2024年の映画&ドラマをLGBTQの視点で振り返る
お疲れ様でした、2024年!
2024年も終了です。LGBTQを題材にした映画やドラマ、皆さんはどれくらい観ましたか? 絶望に抵抗する糧となる作品に出会えましたか?
この記事では2024年に公開・配信されたLGBTQ(セクシュアル・マイノリティ)のキャラクターが登場する映画やドラマをピックアップしながら、私なりの視点ではありますが、この1年を振り返りたいと思います。
もちろん全てのLGBTQ作品を網羅はできませんので、そこはご了承ください。基本は日本での公開・配信を前提にして整理しています。
「こんな作品がそう言えばあったな」「この作品は観てない気がする」とか、そんな感じで気軽に読んでみてください。
なお、前年となる2023年の記事は以下のとおりです。
ゲイ&レズビアン(同性愛)
2024年も同性愛者のキャラクターが登場する作品はいくつもありましたが、お気に入りの作品を見つけられたでしょうか。
ゲイ表象であれば、ドラマでは『イングリッシュ・ティーチャー』、『ブラック・ダヴ』、『デッドボーイ探偵社』、『エリック』、『アガサ・オール・アロング』、『ミリー・ブラック キングストン失踪者捜査』、『ドクター・フー(15代目ドクター)』、『チャッキー』(シーズン3)、『アボット・エレメンタリー』(シーズン3)、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(シーズン2)、『マネー ~彼女が手に入れたもの~』(シーズン2)、『シュリンキング 悩めるセラピスト』(シーズン2)、『サムバディ・サムウェア』(シーズン3)など。
映画では『異人たち』、『ため息に乾杯』、『アメリカン・フィクション』、『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』、『セキュリティ・チェック』、『俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー』、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』など。
レズビアン表象であれば、ドラマでは『踊る!ワック・ガールズ』、『Girls5eva/ガールズ5エバー』(シーズン3)、『プリティ・リトル・ライアーズ SUMMER SCHOOL』(シーズン2)、『セックスライフ・オブ・カレッジガール』(シーズン3)、『絶叫パンクス レディパーツ!』(シーズン2)、『ヴィジル2 謀略の軍事ドローン』、『照明店の客人たち』、『ドクター・フー(15代目ドクター)』など。
『アガサ・オール・アロング』や『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン2)など話題の大作ドラマでレズビアンの主役キャラがキス・シーンも含めて堂々と描かれたのは嬉しかったです。
映画では『ドライブアウェイ・ドールズ』のような骨の髄までレズビアンなものもあれば、『ファンシー・ダンス』、『Rez Ball/レズ・ボール』、『ノーヴィス』、『HOW TO BLOW UP』、『ゴンドラ』、『タイムカット』、『プロム・デート』のように主人公が該当するもの、『ミーン・ガールズ』、『HOW TO HAVE SEX』、『ダム・マネー ウォール街を狙え!』、『非常に残念なオトコ』、『恋するプリテンダー』、『セーヌ川の水面の下に』のようにサイドのキャラクターが該当するものまで、いろいろ。
同性愛者としての実在の人物を主題にした作品も無視できません。今年は『チャイコフスキーの妻』などの映画もありました。一方でドラマ『モンスターズ: メネンデス兄弟の物語』といった物議を醸す作品も…。
迫害の歴史を描くものとしては、ラベンダー狩りの陰惨さを描いたドラマ『フェロー・トラベラーズ』から、クィアなコメディアンの健闘を忘れないドキュメンタリー『アウトスタンディング コメディ・レボリューション』など。ドキュメンタリー『アレクサンドロス大王: 神が生まれし時』に対して「俺たちの知っている偉人はゲイじゃない!」といくらホモフォビアな人が喚いても歴史は覆らないのです。
日本の作品だと『ぼくのお日さま』のような映画から、今年はNHKは朝ドラの『虎に翼』で期待に応えてくれました。『チェイサーゲームW』、『作りたい女と食べたい女』(シーズン2)、 『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』のような作品も充実していたほか、ドラマ『未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~』のようなBLにとどまらず、現実にいるゲイ当事者に特化した恋愛リアリティ番組の『ボーイフレンド』は世界のLGBTQコミュニティからも注目を集めました。『94歳のゲイ』といった実際の当事者を軸に歴史を辿るものも。
アニメだと、LGBTQキャラクターが大暴れしていた『ハズビン・ホテルへようこそ』が日本のファンも大勢生み出し、『アーケイン』(シーズン2)がクールなレズビアンをぶちかましてくれました。
Bi+(バイセクシュアル&パンセクシュアル等)
2024年の「Bi+」(バイセクシュアルやパンセクシュアルなどを包括した表現)の表象はやっぱり例年どおりの少なめですが、目立たないからといって軽視はできません(上記の「ゲイ&レズビアン」の節で紹介した作品にもBi+のキャラクターが含まれている可能性があるのでご注意ください)。
ドラマでは物語の最高潮を迎えた『HEARTSTOPPER ハートストッパー』(シーズン3)を筆頭に、『私のトナカイちゃん』のような賞レースにあがる作品から、『ブリジャートン家』(シーズン3)、『ザ・ボーイズ』(シーズン4)、『ハートブレイク・ハイ』(シーズン2)、『9-1-1: LA救命最前線』(シーズン7)など多彩なジャンルが揃っていました。
映画では『チャレンジャーズ』、『落下の解剖学』、『カラーパープル』、『哀れなるものたち』、『憐れみの3章』など。いずれも賞レース系の作品が目立ちます。『マイ・オールド・アス 2人のワタシ』のようなフレッシュなクィア青春映画も健在。
アニメ『ヴォクス・マキナの伝説』(シーズン3)などもありました。
残念なのは大衆向けの大作映画。『デッドプール&ウルヴァリン』の主人公はやりたい放題な言動のわりにはセクシュアリティの描写は控えめで(Out)、これでは「この映画はポリコレじゃないから良い作品だ!」と厚顔無恥に言い放つ観客には、デッドプールがパンセクシュアルだと伝わりません。アニメの『X-MEN 97』もささやかなレプリゼンテーション(いわゆる「blink-and-you’ll-miss-it queer」、“まばたきすると見逃してしまう程度のクィア”と批判されるタイプの表象)ではありました。
もっと酷かったのは『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』でバイセクシュアル・イレイジャー(両性愛の抹消)という罪を犯し、映画の興収よりも気分が落ち込んでガッカリした人はいたでしょう。アニメ『バットマン マントの戦士』は堂々と表現していたのですが…。
トランスジェンダー&ノンバイナリー
トランスジェンダーの表象は常に時代を映す鏡です。それは2024年も同じでした。
ジェンダー・アイデンティティを頑なに否定する世界に困惑する子どもを描いた『ミツバチと私』、日常でさまざまなかたちで生きているトランス当事者を描いたドラマ『ラ・ヴィータ: 人生の見つけ方』、『私のトナカイちゃん』、『ミリー・ブラック キングストン失踪者捜査』、『サムバディ・サムウェア』(シーズン3)、ドキュメンタリー『ココモ・シティ』など、心に迫るリアリティのある表象もありました。
差別の現実を真正面から描いて抗う姿勢を示したドラマ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』も忘れられません。『ザ・ボーイズ』(シーズン4)にいたっては政治家がトランスフォビアな陰謀論を武器化して駆使する現状を直球で風刺してみせました。
そんな中、『ウィル&ハーパー』は、センセーショナルな”問題”扱いされる「トランスジェンダー」ではなく、身近な友人としての「トランスジェンダー」に立ち返り、アライになることが人生をより豊かにするという温かいメッセージを送ってくれました。
ドラマ『KAOS/カオス』のようなファンタジー/SFのジャンルでも現実を投影しながらトランス表象がありました。
日本では『虎に翼』や『52ヘルツのクジラたち』などの作品が印象的です。
アニメだと『先輩はおとこのこ』が、青春の中で自分のジェンダー・アイデンティティにゆっくり答えを見つける10代の姿を丁寧に描き出していました。
『イングリッシュ・ティーチャー』では、ドラァグクイーンを主軸にした男が女らしさをまとうことの偏見を吹き飛ばす気持ちいいエピソードもありました。
一方、ノンバイナリー表象ですが、こちらもドラマ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』が、演じる俳優を尊重した表象をみせてくれて…。
また、トランスジェンダーやノンバイナリーといった英語圏の言葉では片付けられない、世界各地のジェンダー・ダイバースな文化に紐づく表象も重要でした。インドの『モンキーマン』、パキスタンの『ジョイランド わたしの願い』、米領サモアの『ネクスト・ゴール・ウィンズ』などです。
トランスジェンダー/ノンバイナリー当事者の俳優の活躍も今年もいくつかあり、応援しがいがありました(演じているキャラがトランスやノンバイナリーかどうかはわかりません)。
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の“エマ・ダーシー”、『スター・ウォーズ アコライト』の“アマンドラ・ステンバーグ”、『デッドプール&ウルヴァリン』の“エマ・コリン”、『マネー ~彼女が手に入れたもの~』の“MJ・ロドリゲス”、『タイム・バンディット』の“シャーリン・イー”、『アンブレラ・アカデミー』の“エリオット・ペイジ”などなど。これらの俳優の中には、残念ながらバッシングに晒される当事者もいるのですが、支えていきたいものです。
『イカゲーム』(シーズン2)だって…? ああ、シスジェンダー男優がトランス女性を演じたあの時代錯誤なやつ? それは…もう論外です…。
トランスジェンダーやノンバイナリーとは違いますが、インターセックスの表象としては、インターセックスの入門ドキュメンタリーといえる『エブリボディ』は必見でした。
アセクシュアル&アロマンティック
他者に性的に惹かれない「アセクシュアル(アセクシャル)」、他者に恋愛的に惹かれない「アロマンティック」。これらアセクシュアル/アロマンティックの表象は常に枯渇していますが、2024年も供給不足です。令和のコメ騒動どころじゃないですよ、こちとら毎年、AセクAロマ騒動ですよ…。
そんな空腹の私たちに特大の山盛りご飯を届けてくれた『HEARTSTOPPER ハートストッパー』(シーズン3)。恋愛をしない人物でも青春作品に胸を張って仲間入りできるのです。
『ハートブレイクハイ』(シーズン2)でも引き続いて明示はされていないですが、アセクシュアルと思われるキャラクターが描かれていました。
アニメだと、『ハズビン・ホテルへようこそ』にアセクシュアルのキャラクターが登場しました。
全体を振り返って
岐路に立つハリウッドのLGBTQ表象
ざっくりとですが、日本の側から見た2024年のLGBTQ作品を一気に振り返りましたが、どうだったでしょうか。
個人的な主観を言えば、ハリウッドのLGBTQ表象はここ数年のところ、停滞状態にあるように思います。
「GLAAD」の2023年のレポートでも言及しましたが、2022年~2024年はLGBTQ表象は改善し続けている…とは言い難いです。
もちろん傑出した良作も稀にはあるのですが、作品数も描かれ方もそこまで好転し続けてはいません。結局は映像産業というものに振り回されています。
さらに2024年は現状に追い打ちをかけるように暗雲がたちこめる事態が起きました。“ドナルド・トランプ”が2度目の大統領の座に返り咲いたことです。
公然と反LGBTQの大統領が同じく反LGBTQの無数の仲間たちとともに政権を支配するだけでもポストアポカリプスに直面する気分になりますが、LGBTQ表象を委縮させる可能性は非常に大きいです。“ドナルド・トランプ”勢力は「LGBTQはイデオロギーであり、作品に押し付けられている」と持論を主張しています。
残念ながらご覧のとおりすでにLGBTQ表象は委縮気味なのですけど、ここからさらに悪化するとなると…。
最も最初に表現の抑圧が進むと思われるのは大衆作品、または子ども向けのアニメシリーズです。
『ブルーイ』のように、2人の母を持つモブキャラの子がでてくるだけ…というささやかな表象さえも奪われるかもしれません。
2024年はキッズ向けのアニメでとても悲しい出来事があり、その舞台となったが『ムーンガール&デビル・ダイナソー』でした。トランスジェンダーのキャラクターが中心で登場してトランス差別に抗う姿を描くエピソードのリリース停止が内部告発され、保守派への“配慮”がもう進行していることが露呈しました。
さらに2025年に配信予定のピクサーのアニメシリーズ『Win or Lose』でもトランスジェンダーのキャラクターの設定が消去されたという悲報が続いて…(Them)。
2024年の大ヒット作『インサイド・ヘッド2』においても、元ピクサーのスタッフが上層部から主人公がゲイにみえる要素を無くすように圧力があったと告発しており、対象はトランスジェンダーに限らず、LGBTQ全般に及んでいることが示唆されています。
映像作品ではないですが、いくつかの日本の漫画も「有害」とみなされて図書館から削除が実行される州も現れています(The Mary Sue)。LGBTQを含めた「宗教右派にとって気に入らない性表現」が「ポルノ(猥褻物)」として片っ端から規制されていく将来がすぐそこに迫っています。
ヘイズ・コードの復活となってしまうのか。不安しかありません。
日本は二極化で当事者が一喜一憂
不穏なアメリカとは対照的に、日本では2024年は曇り空から日光が差し込むような雰囲気がでてきた気がします。
同性愛やトランスジェンダーの表象が少しずつ結実し、社会に当然いる存在として作品に盛り込まれることが増え始めたように思います。これはジェンダー&セクシュアリティ考証のような専門家を交えた作品作りが浸透し始めていることの成果なのかな。
『黄昏アウトフォーカス』のようなアニメ化されたBLでも、現実の日本の同性愛者の実情を考慮したストーリーテリングがあったり、同性愛をただただ消費しないようにしようという作り手の姿勢が窺えるものもみられます。
『ギャップ・ザ・シリーズ』などのGL(女性同士の愛情や友情)を扱うブランドの「aLiL」や、BLの「bloome+」など、特化型のサービスも登場し始めました。
そこで考えたいのは、作品制作において専門家による考証は大切ですが、広報にも教育は必須だろうということ。「残念な宣伝」問題は日本でたびたびLGBTQコミュニティを失望させますからね(明らかに観客を遠ざけている)。
良い作品もある一方で、悪い作品もある…そんな二極化も肌で感じます。作品名を挙げる気にもなりませんが、作り手側のLGBTQに関するリテラシーがもろにこの差を生んでいます。
LGBTQ表象を日本の歴史の中に盛り込んで映し出した朝ドラ『虎に翼』への苛烈なバッシングをみていると、日本国内の反LGBTQ勢力もアメリカとそう変わりません。油断はできません。
2024年は日本社会では大きく2つの法制度的な変化の流れが社会に突きつけられました。
ひとつは「同性婚」。相次ぐ違憲判決。もう待ったなしの状況です。本人が幸せなら結婚なんていらないとかいう話ではありません。要るか要らないかではなく、人権の問題です。
2つ目は「性別変更の要件」。2024年は日本でも「性同一性障害」が「性別不合」へと診断名が変わり、精神疾患という扱いではなくなり、戸籍上における性別変更における法律の在り方も大きく変わるべきだと司法に断言された転換点の1年でした。
しかし、トランスジェンダーへの差別はなおも苛烈に悪化しています。『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』のような陰謀論系の本や、SNSで血気盛んに蠢くトランスフォビアなヘイトコメント拡散者などが日本でも偏見を扇動しました。アウティングを受けたり、その被害のせいでアイデンティティを公表せざるを得なくなった人もいます。
同性婚にせよ、性別変更にせよ、「国民の意見は分かれているので…」「わが国の家族のあり方の根幹に関わる問題で極めて慎重な検討を要する」という同じ言い訳をいつまでも繰り返す保守派の政治家のせいでまだ法律は改善していません。
2024年は11月20日のトランスジェンダー追悼の日に合わせて、日本の映画監督有志の人たちが「トランスジェンダーを含むLGBTQ+差別に反対する声明」を発表しました(公式)。同時に日本の小説家の有志の人たちも同様の声明を発表してもいました。
また、『52ヘルツのクジラたち』に主演した俳優の“杉咲花”は、その年に最も活躍した各界の著名人を表彰する「GQMENOFTHEYEAR2024」のイベントステージにて表彰された際に、LGBTQに対する差別に反対していると明言し、「性的マイノリティの方々に連帯の気持ちを示したい」と語った姿も印象的でした(BIGLOBEニュース)。
このような業界内部からの積極的な動きは日本ではこれまで目立っていませんでした。
2024年のこの変化は良い兆候だと思います。もちろんそれは、今までずっと尽力してきた当事者、活動家、研究者、支援団体、人権団体などの努力の積み重ねの結果です。連帯が増せば増すほど強くなれます。反“差別”はネット言論バトルではなく、人権を前提にした連帯によって成り立つものですから。
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」
これは流行でもなく、思想でもない。これこそこの国の根幹にあるものですよね?
2025年への期待と注目作
最後は2025年の期待と注目のLGBTQ作品(映画&ドラマ)を一部紹介して、連帯の合間のエネルギー補給ポイントをチェックしておきましょう。
すでに日本で公開予定のクィアな映画はいくつかあります。
おバカなゲイが痛快に暴れる『ディックス!! ザ・ミュージカル』(2025年1月17日)、これもゲイ映画と言っていいのか若干違う気もする『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』(1月17日)、老年の女性同士のカップルの死別が描かれる『アンデッド 愛しき者の不在』(1月17日)…。また、“ジョナサン・ベイリー”がバイセクシュアルな魅力を振りまいている『ウィキッド ふたりの魔女』(3月7日)は、かつての映画『オズの魔法使』がLGBTQのアイコンなので特別感がありますが…。性別適合手術を求める人物を描く『その花は夜に咲く』(3月21日)も控えています。あと、『教皇選挙』(3月20日)…詳しくは書きませんけど、クィア映画をお探しの人はこの映画を要チェック…!
空想的なクィアのニューヨークへ誘うドラマ『ファンタスマス(Fantasmas)』は1月にU-NEXTで配信予定です。ドラマ『セヴェランス』のシーズン2もAppleTV+で新年すぐに始まります。
日本未公開作はまだまだいくらでもあります。
個人的には批評家から高い評価を受けているクィア・ホラー映画の『I Saw the TV Glow』は見逃せないなと思います。
“クリステン・スチュアート”主演の『Love Lies Bleeding』、“ルカ・グァダニーノ”監督作で”ダニエル・クレイグ”主演の『Queer』、トランスジェンダー・ミュージカルの『Emilia Pérez』など話題作も日本公開が待ち遠しいです。
養子を迎えようとするゲイ・カップルを描くBBCのドラマ『Lost Boys and Fairies』、ドラァグクイーンに恋をしたシングルファーザーを描くイギリス映画『Unicorns』、売れないミュージシャンが男女関係なく性関係を模索するコメディ映画『Cora Bora』、ノンバイナリーであることをカミングアウトした後に両親の家から追い出された高校生を描く映画『I Wish You All the Best』、ドラァグエンターテイナーの主人公のパレスチナ人の家族との関係も描かれる『Layla』、北マケドニアの家族を描く『Housekeeping for Beginners』、いとこのカレシに秘かに恋する少年を描く青春映画『Big Boys』、ジェンダークィアな牧場主の世話になる若者を描く映画『National Anthem』、セクシュアリティの移ろいを描く半自伝的な映画『In the Summers』、ゲイの“フリオ・トーレス”が監督した半自伝映画『Problemista』、アセクシュアルの主人公のロマンスを描いたリトアニア映画『Slow』、ジェンダー・アイデンティティを尊重しつつ大企業の知的財産権を遠慮なく冒涜する『The People’s Joker』、クィアのプラスサイズを高らかに誇る『Empire Waist』、チアリーディングの厳しい世界を描く『Backspot』、インターセックスのセックスワーカーを描く『Ponyboi』などなど、日本未公開の新作の小規模作品はいくらでもあります。頑張ってください、配給さん…。
LGBTQ本の検閲に立ち向かう若者の姿を追ったドキュメンタリー『Banned Together』、レズビアンの出会いの場となってきたレスボス島の実情をまとめたドキュメンタリー『Lesvia』、あのエイブラハム・リンカーンが男性と関係を持っていた歴史を整理するドキュメンタリー『Lover of Men: The Untold History of Abraham Lincoln』など、LGBTQドキュメンタリーも多数。異性愛規範も性別二元論もひっくり返すクィアな野生動物のワイルドな姿を届ける自然ドキュメンタリー『Queer Planet』もぜひ!
まだ完全未公開の作品だと、あのレズビアン・ホラーの新作である『Fear Street: Prom Queen』はサフィックなパワーをまた見せてくれるでしょうか。”ハンター・シェイファー”と“ミカエラ・コール”という2人のクィア俳優が共演する“デヴィッド・ロウリー”監督作の映画『Mother Mary』も個人的には気になってます。“ミカエラ・コール”は“アン・ハサウェイ”と恋人同士の役らしいです。
“ラバーン・コックス”主演でトランスジェンダー主人公のドラマ『Clean Slate』もくるらしいですよ。
2025年の新作大作映画は…全然信用できないけど、大丈夫か…。
『ナイブズ・アウト』シリーズ最新作の『Wake Up Dead Man: A Knives Out Mystery』はゲイ主人公なのは確定ですけどもね(ゲイライフな描写ももうちょっと増やして)。
2025年もLGBTQ映画やドラマをたくさん観れることを願っています。レプリゼンテーションを紹介し合ったり、感想を語り合ったり、批判し合ったり、それも大切なことです。
HAPPY NEW QUEER !
オマケ
✔2024年に出版されたLGBTQに関する書籍のオススメ
- 『トランスジェンダーQ&A: 素朴な疑問が浮かんだら』(青弓社)
周司あきら (著), 高井ゆと里 (著) - 『トランスジェンダーと性別変更: これまでとこれから』(岩波書店)
高井ゆと里 (著) - 『同性婚法制化のためのQ&A』(岩波書店)
「結婚の自由をすべての人に」訴訟全国弁護団連絡会 (著) - 『いちばんやさしいアロマンティックやアセクシュアルのこと』(明石書店)
三宅大二郎 (著), 今徳はる香 (著), 神林麻衣 (著), 中村健 (著)