そういう定め…ドラマシリーズ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3)の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2026年)
シーズン3:2026年にU-NEXTで配信(日本)
原案:ライアン・J・コンダル、ジョージ・R・R・マーティン
性暴力描写 自死・自傷描写 ゴア描写 性描写 恋愛描写
はうすおぶざどらごん

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3)物語 簡単紹介
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3)感想(ネタバレなし)
2026年のシーズン3
実質的に戦後初めてとなる日本の皇室典範の改正が勢い任せに実施され、旧宮家の男系男子が皇室の養子になる仕組みが新設され、皇位が今の天皇家とは別の家系に移る可能性すら生じる大変化が仕込まれた2026年。
そんな2026年に『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のシーズン3を観るのは、不思議な気分ですね…。
人間ってどこまでも愚かで、そして滅んでいくものなのかな…。
それはさておき、2026年はドラマ『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』も配信され、『ゲーム・オブ・スローンズ』フランチャイズはさらに活況になっています。映画も企画していると発表されましたし…。
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(HOTD)も負けじと物語は白熱しています。シーズン3も死と惨劇で満ち溢れるばかり。
ただ、ワーナー・ブラザースがパラマウント・スカイダンスに買収されてしまったので、「HBO」ブランドの『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』はもうこれが最後かもしれませんね。それどころか打ち切りになる未来もゼロではないので…。
ほんと、人間め…いい加減にしてくれよ…。一回、ドラゴンに焼き尽くされてくれ…。
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3)を観る前のQ&A
鑑賞の案内チェック
| 基本 | 性暴力を描くシーンが一部にあります。 |
| キッズ | 低年齢の子どもには不向きです。 |
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3)感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
ウェスタロスの全七王国の上位の家として300年近くも統治していた由緒ある家系であったターガリエン家。しかし、今や王位継承者争いによってターガリエン家は、レイニラ・ターガリエンを支持する「黒装派」と、アリセント・ハイタワーを支持する「翠装派」に分裂し、対立が混迷を極めていました。
霧深い谷間にてレイナ・ターガリエンがドラゴンのシープスティーラーに恐る恐る近づいていました。レイナはそのドラゴンの巨大な体に手を伸ばし、背に登ります。そしてドラゴンは悠々と翼で飛び立ち、必死に背にしがみつこうとするレイナを気にもせず、霧の中に消えていき…。
翠装派のエイモンド・ターガリエンはルークス・レストで重傷を負った兄で王であったエイゴン(エイゴン2世)の逃亡を知り、上級学匠のオーワイルに乱暴に居場所を問い詰めます。どうやらラリス・ストロングが同行しているようでした。権力欲に燃え、エイゴンを追い詰めたエイモンドは仕留めきれなかったことに苛立ちます。
エイゴンとラリスの2人は旅人のふりをして馬車に紛れ込んでいました。しかし、兵士に止められ、ここは女王の地であり、レイニラ・ターガリエンに忠誠を誓うように命じられます。ところが、その場でラリスはエイゴンの正体を平気で暴露し、立場を翻すのでした。
ドラゴンストーンでは、ジャセアリーズ(ジェイス)・ヴェラリオンが母レイニラに「アリセントを信用するべきではない」と忠告していました。けれどもレイニラはアリセントを信じています。少し前に敵対していたはずのアリセントはレイニラに会いに来て、もうこの王位継承争いに疲れたことを自白し、自分は降伏し、レイニラに勝ちを譲ると告げたのです。
ミサリアやベイラなどの参加する黒装派の会議の場で自身の考えを述べ、ドラゴンのヴァーガーを率いるエイモンドがいない今、キングズランディングの王都を占領するという計画を推し進めようとします。レイニラは大規模な戦闘を起こさずに成し遂げられると確信していました。
その頃、アリセントは玉座の間でふんぞり返って座るエイモンドを目の前にしていました。エイゴンが去ったことで、エイゴンが王位を退き、代わりに自分が地位に就いたと解釈しているようです。エイモンドはキングズランディングに留まると言います。これはアリセントにとっては予想外の事態です、当然この情勢の変化をレイニラは知るわけもないです。
ところかわって、黒装派のデイモン・ターガリエンは戦場で、ジェイスン・ラニスター率いるラニスター軍を相手に優位に戦いを進めていました。さらに北からロデリック・ダスティンとウィンターウルフが来て味方も増えて勢力は拡大し、ジェイスンの首も手に入れます。
対峙する翠装派の野営地では、グウェイン・ハイタワーはエイモンドとヴァーガーがなぜ加勢にこないのか、そして村の女性に性的暴行するような兵の男たちの振る舞いに苛立ち、王の手のクリストン・コールに苦言を呈します。クリストンはすでに厳しい現実に闘志を失っていました。
黒装派のハルのアダムは騎竜者(ドラゴン・ライダー)となったばかりのヒューとアルフに身の上を話しつつ、倒すべきエイモンドが来ないので時間を持て余しています。
一方、海上の黒装派の艦隊にてコアリーズ・ヴェラリオンは自身の隠し子であるハルのアリンと話し込んでいましたが、そこに翠装派につく三頭市の提督であるシャラコ・ロハール率いる艦隊が突如攻撃してきたことで、一気に戦いが勃発し…。

ここから『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3)のネタバレありの感想本文です。
シーズン3:戦争なんてするものじゃなかった
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のシーズン3は、ターガリエン家の内戦「竜の舞踏」の中でもとくに壮絶な戦いとして評される「ガレットの海戦」から幕開けです。
海上艦隊とドラゴンとの戦いも圧巻ですが、海での「コアリーズ艦隊 vs シャラコ・ロハール艦隊」の対決は本作で大幅に白熱さが増していました。もともとシャラコ・ロハールという人物自体が原作でそこまで描写されていなかったのですけど、このドラマ版では勇猛果敢な戦士としてこれ以上ない見せ場が用意されています(シーズン3の中でもとくにカッコいい戦死)。
なお、ドラマ版のシャラコ・ロハールは、原作に言及されるラカリオ・リンドゥーンという別のキャラクターと合体したような設定の存在になっており、ラカリオは出生時には男性として割り当てられるも女性的な振る舞いをしており、一方、ドラマ版のシャラコは出生時には女性として割り当てられるも男性的な振る舞いをしています(共に複数の妻がいることになっている)。ドラマ版ではシャラコはトランスジェンダー俳優の“アビゲイル・ソーン”が演じているので、トランスっぽい解釈ができるようになっています。このウェスタロスの世界観自体で、ジェンダー・アイデンティティを尊重する文化が一部にあることは原作でも示唆されていますけ、たぶん中世ヨーロッパの実際の歴史を参照にしているのかな(The Conversation)。
そんな「ガレットの海戦」から幕開けとなったシーズン3ですが、実はこの第1話と第2話は本来はシーズン2の第9話と第10話に予定されていたもので、シーズン2が予算カットで全8話に縮小され、やむを得ずシーズン3にズラされたかたちです(結果、シーズン3は大規模戦闘シーンが多い)。なので本来のシーズン3は第3話からなんですね。
その第3話から本格的に始まるシーズン3は、立場の逆転による新しい勢力図、そしてその強烈な反動が印象的でした。まさにこれぞ政治的力場の緊張感ですね。
レイニラとアリセントの立ち位置は最もわかりやすく、ついにレイニラは第2話のラストでキングズランディングの鉄の王座に返り咲きます。正真正銘の女王になったわけですが、権力のために戦争を強行したことの返り血は想像以上で、息子ジャセアリーズの死だけでなく、国は飢え、民は政治に不満を抱き、抑えられなくなっていきます。最初は穏健な女王になろうとするも、精神的に追い詰められ、反転して暴君と化し、あげくには最終話では男(父)の権威に頼るかのような演説まで…。女性の権力者のなれの果てとしては悲しい姿です。
一方のアリセントはすっかり権力闘争に疲れて娘のヘレイナの身を案じてなるべく政治から離れようとしているのですが、戦争というものを一度始めてしまうと引くに引けなくなるもので、やはりアリセントもその自身の行いの責任を突きつけられます。息子のエイモンドを毒殺しきることもできず、身ごもるヘレイナが自殺する最期を迎え、残されたアリセントの運命はかなり絶望的です。
絶望と言えば、王の楯総帥にして王の手であったクリストン・コールは、完全に戦場で生ける亡霊のように虚しく戦いだけの存在と化しており、第6話のあの戦死のあっけなさは象徴的です。
戦いに関しては、デイモンがやはり今回も先頭で、躊躇するレイニラを厳しく支えつつ、最初から最後まで戦場に身を投じてきましたが、最終話のタンブルトンの戦いでさすがのデイモンも戦うことの虚しさを痛感したか…。
シーズン3:ドラゴンを飼うのは大変だ
他の権力者たちもそれぞれの人生の乱高下を『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のシーズン3で体験しています。
エイモンドは邪魔者だった兄弟のエイゴン2世も消え、一時は鉄の王座に座るも、一瞬で全てを喪失。今度は呪われた魔女アリス・リヴァーズに支配され(母アリセントとの性的関係を空想するあたり、いろいろ歪んでいる)、最後はまたエイゴンに…。なんか本作で一番の不憫キャラになってる…。
策士としてデイロンを利用して混乱に乗じて権力を乗っ取ろうと狙ったオーマンド・ハイタワーは、デイロン偽物作戦以外は全く空振りで、デイロンにすら知略で負けているところさえあり、最期の死にざまにふさわしい小物でした。
逆に大逆転をみせたのがエイゴン2世で、終盤のドラゴンのサンファイアの復活シーンは本作の白眉。これまで以上に調子に乗った存在となり、民衆は不安に駆られるとよりにもよって危険なカリスマを支持してしまうという、現実社会でもよくありがちな現象が本作でも観察できますね。
ドラゴンについて、今回のシーズン3は私の好きなドラゴン描写が多かったのが嬉しいポイントでした。以前から人間とドラゴンの関係性構築の描写が見たいと私は感想でボヤいていましたが、このエイゴン2世とサンファイアも良かったですけど、やはりレイナとシープスティーラーですね。
シープスティーラーが私のお気に入りドラゴンになるとはね…。冒頭からちゃんと羊を焼いてから食べてるシープスティーラーが可愛いですが、今回は実質『ヒックとドラゴン』の残虐版でした。
ガレットの海戦ではレイナがシープスティーラーをコントロールできず、敵味方関係なしに大虐殺をしてしまうわけですけど、ああいう「全然言うこと聞かない!」感じ、すごく動物っぽくていいなと思います。もう飼い始めたばかりの子犬ですよ…。第7話のドラゴン4頭の大喧嘩とか、散歩している途中ですれ違った犬同士が喧嘩し合うアレと同じに見えましたよ…。
ほんと、みんな、ドラゴンっていうワクワクの生き物が傍にいるんだから、それで最高じゃない? 王位争いとか、どうでもよくない?
話を本編に戻して、シーズン3はまたも振り出しに戻るかのようなオチです。コアリーズの後を継ぐアダム、ベイラと関係を持ち始めたアリン、妻を戦争で失ったヒュー、権力争いについていけずに自暴自棄になるアルフ…。変わったことも確かにありますが…。
とくにミサリアとレイニラの関係はなおも予測できない緊張をもたらしています。シーズン3では2人は体を重ねる性的関係も描かれ、ますます親密になった…と思った瞬間の、レイニラによるミサリアの突き放し。愛すら利用するほど非道になったのか、それとも最愛の人を守るためなのか、その行動の真意はまだわかりません。
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のシーズン3はオリジナル展開がさらに増えました。原作への忠実さを求める人は不満かもですけど、そもそも原作の『炎と血』は小説スタイルではないし、未完だし、原作者“ジョージ・R・R・マーティン”がもう書けそうにないので、忠実さを求めるのは無意味かなとも私は感じてます。
ドラマ版だけでじゅうぶんに語りつくせないほどボリュームありますしね。
とりあえず、「戦争して強い国になる」なんて幻想だなってことを教えてくれる『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』。良い教科書ですよ。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
△(平凡)
以上、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3)の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)HBO ハウスオブザドラゴン
House of the Dragon (2026) [Japanese Review] 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』考察・評価レビュー
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