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ドラマ『スパイダー・ノワール』感想(ネタバレ)…大いなる責任が白黒にもともなう

スパイダー・ノワール
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やっぱり白黒だね…「Amazon」ドラマシリーズ『スパイダー・ノワール』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Spider-Noir
製作国:アメリカ(2026年)
シーズン1:2026年にAmazonで配信
ショーランナー:オーレン・ウジエル、スティーヴ・ライトフット
人種差別描写 恋愛描写
スパイダー・ノワール

すぱいだーのわーる
『スパイダー・ノワール』のポスター

『スパイダー・ノワール』物語 簡単紹介

1930年代のニューヨーク・シティで、かつてベン・ライリーは「スパイダー」として街のヒーローだったが、最愛の人を亡くしたことでその活動を辞め、今は地味な依頼を請け負う探偵をやっていた。そんなある日、街で支配力を強める犯罪のボスのシルバーメインが狙われる事件が発生し、さらに謎の能力者が目撃される。そして再び、蜘蛛の糸を繰り出すことになり…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『スパイダー・ノワール』の感想です。

『スパイダー・ノワール』感想(ネタバレなし)

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蜘蛛オッサンも覚えてね

2026年は『アベンジャーズ ドゥームズデイ』が劇場公開を控えているので「マーベル」の特大の1年になるのはほぼ確定したようなものですが、夏には『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』もあり、「DC」には申し訳ないですけど、ネームバリューでは「マーベル」の勢いが絶好調です。

しかし、「スパイダーマン」絡みでもうひとつ意外な作品が夏前に現れています

若者ではない…。みんなの記憶から忘れられたわけではない…。加齢臭のする蜘蛛オッサンなんて誰が気にする? いや…私はあなたを待ってましたよ。

それが本作『スパイダー・ノワール』です。

本作の企画の始まりは、2018に公開されて革新的な映像体験とともに大ヒットしたアニメーション映画『スパイダーマン スパイダーバース』

さまざまな世界線のスパイダーマンが結集する豪華な作品だったわけですが、この成功によって映画の企画原案者の“フィル・ロード”“クリストファー・ミラー”は、フランチャイズをドラマシリーズに広げるアイディアとして今作を提案しました。

『スパイダー・ノワール』は、早い話が『スパイダーバース』シリーズに登場したモノクロな「スパイダーマン・ノワール」を主人公にして、実写で描く意欲作。ただし、『スパイダーバース』シリーズとは世界観が接続していません。独立した作品なので、本作から気軽に楽しめます。

舞台は1930年代のニューヨーク・シティで、探偵モノとギャングのクライム・サスペンスがジャンルの軸になっており、これまでの「スパイダーマン」とはだいぶ雰囲気が違います。

「モノクロ版」「フルカラー版」の2種類が用意されているのも特徴です。どっちで観るかはお好みで。私はやっぱり「ノワール」なので白黒で観ました。

そして主演を演じるのは『スパイダーバース』シリーズで声をあてた“ニコラス・ケイジ”。スーパーマンには正式にはメインでなれなかったけど、スパイダーマンにはなれたのか、“ニコラス・ケイジ”…。これでゴーストライダーの“ニコラス・ケイジ”じゃなくて、スパイダーマンの“ニコラス・ケイジ”にイメージ刷新かな…。

共演は、『ドゥ・ノット・コール 禁断の顧客リスト』“ラモーネ・モリス”『罪人たち』“リー・ジュン・リー”、ドラマ『ハンティング・ワイブス』“カレン・ロドリゲス”『アトラス』“エイブラハム・ポプーラ”、ドラマ『メイフェア家の魔女たち』“ジャック・ヒューストン”『イニシェリン島の精霊』“ブレンダン・グリーソン”『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』“アンドリュー・コールドウェル”など。

『スパイダー・ノワール』の企画&ショーランナーは、“フィル・ロード”&“クリストファー・ミラー”とは『22ジャンプストリート』の脚本で一緒に仕事した“オーレン・ウジエル”です。

マーベルIPですが、ソニー製作なので、ドラマシリーズだとどこが扱うのかと思ったら、今回の『スパイダー・ノワール』は「Amazonプライムビデオ」独占配信。全8話(1話あたり約40~50分)です。

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『スパイダー・ノワール』を観る前のQ&A

✔『スパイダー・ノワール』の見どころ
★これまでにないスパイダーマンの雰囲気と演出。

鑑賞の案内チェック

基本 黒人差別の描写が一部にあります。また、蜘蛛嫌いの人は要注意です。
キッズ 3.0
やや大人向けな作風ですが、子どもでも観れないわけではありません。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『スパイダー・ノワール』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

1930年代のニューヨーク・シティ。この街にはひとりのヒーローがいました。マスクを被り、蜘蛛の糸を操り、縦横無尽に建物の間を飛び交い、悪者を倒す…。街の人々はそのヒーローを「スパイダー」を呼び、拍手喝采を送りました。

しかし、ほとんどの人はそのスパイダーの正体を知りません。スパイダーの素顔はベン・ライリーという中年の男です。

ところが、結婚するつもりだったルビー・J・ウィリアムスを亡くした出来事がきっかけでライリーはスパイダーの活動を辞めてしまっていました。亡くなる前の彼女は「大いなる力には大いなる責任がともなう」と口にしていましたが、その最大の責任を果たせず、普通の男に戻ることにしたのです。それが5年前の話…。

現在のライリーは小さな探偵社をし、浮気調査をする程度です。今日もターゲットを追跡。アディソンという男でした。

彼はスタンダード・オイル社の工場施設に逃げ込んだようで、別の私立探偵であるドニゴールにも追われていました。しかし、追い詰められたアディソンは全身から炎をだし、爆発で吹き飛びます。

ライリーは秘書のジャネット・ルイスのいる事務所に帰り、そのちょうどいいタイミングでカーメディが訪ねてきます。妻の浮気調査依頼として提示された写真の女性はどう考えてもカーメディの妻には見えません。

喫茶店でフリー・ジャーナリストのロビー・ロバートソンに会います。彼はライリーがスパイダーだと知っている数少ない人です。スパイダーが消えてから酒の密輸でこの街を牛耳るシルバーメイン(フィン・バーン)がますます勢いづいているようで、それでもライリーは復帰する気はないと言い張ります。

ライリーは例の女性を追い、ビルの最上階へ。彼女は男と取引しているようでしたが乱暴されそうだったので思わず陰ながら助けてしまいます。

翌日、ウィンストンという男が事務所に現れ、アディソンの居場所を知りたいようでした。もっと黒幕を知りたいので泳がせることにし、手を結んだドニゴールがウィンストンを車で追跡。彼のボスはシルバーメインでした。シルバーメインの屋敷を燃やしたのはアディソンのようです。

さらに例の女性が会っていたのは再選を狙うニューヨーク市長のモリスでした。ロビーいわく例の女性はアルコーヴというナイトクラブ店の人気歌手キャット・ハーディだとのこと。

そして、キャットと親しいフリント・マルコが尾行してきて、彼は異様な変異をみせ…。

この『スパイダー・ノワール』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2026/05/31に更新されています。

ここから『スパイダー・ノワール』のネタバレありの感想本文です。

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ノワール…からの怪奇ホラー

『スパイダー・ノワール』、そのタイトルどおりのノワールな世界観がたまらない一作でした。アニメ『バットマン マントの戦士』でも思いましたが、アメコミとノワールの組み合わせはいいものですね。

『スパイダー・ノワール』の舞台は、禁酒法と人種隔離の時代の渦中にいる1930年代の戦間期のニューヨーク・シティ。最近のマーベル映画はどれもニューヨークばかりが舞台で飽きてくると以前にも感想でボヤいたことがありますが、今作は時代が大きく違うせいもあって新鮮に感じました。

街の裏社会を牛耳るシルバーメインが、「私が市長を決める」と政治すら掌握できるほどに権力を増大させ、それに現市長が抵抗を画策する…。庶民はそんな政治の裏事情を知る由もなく、テレビもない時代ですけど呑気にメディアに流され、つかの間の戦争のない平穏(だと思っているもの)を過ごす…。

シルバーメインとモリス市長は権力者ではあるのですけど、双方そこまで極端なスーパーパワーを持っておらず、時代性も相まって、しっかり策を練って地味な暗躍によって相手をハメようとしているところがいいですね。大胆な駆け引きで相手を追い詰めるしかできないのですが、それがサスペンスとして恐ろしさに繋がっています。

そんな世相で、主人公のベン・ライリーはあくまで探偵業としてその闇に一歩ずつ足を踏み入れていきます。ただの浮気調査のつもりが、どんどん底なしの深みへ沈み、もはや取り返しのつかない暗部に触れていくのですが、今作の場合は主人公がその当事者であるという点が肝です。

それにしても個人的にはノワールというだけでなく、後半はここに怪奇ホラーが組み合わさってくるのがまた好みでした。モノクロで観たかいがありました。

第5話でライリーの身に何が起きたのかという…いわばおなじみの「スーパーパワーのオリジン」が描かれます。スパイダーマンと言えば「蜘蛛に噛まれる」。あまりに認知されすぎているのでMCUでは描くことを省略していましたが、今回はどうするんだと思って観ていたら、ギョッとする衝撃のシーンをお見舞いしてきます。

まさかの『仮面ライダー』とかにでてきそうな特撮怪人みたいなおどろおどろしい見た目の半分蜘蛛人間にガブっといかれるという…。あんなのに噛まれたら腕がもげそうですが…。

そして噛まれたライリーが変な動作が抑えられなくなるのも怪奇ホラー味があります。

今回、スパイダーの前に立ちはだかる能力者(メタヒューマン)も、フリント(サンドマン)レイデン(メガワット)ロニー(トゥームストーン)と、全員が特撮怪人スタイルでしたし…。

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責任は何も独りで伴わなくてもいい

その怪奇ホラーが戦争ホラーとも上手く組み合わさっていた『スパイダー・ノワール』。もっと細かく言うなら、戦後のトラウマと向き合うホラーです。

作中でも言及があった“トッド・ブラウニング”監督の映画『フリークス』(1932年)かのごとく、遺伝子結合実験で生まれた者たちの悲哀、そしてその惨劇を息子オグデンのためにさらなる非道な実験で乗り越えようと歪んだ行為に走ってしまうフェイバー博士

結局、解毒剤は精製に成功しますが、心のトラウマを完治するものではありません

本作のベン・ライリーのメインストーリーでは、そのトラウマとの向き合いをじっくり描いてくれます。

ライリーは従軍経験によるPTSDのほかに、最愛の人を失うというショックも合わさって、本作開幕時点でズタボロです。

「力が無ければ責任はともわない」と自暴自棄になりながら能力無効化にすがる終盤のライリーの姿は痛々しく、“トム・ホランド”版のピーター・パーカーや『スパイダーバース』のマイルズ・モラレスといった現代の若者なら、ここまで悲観的な心情には到達できないでしょう。

なんだか演じている“ニコラス・ケイジ”のキャリアとも重なる感じがしますね。「調子に乗ってヒーローとして祭り上げられていただけで、実は自分はそんなに凄くもないただの欠陥だらけのオッサン」だと自覚するツラさ…。

孤独な蜘蛛オッサンであるライリーに手を差し伸べるのは、傍にいてくれる仲間たちです。

探偵ベースのストーリーテリングでは、ライリーのほかに、秘書のジャネットと、記者のロビーのそれぞれのコンビネーションがとても心地よく、ちゃんとケアし合う関係性を描けていたと思います。ジャネットとロビーにもそれぞれの苦労があって、こちらの自己実現もオチがついていましたし。

そして今作にヒロインであるキャット。事実上の「ブラックキャット」ですが、今回はアジア系の表象になっています。これは“ニコラス・ケイジ”が現在は日本人と結婚しているから、アジア系女性を並べてみたのかもしれませんけども…。

でも今作のキャットのキャラクターも単なる「魔性の女」に固定化されず、中国系の女性としての苦難が滲み出る物語でした。当時、実際にアメリカで芸能の業界で活躍して有名になっていた“スー・ヨン”や“アンナ・メイ・ウォン”が参照元なのかな。

この「大いなる責任がともなうけど、その責任は独りで抱え込まず、みんなで取り組んでいいんだよ」の精神は、『スパイダーバース』や『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』でもメッセージとしてあったことですが、大の大人たちでこのテーマに描く意義はまだまだあると思いますから。

そんなこんなで『スパイダー・ノワール』は、まだまだスパイダーマンは多彩なアプローチで描ける余地があることを証明してみせました。懸念があるとすれば、今のソニー・ピクチャーズは「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(Sony’s Spider-Man Universe)」を形骸化させたばかりなので、この『スパイダー・ノワール』の成功も一発限りで終わる可能性があるということか…。

ソニーは“フィル・ロード”&“クリストファー・ミラー”をもっと信用して、クリエイターに託すぐらいの覚悟を持ってほしいですけど…。

『スパイダー・ノワール』
シネマンドレイクの個人的評価
7.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
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関連作品紹介

「スパイダーマン」関連の作品の感想記事です。

・『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

以上、『スパイダー・ノワール』の感想でした。

作品ポスター・画像 (C)Marvel スパイダーノワール スパイダーマンノワール

Spider-Noir (2026) [Japanese Review] 『スパイダー・ノワール』考察・評価レビュー
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