変なアプリはインストールされる!…「Netflix」ドラマシリーズ『キリゴ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:韓国(2026年)
シーズン1:2026年にNetflixで配信
監督:パク・ユンソ
イジメ描写 自死・自傷描写 交通事故描写(車) 恋愛描写
きりご

『キリゴ』物語 簡単紹介
『キリゴ』感想(ネタバレなし)
これがホントのキラーアプリ
皆さんは自分のスマートフォンにどんなアプリを入れていますか?
私はモノをあまり持ちたくない性分もあってか、スマホにもなるべくアプリは入れない主義。SNSもゼロです。
そんな私は少数派で、たいていの人はいろいろなアプリを積極的に使いこなしているのでしょう。とくに俗に「キラーアプリ」と呼ばれる、誰もが「これは必須だろう!」と納得の爆発的な人気で存在感を発揮するアプリはいつも注目のまと。最近だとAI関係のアプリなのかな。
今回紹介する韓国ドラマは、キラーアプリが重要な存在になってくるのですけど、本当に「キラー(殺し屋)」になるアプリで…。
それが本作『キリゴ』です。
物語は、とある高校生たちの間で「願いごとを叶えてくれる代わりに死をもたらすアプリ」が恐怖を巻き起こす…という、それだけ聞くと、わりとよくありがちな感じの設定。呪いのビデオテープとか、昔から呪いは何かと身近な実用品にもひっついてくるので、アプリだって何も驚くことはないです。正直、私も観る前は「呪いアプリか、ふ~ん」くらいのとくに興味をひかれる新鮮さは期待していませんでした。
ただ、このドラマ『キリゴ』は、シンプルなアイディアを非常に高品質のストーリーテリングと演出で魅せてくれており、誰でも考えつきそうな単純な設定でも上手い人が手がけるとじゅうぶんに面白いものになることを証明するお手本みたいな作品です。
本作『キリゴ』を監督として手がけたのは、ドラマ『ムービング』でも見事な才能を発揮した“パク・ユンソ”。脚本は映画『憑依』の“パク・ジュンソプ”です。
主役の10代を演じるのは、ドラマ『バニーとお兄さんたち』の“チョン・ソヨン”、 アイドルグループ「I.O.I」のメンバーでドラマ『サムダルリへようこそ』などに出演を重ねてきた“カン・ミナ”、ドラマ『キック・アゲイン~チ・ジニと愉快な仲間たち~』の“ペク・ソンホ”、ドラマ『チアアップ』の“ヒョン・ウソク”、ドラマ『猪狩り』の“イ・ヒョジェ”。
生徒がメインですが、主にこの5人だけで物語が成り立つので、登場人物の相関図もいらないくらいに、人間関係はわかりやすいです。
大人勢としては、ドラマ『寄生獣 ザ・グレイ』の“チョン・ソニ”、『イカゲーム』の“ノ・ジェウォン”など。


痛々しく残酷なシーンも多いですが、2026年の韓国産の良作ホラーなドラマですので、ジャンル好きな人は『キリゴ』をお見逃しなく。
『キリゴ』を観る前のQ&A
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Q『キリゴ』は日本ではいつどこで配信されていますか?
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A
「Netflix」でオリジナル・ドラマシリーズとして2026年4月24日から配信中です。
鑑賞の案内チェック
| 基本 | 学校でのイジメや自殺の描写があります。また、交通事故のシーンが一部にあります。 |
| キッズ | 残酷な描写が多いので、低年齢の子どもには不向きです。 |
『キリゴ』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
ひとりの女子高校生がカッターナイフで「2005年3月12日、ト・ヘリョン」と乱雑に傷をつけて文字を彫ります。そして影のある顔つきで固定したスマホを起動し、動画を撮影。真っすぐスマホを見据え、「私の願いはみんなひとり残らず死ぬこと」と呟き、やや笑みを浮かべて、カッターで自分の首を深く切り裂きます。血しぶきを飛ばし、彼女は死ぬのでした。
月日は流れ、ソリン高校2年生のユ・セアはのどかに起床し、自分で朝食を用意。両親は亡くなっており、叔母と暮らしていますが、叔母は医者なので忙しいです。もうひとりの生活も慣れました。話し相手ならわりと近くにもいます。
この部屋のすぐの上階に住むキム・ゴヌにメッセージを送り、起こしてあげます。2人は密かに付き合っている恋人同士。学校の同級生には知られていません。マンションのエレベーターの前でキスをし、並んで登校しますが、友人のふりです。
裕福なイム・ナリは車で送られて登校していましたが、セアとゴヌを見つけて、急いで降ります。ナリはゴヌに片想いをしていました。当然、セアとゴヌが付き合っていることは知らないです。しかし、挨拶しようとした瞬間にお調子者のチェ・ヒョンウクがぶつかってきて、うやみやになります。
学校ではさっそく担任の教師が教室に入ってきて、数学模試の満点をとった生徒を発表。そのひとりは秀才のカン・ハジュン。これはみんなも納得。しかし、もうひとりはなんとヒョンウクでした。これには教室がざわつきます。そんな優秀な生徒だったことはなかったはずなのに…。本人も呆然としており、信じられないという顔です。
その後、ヒョンウクはセア、ゴヌ、ナリ、ハジュンを集めて、話をします。この5人は昔から知り合いでした。
ズルしたのではと疑われるヒョンウクでしたが、彼いわく「願いが叶うアプリを使って満点をとれるように頼んだ」らしいのです。そのアプリの名は「キリゴ」。なんでも名前と生年月日を紙に書き、願いを言う姿を自撮りして送信すると叶うとのこと。本人は実際に効果があったことですっかり自信満々。みんなにリンクを送ります。
やけにチープなアプリの画面で、明らかに子ども騙しにみえます。その場ではヒョンウク以外の者は誰も信じていない雰囲気です。
しかし、ヒョンウクは自分のスマホに24時間のタイマーが表示されたのに気づきました。
ヒョンウクはナリに好意があり、よく話しかけては、今回も近くに開かれる自分の誕生日パーティーに誘っていましたが、ナリは内心では嫌でした。ナリがセアにそんなボヤきを喋っていると、ヒョンウクと出くわします。彼は聞いていないふりをしますが、耳には入っていました。
その頃、とある家の庭先で白い蛇に供物を捧げる巫女のカン・ハヨンがいました。彼女はお気楽そうなパンウルという男と暮らしています。そして何かが起きることを察知します。
その日、セアは陸上の走り幅跳びで韓国代表に選ばれるチャンスを掴み、「週末は特訓」と先生から言われます。つまり、ヒョンウクの誕生日パーティーには行けません。
ゴヌとしてもセアと一緒の時間が減ってしまいます。2人で部屋で仲良く夕食を共にしていたとき、その場のノリでゴヌは「キリゴ」をインストールし、「今週末のセアの練習が休みになりますように」と動画を撮って送信してしまいます。
その結果、何が起こるのかは翌日にわかることに…。

ここから『キリゴ』のネタバレありの感想本文です。
シーズン1:思いやりが恨みに変わる
「呪いのアプリ」を軸にしてホラーを展開する『キリゴ』。アイディアとしてはたいして斬新でもないこの設定を、どうやったら最大限に面白くできるか。本作は、奇をてらったことをせず、徹底して登場人物の心理的感情を突き詰めることで、目を釘付けにするドラマを生み出して、それを達成してみせていました。ここの作り込みが本作の品質を支えている感じでしたね。
まずこの「呪いのアプリ」…名は「キリゴ」…がいかにして誕生したのか、その理由がちゃんと作り込まれています。なんとなく漠然と「怖いものがある」で片づけません。
で、最初はその元凶を観客に意識はさせないんですね。冒頭、映るのはト・ヘリョンという女子高校生がアプリで願いの動画を残すシーン。ここでその願いの内容が「みんなの死」であり、当然、第1話の時点で疑問が浮かぶわけです。
え? みんなって“みんな”? どこまでの範囲? 学校の“みんな”? 韓国に住む全員? もしかして、この世の全ての人?
もしこのアプリの効果が際限ないなら本当に全員に死がもたらされる、とんでもないことになっているはず。どういうことなのか…という真相…元凶となるエピソードが第6話で一気に開示されます。この2022年を描く第6話が『キリゴ』の禍々しい面白さを凝縮したような回でした。
ヘリョンとシウォンという2人の親密な女子高校生。すれ違う親友、すれ違う母娘。恨みが膨れ上がり、互いに一線を越えていくあの切ない虚しさ。
ヘリョンが「キリゴ」の怨念の始まりかと思いきや、あくまでヘリョンは別の呪いの儀式を用いただけであり、後にセアたちを苦しめる「キリゴ」を生み出したのは、ヘリョンに致命傷を受けたシウォンでした(メディア室で床に血文字で生年月日と名前を残している)。憎き母譲りの呪術の使い手としての才能がシウォンにはあったという皮肉なオチです。もしかしたらヘリョンの恨みとシウォンの恨みの相乗効果による合作なのかもですけど。
本作のベースにあるのは、韓国お得意の悪霊ホラーですが、奇々怪々な儀式とかで誤魔化さず、恨みの連鎖が引き起こす最悪というものを突きつけるこの第6話の衝撃は凄まじいです。
ヘリョンとシウォンがあれだけ親しく、互いを思いやっていたからこそツラいエピソードですよね。思いやった結果の行動だったのに、恨まれてしまう理不尽。救いたかったのに、招いてしまったのは大切な人の人生の破滅。なぜ伝わらなかったのか、どうしたらこの悲劇を回避できたのか、考えても考えてももはや手遅れ…。
こういうある種のミスコミュニケーションの末の仲違いというのは、それこそSNSなどのデジタル文化の中でも頻発するものでしょう。現代のスマホ世代の若者にとって身近に経験しうる問題だからこそ、切実な感情の揺さぶりを与えてきます。本作は単にアプリをホラーアイテムにするだけでなく、こういうストーリーテリングへの組み込みがまた上手かったです。
シーズン1:善意の大人がいてくれる頼もしさ
『キリゴ』のメインパートは現在におけるセアたちの物語です。セアの他に、ゴヌ、ナリ、ハジュン、ヒョンウクの合わせて5人だけで基本は成り立っており、最小構成で進行します。家族の物語など、あまり横道に逸れず、この5人だけに集中してくれるのが良かったですね。
この5人を繋げるのは、やはり当初は善意なのですが(両親を失ったセアに寄り添う友情)、思春期を経て成長する中で、5人内にやや込み入った恋愛の矢印が交差し、関係性にヒビが…。
ヘリョンとシウォンの2人だけでも酷いことになったのに、5人となるとどうなるんだ…という恐怖が観客の頭をよぎります。
ただ、ここでさすが『ムービング』を手がけた“パク・ユンソ”監督というか、多彩なジャンルで飽きさせない見せかたをしていくのが巧みでした。
最初はセアとゴヌのものすっごくベタな甘々な学園恋愛モノが始まります。でもこのロマンチックな雰囲気は第1話で消し飛ぶのですが…。
第2話は第1話のラストから続く、典型的な憑依ホラーであり、とても痛々しく恐ろしいシーンの連続です。学校の中だけ展開するのかと思いきや、しっかり舞台を変えていくのも嬉しいところ。
第3話は、ハジュンの姉であるカン・ハヨンの家での儀式。そこからの異世界ホラーへと転換します。
お次の第4話は、アプリの調査による、まるで刑事モノのような雰囲気になり、ここでのパンウクが本当にナイスなキャラです。最初は役に立つのかわからないおじさんで、ユーモア担当としてこの世界観の中に貴重な笑いをもたらしてくれるのですけど、なんだかんだで頼もしいのがまた良くて…。この作品では際立つ「善意だけの人間」として安心感がスゴイ…。
最終話にかけてのラストスパートは、痛々しいクライム・アクションありの壮絶な緊張感。ハヨンのプロフェッショナルな活躍(あんた、『呪術廻戦』に参戦できるよ!)もいいのですけど、セアが体育会系という設定だからなのか、やたら動ける女子なのがまたアクションをワクワクさせていました。
視覚的にも本作は素晴らしくて、盛大にスプラッタにしているだけではない、各キャラの感情と重なった血の演出が物語を彩ってもいましたし…。
最終的にナリをどう片づけるのかと思いましたが、どうやらナリの決着は今後の伏線としてお預けの様子。次はナリの怨念が新生「キリゴ」の稼働を引き起こしたのか。Galaxyの次はiPhoneですよ…全くどのスマホもこれだから…。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
以上、『キリゴ』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)Netflix Kirigo Girigo
If Wishes Could Kill (2026) [Japanese Review] 『キリゴ』考察・評価レビュー
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