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『ディバイナー 戦禍に光を求めて』感想(ネタバレ)…ラッセル・クロウ初監督作はガリポリの戦いを描く

ディバイナー 戦禍に光を求めて

ラッセル・クロウ初監督作はガリポリの戦いを描く…映画『ディバイナー 戦禍に光を求めて』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Water Diviner
製作国:オーストラリア・アメリカ・トルコ(2014年)
日本公開日:2016年2月27日
監督:ラッセル・クロウ

ディバイナー 戦禍に光を求めて

でぃばいなー せんかにひかりをもとめて
ディバイナー 戦禍に光を求めて

『ディバイナー 戦禍に光を求めて』あらすじ

1919年、ガリポリの戦いから4年後のトルコ。オーストラリア人の農夫ジョシュア・コナーは、戦争で行方不明となった3人の息子を探すために、異国の地に降り立った。そこでは手がかりも少なく、何よりも見つかるという確証は絶対にない。困難を極める捜索の途上で出会った人々の助けを借り、かすかな希望を求めて彷徨うが…。

『ディバイナー 戦禍に光を求めて』感想(ネタバレなし)

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ガリポリの戦い

この人も監督する日が来たのか…。

その人とは、ニュージーランド出身でオーストラリアを代表する俳優“ラッセル・クロウ”。プライベートでは時折見せる横暴な言動がたまにきずな彼ですが、『グラディエーター』(2000年)でアカデミー主演男優賞を受賞したりと俳優としてはやる男。

そんな“ラッセル・クロウ”の初監督作品が本作『ディバイナー 戦禍に光を求めて』です。そして“ラッセル・クロウ”監督が初仕事で題材に選んだのが「ガリポリの戦い」

私は「ガリポリの戦い」についてほとんど知らなかったのですが、これは第一次世界大戦中、連合軍が同盟国側のオスマン帝国の首都イスタンブール占領を目指して、エーゲ海からマルマラ海への入り口にあたるダーダネルス海峡の西側のガリポリ半島に対して実行した上陸作戦。上陸作戦といえば、第二次世界大戦の「ノルマンディー上陸作戦」が有名ですけど、この「ガリポリの戦い」は世界初の大規模上陸作戦だったそうです。結果は、連合軍が多大な損害を出したことで撤退し、失敗に終わりました。

この「ガリポリの戦い」と“ラッセル・クロウ”、関係あるのかというと、実はあります。なぜなら“ラッセル・クロウ”の地元、オーストラリアとニュージーランドにとって「ガリポリの戦い」は本格的な戦争として初めての参戦だったから。最初の戦争がここまでの敗退というのもなんとも悲しいですね。そんなこんなで、上陸した日である4月25日は「ANZAC Day」として国民の祝日になってます。オーストラリアとニュージーランドにとって記憶に刻まれている出来事なのです。

その印象深い「ガリポリの戦い」はすでに映画化もされていて、ピーター・ウィアー監督によるメル・ギブソン主演の『誓い』(1981年)があります。

そして今回の本作『ディバイナー 戦禍に光を求めて』。またもやオーストラリア視点の作品ですが、兵士の遺族である“ラッセル・クロウ”演じる主人公が過去の激戦地に赴き、息子を探すという物語になっています。「ガリポリの戦い」も描かれますが、メインではありません。戦争アクションよりも戦後のドラマに期待してください。

製作には多くの困難があったようですが、やはり撮影は苦労の連続。オーストラリアが舞台になっている部分は物語の5分の1程度ですが、撮影ロケーションの期間としては4分の3がオーストラリアだったとか。そしてこのオーストラリアというのは街を除けば、いわゆる撮影ポイントとなる砂地は非常に過酷な環境。全ての映画スタッフにとって地獄の職場です。容赦のない暑さ(49.5度あったらしい)と予測不能な天候変化(急な土砂降りも普通)に悩まされ、撮影は何度も中断。それでやっと完成したというからには、もう作り手も感無量でしょう。

公式サイトにも書かれていますが、「撮影スタッフはタフだけど、暑さにやられているメンバーがいると、その日の撮影を断念するしかない。雨が降った時も同じだ。戦場セットが撮影不可能なほど、ひどい状態になってしまう。良くない事態ではあるけど、こういう出来事は、撮影にある種の緊張感を与えてくれる」という製作の“アンドリュー・メイソン”の言葉からも、すでに映画製作自信が物語以上の試練になっていることが窺えます。

俳優陣は“ラッセル・クロウ”の他に、『007 慰めの報酬』や『オブリビオン』のウクライナ出身の女優“オルガ・キュリレンコ”、『ダイバージェント』や『不屈の男 アンブロークン』の“ジェイ・コートニー”など。かなりのメンバーを揃えられるのも、監督の人脈と信頼ゆえですね。

労力と魂の結晶が実ったのか、『ディバイナー 戦禍に光を求めて』は、2014年のオーストラリア・アカデミー賞の作品賞を受賞しています(ちなみに2016年の受賞作は『ハクソー・リッジ』でした)。

日本人である私たちが、他国にとって重要な戦争の出来事を描いた映画を観るのは、いろいろな歴史を知るという意味でも価値あることだと思います。

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『ディバイナー 戦禍に光を求めて』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『ディバイナー 戦禍に光を求めて』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):全てを失った男の旅

1915年、第一次世界大戦中のオスマン帝国(トルコのガリポリ半島)。塹壕では多くの兵が戦闘を目前に気を張り詰めていました。そして指揮官の指示で一斉に突撃します。

ところが敵の塹壕には誰もいません。オーストラリア・ニュージーランド(ANZAC)の軍は撤退したようです。開戦から7カ月。ついに敵軍を追い払ったことに歓声をあげる兵士たち。

その4年後。オーストラリアのビクトリア州北西部。ジョシュア・コナーはダウジングで何かを探していました。目星をつけて斧で掘っていきます。かなり深く掘り進め、大きな岩もどかして、身長以上の深さになり、補強をしながら、日が暮れ始めることには深い穴ができました。そしてついに水が湧き出てきます。やり遂げて雄たけびをあげるジョシュア。

傍にいた犬に「水がでると言っただろ?」と嬉しそうに語り、家に帰ります。水浴びするのも気持ちがいいです。

家では妻リジーが息子たちに本を読んであげてと言います。「アラビアン・ナイト」の本を手に取り、ジョシュアは穏やかに物語を語ります。息子たちの3つのベッドには…誰もいません。4年前のガリポリの戦いで3人の息子を失っており、妻はそれを受け止めることができずにいました。

過去の戦闘が記憶から蘇ります。そして戦争に行く前のことも…。アーサー、エドワード、ヘンリーの息子たちはまだ元気でした。この頃は陽気に馬で駆けていたのです。子どもが幼かった頃には砂嵐を一緒に乗り越えたこともありました。

目が覚めると犬が吠えています。リジーはいません。外へでるとリジーが水場で溺れ死んでいました。慟哭するジョシュア。家族は消えてしまい、希望は失われました。

教会では信仰を捨てた自分を責められますが、妻は信仰を捨てていませんでした。今のジョシュアには神すらも無慈悲に思えます。

一方、ガリポリではトルコ軍のハーサン・ベイ少佐のもとに、かつての戦争時に放置された死体捜索のために協力してほしいというイギリス軍のシリル中佐が来ていました。土地に詳しいハーサンはその案内を引き受けます。今も戦場だった場所は荒れたままです。

そしてジョシュアもこのガリポリに足を運ぶためにイスタンブールの地に到着していました。ガリポリに行きたいのですが、軍の許可がいるようです。そうこうしているうちに荷物を現地の少年に盗られてしまいます。急いで追いかけるとアイシェという女性が経営する宿に辿り着きます。アイシェはガリポリの戦いで夫を失った未亡人でした。

過去を引きずる者同士が出会い、意外な出会いが引き寄せられ…。

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とりあえず殴るけど

“ラッセル・クロウ”監督の手腕はいかがでしたでしょうか。私なんかが偉そうに語ると“ラッセル・クロウ”にぶん殴られる気がしますが、私の感想では総合的に綺麗にまとまっていたなという印象です。

先にも書いたとおり、戦争アクションではないので、派手なシーンは抑えめですが、要所要所で起こるサスペンフルな銃撃戦や爆発の映像の迫力はじゅうぶん。とくに列車が強襲されるシークエンスの、あれよあれよという間に占領される展開は見ごたえがありました。最初はドラマがかなりの比重を占めているのかなと身構えていたのですが、案外とインパクトのある展開も用意していましたね。

どう考えたってもこれが初監督の人の手がけた作品には見えないほどの堂々の貫禄。そりゃあ、キャストが「これが監督10本目かのような監督ぶりだった」と言うほどのことはある。“ラッセル・クロウ”ただものじゃないです。

ストーリーも、『ディバイナー 戦禍に光を求めて』は実話をもとに脚本が書かれたそうですが、映画的な脚色も上手く合わせながらドラマチックに見せており、さすが映画界で百戦錬磨に鍛え上げられてきた“ラッセル・クロウ”だけはあります。知り合いがピンチに陥ったとき、主人公のジョシュアがたいていぶん殴って危機を脱するのは、なんか笑っちゃいましたが…。まあ、“ラッセル・クロウ”らしいですよね。未亡人アイシェを演じた“オルガ・キュリレンコ”はさすがで言うことなしです。

『ディバイナー 戦禍に光を求めて』には批判もあるようで、それはオスマン帝国によるギリシャ人虐殺やアルメニア人虐殺について触れずにトルコを美化しているというもの。確かに本作ではオーストラリア&トルコ合作映画なだけあって、ギリシャ軍が悪く描かれすぎな気もしますが…。でもどうしてもどこかに視点を定める以上、戦争を網羅的なフルカバーで扱うのは難しいので、これが妥協的ではあるのか。

ただ、個人的にはそれよりも話が全体的に甘いほうが気になります。主人公のジョシュアの周りの人間は、イギリス軍やトルコ軍の人も含めて、結局都合の良いように協力してくれるんですよね。二人の息子は亡くなりましたが、長男アーサーは川下りで無事脱出し、めでたしめでたしですし…。

もう少し当時の戦争への批評的視点が欲しかったところです。オーストラリア人は深く満喫できるでしょうが、やはり国際的なメッセージ性を発揮するとなると別。あらためて戦争を題材にすることの難しさも痛感します。

ともあれ“ラッセル・クロウ”の見事な仕事っぷり。本人も地元に貢献できて、映画人の冥利に尽きるのではないでしょうか。

『ディバイナー 戦禍に光を求めて』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 61% Audience 60%
IMDb
7.1 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 6/10 ★★★★★★
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関連作品紹介

ラッセル・クロウ出演の映画の感想記事です。

・『ある少年の告白』

・『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』

・『ナイスガイズ!』

作品ポスター・画像 (C)2014 DIVINER HOLDINGS PTY LTD, RATPAC ENTERTAINMENT LLC, NETWORK INVESTMENT HOLDINGS LIMITED, SEVEN NETWORK (OPERATIONS) LIMITED AND MEGISTE FILMS PTY LIMITED

以上、『ディバイナー 戦禍に光を求めて』の感想でした。

The Water Diviner (2014) [Japanese Review] 『ディバイナー 戦禍に光を求めて』考察・評価レビュー

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