こちらにお任せ!…ドラマシリーズ『ランタンズ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2026年)
シーズン1:HBO Maxを扱うサービスで配信(日本)
原案:クリス・マンディ、デイモン・リンデロフ、トム・キング
動物虐待描写(家畜屠殺) 児童虐待描写 性描写 恋愛描写
らんたんず

『ランタンズ』物語 簡単紹介
『ランタンズ』感想(ネタバレなし)
グリーン・ランタン、ドラマで本格始動
2026年はマーベルが『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』と『アベンジャーズ ドゥームズデイ』の二大映画によって歴代記録を大幅に超える興収を達成するのはほぼ確実の1年となりました。
一方のDCは映画『スーパーガール』を公開するも興収は低調。「DCU(DCユニバース)」が2025年の『スーパーマン』で本格始動したばかりですが、存在感を発揮できていません。まあ、あの2つのマーベル映画と張り合うのはさすがに分が悪いですけどね…。
そんな中、2026年はDCUはドラマシリーズで新しい挑戦をすることになります。
それが本作『ランタンズ』。
DCUのドラマシリーズと言えば、2025年に『ピースメイカー』のシーズン2で凄まじい強引な反則技で開幕したのですけど、今回の『ランタンズ』は完全なスタート時点からDCUと断言できる初のドラマシリーズとなります(詳しくない人からみれば、何のことかさっぱりですよね…)。
タイトルを飾るキャラクターは「グリーン・ランタン」です。「グリーン・ランタン」は個人名ではなく、宇宙の平和を守る独自の執行官組織であり、「グリーン・ランタン」に所属する複数の人物がこれまでコミックで描かれてきました。コンセプトがコミックで初登場したのは1940年。
映画での映像化は、2011年の『グリーン・ランタン』が有名ですが、ヒットせずに、主演の“ライアン・レイノルズ”が『デッドプール2』で渾身の自虐ネタにすることでかろうじて輝く一作になっていました。
しかし、2025年の『スーパーマン』で「グリーン・ランタン」がスクリーンに復活。そちらで描かれたのは「ガイ・ガードナー」という人物でした。
となると、このドラマ『ランタンズ』はそのガイ・ガードナーを主役にしたスピンオフなのかな?と思うのも無理ないですが、そうではなく…。
ドラマ『ランタンズ』では、今作でDCUにて初めて描かれる「グリーン・ランタン」の面々が登場します。
ドラマ『ランタンズ』のショーランナーとなったのは、ドラマ『ウォッチメン』で高い評価を得た“デイモン・リンデロフ”。そのため、かなりダーク&シリアスで独特な作風になっています。これまでの“ジェームズ・ガン”お得意のポップで露悪的なエンターテインメントとはガラっと変わります。“ライアン・レイノルズ”、あなたのおふざけの出番はないよ…。
作品の立ち位置としては、DCのコミックにある「アブソリュート・ユニバース」ラインと呼ばれる、おなじみのヒーローたちの設定を大胆に再構築して描くオルタナティブ(別世界)のバージョンに近いアプローチになっています。
全8話で、1話あたり約50~60分。じっくりお楽しみください。
…とその前に…日本ではやや困った事態が…。
これまで「HBO Max」のオリジナル作品は日本では「U-NEXT」が独占的に取り扱っており、ドラマ『ランタンズ』も「U-NEXT」でのみ配信され始めたのですが、毎週配信を重ねていっている途中で、まさかの「U-NEXTとHBOの契約終了のお知らせ」が…。これからは「HBO Max」は「Hulu」など他サービスで扱う体制に日本では変更となることになりました。結果、『ランタンズ』はあとは最終話だけ!というタイミングで「U-NEXT」から消えることに…。
まあ、しょうがないんですけども、これからもこういう契約の事情で配信先が様変わりすることは起きるだろうな…。
視聴サービスをお探しの際は最新の情報をチェックしてくださいね。
『ランタンズ』を観る前のQ&A
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Q『ランタンズ』を観る前に観たほうがいい作品は?
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A
とくにありません。
鑑賞の案内チェック
| 基本 | 児童が親に虐待的に扱われる展開があるほか、家畜を殺すシーンが一部にあります。 |
| キッズ | 殺人や性行為の描写があります。 |
『ランタンズ』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
1996年、10年前にグリーン・ランタンが地球に降り立ち、地球人はその存在を知ることになりました。彼らは宇宙警察としてこの地球を守ってくれたのでした。
そのグリーン・ランタン所属のハル・ジョーダンがテレビの生放送で素顔を曝け出してインタビューに応じます。空軍の退役軍人で、元テストパイロット。今は特殊な力を持っていますが、「普通の人間だ」と彼は穏やかに語ります。
別の場所、2人の子どもがテレビでそのハルのインタビューを見つめていました。そのうちの1人…ジョン・スチュワートは目が釘付け。
そのとき、父親が帰宅すると、外でジョンを壁の前に立たせ、ジョンはいつものように頭にリンゴを乗せます。父が「怖くないか」と尋ねますが、「いいえ」とジョンは断言。父親がリンゴを銃で撃っても、ジョンは微動だにしませんでした。
2016年。ジョンはハルの弟子になっていました。ハルの運転で車で出発し、ジョンは律儀に受け答え。その道中、ハルはおもむろに自分の指輪を指から抜き、ダッシュボードに置いて、自分は車から飛び出します。車は崖から落下し、ジョンは慌てて指輪を自分の指にはめ…。
能力でかすり傷も負わずに生き延びたジョンはややうんざり顔。タコス屋でチヤホヤされながらくつろいでいるハルと合流します。しかし、何やらメッセージを受け取るとハルはその場で空高く飛び立ってしまいました。
ジョンはネブラスカまで公共交通機関で地道に向かいます。最終的にラッシュビルの町に到着しますが、ハルはこれも訓練の一環だと呑気に主張。
とりあえず現場に話題を戻すと、そこはフットボール場。試合中のフェンスの倒壊があったようですが、起こったのは銃撃事件。ハルはこれは地球外生命体の関与だという線で分析します。当直の保安官ケリー・ケインはそんな予想は信じていません。
しかし、その場の近くにいた怪しい奴を逮捕できました。
ケリーはその逮捕者に会わせてくれません。どうやらこの地域では有力者の一族がいるようです。それがメイコン家で、牧場に向かうと広大な土地に、なぜか民兵が揃っています。ケリーの夫は弁護士のビリー・メイコン。この一族の長であるウィリアム(ウィル)・メイコンは、エイリアンとの戦いに備えているらしいです。
一方、ジョンにバーで言い寄ってきた女性のゾーイの素顔を知ります。彼女はウィルの妻でした。
2026年、冬のネブラスカ。ジョンはひとりで昔に見たあのフットボール場に足を運びます。そこでケリーと再会し、あるものを目にします。それは観客席で凍り付いて座ったまま息絶えているハルで、いつも持ち歩いている指輪はありませんでした…。

ここから『ランタンズ』のネタバレありの感想本文です。
シーズン1:みんな嫌な奴なのは職場のせい?
ドラマ『ランタンズ』は事前にドラマ『トゥルー・ディテクティブ』を意識していると言われていましたが、確かに刑事バディものの風味で(型破りなベテランと生真面目な若手のコンビという定番どおりだし)、とある町で起きた殺人絡みの事件の謎を追いかけることが導入として描かれます。
ただし、そういうジャンルだと思っていると、わざとこちらを翻弄するように物語はどんどんズレていきます。それこそ、刑事ものではよくある、善悪の倫理観を提示する着地を期待すると肩透かしを食らうでしょう。
ドラマ『ランタンズ』は、ハッキリ言えば、登場する奴らはみんな嫌な人間しかでてこず、そこか不完全で壊れている者たちばかりです。最初から大衆に好きになってもらうキャラクターではありません。でも現実なんてそんなものじゃないかというシニカルさがこのキャラたちを最後まで支えます。
まず“カイル・チャンドラー”演じるハル・ジョーダンですが、第1話のメディアに出演する彼は、いかにも私たち大衆が期待するスーパーヒーロー像そのもの。しかし、「グリーン・ランタン」と言えばコレ!というグリーンのコスチューム姿はこれっきり。
作中の大半で映るハルの実態は、粗雑でいい加減です。一応はヒーロー活動はしているのですけども、かろうじてその表面だけ取り繕えているようなもので、残りはプライベートも含めて全てが滅茶苦茶。人間関係も無いに等しく、家では肉食植物くらいしか愛着を持っていない様子。
おそらく「グリーン・ランタン」という職業は、孤立が付きもので、著しくメンタルヘルスに悪いのでしょうね。自暴自棄になるのも無理はないかもしれません。自身の意識をバックアップしてホログラムとして指輪の力で召喚できるのですが(英語圏のファンはあのハルのホログラムを「Halogram」と呼んでいてなんかシュール)、セルフケアできていない心理状態を示しているようでもありました。
これだけだと最低な職場だからこそ嫌な上司になったのかなと思ってしまうのですが、実はハルは彼の父親が祖父と同じように自殺したことが明らかになり、ハルの中でトラウマが子ども時代から継承されていたことも示唆されます。
続いて、“アーロン・ピエール”演じるジョンですが、彼も相当なトラウマも背負わされています。もともとジョンの父がグリーン・ランタンに選ばれるはずだったのに、適格ではないとみなされ、その後悔を晴らすべく、息子のジョンに託されることになってしまいます。
あの両親の子ども時代のジョンに対する態度は非常に加虐的であり、マインドコントロールと言ってもいいレベルなのですが、あれはある種のモデル・マイノリティの苦悩ですよね。黒人のスーパーヒーローとして、『ランタンズ』は他のアメコミ実写作品ではやってきていない、嫌~な表象に手をつけています。
地球で2人目のグリーン・ランタンとなろうとしているジョンは、訓練生やサイドキックとも違う、ハルにとっての鏡合わせの存在。人種も出自も違えど、トラウマに共通点があります。だからこそ嫌いでもあり、無視できない相手でもある…複雑なバディです。
本作は第1話でそのハルの死が2026年の時間軸で明らかになり、この死は単なる死亡事件ではなく、グリーン・ランタンの宿命としての暗い結末を予知しており、ジョンがそれをどう乗り越えられるかという物語でもあります。
それにしてもDCUのグリーン・ランタンは相当に嫌な職場環境ですね。人材管理組織に該当する「ガーディアンズ・オブ・ザ・ユニバース」があんな振る舞いですから。転職したくもなるよ…。
シーズン1:再出発の光
ドラマ『ランタンズ』では、ハルやジョンだけでなく、その他のキャラクターも、昔からのトラウマを半ば強制的に引きずり、その処理に苦しんでいます。
ラッシュビルの保安官である“ケリー・マクドナルド”演じるケリー・ケインもそのひとりです。彼女はゴッサムシティから単身で逃げてきたようで、その姿からどうやら男性絡みの一件で恐怖を経験したようですけど、あのラッシュビルでゾーイと出会い、ゾーイが保護する代わりにその計画に関与することになります。
そして最終話で明かされるとおり、ケリーこそが2026年にハルを射殺した犯人なのですが、意図的な殺人というよりは、トラウマが咄嗟に暴力となって発露したような結果であり、ここでもトラウマの継承が不幸を生んでいます。
一方、ゾーイはマンハンターであり、アンターンら地球外生命体がそのマンハンターに故郷の星を破壊された復讐をするべく乗り込んできています。本作は「グリーン・ランタン」作品まわりの世界観設定をわかりやすく説明してくれないのでやや玄人向けなのですけど、要するにマンハンターはグリーン・ランタン以前のプロトタイプみたいなもので、ガーディアンズ・オブ・ザ・ユニバースの事業失敗例です。やっぱり最低だな、あの職場…。
ラッシュビルではマンハンターは保守的なアメリカらしさを保持しつつ、あの田舎に宇宙ハイテク化を取り入れていて(人道も糞もないような家畜屠殺場が怖い)、これまた嫌なアメリカの姿が確立しているのがなんとも…。
そしてこのゾーイは打ち倒されるも、どうやらケリーの体内にマンハンターの受精卵か何かが勝手に移植され、ケリーが産んだのがノア・メイコン(これもケリーの過去を暗示させるものか)。
ノアは最も若い立場にある「己のトラウマに苦悩する者」です。シネストロを利用しつつマンハンターとしての破壊衝動に従うか、地域でみんなに愛される人間らしい生活を送るか…。でもノアは自分で自分の道を決めます。その選択はジョンも同じで、過去のトラウマを振り切った再スタートに踏み出せて…。
『ランタンズ』は善悪が歪んで曖昧になる世の中でも、過去に縛られずに、人は何者になるかを決定できるという、私たちに再出発の光を示すドラマでした。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
関連作品紹介
以上、『ランタンズ』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)DC Studios
Lanterns (2026) [Japanese Review] 『ランタンズ』考察・評価レビュー
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