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『キングコング 髑髏島の巨神』感想(ネタバレ)…やっぱり怪獣映画の匂いは格別だ!

キングコング 髑髏島の巨神

やっぱり怪獣映画の匂いは格別だ!…映画『キングコング 髑髏島の巨神』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Kong: Skull Island
製作国:アメリカ(2017年)
日本公開日:2017年3月25日
監督:ジョーダン・ボート=ロバーツ
キングコング 髑髏島の巨神

きんぐこんぐ どくろじまのきょしん
キングコング 髑髏島の巨神

『キングコング 髑髏島の巨神』物語 簡単紹介

髑髏島(スカル・アイランド)と呼ばれる未知の島を調査するという目的で、学者やカメラマン、軍人からなる特別な遠征隊が派遣された。その島は単に人類が未踏というわけではない。想像を絶する存在が息づいているのだが、人間はまだ知らなかった。嵐を乗り越えてヘリで島内に立ち入った隊員たちは、手つかずの雄大な自然に目を奪われるが、その島に待ち受ける恐るべき怪物たちが出現し、阿鼻叫喚の地獄に変わる。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『キングコング 髑髏島の巨神』の感想です。

『キングコング 髑髏島の巨神』感想(ネタバレなし)

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シン・キングコングの爆誕

なにかと過去の名作のリメイクや続編が連発する昨今。2017年も『T2 トレインスポッティング』、『美女と野獣』、『ブレードランナー 2049』、『エイリアン コヴェナント』と目白押しです。

そんななかの本作キングコング 髑髏島の巨神。正直、この映画の企画を知ったときは「また、キングコング?」と辟易しました。

1933年の古典的名作『キングコング』は、実際観たことがない人でも「キングコング」という名前の怪物と、女性がキングコングにさらわれてビルの頂上に運ばれる展開はなんとなく知っているくらいの作品だと思います。ストップモーションで描かれたコングがとても生き生きとしていて今の時代でも目を見張るものがある、素晴らしい映画です。

そんな『キングコング』は、各時代の技術と新しい試みを導入するかたちで一定年数ごとにリメイクされてきました。

ジョン・ギラーミン監督の1976年版は、コングがスーツで表現されて迫力が増したと同時に、ヒロインとコングの交流という新しい要素が追加。ピーター・ジャクソン監督の2005年版は、コングがCGとなってリアリティが最高潮に達し、しかも『美女と野獣』的な愛情ともいうべき関係性をヒロインと築きます。

もうこれ以上何かすることある?と思っていたわけです、私は。あとはコングとヒロインがデキちゃうしかないじゃないか!とかいう冗談はさておき、CGもやっちゃったし、映像としてはもう発展性はないのでは…と。

でも、本作『キングコング 髑髏島の巨神』は見事やってのけました。

何をしたのか? それは純粋無垢な怪獣映画に作り変えたこと。はっきり言って、本作は「キングコング」だけど『キングコング』じゃないです。リメイクというよりは完全新作という言葉がふさわしいですね。ストーリーはオリジナルで、タイトルのとおり髑髏島だけで物語が展開します。そして、何よりも怪獣、怪獣、また怪獣の連続。ピーター・ジャクソン監督の2005年版は巨大生物がたくさんでてきてこれはこれで面白かったのですが、本作は巨大生物じゃなくて巨大怪物のテーマパーク状態。単純明快に楽しめます。

怪獣映画好きなら大歓喜間違いなし。誰とでも気軽に観に行ってテンションあげたいときにおすすめです。

なお、エンドクレジットのあとにとても重要なオマケ映像があるのでお見逃しなく。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『キングコング 髑髏島の巨神』感想(ネタバレあり)

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オタク万歳

私の感想は先に結論を言えば、作り手側の「怪獣映画、やってやるぜ!」というノリがガンガン伝わってきて、こちらも「怪獣映画、受けて立つぜ!」みたいな気持ちになりました。実に楽しい、愉快な映画で、最高です。

『キングコング 髑髏島の巨神』はレジェンダリー・ピクチャーズが展開する「モンスターバース」シリーズを構成する一作。ギャレス・エドワーズ監督のGODZILLA ゴジラ(2014年)に始まり、本作、そしてGodzilla: King of Monsters(2019年)、Godzilla vs. Kong(2020年)と続く予定です。当初は私もこの企画は大丈夫なのかと心配になりましたが、本作で不安は吹っ飛びました。想像以上の出来で、安心どころか期待値ガン上がりです。

功労者はやはり監督のジョーダン・ボート=ロバーツでしょう。彼は大作映画は本作で初の、32歳の若手。なのにこの堂々とした作品の仕上がりっぷり。凄いとしか言いようがない。彼はかなりのオタクだというのは各メディアでも伝えられているとおり。やっぱり良い映画には良いオタクが必要なんですよ。

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地獄の黙示録:キングコング版

『キングコング 髑髏島の巨神』にはさまざまなオマージュが散りばめられていますが、なんといっても『地獄の黙示録』(1979年)です。というか、本作は『地獄の黙示録』にキングコングを出しましたみたいな感じでしたね。あまりに全編が『地獄の黙示録』そのもので、びっくりしました。

何が一番『地獄の黙示録』っぽいかといえば作品全体の“ノリ”。場違いなほど軽い。例えば、人の死。序盤のコングによる“ヘリ落とし大会”も起こっている事態に対して、そこまで悲壮感はないです。その後も、仲間がバンバン死ぬのですが「よし、過ぎたことだ、次だ次」という風に景気よく進み、シリアスにはそこまでなりません。それを象徴する存在のサミュエル・L・ジャクソン演じるパッカードもいい感じの戦争狂っぷりで、ヘイトフル・エイトに続いて狂った役がハマってました。

軽いのは怪物に対してもそうです。コングの宿敵として「スカル・クローラー」と呼ばれる怪物が登場しますが、ジョン・C・ライリー演じる島で長年過ごしてきた男マーロウがおちゃらけた感じで命名するあたりとか。なんか怪獣映画自体を茶化しているのもまた、個人的に気に入っているところです。

だから、小難しいことを考えず怪獣映画として純粋に楽しめます。本作のクリーチャーは、恐竜の生き残りとか、通常の生物が巨大化した奴とか、そういうのではない。完全に異形の怪物です。コングも歴代最大に巨大化しましたし、リアリティラインは相当下がってます。これはよくある凡作だったら作品自体がチープになる危険性があるのですが、本作は潔くそこに飛び込んでいてエライなと思いました。

全体的にノリは軽いのですけど、丁寧に作ってあるので気にならない。このへんは同じレジェンダリー作品『パシフィック・リム』(2013年)でも同じことを思いました。

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アメリカも怪獣映画できるじゃないか!

ただ、『キングコング 髑髏島の巨神』はそれだけじゃないのが肝であり、ただ怪物が戦っているだけのバカ映画になっていないのが凄いところ。

わざわざベトナム戦争直後の時代に設定しているだけあって、当時の戦争に対するアメリカ風刺が効いてます。ギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』では、とくに海洋での核実験がゴジラを倒すために行われていたという歴史改変が一部日本人の反感を買い、結局アメリカ万歳じゃないかと冷めた視線も受けました。でも、これはアメリカ側を簡単に責められないなとも私は思ってて、というのもアメリカは核兵器を敵国に使われて被爆した経験はないのですから、日本人のようにゴジラに核兵器への畏怖を象徴させることなんて土台無理な話だろうなと。じゃあ、アメリカが怪獣で何かの戦争風刺をするなら、なんだろうか。その答えが本作でした。本作は日本人には作れない、まさしく“アメリカの怪獣映画”です。ついにアメリカも怪獣映画でここまで戦争風刺できるようになったというのは感慨深い…。

怪獣vs怪獣というバトルエンタメ要素と、社会風刺を両立させているという点においては、日本の『ゴジラ』シリーズより上手だと思ったくらいです。シン・ゴジラでさえ、ゴジラを出して現代日本を社会風刺するだけで精一杯だったのに…。日本は『シン・ゴジラ』で元祖の底力を見せましたが、本作でアメリカに追い抜かれた気もする。追いつ追われつの良い競争関係じゃないですか。

ジョーダン・ボート=ロバーツ監督、今後も期待しかありません。そして、エンドクレジット後の映像のとおり、「モンスターバース」シリーズの次作『Godzilla: King of Monsters』はラドン、モスラ、キングギドラがゴジラと共演。そして、『Godzilla vs. Kong』でゴジラとコングがガチバトル。

成功してほしいなぁ…。成功したら「ガメラ」もぜひお願いします。

『キングコング 髑髏島の巨神』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 75% Audience 69%
IMDb
6.6 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 8/10 ★★★★★★★★
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関連作品紹介

「モンスターバース」シリーズの続編の感想記事です。

・『ゴジラvsコング』

・『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

作品ポスター・画像 (C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

以上、『キングコング 髑髏島の巨神』の感想でした。

Kong: Skull Island (2017) [Japanese Review] 『キングコング 髑髏島の巨神』考察・評価レビュー