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ドラマ『マンダロリアン』感想(ネタバレ)…スター・ウォーズの新たな胎動

マンダロリアン

スター・ウォーズはまだ広がる…ドラマシリーズ『マンダロリアン』の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Mandalorian
製作国:アメリカ(2019年)
シーズン1:2019年にDisney+(ディズニーデラックス)で配信
製作総指揮:ジョン・ファヴロー、デイヴ・フィローニ、キャスリーン・ケネディ ほか

マンダロリアン

マンダロリアン

『マンダロリアン』あらすじ

帝国は崩壊した。銀河には中央政府が存在せず、始まったばかりの新共和国の法も銀河の辺境の開拓星には届かない。人々は自分の身は自分で守るしかなく、無法者たちは誰からも干渉されずに独自のルールで生きていた。そんな時代に賞金稼ぎとして生き、苦闘する一匹狼の凄腕ガンファイター、マンダロリアンは運命的な出会いを果たす。

『マンダロリアン』感想(ネタバレなし)

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全く新しいスター・ウォーズへようこそ

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。

宇宙を再び混沌を巻き起こした新たな戦いは終止符を迎えた。その騒乱は多くの初々しい仲間を増やすことにもなったが、歴戦の戦士たちの間の中には疲労、さらには絶望を感じる者までいた。

どんな歴史にもひとつの区切りはつく。今はこの束の間の平穏で身を休めることが最善といえた。誰もが一時休戦に合意し、武器を下げた。

しかし、映画界最高巨大議会ディズニーはすでに次の一手をうっていた。新たな戦いがもう始まっていたのだった…。


 

2015年に『スター・ウォーズ フォースの覚醒』で始まった新しいシリーズの物語は、いくつかのスピンオフ映画を挟みつつ、2019年に『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』で幕を閉じました。まさにストーリーとしても“スカイウォーカー・サーガ”のひとまずの決着として…。

まあ、その評価についてはもう言及しないでおきましょう。感想は人それぞれ(魔法の言葉)。いいんです。

ただ、ここまで「スター・ウォーズ」過剰摂取になった4年間はなかなかハードだったというのもあり、楽しめたファンも、闇に堕ちた人も、どちらとも「お腹いっぱいです!しばらく食べれません!」と思っているのではないでしょうか。

確かに映画はしばらくは公開される予定もありません。映画は…ね…。

そう、実は知っている人もいるとおり、今度は「スター・ウォーズ」はドラマシリーズが展開されることになります。その第一弾が本作『マンダロリアン』です。

で、この『マンダロリアン』、先に私の感想を一言で言ってしまうと…面白かった…。正直、『フォースの覚醒』に始まる新3部作の失速っぷりに内心ではガッカリしていた私でさえも、この『マンダロリアン』にはワクワクしてしまった…。観る前はそこまで期待を最高潮に高めていたわけでもないのに、観終わった今、すっかりまた「スター・ウォーズっていいな!」ってなってる自分。見事に踊らされている…。

ネタバレなしでこの『マンダロリアン』のどこがいいのか簡単に説明すると、これに尽きると思います。

もう一度「スター・ウォーズ」の面白さとは何なのかを再構築してくれている点です。

本作は「スター・ウォーズ」初心者にもオススメできます。むしろ「スター・ウォーズ」に一回も触れたことがない完全初見の人にさえもここからどうぞと推奨できます。

一方で「スター・ウォーズ」の映画をこれまで全て鑑賞して味わい尽くしてきたコアなマニアの人も大満足できる作りになっています。

なぜこんな両得な立ち位置を実現できたのか。それは『マンダロリアン』が従来のナンバリング・エピソードの作品の物語軸から大きく外れているからです。世界観は一緒ですけど、スカイウォーカーの話でもないし、帝国vs共和国でもない、完全な新規スタート。少なくとも体裁上は、新しい「エピソード1」なのです。だから“またこの話か…”というマンネリ感がありません。これを知っておかないとダメという必要知識もないです。

でも、厳密には新規ではないという…。タイトルからディープなファンはすぐにお気づきのとおり、「マンダロリアン」と呼ばれる存在はすでに深掘りされています。具体的には『クローン・ウォーズ』という2008年から2013年に放映されたTVアニメシリーズで描かれていました。つまり満を持して実写としてこの存在が描かれ、とくに『ジェダイの帰還(エピソード6)』以降に何をしていたのかが語られるわけです。

さらに結構話題になっていましたが「ベイビーヨーダ」というキャラも重要です。本作の魅力をこの存在ひとつでよく表していると思います。ミーハーな観客層には「え~、可愛い~」と見た目のキュートさで惹きつける力があり、一方でマニアからは「ついに謎だらけだったヨーダの種族の秘密が明かされるのか!」と好奇心が全開になる。そんな二方向の需要を見事に満たしています。ちなみにこの「ベイビーヨーダ」はあくまで作品外の愛称で、作品内では「ザ・チャイルド」となっています(名前不明)。

なんか上手く語れていませんが、要するには「そうそうこういう面白さがあるよね、スター・ウォーズって」という別の側面をしっかり見せてくれる。そんなドラマです。

製作陣も豪華です。まず製作総指揮で脚本も手がけるのは『アイアンマン』や超実写版『ライオン・キング』を手がけて成功に導いた名手“ジョン・ファヴロー”です。そして『クローン・ウォーズ』で世界観を拡大し、ファンからもお墨付きをもらっている“デイヴ・フィローニ”も、製作総指揮&監督で中心にいます。

また、他の各話の監督は、『DOPE ドープ!!』の“リック・ファミュイワ”、『The High Cost Of Living』というインディーズ映画で高い評価を受けた“デボラ・チョウ”、『ジュラシック・ワールド』シリーズで女優として活躍していた“ブライス・ダラス・ハワード”も監督業に進出、さらに『ジョジョ・ラビット』でも絶好調の“タイカ・ワイティティ”(本作では俳優としても暴れまくっています)。ずいぶんと多様な監督メンバーであり、これもまた今までにない「スター・ウォーズ」ですね。

とにかく「スター・ウォーズ」は次のステージへ進んでいます。ついてくるのは自由。あなたの好きなタイミングで“ハイパードライブ”して来てください。

オススメ度のチェック

ひとり◎(SWファンは確実に必見)
友人◎(SW初心者とも楽しめる)
恋人◎(誰でも気軽に観やすい)
キッズ◎(子どもも大興奮間違いなし)
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『マンダロリアン』予告動画

スター・ウォーズ実写ドラマ「マンダロリアン」予告編
↓ここからネタバレが含まれます↓

『マンダロリアン』感想(ネタバレあり)

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謎と謎が出会う、無限の可能性

銀河帝国の崩壊から5年後。世界は平和になった…わけではなく、相変わらずの無秩序状態で、統率者のいない惑星では弱肉強食の厳しい社会が散在していました。

本作『マンダロリアン』の登場キャラクターは皆、日陰者ばかりです。雰囲気としては『ローグ・ワン』に近いところがありますが、あれはメインストーリーのいわば(言い方が悪いですけど)“お膳立て”をする人たちでした。しかし、この『マンダロリアン』勢は完全に孤立していて宙に浮いています。

まず主人公であるマンダロリアン、愛称「マンドー」、本名「ディン・ジャリン」

そもそも「マンダロリアンとは何か」という疑問がシーズン1のひとつの解き明かされる謎となっているのですが、彼ら彼女らは種族ではなく単一の“教義”で団結した共同体なのでした。銀河系最強の戦士と謳われ、多くは傭兵や賞金稼ぎとして生活していましたが、作中の時点ではどうやら帝国の手によって迫害され、地下に追いやられてしまったようです。もともと戦いのスペシャリストとして有名で、かつては権力者側の下についたり、それこそトルーパーの原点だったりしました(だからヘルメットが似ている)。そのへんの過去話は『クローン・ウォーズ』で一部が語られています。

このマンダロリアンの存在はすごく今の時代にマッチしているなと思います。種族(血縁)ではなく、教義(砕けた言い方をすれば主義とか趣味とか)でまとまるというのは、現代社会ではありふれた在り方になっていますから。

で、そのマンダロリアンのひとりである本作の主人公マンドー。非常に個性が見えにくい存在です。出自もあやふやで、顔すら頑なに見せず、口数も少ない。でも信念だけは持っている

この主人公属性、あれですね、『マッドマックス 怒りのデスロード』の主人公とほぼ同じです。参考にしたのかな。

そんなマンドーが一応の居場所であった地下コミュニティさえも失い、新しいアイデンティティを求めるきっかけとなるのが「ザ・チャイルド」との出会い

このあまりにも接点がない、異なりすぎる二者の邂逅というのが本作の肝。雰囲気は『子連れ狼』っぽくもあり、シーズン1第1話のラストのようにもろに『E.T.』的な未知の生物との遭遇というSFっぽさもあり…。そういえばグリーフ・カルガを演じるのが“カール・ウェザース”なのは、やっぱり『未知との遭遇』や『プレデター』繋がりなのかな。

とにかく謎めいた存在が別の謎めいた存在に出会い、観客としては「うわ~、一体何が起こるのだろう…」と無性にセンス・オブ・ワンダーな気持ちを煽られ、無限の新たな可能性を期待したくなります。これはもう『フォースの覚醒』以上の興奮でした。

これまでの「スター・ウォーズ」はどうしても「どうせ正しいフォース(共和国・ジェダイ)が勝つんでしょ」という予定調和があり、そこから抜け出せませんでしたから。

それに対して明らかに既存の「スター・ウォーズ」要素と慣れ合わない(ドロイド嫌い、帝国も憎い、ジェダイも好かない)マンドーが、フォースの産声をもたらすチャイルドと巡り会って、この銀河に何をもたらすのか。単純に第3勢力として存在感を確固たるものにするのか、それとも世界観の常識を打ち破ることをやってのけるのか…。

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いつものSW、新しいSW

決定的な新しさをもたらす予感がする一方で、この『マンダロリアン』は「スター・ウォーズ」らしさを引き継ぎつつの新バージョンを見せることにも成功しているのもポイント。

全体の作品のテイストは宇宙西部劇(とくにマカロニウェスタン)と言うべき感じであり、マンドーの性格もあって、すごくストイックな作りです。セルジオ・レオーネの「ドル箱三部作」の影響をガンガンに感じます。

個人的に褒めたくなるのが、結構残酷な殺害がポンポン挟まれること。旧三部作の「スター・ウォーズ」はそういうところがあったのですが(カーボンフリーズとかルークの腕切断とかね)、だんだんと全年齢に配慮しているのかフェードアウトしていたんですよね。それがこの『マンダロリアン』ではさすがに血とか内臓とかは見せないまでも、シャッターで体真っ二つ、火炎放射で焼き殺す、罪なき人も殺す…などなどやたら殺伐としており、主要キャラに見えたクイールさえも無残に殺され捨てられるショッキングシーンもシーズン1第7話にあったりと、油断できない怖さがあります。

でも同時にシュールなギャグシーンも間に挟まれ、和ませてくれます。チャイルドの愛嬌はほんわかしますし(カエル丸呑みのえげつなさも含め)、あとはシーズン1の華はやっぱり「IG-11」。抹殺脳だったアイツもまさかの育児に目覚め(でも邪魔者は殺す)、シーズン第1話の自爆ギャグが最終話の見せ場へと接続する綺麗なオチ。マンドーとは似た者同士であり、なんかマンドーの未来もこうなるのかと少し不安にさせます。

IG-11を演じるのは“タイカ・ワイティティ”であり、“タイカ・ワイティティ”がシーズン1最終話を監督し、すごく作家性が出まくっていました。私としては最終話のあの冒頭のトルーパー二人のあまりにもくだらない会話が好き(“タイカ・ワイティティ”っぽい)。

ユーモアセンスは「スター・ウォーズ」史上ベストかなと思います。また、これはジョージ・ルーカスの悪癖だと思ってるのですが、臭いロマンスがないのも良かった…。

イマドキだなと思うのが、本作の流れがとてもTVゲームっぽいということ。マンドーが任務を達成し、ベスカー鋼の報酬を得て、それをもとに新しいアーマーを強化し、新武器を手に入れてどんどん強くなっていく。この過程が繰り返される本作はまさにTVゲームでレベルアップしていくゲームキャラそのものでしたね。「スター・ウォーズ」は最近はTVゲームもありましたし、最終的にはジェットパックでTIEファイターを撃墜するという、TVゲームでもなかなかできない荒業をやってのける。これはTVゲームからの新規ファンも大興奮だったでしょう。

あと「スター・ウォーズ」に全然興味ない人でも驚くのが、まさかの“ヴェルナー・ヘルツォーク”出演。チャイルドの捕獲を頼む依頼主役で現れ、意表をつくキャスティング。モフ・ギデオン役の“ジャンカルロ・エスポジート”といい、悪役勢が濃すぎる…。

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マニア歓喜のあれやこれ

『マンダロリアン』はマニアが喜べる要素も盛りだくさん。それもきっとナンバリング・エピソードでは詳しく掘り下げられないであろう、若干の脇にいる存在たちに光があたる。こんなの嬉しいに決まっているじゃないですか…。

シーズン1の第2話では、ジャワとの対決&友好。こいつらどこにでもいるのかなという感じと、なんか親近感の沸く愛らしさ(そんなにその卵、食べたかったの?)、そしてサンドクローラーは意外にタフ。こんなジャワが見れるなんて…。

第4話では、普通の人たちにとって「AT-ST」は滅茶苦茶強いということをあらためて思い起こさせるものでした(ジェダイにとっては雑魚扱いでしたからね)。しっかり『七人の侍』オマージュになっているのは日本人としても嬉しい部分。

第5話での惑星タトゥイーンタスケンレイダーの登場、第6話での新共和国のXウィングの扱われ方といい、これまでのシリーズのお約束が冗談半分でネタにされている感じもいいですね。

そしてやはりファンが一番気になるのは、最終話のラスト、マンドーに撃墜されたTIEファイターから這い出てきたモフ・ギデオンが手に持つ武器。映画しか見ていない人にはわからないのですが、これは「ダークセイバー」と呼ばれるアイテムで、古代のライトセイバーと言われ、とあるマンダロリアンたちが代々受け継いできたものでしたが、それがなぜ帝国の将校に渡ったのか。

まだまだプロローグ。ワクワクが止まりません。

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シーズン2:世界観の拡大に成功

※シーズン2に関する以下の内容は2020年12月20日に追記されたものです。

ついに始まったシーズン2。

基本的にはシーズン2のノリを継承。さらにパワーアップさせたカタチ。しかし、シーズン2で明確に打ち出してきているのは世界観の拡大です。これ、世界観の拡張に完全に成功しているパターンですね。ジョン・ファヴローとデイヴ・フィローニに任せておけば「スター・ウォーズ」はしばらく安泰だなと確信しました。

何が気楽って風呂敷を畳む必要なんてないってことです。新世代を描く3部作はどうしても風呂敷を畳まねばというプレッシャーと、オリジナルへの敬意を気にしすぎたところがありました。でもこの『マンダロリアン』はそこと上手く付き合えています。

まず「アソーカ・タノ」「ボバ・フェット」という2大人気キャラクターを堂々と登場させ、このキャラを主軸にした新しいドラマシリーズへの架け橋になります。そして最終話のサプライズ。まさかまさかの「ルーク・スカイウォーカー」の登場。こんな正面突破で突っ切るなんて思ってもみなかったです。

冷静に考えるとそいつに一番ザ・チャイルド(グローグーという名前が判明)を預けてはいけないと思うのですが…(ほら、カイロ・レンを闇落ちさせるしね…)。でもグローグーがダークサイドに堕ちて新しい悪役になるのでは?というファンの推測もありますし(思わせぶりなシーンがシーズン2は多いです)、一見すると平和な着地に見えて実はますます不安と期待を持たせる最高の閉幕なんですね。

話自体もシンプルながら「スタ-・ウォーズ」の物語の伝統を揺らがせるものです。マンドーは良き父になる道を選んでいるように見えます(父として失敗したダースベイダーやハンソロと対になるのも興味深い)。しかも「顔を見せる」というタブーまで犯して。それは大切な者のためなら伝統を見直してもいいというスタンスであり、それはまさしくこの「スター・ウォーズ」というコンテンツに対する問いかけにもなっています。なんか意気地になっている古株ファンに「伝統に囚われないでね」と語りかけるみたいじゃないですか。

また、マスキュリニティ(男らしさ)を見直すという話だとも解釈できます。アーマーを脱ぎ、素の感情を見せる。マンドーは男性としても新しい一歩を歩み始めたのかな。

今後はダークセーバーの継承者になってしまったマンドーを中心に、マンダロリアン復活をめぐる当事者同士の騒乱が起きていく気配です。

シーズン3も鋭意製作中で、さらに他の作品も続発していくことが確定済み。『マンダロリアン』、いよいよ「スター・ウォーズ」史に残る凄い作品の起点になり始めました。

『マンダロリアン』
ROTTEN TOMATOES
S1: Tomatometer 93% Audience 92%
S2: Tomatometer 96% Audience 85%
IMDb
8.8 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 8/10 ★★★★★★★★
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関連作品紹介

「スター・ウォーズ」の関連作品の感想記事の一覧です。

・『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』

・『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』

・『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』

・『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』

作品ポスター・画像 (C)Disney

以上、『マンダロリアン』の感想でした。