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『レディー・ガガ:Five Foot Two』感想(ネタバレ)…レディーガガの本当の素顔

レディー・ガガFive Foot Two

レディー・ガガの本当の素顔…ドキュメンタリー映画『レディー・ガガ Five Foot Two』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Gaga: Five Foot Two
製作国:アメリカ(2017年)
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信
監督:クリス・モーカーベル
レディー・ガガ:Five Foot Two

れでぃーがが ふぁいぶふっととぅー
レディー・ガガFive Foot Two

『レディー・ガガ:Five Foot Two』簡単紹介

全身全霊を注ぎ続けて世界中の人を魅了しているトップクラスのアーティスト「レディー・ガガ」。シングルやアルバムの売り上げは驚異的な数字を誇り、SNSでは尋常ではない数の人とつながっている。すでにポップカルチャーの中心であり、誰もがその一挙手一投足に注目している。そんな華やかな成功者というイメージの裏で見せる、ありのままの彼女の素顔とは…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『レディー・ガガ:Five Foot Two』の感想です。

『レディー・ガガ:Five Foot Two』感想(ネタバレなし)

イメージを覆すドキュメンタリー

「GAGA」と聞けば、日本人で映画好きの人なら映画配給会社の「ギャガ」を思い浮かべるところであり、温泉好きなら「峩々温泉」になるのかもしれないですが(そうか?)、世界的には無論それは「レディー・ガガ」のことでしょう。

最近だと、自身が「線維筋痛症」という難病に苦しんでいると公表し、ヨーロッパツアーの延期など活動の一時休止を決定したというニュースで話題になっていました。

そしておそらくそのニュースとも関連があるであろう、近年のレディー・ガガに密着したドキュメンタリーがNetflixで公開されました。それが本作『レディー・ガガ:Five Foot Two』です。

音楽アーティストに全くもって疎い私ですが、それでもレディー・ガガの名前は聞いたことがあります。

そのイメージはやはり奇抜な衣装や派手なパフォーマンスです。

ところがなんでも最近はそういう路線ではないというじゃないですか。

2016年のアルバム「ジョアン」ではその“変化”がよく見てとれるものになり、多くのメディアやファンはレディー・ガガに何か心情変化でもあったのかと詮索心を発動していたようです。

本作は、その“変化”の理由が、レディー・ガガの口から、そして映像としても語られていく非常に意義の大きいドキュメンタリーとなっています。本作に映るレディー・ガガの姿は、これ以上ないだろうというくらい“素”のプライベート。笑ってしまうものから、苦しみを感じるものまで、あらゆる“素”が見られます。もちろん、アルバム「ジョアン」のレコーディングや、バックステージ、スタジオなど仕事の姿も印象的ですが、やはりもっと“素”の部分こそが強烈に心に刻まれます。

ファンは当然、観る価値あるでしょうし、観れば単純に「好きなアーティスト」という以上の感情が沸き上がるかもしれません。また、ファンではない人が見ても、ある分野で世界の頂点に立つひとりの人間の観察ドキュメンタリーとしてとても興味深いものになっています。

ぜひ鑑賞してみてはどうでしょうか。

『レディー・ガガ:Five Foot Two』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『レディー・ガガ:Five Foot Two』感想(ネタバレあり)

着飾っていない私

あのレディー・ガガの素顔が見られるということで、どんなものかと好奇心たっぷりで本作を観始めたのですけど、想像以上に“素”でした。“素”というか、自然体なんですね。

自宅での団らんや、庭でトップレスの姿で談義している光景は、自由奔放。まあ、ここまでなら普通かなと思う範囲ですが、さらにお尻に注射を打たれている姿とか、仕事仲間の車に自分の車をぶつけて謝っている姿まで「それも映していいの!?」みたいな“あられもない”ものまで全部オープン。

別に豪華な生活をしているわけでもなく、もちろん家は広いし、家具もリッチそうだし、車も高級そうでも、本作の“素”のレディー・ガガ本人は「普通の人」に見えます。それこそ街ですれ違っても私は気づく自信がない…。

現にそれがはっきりわかる愉快なシーンが本作の後半にもありました。レディー・ガガが普通に店に行って「ガガの新作置いてある?」と店員に聞く場面とか爆笑ものです。最初は冷たい態度をとる店関係者が本人とわかるや否や手のひら返しの好待遇に転身するは面白い光景でした。最後はお見送りまでしちゃって…。そうなるでしょうけど。

有名人のプライベートを公開!というのは日本のTV番組の企画とかではよくあるものですが、本作のレディー・ガガが見せてくれたそれは「いかにもカッコつけたプライベート」でもなく、「自分が売っているキャラクターに沿った内容」でもなく、着飾っていない“素”です。

こういうことができるのは海外だからなのか、はたまたレディー・ガガだからなのか、とにかく凄いなぁと感心するばかり。

また、故人のアーティストを追ったドキュメンタリーはこれまでたくさんありましたが、現代を生きるアーティストを追ったドキュメンタリーがこのような内容になるのはイマドキ感もありますね。

情けなくて、恥ずかしい

では、今回のプライベート大公開は、単なるサービス精神なのかというとそうではないのが、本作の重要なところ。それだけだったらSNSでも事足りるわけですから。そして、本作はドキュメンタリー。ドキュメントすべき理由があるのでした。

ドキュメンタリーが進むにつれ、明らかになっていくのはレディー・ガガの抱える不安、苦悩、恐怖…

最近話題となった健康問題がらみでは、精神的に不安定で薬を飲む姿や、体の痛みに涙を見せながら苦しむ姿が生々しく、加えてそんな姿を「情けなくて、恥ずかしい」と嘆く。そんなときでも、「“トランプ大統領”療法」という荒療治を試させてと精一杯のユーモアを口にするのが、また切なさを増すというか…。

さらに仕事と恋愛が両立できない辛さを吐露するレディー・ガガ。

レディー・ガガの置かれている状況は特殊も特殊ですが、それでも30代を超えて将来に不安を感じている姿はここでも普通の人と変わりありません

これまでの奇抜な衣装や派手なパフォーマンスのゴージャス路線から転換したのは、自分と向き合うためだったんですね。アルバム「ジョアン」を作って祖母に聴かせて家族と向き合うのも、活動を休止して治療に専念するのも、その大切なステップ。

レディー・ガガであろうと、サラリーマンであろうと、主婦であろうと、子どもであろうと、そういう時間は必要だなと思います。

「昔からのファンは着飾っていない私にがっかりするかしら」とMV撮影の前につぶやいていましたが、きっと阿鼻叫喚やら喧喧囂囂やらで普段は沸いている世間の人にも、本作を観れば少しは伝わるのではないでしょうか。

空中に浮かび上がるレディー・ガガの姿で始まって終わる本作。この試練を乗り越えれば、きっと想像つかない進化を遂げて地上に帰ってくるのでしょう。

『レディー・ガガ:Five Foot Two』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 73% Audience 80%
IMDb
7.0 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 6/10 ★★★★★★

関連作品紹介

ミュージシャン・アーティストを主題にしたドキュメンタリーの感想記事です。

・『ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている』

作品ポスター・画像 (C)Netflix

以上、『レディー・ガガ:Five Foot Two』の感想でした。

Gaga: Five Foot Two (2017) [Japanese Review] 『レディー・ガガ:Five Foot Two』考察・評価レビュー