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『ワイルド・スピード ジェットブレイク』感想(ネタバレ)…ファスト映画もブチ抜け!

ワイルド・スピード ジェットブレイク

真のファスト映画を名乗れるのはこの男だけ!…映画『ワイルドスピード ジェットブレイク』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:F9(Fast & Furious 9)
製作国:アメリカ(2021年)
日本公開日:2021年8月6日
監督:ジャスティン・リン

ワイルド・スピード ジェットブレイク

わいるどすぴーど じぇっとぶれいく
ワイルド・スピード ジェットブレイク

『ワイルド・スピード ジェットブレイク』あらすじ

パートナーのレティや幼い息子ブライアンの3人家族で平穏に暮らしていたドミニクのもとにかつての仲間が駆け付ける。確保したはずの因縁の敵が何者かに捕まった。しかも、その影にいたのはドミニクの実の弟ジェイコブだった。封じていた父子の記憶が蘇る。その因果はファミリーを窮地に追い込んでいき、世界を揺るがす陰謀を阻止するため、凄腕の殺し屋で超一流の運転技術を持つジェイコブとの戦いへと突入する。

『ワイルド・スピード ジェットブレイク』感想(ネタバレなし)

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ファストすぎる映画

「ファスト映画」などと名乗って我が物顔で映画を私物化している人がいるらしいですけど、きっとこの男ならそれを断固として許さないでしょう。いや、「ファスト」を掲げていいのはこの俺だけだ!…くらいは豪語するかもしれません。

その男とは「Fast & Furious」に始まる通称「The Fast Saga(ファスト・サーガ)」を大成功に導き、映画業界の利益を常に考えている、“ヴィン・ディーゼル”。2020年の初めに新型コロナウイルスのパンデミックが世界に拡大し始めた初期、どこよりも早くこの最新作『ワイルド・スピード ジェットブレイク』の公開延期を、しかも1年という大胆な延期を決定。結果、それは正しかったわけです。やはりこの決断力、只者じゃない…。

そんな「ワイルド・スピード」シリーズもいつのまにやら9作目(スピンオフ映画を入れると10作目)です。海外では大絶賛の邦題はさておき、英語タイトルは今回は「F9」。なんかのスマホの機種名みたい…。

ちょっとシリーズを思い出してみても「とりあえず車が爆走していたな…」くらいしか漠然と浮かんでこないかもしれません。

そこで私がファスト映画よりも超簡単にナンバリングのシリーズ作品をおさらいしておきますね。

1作目『ワイルド・スピード』(2001年)。ストリート・レースでヤンチャしていたドミニク・トレットはブライアン・オコナーと運転勝負していたけど、実は彼は潜入捜査の警官。でも友情が勝る。妹のミアもブライアンに夢中で、最後は警察やめて車でもぶっ飛ばそうぜとこっちの世界に最速招待。めでたしめでたし。

2作目『ワイルド・スピードX2』(2003年)。すっかりストリート・レーサーになっていたブライアンはヤバイ状況になり、旧友のローマン・ピアースと事態を打破するべくまたも潜入捜査。日産スカイラインを派手に酷使しながらも、ドミニクから学んだスーパードライビングで犯罪歴も綺麗さっぱり置き去りに。めでたしめでたし。

3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006年)。東京に引っ越ししてきた車大好きアメリカ高校生ショーン・ボズウェル。トウィンキーと出会って日本のやべぇドリフトを体験。ハンというイカした男の助けを借りるもハンはレース中の爆発事故で死亡。ヤクザを倒せてとりあえず日本のヒーローに。めでたしめでたし。

4作目『ワイルド・スピード MAX』(2009年)。ドミニクは新恋人レティ・オルティス、ハンやテゴ・レオ、リコ・サントスと好き勝手していたらブライアンとばったり遭遇。なんやかんやでレティが殺され、逮捕されたドミニク。でもその護送車を取り囲むのはブライアンを始めとする新たな家族。ファミリーの誕生。めでたしめでたし。

5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)。捕まったドミニクをノリで救出したのでみんな国際指名手配に。筋肉100%の捜査官ルーク・ホブスが執拗に迫るも、これまたなんやかんやで大金をゲットして、みんなで思い思いにパァーっと使おうぜ!でハッピーエンド。ブライアンも足を洗う。めでたしめでたし。

6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)。レティが死んでいなかった。ドミニクとブライアンらファミリーはまたも派手に陰謀の中を爆走。オーウェン・ショウに利用されていたレティを救い、ついでに戦車とカーチェイスして、ストレス発散。あとは帰宅するだけ。あとオーウェン・ショウの実兄デッカードが実はハンを殺してたと発覚。めでたしめで…あれ。

7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)。デッカード・ショウが立ちはだかる。でもミスター・ノーバディ率いる特殊部隊も参戦。ラムジーというハッカーを助け、よくわからんが凄い監視プログラム「ゴッド・アイ」を奪還するべく爆走。最高の親友ブライアンとは永遠の友情を誓い、道を別れていく。感涙。

8作目『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)。ドミニクはレティと結婚。でもサイファーと名乗る怪しい女性がかつての恋人エレナをチラつかせて邪魔をする。デッカードの母親マグダレーン・ショウの協力もありつつ、潜水艦と氷上でデットヒート。もちろん車。片を付けたドミニクはエレナとの間に生まれた息子にブライアンと名前を授ける。めでたしめでたし。

そして9作目『ワイルド・スピード ジェットブレイク』は何が起こるのか。まあ、今回も車映画としてのジャンルを限界突破しているんですけど…。

今作の監督はシリーズの多くの作品を引っ張ってきた“ジャスティン・リン”。慣れたものです。

さあ、盛大にツッコミながらファストすぎる映画をお楽しみください。シリーズ最長の145分の映画時間ですよ。

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『ワイルド・スピード ジェットブレイク』を観る前のQ&A

Q:『ワイルド・スピード ジェットブレイク』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:本作も過去シリーズからキャラが出演したりしているのですが、とりあえずナンバリング前作の『ワイルド・スピード ICE BREAK』だけでいいかなと思います。できれば『ワイルド・スピード SKY MISSION』も観ておくとエンディングの意味がわかるはず。もちろん全作振り返りでもいいですけどね。

オススメ度のチェック

ひとり 3.5:派手な映像を満喫するなら
友人 3.5:大作で盛り上がる
恋人 3.5:趣味が合うなら
キッズ 3.5:車が好きなら
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ワイルド・スピード ジェットブレイク』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):今度は弟です

1989年。若きドミニクは父親・ジャックが出場するストックカーレースでチーム「トレット」のピットクルーとして参加していました。弟のジェイコブも一緒です。しかし、ライバルのケニー・リンダーとの熾烈な競争の最中、ケニーの車がジャックの車に接触。父の車は横になり、飛び上がり、炎上してフェンスに激突し、派手に爆発。父は帰らぬ人となってしまいました。

時は移って現在。サイバーテロリストであるサイファーの企みをファミリー一丸で阻止してから5年が経過。ドミニクはパートナーとなったレティとともに、騒がしく危険な現場から引退して静かな余生を送っていました。今は息子のブライアンを育てることが唯一の誇り。幼いながら父によく似て機械いじりに興味津々のようです。

そこに1台の車。すぐさまブライアンを隠し、夫婦で銃を構えて臨戦態勢。けれどもやってきたのはかつてのファミリーメンバーであるローマン、テズ、ラムジーでした。そして映像を見せられます。そこにはミスター・ノーバディによって捕まえられたサイファーを輸送中の飛行機が何者かによって攻撃され、中米のモンテシント地域に墜落したという知らせが…。

いつもであれば行動開始するドミニクですが、今回は平和な生活を犠牲にしたくないので誘いを断ります。レティだけが向かうことに。しかし、あらためて映像を確認すると背後に見慣れた十字架のアクセサリがあることに気づきます。それは父と関わりのある品でした。

結局、ドミニクもついていくことに。ジャングルの中の墜落現場に到着すると、そこは機体もバラバラで無残な状況。「アリエス」という名前のデバイス部品の一部を発見し、次を考えていると突如として謎の傭兵部隊が乱入。その傭兵たちを率いていたのは、見事なドライビングテクニックを持つある男。もう二度と会うことはないと思っていた相手、弟のジェイコブでした。

最も根深い家族の記憶が蘇る…。

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車の役割をわかってますか!

『ワイルド・スピード ジェットブレイク』、ジェットでブレイクしてた…(感想、雑)

初期のまだ常識的な王道だったレース映画はどこへやら、シリーズは中間あたりから派手路線に突入。戦車や潜水艦と戦ったり、高層ビルをジャンプしたり、もはや「車」という乗り物の限界に挑戦するエクストリーム映画へと進化しました

この最新作もツッコミ上等のヤバさです。でも冒頭は本来のカーレースのレガシーを思い出させるものでしたけどね(序盤だけ…)。それ以降はイカれてます。

車でジャングルの地雷原を突破するのは朝飯前(完全に主人公補正で生き残っている)、重力をオフにできるのかというくらいに落ちない車体、そしてワイヤーでターザンのように大移動する…。スタントという次元じゃない、曲芸師ですよ。これを見世物にしたら大儲けできるよ。

それにしてもやっぱりあのドミニク、そんなに車を大事にしてないよね…。

あげくにショーンやトゥインキーたちが開発しているロケットカー。あいつら…全然大人になっていない…。高校生から小学生に退化しているじゃないか…。あれで今作は宇宙に飛び立っちゃうし…いやはや『フォー・オール・マンカインド』で科学者たちが飛行機からのシャトル発射技術を英知を結集して実現させていたのがバカらしく思えてくるなぁ…。

後半は電磁力を利用したディザスターじゃないかというレベルの迷惑運転暴走。あれ、よく物理演算で動くゲームの車がバグを起こした光景に似ている気がする…。車を車で自由に放り投げるという投げ技の獲得ですよ。

アクション面に関しては正直、『ワイルド・スピード スーパーコンボ』の方がよくできていたとは思います。あっちは滅茶苦茶ながらもロジックがありましたけど、この『ワイルド・スピード ジェットブレイク』はやったもん勝ちですから。

でもまあいいだろうという開き直りがこの“ヴィン・ディーゼル”率いるシリーズ最新作には一貫しており、ここまで荒唐無稽を許されている大作として他をぶっちぎりで引き離していました。

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カムバックと女性と次回作の伏線

本シリーズは基本は「家族」がテーマ。『ワイルド・スピード ジェットブレイク』もそれは同じ。今回もいつも以上にシリーズ過去作のファミリーメンバーがカムバックしてきました。

一番の注目は公開前から話題騒然だったハンです。ついに死者を蘇らせる禁断の技術を実現したのかとハラハラしましたが、まあ、実際はなんてことはなかった。というかこのシリーズ、わりと死んだと思った人があっさり復活するから…。でもハンは当然の復活でしたね。大事なアジア系というのはもちろん、演じる“サン・カン”は“ジャスティン・リン”監督のフィルモグラフィーにも欠かせない人物ですし、何よりあのファミリーを結構支えている人間でしたし…。

シリーズからの変化を見ると女性キャラの存在感や立ち位置はガラっと変わりました。初期は典型的な男性映画になっており、女性は「セクシー」な背景として出てくるか、もしくは「犠牲者」でしかありませんでした。レティなんて典型的な「フリッジング(男性主人公の成長や動機づけのために女性キャラが悲惨な目に遭うこと)」な役目でしたけど、今作ではレティは男性なんて置いて行く勢いで率先して活躍。“ミシェル・ロドリゲス”、かっこいい…。

さらにラムジー演じる“ナタリー・エマニュエル”にもトラック爆走の見せ場を用意し、マグダレーン・ショウ演じる“ヘレン・ミレン”もアクセルとブレーキを踏み間違えそうにない的確なドライビングを披露。なんだろう、女性キャラも運転バカになり始めた…。

そして“ジョーダナ・ブリュースター”演じるミアも前線にカムバック。これは象徴的ですね。夫を家に残し、妻が荒れくれ者の現場に参戦するんですから(まあ実際の理由は夫・ブライアンを演じる“ポール・ウォーカー”が亡くなっているからなのですが)。

なお、今作ではエルを演じた“アンナ・サワイ”も仲間入り。日系も加わってきたか…。

囚われているわりにはずいぶんヘアスタイルがキマっていますね…なサイファー姐さんを演じる“シャーリーズ・セロン”も相変わらずのクールさ。あまり活躍の場は少なく、次回に持ち越しなのかな。

個人的には今作の敵であるジェイコブを演じる“ジョン・シナ”の存在感がやや目立っていない気もしましたが、これだけ懐かしメンバーが勢揃いしていると新規さんは厳しいですよね。まあ、でもきっと新しいファミリーの一員として次回作で颯爽と現れてくれるでしょう。

「ワイルド・スピード」シリーズはもう最終章に向けての準備期間に入っています。次の10作目と11作目はシリーズ完結となる2部作になるとか。どんなフィナーレなのか。“ヴィン・ディーゼル”は“ドウェイン・ジョンソン”とは仲違いしてそのままなのかな?

もう宇宙に行ってしまったから次はどうするんだろう。車で深海から地球の奥深くの地下空洞へ行って、巨大なゴリラとバトルするくらいしか残っていないんじゃないか…。もしくは月でバーベキュー・エンドですね。

『ワイルド・スピード ジェットブレイク』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 59% Audience 82%
IMDb
5.5 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
5.0

作品ポスター・画像 (C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

以上、『ワイルド・スピード ジェットブレイク』の感想でした。

F9 (2021) [Japanese Review] 『ワイルド・スピード ジェットブレイク』考察・評価レビュー