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『スペクトル』感想(ネタバレ)…戦場でもゴーストをバスターズ!

スペクトル

戦場でもゴーストをバスターズ!…Netflix映画『スペクトル』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Spectral
製作国:アメリカ(2016年)
日本では劇場未公開:2016年にNetflixで配信
監督:ニック・マチュー

スペクトル

すぺくとる
スペクトル

『スペクトル』あらすじ

東欧のモルドバで、市民と反乱軍らが共に混乱状態へと陥っていたなか、アメリカ陸軍特殊部隊の軍曹が正体不明の敵に襲われ死亡する事態が起きる。兵士が装着していたゴーグルには「何か」が映っていた。このような不可解な事態を解明するため、国防高等研究計画局から科学者のクライン博士が派遣される。

『スペクトル』感想(ネタバレなし)

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敵は見えない奴ら

幽霊が見えるようになるメガネが開発されたら需要はあるのでしょうか。正直、邪魔以外のなにものでもない気がしますが、好奇心はそそられます。でも、世の中には幽霊を探知するアプリとかが存在するらしいですね。普通にアプリストアで配信されています。利用したことがないのでアレですが、そういうのが実際にダウンロードできるようになっているあたり、やっぱり少なからず需要はあるんでしょうね(なお、それらアプリを推奨するものではありません。それで個人情報が盗まれたり、スマホが故障しても、知りません。それは幽霊のせいではなく、あなたの迂闊さです)。

まあ、そんな怪しげなアプリをインストールするくらいな、幽霊が見えるようになって大変な目に遭う映画でも観ましょう。そんなときに本作『スペクトル』は、ピッタリな一本になるかもしれません。

本作は、現代に限りなく近い“近未来”の戦場を舞台にしたミリタリーSF。最近では「コール オブ デューティ」のような戦争ゲームでは定番の世界観です。武器や装備が若干ちょっと先進的技術が応用されているみたいな感じです。

ある日、兵士が戦場で次々と不審な死をとげる事件が立て続けに発生。兵士が装着していたハイテク・ゴーグルには、半透明の人影のような謎の何かが映っていました。これは敵が密かに開発していた最新の迷彩技術だと言うCIA。一方では、地元住民は亡霊だと言います。一体、その正体は? そして、立ち向かう手段はあるのか? …こんな内容です。まあ、簡単に言っちゃえば、戦争版『ゴーストバスターズ』みたいなものです。

今年の映画も名作・傑作盛りだくさんでしたが、あまり超大作ド派手映画や硬派な社会ドラマ映画ばかり観ていると疲れてくるんですよね。スナック感覚で、肩の力を抜いて気楽に観れる映画が欲しくなるときもあります。一方でチープすぎる作品は観たくはない。そういうときに本作はベストです。

本作の制作は、『パシフィック・リム』やギャレス・エドワーズ版『GODZILLA ゴジラ』などを送り出してきて、来年は『キングコング: 髑髏島の巨神』も控える、怪獣映画の印象が強い「レジェンダリー・ピクチャーズ」。なので非常に迫力はありますし、映像の作りもしっかりしています。

もともとレジェンダリー・ピクチャーズとユニバーサル・ピクチャーズで製作していて、おそらく劇場公開を考えていたのでしょうが、途中でNetflixに売られてしまいました。映画館で公開するほどではないという判断だったのでしょうか。

監督の“ニック・マチュー”は本作がデビュー作のようです。この人物、調べましたけど、他の映画関連のキャリアは目立ったものが見当たらないのでした。それも不確定要素として、劇場公開をためらった理由なのかな。

脚本は『ボーン・アルティメイタム』の“ジョージ・ノルフィ”ら、音楽は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『デッドプール』でおなじみの“ジャンキー・XL”です。

本作『スペクトル』はNetflixオリジナル作品。なので、すでにNetflixを利用している人はすぐに観れますし、Netflix未登録の人でも無料お試し期間が1か月あるのでタダで観れます。この年末・正月ののんびりしたい時期に映画館に足を運ぶのはめんどくさいですから。ゆっくり家で観ましょう。

日本語吹き替え あり
勝杏里(クライン)/ 御沓優子(フラン)/ 相沢まさき(オーランド)/ 三宅健太(セッションズ)/ 烏丸祐一(カブレラ)/ 落合佑介(アレッシオ)/ 荒井勇樹(トール) ほか
参照:本編クレジット
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『スペクトル』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『スペクトル』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):解明してほしい

デイビス軍曹は部隊から逸れて孤立していました。夜間の戦場ではいつ襲われてもおかしくありません。応援の到着はまだです。デイビスはひとりで前進します。

建物内には死体が転がっており、緊張が高まります。そしてスコープに変なものが映ります。それは白いモヤのような、人のような…。肉眼では確認できませんが、スコープ越しには映っています。そしてデイビスはその何かに襲われ…。

国防高等研究計画局(DARPA)ではクライン博士が研究をしていました。今、開発しているのは水などを一瞬で蒸発させたり、凍らせたりするような技術。敵のダムなどを機能不全にする目的に作ったものですが、軍上層部は人体への攻撃に転用できないか模索しようとしているようで、クラインは気が乗りません。

そんなある日、モルドバの戦場で問題が起きたので来てほしいと言われます。なんでも開発したハイパースペクトル・ゴーグルで“何か”が見えるとか…。

オーランド中将が現地で出迎えてくれます。モルドバは独立したばかりで、旧政府軍の反乱軍によって治安は悪化。戦火は激しくなっているようです。兵士になら対処できる。しかし、例のゴーグルに映ったもの、それはどう対処すればいいのかわからない、未知の相手でした。

科学的な説明が欲しいとさっそく映像を見せてくれます。そこに映っていたのは普通の戦場の風景。しかし、そこに白いモヤ、白い人のようなものが確かに映っているのです。

次にCIAの機密情報隔離施設に連れていかれます。デイビスという兵士の映像らしく、そこにはあの白い“何か”に襲われる瞬間が…。精鋭の兵士を一瞬で殺したこれは何なのか。殺された兵士の体内は凍り付いており、検死でも原因はわかりません。

現地ではこの存在を幽霊とみなし、「アラタレ」と呼んでいるとのこと。

CIAはクローキング技術のような迷彩だと予想しているようですが、にわかには信じられません。クライン博士は確実な分析のために鮮明な映像が欲しいと要求。さらに高精度なカメラを持ってきたので、このカメラを的確に操作できるのは自分だけであり、自ら任務に同行することにします。

兵士たちは装甲車の武器を外してカメラを装着するクラインに不満たっぷりですが、カブレラ大尉がフォローしてくれます。セッションズ少佐は「戦場にいったことはあるのか」と厳しい声をかけてきます。

こうして戦場に繰り出すことに…。

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科学では解明できないこともある!

『スペクトル』、前半は普通に面白かったです。

映像は先にも言ったように、普通の現代戦争映画として遜色ないくらいの作りこみ。もちろん予算の問題もあるのか室内戦が主でしたが、謎の相手との戦闘は緊迫感あり。

そもそも現代戦争映画が地味な絵がどうしても多くなりがち。基本は室内で制圧を繰り返すだけのルーチンワークになってしまいますし、どこかで見たような絵面の連続になるのも無理はない。それでも謎の見えない襲撃者に部隊は半壊して、鉄くずが苦手だと判明するまで、映像も作り込まれていたし、ほどよいサスペンスの持続でした。だから“近未来”の戦場を舞台にしたミリタリーSFが、ゲームでも映画でも求められるのでしょうね。

戦闘もただのテクノロジーや軍事力によるごり押しではないのが良いポイント。鉄くず×ヘリの合体技は個人的に好きですし、なかなか見たことのない荒業でした。

ところが、後半からこの映画の雑さが“見える”…というか、そこらじゅうで花火大会でもしているかのような暴れっぷりです。

説明しているようで何の説明にもなっていない感じが、「あっ、映画製作陣も諦めたな…」という…。なんで急に後半に失速したのかは謎ですが、映画のバランスがどんどんトンデモ方向に突っ走っていきます。あれっ、お~い、どっちいくんだ、お前ーっ!

肝心の謎の襲撃者の正体ですが、「ボース=アインシュタイン凝縮」って何?と普通の人はまず思うところであり、物理学にそこまで詳しくない私もさっぱりです。

Wiikipediaによれば、こんな説明が…。

ボース=アインシュタイン凝縮は、外部ポテンシャルによって閉じ込められた弱く結合しているボース粒子の希薄気体が絶対零度近くの低温まで冷やされたときに生じる。そのような条件下では、多数のボース粒子からなる集団は外部ポテンシャルの最低の量子状態を取る。このとき、個々の粒子の微視的な量子状態の効果が巨視的なスケールの粒子集団の凝縮現象として発現する。

うん、やっぱりわからないですね。

仮にボース=アインシュタイン凝縮で説明できたとして、観客が求めているのはそんな理屈ではないので、あまり本作の評価につながらない気もするのですけど、そこは気にしてはいけないのか。たぶん製作者はこれが必要だと判断するなにか確信があったのでしょう。わからないけど。

劇中では用語を出すだけで観客にわかりやすく説明しようという気はゼロ。そこからさらに、人間を分子レベルでエックススキャンしてそのデータで量産しているんだ!ときて、あげくに本物の人間の脳神経で遠隔操作している!という衝撃の事実が。ナチスもびっくりのトンデモ・サイエンス!

ただ、それに対する主人公のクラインの言葉のほうが衝撃でした。「科学では解明できないこともある」ですよ。いや、そこは科学的な理屈は放棄するのか…。解明しておかないと誰にせよ悪用されたらどうするのとか、いろいろツッコミが頭に浮かぶけど、口にするのもアホらしいので消えていきました…。

クラインは、序盤でCIAや軍に検証することの重要性を主張していたのに、この様変わり。オデッセイのマーク・ワトニーが聞いたら激怒するに違いない。後半の発電所での戦闘はもろに『ゴーストバスターズ』ですが、『ゴーストバスターズ』はまだ科学への信念があったのに…。

でも、私はこういうラストで思いっきり丸投げしちゃう映画、嫌いになれない。ポンコツっぷりが逆に愛おしい。まあ、これが大作映画だったら不快なんですけど。だから、スナック感覚で肩の力を抜いて気楽に観れる映画はたまにはいいんです。絶賛しなくても酷評しなくてもいいとこっちも開き直れますから。

きっとドント・ブリーズのあの盲目老人なら、このボース=アインシュタインうんたら集団も楽々倒せるんでしょうね…。

いいですか、幽霊アプリを信じている皆さん、それはボース=アインシュタイン凝縮なんですよ(知った風に)。

『スペクトル』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 75% Audience 52%
IMDb
6.3 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 5/10 ★★★★★

作品ポスター・画像 ©Netflix

以上、『スペクトル』の感想でした。

Spectral (2016) [Japanese Review] 『スペクトル』考察・評価レビュー

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