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『ズーランダー No.2』感想(ネタバレ)…15年ぶりに会った友人は残念になっていた

ズーランダー No2

15年ぶりに会った友人は残念になっていた…映画『ズーランダー No.2』(ズーランダー2)の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Zoolander 2
製作国:アメリカ(2016年)
日本では劇場未公開:2016年にDVDスルー
監督:ベン・スティラー
ズーランダー No.2

ずーらんだー なんばーつー
ズーランダー No2

『ズーランダー No.2』物語 簡単紹介

世界的なセレブばかりを狙った連続殺人事件が発生。有名さを振りかざすスーパースターでもパパラッチには強いが、シリアルキラーへの防御力はゼロだった。捜査に乗り出したインターポールの女性捜査官バレンティーナは、かつてスーパーモデルとして活躍したデレクとハンセルに協力を依頼する。あの人物なら何かあり得ない突破口を見い出すかもしれない。そんな彼らの前に、悪の首謀者ムガトゥとその手下が姿を現し…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『ズーランダー No.2』の感想です。

『ズーランダー No.2』感想(ネタバレなし)

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ゴールデンラズベリー賞では「No.1」

先日、米アカデミー賞のノミネート作品が発表されました。割と世間の事前の予想どおりのラインナップでしたね。もうすでに『ラ・ラ・ランド』が賞を総なめにする雰囲気がムンムン漂っています…。

そして、良い映画があれば、ダメな映画もある…。そんなクソ映画をみんなで決めるゴールデンラズベリー賞のノミネート作品が米アカデミー賞の前にすでに公開済みです。米アカデミー賞に日本関連のあの作品が選ばれず悔しいっ!なんて気持ちもあるでしょうが、こっちのゴールデンラズベリー賞に選ばれた日本関連作品がないのは良かったなと安心しようじゃありませんか…。

では、具体的にどんな作品が2016年のゴールデンラズベリー賞にノミネートされたかというと、このブログでも感想を書いた作品も多数、各部門にノミネートされています。『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』、『インデペンデンス・デイ リサージェンス』、『エンド・オブ・キングダム』、『キング・オブ・エジプト』、『スーサイド・スクワッド』、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影』…。なんか作品タイトルを並べるとすごく楽しそうなのに、どうしてこうなったんだ…。

一応、言っておきますけど、ゴールデンラズベリー賞にノミネートされたからといって、「駄作だ!」「クソだ!」「見る価値無し」なんて言葉をぶつけられることも目立ちますけど、あれですからね、一種の罵倒という名の愛情ですからね(大半は)。世の中には駄作という噂が流れる前に率先して自分の身を捧げて、その腐った沼地に入り込むのが大好きな冒険家がいるのです。そういうクソ映画好きのクソ観客によってこれらのクソっぷりが解析されていくのです。逆にこれくらいのレベルにまで到達しないと、安易に映画を駄作呼ばわりしちゃダメですから。私も頑張って最底辺クラスの作品を見ていかないとダメだなぁ…(謎の戒め)。

ということで、これです。そんななかゴールデンラズベリー賞の最多で9つのノミネートを達成したのが本作『ズーランダー No.2』です。

この作品は、2001年のアメリカ同時多発テロから2週間後というなんともバットタイミングに公開されたコメディ映画『ズーランダー』の続編。『ズーランダー』というのは、“ベン・スティラー”監督・製作・主演でお送りする、ファッションモデル界のトップスターである「ズーランダー」がなんかあれこれしながら頑張る…そんな話(雑すぎるあらすじ)。

その2001年の作品がなぜか15年後の今になって続編ですよ。アメリカでは2016年2月に公開され、日本では劇場公開されずにDVDスルーです(まあ、そうなるよね)。

なぜ続編を作ろうと思ったのかさっぱりですが、前作のファンだったら続編と聞くとちょっと楽しみになるもの。しかし、結果は察しのとおり。ファンでさえ「これはない…」みたいな反応が散見される始末です。なので、決しておすすめです!とは言えない…。

「じゃあ、なんで紹介するんだ」という感じですが、さっきも言ったように底辺を知るべしという己への戒めのほかに、実は本作、Amazonプライムビデオで配信中なんですね。Amazonプライム会員の人はすぐ観れるし、会員じゃない人も無料お試し期間を利用すればいいので、つまりタダで観れる。タダで観賞できるなら、紹介しても罪悪感はないかなと思った。それだけです(投げやり)。

本作の見どころは豪華キャスト陣。というかそれしかない。ハリウッド俳優ってこういうお仕事もしなきゃいけないんだなという気持ちになります。凄いですよ、プロって大変なんだなぁ…。

名作・傑作を食べ飽きた人は、この味の全くしない映画を嗜むのもいい…ということにしておきましょう。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『ズーランダー No.2』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):ここまでいろいろありすぎた

ローマの夜。バイク集団に追われる謎のフード男。華麗な身のこなしで追っ手をかわし、ある建物のドアを叩きます。「スティング! ビーバーだ! 頼むよ! 開けて!」…しかし、追い詰められ、「僕を殺しても仲間が選ばれし者を守る」と言い残してめった撃ちにされてします。

最後の力を振り絞って写真を撮り、決め顔を残して息絶えるジャスティン・ビーバー…。

インターポールの捜査官であるヴァレンティナ・ヴァレンシアのいる施設にもジャスティン・ビーバーの死の報告があがってきます。これでポップスターを殺されるのは6人目です。全員が同じ表情の決め顔を残している…これは…もしかして…。

この謎を解けるのはあの人しかいません。

2001年、デレク・ズーランダーの子ども学習センターがオープン2日で川に倒壊。ズーランダーと息子は無事でしたが、妻のマチルダは死亡。また、ハンセルは顔に一生の傷ができてしまいます。倒壊の原因はズーランダーが建物に模型と同じゴム糊を使用させたためと判明。

2003年、デザイナーのムーグバーグ、別名「ムガトゥ」にファッション刑務所での終身刑2回の判決がでました。理由はマレーシア首相の暗殺未遂の罪です。共犯のモデル事務所社長のモーリーが証言。

2006年、元モデルで欠陥ビルを建てたズーランダーは自宅で息子にスパゲティを作れずに八つ当たりをしているところを激写され、児童福祉局に保護されることになりました。

2009年、ズーランダーはモデルを引退し、エリク・トゥーランダーに変えると宣言します。

こうしてズーランダーの名前は世間から急速に忘れ去られていきました。

ニュージャージー州最北部の雪深い地にある家。そのドアをノックする音。ビリー・ゼインがズーランダーを訪ねてきます。

荷物の中には謎のメッセージがあり、ファッション界の女帝アレクザーニャ・エイトーズから「ローマに招きたい」と告げられます。デザイナーはドン・アタリで、みんなの憧れのまとです。けれども隠遁生活を送っているズーランダーは社会に出たがりません。今は負け組なんだ…。

でも踏み出すべきだと友人に激励され、ローマへと足を運ぶことにします。

これは自分を取り戻す旅。まずはUberに乗ってここから出よう…。

一方、砂漠地帯で瞑想していたハンセルは気楽で刺激的なコミュニティから衝撃の知らせを受けます。みんな妊娠したのか…ちょっと用事があるので…。

そのとき、ハンセルに声をかける男。ビリー・ゼインがなぜここに…。

ローマに役者は揃いました。これは何かが起きるに違いない…。

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何がしたかったんだ、ベン・スティラー

冒頭からフルスロットルで飛ばしてくる『ズーランダー No.2』。いや、このシリーズがアクセルを全踏みしないということはあり得ないのですけど。

この序盤最初、やたらとたくさん銃弾を撃ち込まれて死亡するジャスティン・ビーバーが本作の個人的に面白かったところかな。はい、間違いないです。見どころはここで終了です。お疲れ様でした。あとは各自好きな本を読むなり、SNSをチェックするなり、別の映画を観るなり好きにしてください。大丈夫、残りの本編はBGMにしていればいいので。

いや、もちろん豪華キャスト陣は見ておく価値はあるものでした。なにより、カメオ出演含めて痛々しいだけの役回りを堂々と披露する姿が…。大人の世界の厳しさを教えてくれますよね…(妙に納得した顔で)。“ベネディクト・カンバーバッチ”なんて『ドクター・ストレンジ』でものすごくカッコいい役柄を披露しているのに、『ズーランダー No.2』はこれですよ…。もうちょっと仕事選べる立場だろうに…。

ストーリーはないようなものなのは良いとして、ギャグが全体的に普通にスベっているのが致命的。個人ネタも面白くないし、コメディ映画に大切なキャラのかけ合いによる相乗効果から生まれる魅力もゼロ。「何がしたかったんだ、ベン・スティラー!」って感じです。なんというか、たぶん当人も続編さえできればそれで良かったのかもしれない。まさに成功を手にした金持ち俳優の豪華な遊びみたいなものですよ。

そういえば、前作で結婚して妻となったマチルダが冒頭説明でいきなり死亡しますが、マチルダを演じる“クリスティン・テイラー”はベン・スティラーの妻。今作のベン・スティラーは“ペネロペ・クリス”の胸を触って結婚してたけど、クリスティン・テイラーはこれで良かったのか?なんて思ったりも。まあ、もうどうでもいいのでしょうけど。

それにしても“ペネロペ・クリス”は全くギャグが合っていなかった…。イマドキああいう女性キャラは古すぎやしないか…というノリを地でいっているけど、やっぱり本人はあれでいいのかと心配になる…。

なんか私、俳優の心配ばかりしているな…。

やっぱりこういうコメディはもう現代では通用しないのではないかと改めて思いました。ちゃんと批評的にも評価されたお下品コメディとして2016年は『ソーセージ・パーティー』『デッドプール』があったわけで、今はコメディでもこれくらい徹底して洗練されていなければ受けないのでしょう。でも、個人的にはハードルを上げすぎるのもどうかと思うので、こういう『ズーランダー No.2』のような映画もあってはいいと思います。とくに害のないガガンボみたいな存在だし…。

さすがにもう続編はないでしょう。『ズーランダー No.3』があったとしても、30年後くらいで、登場するのは全員老人とかにしてほしい。

もしゴールデンラズベリー賞を受賞出来たら、ベン・スティラーは会場で「マグナム」なキメ顔を披露するくらいはしてほしいですね。そしたら、本作一番の笑いが巻き起こる…かもしれません。

追記:
ゴールデンラズベリー賞の結果が発表され、『ズーランダー No.2』は最低助演女優賞(“クリステン・ウィグ”)の受賞のみに終わりました。あんだけノミネートされておいて、1個だけかよ!…という、なんか全然オチもできないありさまですよ…。

『ズーランダー No.2』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 22% Audience 20%
IMDb
4.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 2/10 ★★

作品ポスター・画像 (C)Paramount Pictures ズーランダー2

以上、『ズーランダー No.2』の感想でした。

Zoolander 2 (2016) [Japanese Review] 『ズーランダー No.2』考察・評価レビュー