感想は2500作品以上! 詳細な検索方法はコチラ。

【2025年】LGBTQ+映画祭「OutfestNEXT」の上映作品を紹介

LGBTQ

「OutfestNEXT」(アウトフェストネクスト)が2025年11月6日~9日にわたって開催されました。

「Outfest」は1982年に設立され、LGBTQ+を基盤にフィルムメーカーの育成、映画祭の企画などを行っているアメリカのロサンゼルスの組織であり、例年は「Outfest Los Angeles LGBTQ Film Festival」「Outfest Fusion」を開催してきました。

しかし、財政難、リーダーシップの交代、そして組合結成などの影響で、2024年と2025年の既存のイベントを一時中止していました。それでも、2025年の終盤には変則的ではありますが、「OutfestNEXT」として復活し、新体制のもとでリスタートしました。

今回はその「OutfestNEXT」における、取り扱われた映画を紹介しています。

長編映画

『All That We Love』

『1985』などで保守的な空気に佇む人物を巧みに表現してきた“イェン・タン”(Yen Tan)監督が描くのは、離婚して育児も終えた元シングルマザーの女性が主人公で、中年の危機の中で、人間模様の混乱に振り回されていく姿を温かくとらえた物語…とのこと。バイセクシュアル当事者でLGBTQ権利運動に尽力する俳優の“マーガレット・チョー”が主演しています。

『At the Place of Ghosts』(Sk+te’kmujue’katik)

トゥースピリットでノンバイナリーという先住民とクィアの交差的なアイデンティティを持つカナダの“ブレッテン・ハンナム”(Bretten Hannam)監督の2025年の新作。疎遠だったミクマク族の兄弟が再び邂逅する中で経験するスピリチュアルな超自然的スリラー…とのこと。個人的にかなり観てみたい一作です。なんだったら『Wildhood』など監督の過去作も観たい…。

『CAMP』

2022年の『Honeycomb』で長編映画監督デビューを果たしたカナダの“アバロン・ファスト”(Avalon Fast)監督は、ガールズホラーのZ世代代表の新進気鋭として今回も絶好調。問題を抱えた10代の若者たちのキャンプカウンセラーになることで救いを求める主人公が辿り着くのは、魔術…? 絶対にクィア・コミュニティのウケは良さそうな尖った作家性でしょうね…。

『Christy』

アメリカのレズビアン・プロボクサーのクリスティ・マーチンの伝記映画を“デヴィッド・ミショッド”(David Michôd)監督が描く。良くも悪くも話題をかっさらっている若手俳優“シドニー・スウィーニー”の主演起用はいろいろな反応を招きましたが、クリスティ・マーチンの物語はそのゴシップも霞むほどの強烈さであり、この映画をノックアウトするほどではない…のかもしれません。

『Dreams in Nightmares』

『Test Pattern』が大絶賛された“シャタラ・ミシェル・フォード”(Shatara Michelle Ford)監督の新作。3人の友人が行方不明になった友人を探してアメリカ中西部を車で旅するロード・ムービー。黒人クィア女性の人生の彷徨いを、歴史も感情もごちゃまぜにしてガソリンに変えながら、叙情的なスタイルで綴っていく。日本で最も公開されにくいタイプですが、公開されてほしい…。

『Drive Back Home』

遅咲きのカナダの“マイケル・クロウォーター”(Michael Clowater)監督の長編デビュー作ですが、“チャーリー・クリード=マイルズ”と“アラン・カミング”の共演で、片方がゲイの兄弟のささやかな人間模様を映し、1970年代の保守的な社会で生きる者たちを蘇らせる物語…とのこと。監督の祖父と大叔父の実話に基づいている映画だそうです。

『Drunken Noodles』(邦題『ドランクヌードル』)

随分と変わったタイトルですが、アルゼンチン出身でニューヨークを拠点とする気鋭の映画作家である“ルシオ・カストロ”(Lucio Castro)監督のクリエイティブはもっと奇妙。「控えめなキャラクターのリズムとハイコンセプトな映画的アイデアの両方が融合した奇跡的な作品」と評されるブルックリン・ゲイ・ラブストーリー。

『Dust Bunny』

ドラマ『ハンニバル』などの名テレビ・プロデューサーにしてゲイでもある“ブライアン・フラー”(Bryan Fuller)の2025年の長編映画監督デビュー作。ベッドの下に潜む凶暴で飢えた怪物を退治するために奇抜な隣人の殺し屋に依頼する8歳の少女の物語で、殺し屋は“マッツ・ミケルセン”! 殺される怪物が羨ましい。

『Lakeview』

クィアな女性同士の友情を複雑かつユーモラスに描かせるなら、このカナダの“タラ・ソーン”(Tara Thorne)監督にお任せ。シチュエーションシップはクィアネスの最も得意とするところで、その狭間にはいつもブランケットにくるまれてマグカップを手に和やかそうで、でもどこか緊張感もある人間模様がわちゃわちゃしているものです。

『Love Letters』(Des preuves d’amour)

カンヌでも存在感を示し始めたフランスの“アリス・ドゥアール”(Alice Douard)監督が描くのは、同性婚が法制化された直後に妊娠を控えている女性カップル。法律は実現しても、社会がすべて心地よくなるわけではない。妊娠すると自動的に母親になり、妊娠せずに母親になるのは困難で…というのは確かに切実…。

『Perro Perro』

アルゼンチンの“マルコ・バーガー”(Marco Berger)監督は、男性の身体をエロティックかつ寓話的に映しだすのが得意ですが、今作はまた変わり種。タイトルは犬のこと。ペロペロしてくれる可愛い犬。でもその犬は二本足で立ち、両手で抱きしめ、愛情を表してくれる。お腹を撫でられるなんて、すごく同性愛的な触れ合いなのです。

『Touch Me』

強烈なクィア映画『ハイポ』“アディソン・ハイマン”(Addison Heimann)監督がまたしてもやってくれました。ネタバレはしません。宇宙的な不条理を織り交ぜ、極限までに独創的な物語を生み出す技はもはや唯一無二。日本でも公開されれば、観客を熱狂させ、笑いを誘い、魅了し続けてくれるでしょう。

『Niñxs』

トランスフェミニストの“カニ・ラプエルタ”(Kani Lapuerta)監督による、メキシコの町で暮らす15歳のカーラが思春期特有の浮き沈みを経験しながらトランスジェンダーのティーンエイジャーとしてアイデンティティを育む成長の旅に出る姿を優しく見つめるドキュメンタリー…とのこと。見過ごされがちなメキシコのクィアな視点は興味深いところです。

『Rock Out』

“ダスティン・ランス・ブラック”(Dustin Lance Black)監督が注目したのは、リトル・リチャードやビートルズからエルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイまで、ロックンロール・カルチャーの裏に隠された、語られざるクィアの物語。今日まで続くその影響力を深く掘り下げるドキュメンタリー。こういう作品は日本でも紹介しやすいと思います。

『State of Firsts』

トランスジェンダーをことあるごとに危険視して妄言を繰り返すトランプ政権の時代の中、初のトランスジェンダー議員として歴史に名を残したアメリカのサラ・マクブライド下院議員。その姿を追いかけた“チェイス・ジョイント”(Chase Joynt)監督は、政治の地雷原を通り抜けて正義と自由を追求するドキュメンタリーを記録に残してくれました。

『We Are Pat』

長年の歴史があるコメディ界の伝説的番組『サタデー・ナイト・ライブ』で象徴的でありながら物議を醸し、多くの人がトランスフォビアだと非難したキャラクターを当事者の手に取り戻そうと試みたのは、“ローワン・ハーバー”(Rowan Haber)監督。当事者が侮辱的な表象に惹かれる理由はなぜなのかを探るドキュメンタリーとのことです。


この他にも、以下の短編映画が取り上げられました(作品数が多いのでタイトルの紹介だけにしています)。

  • 『Anino』
  • 『Apartment 605』
  • 『Are You Fucking Kidding Me?!』
  • 『ATTAGIRL!』
  • 『The Beauty President』
  • 『Calamity Jane』
  • 『Dead End』
  • 『The Eating of an Orange』
  • 『Girlfriend Girlfriend』
  • 『Grandma Nai Who Played Favprites』
  • 『Grapefruit』
  • 『Hold Me Close』
  • 『A Hurt Like Mine』
  • 『La Dichotomie』
  • 『The Last Story on Earth』
  • 『Lifted』
  • 『Lion in the Wind』
  • 『Magid / Zafar』
  • 『metamorphosis』
  • 『Minister Chucky』
  • 『Misdirection』
  • 『My Age Now』
  • 『My Queerceañera』
  • 『Órale』
  • 『Over Easy』
  • 『Poreless』
  • 『Purebred』
  • 『RAT!』
  • 『Re-Entry』
  • 『She Raised Me』
  • 『Shelly’s Leg』
  • 『Somewhere all the boys are birds』
  • 『Sweetheart Dancers』
  • 『Tank Fairy』
  • 『Thank You for Breaking My Heart』
  • 『Two Suns』
  • 『The Variable』
  • 『Warsha』
  • 『Work』
参考文献
OutfestNEXT
#映画祭
雑談
気に入ったらぜひシェアをお願いします
シネマンドレイク

ライター(まだ雑草)。LGBTQ+で連帯中。その視点で映画やドラマなどの作品の感想を書くことも。得意なテーマは、映画全般、ジェンダー、セクシュアリティ、自然環境、野生動物など。

シネマンドレイクをフォローする