ゴリラ・ウォーズ開戦…映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。
製作国:アメリカ(2018年)
日本公開日:2018年5月18日
監督:ブラッド・ペイトン
ランペイジ 巨獣大乱闘
らんぺいじ きょじゅうだいらんとう
『ランペイジ 巨獣大乱闘』あらすじ
ある遺伝子実験の失敗によって巨大化し、凶暴化してしまったゴリラ、オオカミ、ワニなどの動物たち。巨大化が止まらず怪獣と化した動物たちは、破壊活動を続けながら北米大陸を横断し、高層ビルがそびえ立つ市街地で大乱闘を繰り広げる。人びとが逃げ惑う中、軍隊が仕かけるあらゆる攻撃も怪獣たちには歯が立たず、次々と街が破壊されていくが…。
『ランペイジ 巨獣大乱闘』感想(ネタバレなし)
みんな、デカイ!
もうなんというか、映画企画そのものが全力で「これはネタです!」と振り切っている作品ってありますよね。そういうのを見ると「なんでこれが企画、通ったのだろう」と不思議でならないです。映画の企画って簡単じゃないはずだけどなぁ…。
そんなことを考えてしまうトンデモ映画が本作『ランペイジ 巨獣大乱闘』です。
予告動画を見てもらえばわかるように、巨大ゴリラと巨大オオカミと巨大ワニがバトルします。はい、以上です。本当に邦題のとおり大乱闘しているだけです。
またモンスター映画を連発しているレジェンダリー・ピクチャーズか…と思ったら、製作会社は違いました。まあ、もろに今度やる予定の『Godzilla vs. Kong』と被るしね…。
なんでも1986年に発売されたアーケードゲーム「RAMPAGE」を実写映画化したものらしいです。つまり、あれです。「戦艦が簡単に沈むか!」でおなじみの『バトルシップ』と同じカテゴリですね。なぜこれを映画化しようと思ったのか…他にネタあったでしょうに…。ちなみに原題の「rampage」という単語は「暴れまわる」という意味ですので、邦題は「暴れろ 巨獣大乱闘」みたいなニュアンスになります。凄いバカっぽい…。
しかし、本作はただのモンスター映画ではなく、ここに“ドウェイン・ジョンソン”が加わることでただでさえ盛り込み過ぎなのにさらなるカオス感を発揮しています。人間側にもモンスターがいるんですから。「暴れろ 巨獣&大男大乱闘」ですよ。
監督は同じく“ドウェイン・ジョンソン”が大暴れして災害が霞んで見えた『カリフォルニア・ダウン』を手がけた“ブラッド・ペイトン”。この人、本作と『カリフォルニア・ダウン』の間に『ドクター・エクソシスト』っていう映画も監督しているんですね。知らなかった…。
本作では日本の宣伝が面白いのも特徴。とくに公式ウェブサイトに掲載されているコメントがユニークで、いつもどおり著名人の他に、なぜか「ゆるキャラ」にもコメントさせています。案の定、観終わったあと大きくなった気がするとのたまう「ちぃたん☆」、生まれて初めて映画を見たと凄い初体験を報告する「アンドレザ・ジャイアントパンダ」、納豆のことしか考えていない「ねば~る君」、号泣したと言っているけどお前は表情が変わらないだろうとツッコミたい「オカザえもん」、そしてお前は本作の怪獣以上の突然変異を遂げているじゃないかという「メロン熊」と、全員ゆるすぎます。さらに、水族館&動物園の飼育員もコメントしているのですが、自分の担当している動物が巨大化したらどうしようという不安が書かれているのが職業らしいですね。
とにかく大味なのは言うまでもないです。脳みそは家に置いて、劇場に来てください。
『ランペイジ 巨獣大乱闘』感想(ネタバレあり)
ドウェイン・ジョンソン(霊長類学者)
冒頭、いきなりの宇宙ステーションでびっくりしましたが、もうひとしきり何かが大暴れした後。生き残った女性が地球に向けて脱出するも爆発。なぜか実験サンプルだけは燃え尽きずに地球に降ってきて…。
そして、舞台は変わってジャングル、動物園。慣れてなさそうな新米スタッフを案内するゴリラ…じゃなくて“ドウェイン・ジョンソン”。そこに現れたのは“ドウェイン・ジョンソン”の家族…ではなくてゴリラの家族。そこへ白い“ドウェイン・ジョンソン”…違った、白いゴリラが登場(しつこい)。いや、でも対等な存在感ありますよね。“ドウェイン・ジョンソン”演じるデイビスと、白いゴリラのジョージが手話で会話していても違和感がないです。一応、設定上はデイビスは霊長類学者なんですけど、こんな科学者いてたまるか。
でも、あんまり学者らしいことはしておらず、いつもの肉弾戦法が多めでしたけど。具体的には軍人を倒し、軍のヘリを奪ったり、撃たれてもわりと平気だったり、乗っているヘリが墜落しても大丈夫だったり…まあ、その程度ですよ。誰かデイビスにも遺伝子改造を施しました?
というか、絶対に“ドウェイン・ジョンソン”が巨大化するんじゃないかと心の中で少し思った人はいるでしょう。私も期待していたのだけどな…(ええぇ…)。
そして“ドウェイン・ジョンソン”とご都合主義展開はセットでやってくるという決まりがあるので、映画の展開は非常に大雑把。デイビスが強すぎる問題はもちろん、巨大ワニにデイビスとジョージが大苦戦する終盤、わりと綺麗で無事に機能するミサイルを、しかもまだ撃ってもいないアパッチ攻撃ヘリが偶然そばで発見!というくだりはもうね…。
ここは『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』みたいにゲームの中なんだと思うことで強引に納得しました。
小学生が考えた設定かな?
そして、そんな化け物クラスの人類最強のデイビスと双璧をなすモンスターたち。
こいつ等に関しては科学的なツッコミはなしでいきます。だって、サメの成長が止まらない遺伝子、シロナガスクジラの成長率、カブトムシの強靭さ、チーターのスピード、トゲマウスの細胞修復能力を組み合わせて遺伝子改造したら巨大生物になりました…という小学生が考えたみたいな設定なんですから。
個人的には巨大オオカミのラルフが一番お気に入り。ムササビのように飛べる飛膜での身のこなしとか、なかなか他の怪獣にはないスタイリッシュさですよね。残念なことにあっさりやられてしまったのがもったいない。もっとこう応戦できなかったものか…。
巨大ワニのリジーは、そんなに歯は必要ないだろうというくらいの盛りすぎなビジュアルに対して、ワニなのに水中戦をしてくれなかったのが残念。予算不足かな…。なんか全身が初登場するシーンはどこかで見たことがあると思ったら、あれだ、『ジュラシック・ワールド』のモササウルスだ。
巨大ゴリラのジョージは、普通にゴリラすぎましたね。なんか特別な能力でも隠しているのかと思ったのに…。手話で下品なジェスチャーできるだけか…(可愛いけど)。これだと完全に「キングコング」なんだけど、そこをあえて避けようみたいな配慮は一切ない製作陣が凄いですよ。
これらの巨大生物が、例えば光線を吐くみたいな明らかにSF上オーバーなことはせずに、ちゃんと動物的な肉弾戦をしてくれたのは良かったですが、せっかく遺伝子改造生物ならもっと複合的な動物の能力を独自に見せてほしかったし、市街地戦でもさらに巨大化し続けるとなおさらテンション上がったのに…といろいろ不満も出てくるんです。すみません、怪獣オタクの戯言です。
いや、でもほら、次はドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムとヴィン・ディーゼルとブルース・ウィリスが巨大化して街で大バトルを繰り広げる「ランペイジ2 巨大男大乱闘」を期待してますから、頑張ってください、“ブラッド・ペイトン”監督。
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 51% Audience 71%
IMDb
6.1 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 6/10 ★★★★★★
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
以上、『ランペイジ 巨獣大乱闘』の感想でした。
Rampage (2018) [Japanese Review] 『ランペイジ 巨獣大乱闘』考察・評価レビュー