受け取れます。移住に賛成する住民もいれば、地元に愛着があって躊躇う住民もいました。その話し合いの中にはカルヴィンの姉で港湾管理人のルースも参加していました。
その頃、カルヴィンは例の氷塊を近くシール・コーブ海洋科学センターの海洋生物学者のフォンダ・ハウアンダー博士のところに持っていきます。フォンダはここにいないはずのフラミンゴの出現など、最近の異変について調査していました。この氷も何か異変の兆しかもしれません。フォンダはグリーンランドで起き始めると予想される大規模な氷河崩壊を懸念しますが、カルヴィンはそれが儲けになると、そのことばかりしか頭にありません。
カルヴィンが家に戻ると、長男のウェイドがAirbnbの宿泊客を前に調子よく朝食を用意していました。そこへルースも現れ、再定住案について町は投票の賛成率条件を90%から75%に引き下げ、推し進める狙いだろうと口にします。カルヴィンはこの地に残る気満々です。
カルヴィンは他の子どもたちを迎えにフェリー乗り場へ向かいます。モントリオールの大学に通う娘のメアリーはボーイフレンドのノアを連れて帰省してきました。でも残念ながら遅れているのかアルバータ州で働く末息子のジェイは来ていません。それでも夜にジェイはわざわざヘリで島にやってきました。
一方、ところかわってリトル・ポット・ロック島での違法なカニ養殖を調査するべく漁業パトロール隊がのひとりが現地に船で向かいます。隊員は海中まで続く密猟関連と思われるロープをたどっていき、浅瀬の底で人間の片足の一部を発見して衝撃を受けます。
翌朝、港は大騒ぎとなります。超巨大な氷山が近くまで漂着していたのです。カルヴィンはテンションが上がります。こんなことが続くなら、このあたり一帯の漁業を仕切るジム・クロッカーに従わずとも、独立して商業用氷採取の事業で生計を立てることができるかも…。
しかし、メアリーもジェイも自立しており、父の考えに賛同はしません。
それに対して、父から疎外されていると感じていたウェイドは、別の知り合いの氷山採集狙いのジェリー・バイルズに連れられ、夜中に船で氷を狙いにいきます。
ところがそこでとんでもないものを見てしまいます。海面の下からこちらを見つめる、巨大な目を…。

ここから『BELOW ビロウ』のネタバレありの感想本文です。
ニューファンドランド島の歴史とあの生物
さっそくネタバレ。
みんな、今日の晩御飯は巨大イカよ~! 違った、人間の刺身だぞ~! さあ、うちのイカたち、たんと人間を召し上がれ~!
ドラマ『BELOW ビロウ』はどう考えても荒唐無稽に思われるような「巨大イカ」を、ちゃんと主題にして描いてやるぞ!という威勢のよさ、同時に映像ありきでチープにならないようなジャンルの世界観と人間模様の作り込みを備え、私も満腹でした。
まず舞台になっているニューファンドランド島。本作はこの島の歴史にしっかり根を張っています。
ニューファンドランド島は、カナダの東海岸にある島なのですが、面積は北海道の約1.3倍くらいでかなり大きいです。そして、歴史も古く、この島に長年暮らす人々は「ニューファンドランド人」として独自のアイデンティティを持っています。
以前は自治権を持っていたのですが、戦後、独立自治領からカナダへの加盟へと島内世論は変化し、今に至ります。さらに島内に点在する脆弱な小規模村落だけでは存続できず、1954年から1975年の間に政府によって再定住計画が開始され、その結果、300のコミュニティが放棄され、約3万人が移住させられたそうです。この移住は現在も続いています。ニューファンドランド島ではタラ漁業が地域産業として住人を支えてきたのですが、1990年代に漁業資源が崩壊し、衰退してしまいました。島としてはどうやってコミュニティを維持するのか、現在も喫緊の課題です。
ドラマ『BELOW ビロウ』はまさにこのニューファンドランド島が直面する問題を冒頭から取り上げています。
主人公のカルヴィンも再定住の結果、このスヌークス・アームに居着いて家族を持ったわけですが、40年後に今度はこのスヌークス・アームから出ていくように再定住計画が持ち上がり、そのうえ、自身の家族である子どもたちも独立して、カナダ大陸に点在してしまっている…。カルヴィンとしてはアイデンティティの危機です。
本作は題材として目立つのはもちろん巨大イカ(「mudder」とも呼ばれている)ですけど、その裏にある内面的なテーマは、変わりゆく地元の世界の中で、どうやって外的脅威と内的恐怖に立ち向かうのか…ということなのでしょう。
巨大イカは外からやってきた侵略者のように最初は見えますが、実は違って、このニューファンドランド島にも接続する海域にて長い歴史の中で密かに共生してきた存在。作中で最初は巨大イカを倒そうとしていたカルヴィンが、最終的には巨大イカを助けて逃がすまでに心境が変化する展開は、彼の中の地元に対する新たな郷土愛の芽生えであり、同時に「自分はこの島とともに沈んでしまうのだろうか」という実存的恐怖の克服でもあったのかもしれません。
それにしてもこんなイカに優しい作品はなかなかないですよ。イカやタコのような頭足類は、何かと悪魔的な象徴として扱われがちだし…。今作の巨大イカは、あの海に帰っていく穏やかなラストといい、完全に古き「ゴジラ」の懐かしさを感じますね。『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』の「ゲゾラ」と友達になってほしい…。
イカしたジャンルの盛り合わせ
ドラマ『BELOW ビロウ』は全6話しかないですが、それぞれのエピソードでいろいろなジャンルの醍醐味が詰まっていて、毎回違った飽きない楽しさがありました。
冒頭はいかにもフォークホラーな始まり。家ごと沈むショッキングな映像がいいですね。
その第1話は巨大な氷山の漂着という、つい最近も『DIGGER ディガー』で見たやつのややスケールの小さいバージョン。今作でも気候変動が背景としてプロットに採用されていますが、『BELOW ビロウ』はこの氷山に利用価値があるかないかで、地元の世論が新たに分裂するところが独特ですね。
第2話はいよいよ巨大イカの存在が目以外にも触手(足)というかたちで映像でお目見えし、モンスターパニックらしくなってきます。第3話で、市長や住人が観光か安全かで対応の遅れを招くあたりは、『ジョーズ』と同じ。まあ、サメ以上に「イカがヤバい」っていきなり言われても警戒心を持つのは厳しいかもしれないけど…。
同時にここから第4話にかけて、町の人々の間に「水を飲みたくなる異様な衝動」が広がり始め、一種のアウトブレイクが起こり、別のスリラーのジャンルが並行してきます。やっぱりそんな海に漂っている得体のしれない氷を口にするもんじゃないですね。ウェイドが魔女みたいな存在の悪夢にうなされるところはちょっとやりすぎな感じもなくはない…。
さらにさらによそから船でやってきたスティーブは、最初は気候変動活動家と名乗っていましたがそれは嘘で、狙いは巨大イカの捕獲。スティーブは『白鯨』のイカ版でした。そして同行するサイードは未知の生命へのロマンに陶酔して危険に溺れる哀れな研究者。潜水艇の側面に日本国旗もあったし、国際研究としては一応は体制作りはあったのかもしれないですけど、巨大イカを捕まえられるとなぜ思ったのか…。“ジェイソン・ステイサム”もいないのにどこから自信が?って思いましたよ、ええ…。
第5話からはまた一気に別ジャンル化し、島内の別の地域での監禁オカルト・スリラーに。あのウォルトンの一件はラストも放置されているように思うけど(この事件のほうが観光に大打撃じゃないか?)、いずれ勝手に滅ぶからってことだろうか…。
最終話での家族総出での巨大イカ救出作戦は、それまでの鬱屈を吹き飛ばす気持ちのいい解放感がありました。ちゃんと「引っ張る」ことがアイディアになっているのもいいですね。
個人的にはあのジム・クロッカー(やっぱり『DIGGER ディガー』だった)は巨大イカに食われてほしかったけども、まあ、イカにも食べるものを選ぶ権利はあるか…。
ということで、『BELOW ビロウ』はカナダ産の巨大生物作品として良い土産になる一作でした。次回があるなら、データセンター計画を巨大イカがぶっ潰す物語でお願いします。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
以上、『BELOW ビロウ』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)Netflix
Below (2026) [Japanese Review] 『BELOW ビロウ』考察・評価レビュー
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