とにかく正義!…アニメシリーズ『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2023年~)
シーズン1:2024年~2025年にカートゥーンネットワークで放送(日本)
原案:ジェイク・ワイアット、ブレンダン・クラウガー ほか
恋愛描写
あどべんちゃーうぃずすーぱーまん
『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』物語 簡単紹介
『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』感想(ネタバレなし)
スーパーマンといっしょ
良い子のみんな~、お空を見上げてごら~ん。スーパーマンだよ~!
ということでさっさと感想に移りましょう。
本作『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』へ…。
スーパーヒーローの二大巨頭アメコミ企業のひとつである「DC」。そのDCのアニメシリーズと言えば、近年は『ハーレイ・クイン』であったり、DCUを構成する一作でもある『クリーチャー・コマンドーズ』であったり、大人向けのアダルトアニメが目立っています。


しかし、そうではない作品もあって…。その2020年代の代表作がこの『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』です(英題は「My Adventures with Superman」なのでファンの間では「MAWS」が略称になっています)。
本作はDCがシェアード・ユニバースの切り替えで大揺れしていた2023年から始まったのですが、「もうこのアニメを観れればそれでいいや」と一部のDCファンが傾倒してしまったという話もあるとかないとか、とにかく大好評で迎えられました。
タイトルのとおり「スーパーマン」が主題であり、スーパーマン単独でタイトルを冠して長期シリーズ化するのは、1996年から2000年までの『Superman: the Animated Series』以来なのかな。とにかく案外と新鮮に感じます。DCの顔となるキャラクターなのに。
しかも、『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』、大人向けに特化はしておらず、子どもでも大人でも楽しめる敷居の低さが売りです。最大の特徴は絵柄の親しみやすさで、どことなく日本のアニメっぽい雰囲気があります(ちびキャラとかではない)。なんか日本のアメリカンコミックスのアーティストとして活躍されている“グリヒル”っぽい味わいがありますね。
アニメーション制作自体は韓国の「スタジオミール(Studio Mir)」が担当しています。
そして絵柄だけでなく、世界観もストーリーも馴染みやすいものになっていて、ひと言で言い切るなら「可愛い」。スーパーマン含めどのキャラクターも可愛い。そこに尽きます。
物語は、スーパーマンことクラーク・ケントがメトロポリスの街で働き始めた最初を描いており、まだヒーロー活動もろくにしていません。自分のヒーローとしての立ち位置を模索しながら、ロイスなどの後に大切な人となる出会いも合わせて、あらゆるシーンで初々しいです。
そういうこともあって「スーパーマンって1度もじっくり見たことがないな」という初心者に最適と言えると思います。
このシリーズは『My Adventures with Green Lantern』というスピンオフも決定済みですし、とても初心者案内入り口としてぴったりなので、このまま10年以上は続けてほしいな…。
ちなみにスーパーマンのオリジナルの英語の声を演じているのは、“ジャック・クエイド”です。普段の実写作品だと、クズ男やダメ男ばかり演じている印象ですけど、今作ではまるで別人の好青年っぷりを披露。『ザ・ボーイズ』と比べると落差が酷くて何も言えなくなるけど…。
アニメ『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』はシーズン1は全10話で、1話あたり約25分程度とサクサク観れます。
『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』を観る前のQ&A
鑑賞の案内チェック
基本 | — |
キッズ | 子どもも安心して楽しめます。 |
『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
カンザス州スモールビル。クラーク・ケントという少年は木に凧が引っかかってしまったものの、ジャンプしても届きそうにありませんでした。そのとき、猛スピードで走行する1台の車が接近。実はこの先の道路の路面には大きなくぼみがあり、このまま進むとタイヤをとられて危険な事故となってしまいます。運転手の女性は後方のベビーシートの赤ん坊に気をとられており、警告するクラークに気づきません。
そして車は道路をはみ出し、木にぶつかりそうになります。それを目撃したクラークは瞬間的に通常はあり得ない距離を移動し、車を両手で何事もなく停止させました。こうしてクラークは自身の能力を自覚。木に引っかかった凧どころか、空を自由に飛ぶこともできます。でも一体自分は何者なのだろうか…。
それから数年後。大都市のメトロポリス。クラークは起床します。ルームメイトのジミー・オルセンと一緒の生活です。普通の人間として1日を送ろうと心に決めていました。今日は大事な日。クラークはデイリー・プラネットのインターン初日を迎えるのです。もちろんあの自分の能力は両親以外には明かしていません。
同時刻、ロイス・レインも起きました。一流の記者になろうといつも張り切っています。クラークは途中の店でロイスとばったり知り合います。
そしてデイリー・プラネットに出社すると、ロイスとまた再会。ロイスは先輩のインターンでした。しかし、ロイスは報道記者ではないと編集長のペリー・ホワイトに怒られています。彼女は報道で正義を果たしたいようです。
上司に制止されても挫けないロイスは軍用ロボットの不審な噂を調査に単身で向かいます。ニュースキッド新聞配達で街に詳しいフリップ・ジョンソンと仲間の子どもたちに情報を聞き出し、怪しいトラックに目星をつけ、トラックの行き場である倉庫へ侵入。倉庫はもぬけの殻です。
クラークは電話で編集長から事情を聴き、ロイスが無断で調査していると知り、軽率な彼女を静かに諭します。
それでもやめないロイスはジミーを引っ張って偶然に謎のロボットを発見。そのロボットはなぜか襲ってきます。クラークはその危険を知り、すぐさま駆け付けます。現場にあった作業服で姿を隠しつつ、能力を全開にして巨大ロボットのコアを抜き取って起動不能に。
ジミーはそのクラークの姿をカメラにおさめていました。ぼやけていましたが…。
クラークは正体を明かさずにその場を去ります。そして元のクラークの姿でまるで何も知らないようにロイスのもとに帰ります。
本社に戻り、さっそくこのスクープを伝えますが、ジミーのぼやけた写真に基づいた記事の掲載はあっさり拒否されました。
それでも3人はこの体験で友人同士になります。ロイスはスーパーマンと名付けた男の独占インタビューを手伝ってくれるようにクラークとジミーを誘います。「私たちの間に秘密はナシで…」とロイスは約束させますが…。
シーズン1:可愛さというスーパーパワー

ここから『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』のネタバレありの感想本文です。
アニメ『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』の可愛さにメロメロになってしまうのは、つい最近まで“ザック・スナイダー”を引きずる実写映画群をずっと観てきたからなんだろうか…。それにしたってちょっと可愛すぎますね。
今作のスーパーマン、それこそプリキュア風味な変身シーンもあったりして(作品のトーン自体も『プリキュア』感がある)、マッチョイズムが相当に抑えられています。実際のボディは長身筋肉質なのは見るからにわかるのですけど、それをかき消すキュートのオーラがある…。
そんなスーパーマンことクラークと知り合って愛を深めていくロイスですが、このカップルもまた可愛さが満載。初っ端から相思相愛で、恒例の「あなたがスーパーマンだったの? なんで隠していたの?」という亀裂が多少は入りますが、あまり観客側にストレスを与える暇もなく、そそくさと親密さを取り戻してくれます。もうヴィランとかいらないので、この2人の平和を邪魔しないでくれ…。
ちなみに今作のロイスはどうやら韓国系のようで(パーティにチマチョゴリっぽい服装を身に着けているシーンがある)、レプリゼンテーションとしても自然に馴染んでいて魅力的でした。
そのカップルにジミーが加わるわけですが、彼が邪魔者になることはなく、むしろジミーも並ぶことでより可愛くなるという…。とてもズルいトリオです。こういう恋愛関係が上に立つのではなく、そこに友情も横並びで対等になる構図は私は好きですよ。
マルチバースのさまざまなロイスやジミーも登場する回もありますが、やっぱりこの3人の絆を形成できるのはこの世界線だけな気がする…。
スーパーマンがどんどん能力が目覚めている最中、街のアイコンになっていく彼を、ロイスとジミーが支えていく。このリレーションシップだけでお腹いっぱいになれます。
この可愛さ現象は、主要キャラだけでなく、他のキャラにまで波及しており、あのミスター・ミクシィズピトルクですら本作では可愛いです。
そして最もこの可愛さのスーパーパワーによってキャラクターが好意的に魅力アップしたのは、ムッシュ・マラーとブレインじゃないでしょうか。ムッシュ・マラーは他の作品だと獰猛なヴィランとして描かれることも珍しくないのですが、今作では大型犬並みに可愛いです。この2人、本作ではしっかりゲイ・カップル(CBR)としても描かれており(見た目はゴリラと脳みそのカップリングですけどね)、幸せそうに映っているとこちらも安心です。
この可愛さワールドの欠点があるとすれば、敵もなんだかんだでデフォルメされて可愛くみえてくるので、そんな戦慄させるようなスリルある怖さはないということでしょうか。ただ、まあ、たまにはこういう全部可愛いキャラクターしかでてこない作品もあっていいと思います。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
△(平凡)
作品ポスター・画像 (C)Warner Bros. Animation アドベンチャーウィズスーパーマン
以上、『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』の感想でした。
My Adventures with Superman (2023) [Japanese Review] 『アドベンチャー・ウィズ・スーパーマン』考察・評価レビュー
#アメコミ #DC #スーパーヒーロー #ジャッククエイド #ゲイ同性愛 #楽しい