ならこっちからお邪魔しますよ…「Netflix」映画『猛襲』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ・オーストラリア(2026年)
日本では劇場未公開:2026年にNetflixで配信
監督:トミー・ウィルコラ
自然災害描写(津波)
もうしゅう

『猛襲』物語 簡単紹介
『猛襲』感想(ネタバレなし)
『パニック・マーケット2026』!?
新年度、新学期、ピカピカの1年生が外を歩いている季節になりました。
でもとくに外は危険がいっぱいですので、安全第一です。「もしかしたら」の思考でいつも警戒するのが大切。
もしかしたら…自転車に乗った人が「青切符なんて知らん!」とばかりに歩道を爆走してくるかもしれない…。
もしかしたら…内閣府の公用車が赤信号を無視して時速約130kmで交差点に突っ込んでくるかもしれない…。
もしかしたら…突然の洪水で街が水没し、さらにサメが泳いで来訪してくるかもしれない…。
今回紹介するアメリカの映画は、上記の3番目の出来事が起きる作品です。はい、サメが街を泳ぎます。
それが本作『猛襲』。
英題は「Thrash」なのですが、英語でもタイトルは企画段階で二転三転したらしく、あまりタイトルに愛着はなさそうな感じがなんとも…。邦題ですらそのタイトルへのいい加減な態度が表れているようじゃないですか…。
内容はさっきも説明したとおり。ハリケーンで街が水没する中、サメも襲ってくるという、ディザスターパニックとアニマルパニックの合わせ技ですね。
コンセプトとしては『クロール 凶暴領域』とほぼ同じで、あちらはワニだったのが、こっちはサメになっているだけです。
というか2012年の『パニック・マーケット』と丸被りじゃないか!?と、内容を聞いたときは私も思ったのですけど、どういう企画の意図だったのかはよくわかりません。今回はマーケットじゃなくて普通の民家なので、違いはでているとは言えるけれども…。
監督&脚本として『猛襲』を手がけたのは、ノルウェー出身で、『バイオレント・ナイト』や『スペルマゲドン 精なる大冒険』など、自由奔放な“トミー・ウィルコラ”。暴力サンタから大冒険精子ときて、次はオーソドックスなサメ映画か…。
ただ、“トミー・ウィルコラ”に加え、製作には“アダム・マッケイ”の名も連なっており、そこから察せられるとおり、だいぶブラックユーモアに振り切っています。表面上はシリアスなジャンル映画を装いつつ、「はい、笑ってください」と言わんばかりの空気が流れます。
だからなのか、作中で人が死にまくるわりにはあまり悲しくないです。ツッコミながら観ることになります。
『猛襲』で主演するのは、ドラマ『ブリジャートン家』や映画『Fair Play フェアプレー』の“フィービー・ディネヴァー”。サメ映画は初ですね。サメ映画にでたからと言ってキャリアにメリットがあるかは知りませんが…。
共演は、2021年からのドラマ『ゴシップガール』の“ウィットニー・ピーク”、 『REBEL MOON』シリーズの“ジャイモン・フンスー”、『トゥルー・スピリット』の“ステイシー・クラウセン”など。
『猛襲』は「Netflix(ネットフリックス)」で独占配信中。今、自分の住んでいる地域で避難指示がでていないかを確認した後、ゆっくりお楽しみください。
『猛襲』を観る前のQ&A
A:Netflixでオリジナル映画として2026年4月10日から配信中です。
鑑賞の案内チェック
| 基本 | 水害の描写があります。 |
| キッズ | 人が残酷に死ぬシーンが多いです。 |
『猛襲』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
「今回のハリケーン・ヘンリーはとくに危険です」と盛んに報道が流れ、高潮が予想されているサウスカロライナ州アニービル。海沿いの街なので、当然のように避難する指示がでていました。
雨が降りしきる中、住宅地のひとつに住むダコタ・エドワーズは家で呑気に過ごしていました。しかし、友人に電話をするとどうやらみんな避難をし始めているらしいです。ただの雨じゃないかと思っていましたが、事態の深刻さにだんだん気づいてきます。
とりあえず食料を買おうとスーパーに向かいますが、ダコタは外に一歩でも出ると不安に襲われます。レインコートを着てサイレンなどの物音にびくびくしていると、親切な人から今すぐに街を出るべきだと助言されます。
母が亡くなってからというもの何かとひとりで孤立していました。今回も支援の手を振り払って、またも家に閉じこもってしまいます。
一方、別の場所、ロン、ディー、ウィルの3人の兄妹弟は外でずぶ濡れになりながら水遊びをしていました。何をやっているんだと里親のビリー・オルセンに怒られ、反抗的な態度のまま、一応は従います。
さらに別の場所、リサ・フィールズは職場から離れて帰るところでした。風が強まる中、車内で母と通話。リサは妊婦ですが、お腹の子の父は愛想のない男であり、今はリサひとりでなんとかするしかありません。母は「水中出産なんてどう?」とお節介です。車からはみんな大慌てで避難している光景がみられ、道路も閉鎖されたと知り、状況の深刻さをこちらもやっと実感します。
そんな中、少し離れた港にいた海洋生物研究者のデイル・エドワーズは、調査船の前で今回のハリケーンはカテゴリーで評価すると最大級のものになるらしいと仲間のブライアンから報告を受けます。思わず姪のダコタに電話。彼女は強がっていますが、寂しそうです。「引きこもっていてもダメだ」と優しく諭します。
家で大人しくテレビを見ていたダコタはニュースで「カテゴリー5となりました」と報じられていましたが、それを切り替え、母とのホームビデオを流して思い出に浸ります。外を見ることもしません。
また、ロン、ディー、ウィルの里親は「どうせただの雨だ」とハリケーンのニュースをデタラメ扱いにしていました。家に籠って外を気にもしません。
そして、ついにハリケーンが上陸。家が吹き飛ぶほどの暴風が吹き荒れます。そのうえ、高潮が重なり、海水が堤防をあっという間に乗り越え、街に押し寄せてきました。
その水の勢いだけでも民家を破壊するのにじゅうぶんですが、加えて、ある生き物が海からやってきていました。街が水没したことで、行動範囲が大幅に上がった…その生き物はサメで…。
映画からも事前注意喚起がでます
映画『猛襲』はサメも呆れるぐらいに、型どおりの人間キャラクター設定のバーゲンセールでした。たぶんサメたちも心の中ではツッコんでいたでしょう。「おい! このプロットの登場人物、ベタすぎるだろ!」と…。
まず第一、あれだけ避難指示がでているのに避難しなかったのがこの映画の主人公たちですよ。もちろんそれぞれの避難ができない事情は一応は描かれていたものの、避難するチャンスがあったにもかかわらず、それを自ら棒に振っているので、ほぼ自業自得。観客としてはこの人物たちに同情の余地はありません。
というか、この映画はそれをわざとやっており、意図的に「自業自得なキャラクター」を主人公にします!と開幕で宣言しています。
本作の主人公は誰かを助けるために自己犠牲の精神で危険な被災地に乗り込む人間でもない…。本当にただの見通しの甘かった人たちです。
こういう設定にすることで「いいですか、観客の皆さん。これはコメディなので、あまりこのキャラクターたちに真剣に感情移入しないでください。これから死んじゃったとしても笑っていいですよ」と、注意喚起してくれている…。これはこの映画からの事前警報みたいなもんです。
じゃあ、ひとりひとりツッコんでいこうか…。他に感想で書くこともないからね…。
最初はダコタ。彼女はフィクションにありがちな典型的な広場恐怖症の描写で、それだけ不安症ならまずは災害を不安がらないのか?って感じではあるのですけど、「家の外に出ない」というプロット上のシチュエーションを成立するための都合のいい設定でしかないので、そんなものです。
母の死とか、なんだか同情しうる要素をチラつかせるわりには、そのあたりは一切ほじくられることはありません。
ダコタというキャラクターに課せられるミッションは「外に出る」。ほぼそれだけです。リサを救出できただけで役目は果たせました。あとはこれと言って活躍の真価が発揮はされません。もう実質、出番はないです。
リサが車の中に閉じ込められ、親切な通りかかった男2人がどんどんサメに襲われていく姿を「サメがいます!」という発言だけでほとんど傍観しているシーン。観客のこっち側としては、その無意味な光景をさらに傍観することになるので、「何をみせられてるんだ」感が半端ないです。スリルも冷めてしまう他人事さではあった…。
サメ映画で出産ドタバタ劇
次はロン、ディー、ウィルの3人。こちらは『猛襲』の中ではギャグの度合いが一気に高めになっており、たくさん笑わせてくれます。
嫌な里親に育てられる不幸な境遇ながら、でもこちらもこちらで3バカみたいなトリオの子。こんな子たちでもこの未曽有の事態に対処できるのか!という悪趣味な実験映像を見ている気分です。
あの里親男女が外でサメに襲われている風景を、トリオが大きな窓越しに眺めるしかできない絵面のバカっぽさが抜きん出ていますよね。半分水没していることもあって、なんだか水族館で飼育員が水生動物に襲われているのを見物している感じになってる…。
そこからの里親のビリーがてっきりサメに襲われて死んだと思ったら、なぜか水没した家の水中から絶妙なタイミングで飛び出してくるとか、狙いすぎなギャグなんだけど、悔しいかな面白い…(ビリーはずっと水中に潜って移動してたの? カエルなの?)。
無事に肉ダイナマイトで猛襲してくるサメを爆散させて、トリオのパートは微笑ましくていいですね。正直、このトリオだけを主役にして映画を作ってほしかったところまである…。絶対、あのラストの後もずっとマヌケなことをいっぱいやらかしてくれるに違いない…。
そして、最後はリサ編。このリサに関しては終始「何がしたいんだよ!」という観客の呆れパラメーターを常に上限突破させるかのごとく、あらゆる手で煽るような言動をしてきます。
女性が出産することを何ひとつ「良きこと」として神秘化することもなく、ひたすらにギャグ化していくこのあられもなさ。ここまでくると清々しいです。
出産という普通だったら最もエモーショナルなシーンで、あの楽曲プレイリストを流しだすくだりの、家倒壊によるステージ・ツッコミとか、ここまで出産ドタバタ劇に徹したサメ映画は初かもしれない…。
リサとダコタが揃うと完全に人間側のツッコミ役が不在なので、観客が内心で「おいおい!」って言う以外だと、環境シチュエーションそのものがツッコミ役にまわるしかないんです。サメだって食べる気も失せますよ。
あと、わりと本作の真面目枠であるデイルも、カバの会話のシーンはしっかりギャグを挟んできていて、絶対にどこかで笑いをとることにしているこの映画の姿勢が垣間見えました。
こんな感じでアホな人間たちが主役の映画であり、サメ自体は舞台装置でしかなく、主役としての存在感はだいぶ薄いです。サメ映画ですけど、サメ主体の映画ではありません。そういう意味では、サメの活躍に期待していると、若干、期待外れに終わる映画だったと思います。
まあ、ちょっと最近はすっかり低予算サメ映画界隈ではサメを特殊化させて名物にするのが定番化しすぎて見慣れてしまったので、本作で今さら普通のサメを目にして少し拍子抜けするところはあったのは否めないかも。ハリケーンが起きたのに、ただ泳いでくるサメなんて…っていう感覚(私がおかしくなってる)。
全体的に『猛襲』は、要所要所は面白さが振り切るところはあったのですけど、『セーヌ川の水面の下に』ぐらいのネタに振り切ったシリアスを装った変なサメ映画にもなりきれず、やや中途半端だったかなというのが私の感想です。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
以上、『猛襲』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)Netflix スラッシュ
Thrash (2026) [Japanese Review] 『猛襲』考察・評価レビュー
#アメリカ映画2026年 #トミーウィルコラ #フィービーディネヴァー #ウィットニーピーク #ジャイモンフンスー #ステイシークラウセン #アニマルパニック #サメ #ディザスターパニック #洪水 #ハリケーン



