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『ハッピー・デス・デイ 2U』感想(ネタバレ)…続編でもビッチは死ぬ気で頑張る

ハッピー・デス・デイ 2U

続編でもビッチは死ぬ気で頑張る…映画『ハッピー・デス・デイ2』(ハッピーデスデイ2)の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Happy Death Day 2U
製作国:アメリカ(2019年)
日本公開日:2019年7月12日
監督:クリストファー・ランドン

ハッピー・デス・デイ 2U

はっぴーですでいつーゆー
ハッピー・デス・デイ 2U

『ハッピー・デス・デイ 2U』あらすじ

誕生日の繰り返しから抜け出して翌日を迎えたツリーは、恋人のカーターと充実した生活を送ろうとしていた。しかし、またもやあの災難がツリーを襲う。しかも、予想外の展開が起こり、事態はツリーですら把握できない状況に。鍵となるのは、すべての元凶になっているあの存在だった…。

『ハッピー・デス・デイ 2U』感想(ネタバレなし)

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2週間しか経ってないけど…

誕生日おめでとうございます!

あれ、デジャブ…。いや、誕生日は毎年1回訪れるのですから、体感したような気分になるのが正常です。えっ? 2週間前にも経験した? それはオカシイ…。

こんな茶番は早々にゴミ箱に捨てるとして、「Blumhouse Productions」が贈る痛快タイムループ・ホラー映画『ハッピー・デス・デイ』の続編『ハッピー・デス・デイ 2U』が早くも日本で公開です。というか、日本では2作連発で同時期公開するというビジネス戦略なのでしょうけど。

前作の面白さは、感想記事でたっぷり書いたのでそちらを読んでほしいのですが、やり尽くされた感のあるタイムループというジャンルに対して最大限に遊びまくった一作としての思い切りの良さが個人的には大好きです。主人公であるヒロインの“純情ビッチ”っぷりも、本当に良いキャラしてます。

日本ではそこそこ一部で話題を集めて観客の入っている劇場もあったみたいですが、全体的にはやっぱり注目度は低いですね。その点はと~っても残念です。

これは何度もウザいほど書いていると思いますが、日本の映画配給はもっと「ホラー」というジャンルを日本の観客層に浸透させるべきです。低予算でインパクトのある作品を量産できるジャンルとして、今ではハリウッドでは一大ムーブメントになっているのに、日本ではジャパニーズ・ホラー熱も過去のものになり、すっかりマニアックなキワモノという扱いに成り下がっているじゃないですか。こういうおカネにつながるジャンルはしっかり育てていかないと…。じゃないと映画鑑賞料金をひたすら値上げするしかなくなりますよ。

これは私の邪推ですが、日本の配給側がハリウッド・ホラーをイマイチ上手く宣伝しきれていない理由は、既存の日本の海外映画の宣伝のセオリーは有名俳優やビックタイトルにおんぶだっこしているだけのものが多く、一方のハリウッドのホラー作品はほぼ無名の俳優やタイトルなので、その常套手段が使えないからじゃないかと。つまり、日本の映画業界は、純粋に映画の面白さで売り込むのが下手なのかもしれない…。そうだとしたら、これは完全に自分の首を絞める呪いですよ…。早く解かないと…。

まあ、とにかく何が言いたいかというと、『アラジン』を観たら『ハッピー・デス・デイ』シリーズも観ろってことです。絶対に若者受けはいいですから。観れば学校で話したくなるネタだらけです。そもそもこの『ハッピー・デス・デイ』シリーズはついつい“人に話したくなる”魅力が売りの大きな部分ですし。「あそこ、ああなるとはね~!」とか「自分だったらああするけどお前ならこうだろ!」とかワイワイ楽しめること間違いない。これぞホラー映画の醍醐味ですよ。

で、本題の『ハッピー・デス・デイ 2U』ですが、正直、続編なんてどうするんだろう…と思ってました。なにせ前作のアレは割と一発ネタなところがあるじゃないですか。また繰り返しても面白いのかと。マンネリするのは目に見えているじゃないかと。

しかし、前作でヒット・ホラー監督の仲間入りを果たした“クリストファー・ランドン”監督、ちゃんと考えていました。むしろ2作目だからこそできるネタのオンパレードで、1作目を観ているからこそ、拍車がかかってさらに面白いという。良い相乗効果が起きているパターンですね。徐々にスケールアップをさせる感じといい、ちょっと『ジョン・ウィック』シリーズの躍進を思いだすような気分。

無論、1作目を観ているという大前提でストーリーは展開されるので、ぜひとも前作を鑑賞してからご覧ください。いきなり予想外のスタートで始まります。あと、核心部分をネタバレしない範囲で言えば、2作目ではタイムループが起こる原因が判明します。

1作目と同じくホラーが苦手な人でも爆笑しながら楽しめる映画になっているので、家族でも、友人でも、恋人でも、なるべくたくさんの人を引き連れて鑑賞しましょう。その後は「もし自分がタイムループに巻き込まれたらどうする?」トークで大盛り上がりです。

オススメ度のチェック

ひとり ◯(人に勧めたくなる面白さ)
友人 ◎(みんなで爆笑しよう)
恋人 ◎(お手頃なエンタメ体験)
キッズ ◯(子どもでも笑える)
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ハッピー・デス・デイ 2U』感想(ネタバレあり)

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エンドレス・9月18日 リターンズ

今日も誰かが目を覚ます。それがいつもの日常…のはず。

9月19日。ハッと目を覚ましたのは…「ライアン」。前作にも登場した「カーター」の部屋に入ってくるあの金髪男ですね。ライアンを演じる“Phi Vu”(なんて日本語で書けばいいのだろう、ファイ・ヴ?)という俳優さん、非常に良いキャラセンスをしており、今後とも活躍していってほしいところ。

ともかくこのオープニングの出だしから、1作目で訓練された観客はわかるとおり、今回はこのライアンがタイムループしていることが察せられます。ただ、この時点ではライアンはその恐るべき事態に気づいていません。

路上に駐車している車の中で目を覚まし、モゾモゾと外に出ると、犬を散歩させているおばさんとすれ違い、犬に吠えられます。数歩も歩かないうちに今度は突然、草むらから男。スケボ男がとおりかかり、キャンパス内へ。女性に話しかけられるも英語ができないとテキトーに誤魔化して回避、廊下でトロンボーン男が怒られるのを目撃し、そのまま目的地へ。寮の自分の部屋のドアを開けると、同部屋のカーターと「ツリー」(前作でめでたくカップルになった二人;とはいってもまだ1日経った程度ですが)がイチャイチャしているのを目撃し、うんざりしながらドアを閉じます。

そして、研究室へ。いろいろと疲れて意気消沈しつつ、ソファに座り込むと、ソファに座った今の自分を写した写真がスマホに送られてくるじゃありませんか。明らかに不審。イタズラなのか。部屋には誰もおらず、廊下を確認するもここも誰もいない。しかし、また廊下にいる今の自分の写真が転送され、これは絶対に何者かが監視しているに違いないと確信。おそるおそる人の気配がする実験室へ入り、呼びかけてみるも案の定、誰も応答はなし。ところが、不意を突かれて刃物で刺されてしまいます。ベビーマスクの不審者に…。

9月19日。ハッと目を覚ましたのは…ライアン。モゾモゾと外に出ると、犬を散歩させているおばさんとすれ違い、犬に吠えられ…あれ、これは、さっきも…?

以降もひたすらデジャブでしかない光景に混乱だらけのライアンは、やっぱり部屋でカーターとツリーがイチャイチャしている中、自分の混乱を口にすると、ツリーが反応。

さすがツリー。ただのビッチじゃない、“話のわかるビッチ”。すぐにライアンに、つい先日、自分でも経験したあのタイムループ現象が起こっていることを察し、自分の体験を説明(そう、昨日のことなんですよね。にしてもあんな人が死ぬ事件があったにこの大学は平常なのか…)。でも当のライアンは「夢だ」「インセプションだ」と現実逃避。しかし、すでに百戦錬磨級に“実戦”を積んでいるツリーはバットを持って、ベビーマスク殺人鬼を撃退しに、そのライアン殺害予定現場へ向かいます。

しかし、ベビーマスクの不審者には出会えず、一方で思わぬ情報を耳に。ライアンの研究室で行っている研究プロジェクト。なんとそこで開発されている装置こそ、タイムループの原因なのでした。お前かよ…というツッコミの嵐が観客から聞こえてくる…。

みんなで議論した後、バスケットボールの試合を観戦した帰り、周囲にはベビーマスクをつけた観客たちがわらわらといる中で、ライアンは明らかに殺気を放つベビーマスクを発見。逃げて倉庫に追い詰められますが、そこに後ろから“怒れるビッチ”・ツリーが殴打。気絶したベビーマスク人間のマスクをとると、その顔は…ライアンでした。

もうひとりのライアンから話を聞くと、どうやら別の次元から来たパラレルワールドのライアンらしく、なんでも例の装置を破壊しないと大変なことになるとか。しかし、焦ったこの次元のライアンによって装置は起動。衝撃に一同が吹き飛ばされ…。

9月18日。キャンパスの時計の鐘がゴーンゴーンと鳴る中、目を覚ました女子大生のツリー。しかし、この部屋は男子寮であり、目の前にいるのも見知らぬ男子学生。全然記憶にはな…いや、ある。なぜまたこんなことが…。

大混乱で動揺する中、ツリーの死の誕生日がまた始まったのでした。ハッピー・デス・デイ!

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前作と同じようで違う部分

マンネリになるのでは?という私の余計な心配をよそに、しっかり2作目として新しいステップを踏んでいた『ハッピー・デス・デイ 2U』。

そもそも“クリストファー・ランドン”監督はこのシリーズを過去の名作SFを土台に組み上げていくという割と堅実なつくりをする真面目さが窺えます。例えば、1作目はタイムループ映画の代表作『恋はデジャ・ブ』が基盤となっており、人格的にダメダメな主人公がタイムループを繰り返すたびに人としての成長を見せていくという流れが共通していました。

対して2作目となる『ハッピー・デス・デイ 2U』は、すぐにあの映画を思い浮かべます。誰もが知る不朽の名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズですね。実際、かなりオマージュが仕込まれており、あちこちに製作側の目配せがありました。

本作の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを連想させる部分と言えば、何よりも“パラレルワールド”要素です。ツリーは例の装置でまたもや自分の誕生日である1日前の9月18日に戻ってきてしまいます。ちなみにこの装置は「シーシュポス」と呼称されていましたが(ライアンは「Sissy」というあだ名で呼んでいた)、これはギリシア神話に登場する人物で、永遠に続く苦行を意味する「シーシュポスの岩」が有名ですね。まあ、要するに名前からして不吉なフラグ全開の装置です。

それで話を本編に戻すと、過去に戻ったわけですが、それはツリーの知っている過去ではなく、別のパラレルワールドでした。同じ仲間の姿でも境遇や人間関係は異なり、自分自身さえもあの亡くなってしまった母が存命であることに驚愕するツリー。それでもやはりベビーマスクの殺人者は存在して、どうやら正体は以前とは違うようで、さらにターゲットにしているのは自分ではなく「ロリ」(前作の黒幕となる犯人)だということが判明。

この時点で本作の目的は「自分が元の世界に戻ること」「殺人者を食い止め、この別世界の知り合いの命を救うこと」の2つとなります。前作は「タイムループを止めること」と「殺人者を食い止め、この自分の命を救うこと」の2つの目的が一致していたので、続編ではより複雑になったとも言えます(でも最終的には対ベビーマスクに終着するので同じですが)。母が生きているこの世界も良いかもという誘惑との葛藤というベタさもトッピングしていますし。

以上のように、一見すると“またタイムループか”と同じことやっているように思わせつつ、外側はそのままに中身だけSFのジャンルを少しすり替えている本作。

前作のお約束を上手い具合に活かしつつ、壊しもしていて、2作目としては理想的なのじゃないでしょうか。新しい敵を出してただまたタイムループを繰り返すよりは全然良い発展のさせ方だと思います。

個人的にはライアンたちの仲間を加えて、チームワーク感が増したことで、よりジュブナイル映画っぽさが増えたのも良い感じでした。サブキャラにも愛着がわいてくるのは良作ホラーの証拠です。

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ビッチは虐められて強くなる

序盤に最高の魅力を披露してくれたライアンもいるし、サブキャラもGoodなのですが、やっぱりツリーあっての『ハッピー・デス・デイ』シリーズですね。“ジェシカ・ローテ”、本当にハマリ役で、逆にビッチ以外の役が回ってこなくなるのではと心配しちゃいます。

2作目ではすでにベテラン感を醸しだしており、また例の日にタイムリープしたことがわかったあの瞬間の絶望から立ち直りの速さ(枕に顔をうずめての発狂)に笑ってしまう。「same day same day same day」を連発しながら憤怒の形相でキャンパスを練り歩く姿は、申し訳ないけど、観客としては爆笑せざるを得ない…。

しかも本作はツリーにさらに追い打ちをかけてくるわけで、自分の知らないパラレルワールドだったという新展開攻撃にビッチの心はズタボロ。自分と交際する前はとくにノーパートナーだったはずのカーターがダニエルとキスする姿を目撃して、“マジか”の顔(&音楽)

それでもじゅうぶん辛そうなのに、この世界ではまた未完成な装置の完成のために、よくわからない難解な数式を覚える必要が生まれ、何度も死に戻り。感電死から、水着でノーパラシュート・スカイダイビング、木材粉砕用ウッドチッパーへの身投げと、死に方がヤケクソなのが本当に一周回ってバカ正直。自分がビッチであることを開き直っています。ちなみにここでウッドチッパーで死ぬ場面は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』オマージュでもありつつ、彼女の名前がツリー(木)だからという、しょうもないギャグなんですね。まあ、その身体へのダメージが継承されるという設定もあるのだから、もう少し穏便に死ねばいいのにとは思いますけど。きっとあれです、こうでもしないとやってられないんです。ヤケ酒ならぬヤケ死です。

全体的にツリー虐めに拍車がかかっているのですが、なんでしょう、このヒロイン、苦境に立たされるほどに強くなるという、ドMカウンター能力の持ち主なので、全然OKという…。

お話のオチとしては消去法で考えるとバレバレなのは前作と同様。というか、今作の黒幕の正体は、前作の製作段階で当初想定していた結末でボツになったものをそのまま採用しているので、若干のやっつけ感はありますね。

私としては“この世界の殺人者、ベビーマスクが好きすぎるだろう”とツッコみたくなるのですが。あのマスクをつけたらこのキャンパス関係者だと丸わかりなんじゃないのか…。

それにここまでくると、もう誕生日である必要性もいよいよ薄くなってくるので、タイトルが虚しく響くのではと。まだ2作目である本作も誕生日を上手く絡めていた方でしたが。

でもツリーが虐められているなら、それでいいや(なんだそれ)。ツリーもビッチであることを貫き通しているのがいいですよね(といっても2日しか経過してないけど)。

ラストのDARPAのくだりといい、明らかに続編がある雰囲気を匂わせていましたし、製作陣も3作目を考える気は満々だったみたいですが、興行収入が落ち込んだので厳しいという話も…。配給のユニバーサル・ピクチャーズはそのへん厳しく判断するでしょうしね…。

せっかくここまで来たのだから私は3作目が観たいです。ツリー、今度はどうやって死ぬんですか? クマと激闘するとか? 宇宙で核爆発とか?(むちゃぶり)

『ハッピー・デス・デイ 2U』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 71% Audience 66%
IMDb
6.3 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 7/10 ★★★★★★★

作品ポスター・画像 (C)Universal Pictures

以上、『ハッピー・デス・デイ 2U』の感想でした。

Happy Death Day 2U (2019) [Japanese Review] 『ハッピー・デス・デイ 2U』考察・評価レビュー