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『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』感想(ネタバレ)…同窓会です

マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー

同窓会です…映画『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』(マンマ・ミーア2)の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Mamma Mia! Here We Go Again
製作国:アメリカ(2018年)
日本公開日:2018年8月24日
監督:オル・パーカー
恋愛描写

マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー

まんまみーあひあうぃーごー
マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー

『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』あらすじ

ギリシャのカロカイリ島。母のドナとの夢だったホテルを完成させたソフィは準備に大忙し。しかも、妊娠が発覚。ソフィは思わず若き日の母と自分を重ねる。母はどのような人生を送ってきたのだろうか。

『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』感想(ネタバレなし)

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母親は歌って、踊るもの

「Mamma Mia(マンマミーア)」は日本人が知っている有名なイタリア語表現の中でも筆頭だと思います。意味は英語で言うところの「Oh My God」と同じ…驚愕や感嘆を表します。この表現は直訳すると「私のお母さん」になることからもわかるように、イタリアは「母親中心社会」というのがよく特徴に挙げられます。こういうと「マザコン」が多い国と言われがちですが、日本人の考えるマザコンとはまた違うもののようです。まあ、他国から見れば日本なんていまだに「父親中心社会」ですけど、それを「ファザコン」とは呼ばないのと同じでしょうかね。

そんなフレーズをタイトルに冠した映画が2008年の『マンマ・ミーア!』でした。

スウェーデン出身の世界的に有名なポップ音楽グループ「ABBA」の曲を中心に彩ったミュージカル映画であり、当時は特大クラスのヒット。日本でも興収26億円を記録しました。

タイトルは1975年のABBAのヒット曲「Mamma Mia」からとったものですが、舞台はギリシャの島ではあるのですけど、非常に母親中心の物語になっています。わりと父親は添え物です。

ネタバレにならない程度にざっくりあらすじを書くと、ギリシャ・エーゲ海の島にこじんまりと存在する小さなホテル。ホテルのオーナーであるドナ・シェリダンと娘のソフィは二人で仲良く暮らしていましたが、結婚式が迫ったソフィは自分の父親を知りたい。そんなとき、ドナの日記を盗み読みしたソフィは、自分の父親候補が3人いることに気付き、その3人を招待状で島に招きます。父親候補のサム、ハリー、ビルは事情も知らずに、ドナに会いに戻ってきますが、なんだかんだで3人も自分が父親では?みたいな空気に。さあ、どうなる!?…そんな話。

DNA検査をしろよとか言ってはいけない。オチは言わないでおきますけど、「あ、それでいいの!?」みたいな、なかなかの力押しなまとめ方で初見時は驚きました。とりあえずこの世界には悪い奴はいない…みんな優しい人なんですね。そういうノリの映画です。

その『マンマ・ミーア!』の10年ぶりの続編が本作『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』。原題は「Mamma Mia! Here We Go Again」なんですけど、なんで「Again」を抜いたのだろうか…。

ただ、続編と言っても、実質はプリクエル(前日譚)も兼ね備えており、前作から未来の話(ソフィが妊娠してから)と過去の話(若いドナが例の父親候補となる男3人と初めて会うとき)が同時並行で語られます。

個人的な印象としては、もはやファンムービー。ファンのために用意されたご褒美。完全な同窓会といってもいいのではないでしょうか。あの人にまた会える、若い時の姿も見れる…それ以上もそれ以下もないです。「ああ~、みんな~、元気してた~。えっ、やだ、変わってな~い。うそ、これ若い時の写真? すごく可愛いじゃん~」というテンション。それでもファンムービーとしては綺麗にまとまっており、丁寧な一作ですけど。

前作を観ていることが前提になる物語だと思うので、本作を鑑賞前に視聴しておくことをオススメします。この1作目が合わないなら、今作も合わないですからね。

かなり前から日本でも劇場予告で宣伝しているように思いましたが、やはり『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』のようにミュージカル映画は当たる傾向にありますから、配給も狙っているのでしょうね。その2作よりはさらにお気楽に見られるミュージカル映画ですから、観客はどんな反応をするのかも楽しみです。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』感想(ネタバレあり)

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超母親中心楽観主義

『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』はストーリーについてはとくに語ることもないような、いわゆる想定の範囲内に収まっています。なにせ公式サイトで終盤直前の物語のあらすじまで書いちゃってますからね。おそらくストーリーでアピールするようなことはないと、製作陣もわかっているのでしょう。

確かに前作にあった「あ、それでいいの!?」みたいなパワープレイはありません。そもそも前作は「父親は誰か?」という一応の物語の推進力があったのですが、今作はそれもないですから(ソフィの進路という選択肢はありますけど、まあ、ハッピーエンドになるのは自明ですし)。

父親が誰かもわからないほど連続交際をする若きドナの自由奔放スタイルが全開の過去エピソードも、いざ映像化するとわりと普通に見えます(冷静に考えると自由すぎますが)。ここで4人目の男、登場とかさらなる修羅場になったらどうしようかと思いましたが、そんなことはなかった(あるわけない)。それにしても続編になってもこの「父親不問」という超母親中心楽観主義を貫いていて凄いです。

そんな感じで、あとはキャラですかね、語るとすれば。

ソフィを演じた“アマンダ・サイフリッド”は全然変わっていなくて安心感が抜群。それに対して、男性陣。とくに“ピアース・ブロスナン”、“コリン・ファース”、“ステラン・スカルスガルド”の父親トリオは年をとってカッコよさが増しているのがズルい。なんだこれは(怒)。

ただ一番意味不明な年齢に似合わない存在なのが、ドナの母親でソフィの祖母であるルビーを演じた“シェール”ですよ。ドナの“メリル・ストリープ”とは年齢が3歳しか違わないのですけど、それでこの役って…無理がないですか。そのせいか、なんか永遠の命を手に入れた魔女みたいになってましたよ。ラストもいい感じで持っていくし、なんなんだ、この家系。

一方の過去パートを演じた若い組も素晴らしく、やはり若いドナを演じた“リリー・ジェームズ”の快活な姿。“メリル・ストリープ”とは当人は全然違うのに、なぜか今作に限って言えば“メリル・ストリープ”の若い姿に見えてくるというマジック。なにか面影がある。実写版『シンデレラ』でも見せた“リリー・ジェームズ”の持ち前のヒロイン力もあって、新規参加メンバーであるに関わらず、完全に馴染んでいました。オーバーオール(今はサロペットというべきですかね)を着ていても似合うもんなぁ。

肝心の“メリル・ストリープ”は今回、出番が非常に少なめでしたが、ラスボス感があって、このシリーズには欠かせないなと思いました。映画の続編に出演するのは今作が初なのかな? こうやって見てみると、1作目のノリノリで踊っている姿が貴重。

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オールドな味を楽しむ

もちろん、音楽も忘れてはいけません。

今作で流れる曲は以下のとおり(劇中からはカットされた曲は含めてません)。

“Thank You for the Music”
“When I Kissed the Teacher”
“One of Us”
“Waterloo”
“SOS”
“Why Did It Have to Be Me?”
“I Have a Dream”
“Kisses of Fire”
“Andante, Andante”
“The Name of the Game”
“Knowing Me, Knowing You”
“Mamma Mia”
“Angel Eyes”
“Dancing Queen”
“I’ve Been Waiting for You”
“Fernando”
“My Love, My Life”
“Super Trouper”

1作目より曲数はちょっと減っており、さらに上映時間が数分増えていますから、結果、本作はミュージカルパートの割合が少なくなっているともいえます(実際にストップウォッチで測っていないので詳細はわかりませんけど)。私の観た印象でも、1作目はどんどん次から次へとミュージカルが始まったのに対し、今作は比較的ゆったりしていたと思います。最後の大団円へのメリハリがついたとも言えますし、ミュージカル映画としては洗練されたのではないでしょうか。

どうしても同じ有名曲を繰り返すことになってしまい、なんだかテーマパークのパレードを観ているような錯覚に陥りますが、そこはしょうがないですかね。

ABBAの生み出した楽曲の偉大さを痛感することでもあります。名曲というのは時代が変わっても色あせないというのは本当なんですね。たぶんこれからもABBAの曲は映画内で使われ続けるでしょうし、末永いお付き合いになりそうです。

個人的には1作目にあった、なんだかよくわからないバックダンサーたちが踊りまくる演出も嫌いではないので、ある意味普通に洗練された今作のダンスはちょっと物足りないものでしたけど。

最近の『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』のような圧倒的なパフォーマンスを売りにする作品に慣れた若い一般層にしてみれば、今作はオールドすぎるかもですが、それもまたひとつの味。ミュージカル映画にもいろいろな味付けがあるのです。

見せ場となる「Dancing Queen」シーンはなかなかに派手な方でしたけど。船で大勢駆け付ける場面とか、かなりメンドクサイ、大掛かりなことをしてました。このあたりは1作目よりも華やか。相変わらずそんなに島に人を集めたら、インフラが間に合わないだろうというくらい、うじゃうじゃ寄ってくる感じ、日本にも通じるような…。

ミュージカル映画は応援上映などに拡大しやすく、映画会社も儲けやすいので、これからも重宝され続けるでしょう。かといって低クオリティな作品ばかりになるとジャンルの信頼を失いますから、今作のような丁寧な映画化はお手本にしてほしいくらいです。

ちなみに本作はストーリーだけでなく、楽曲シーンも結構公式でYoutube上で公開してしまっているんですよね。こんなに見せていいのかと心配になりますが、それも昨今の流れなのか。360度映像が鑑賞できる動画もあるので暇なときにぜひどうぞ。

さすがにもう続編はないかな。ABBAの曲がもうないですからね。それともまた15年後くらいにソフィの娘が主人公でやったりして…。

『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 79% Audience 74%
IMDb
7.2 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 5/10 ★★★★★
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関連作品紹介

リリー・ジェームズ出演作

    • 『ベイビー・ドライバー』

主人公が思わず全てを投げ出したくなるヒロインを熱演。リリー・ジェームズならしょうがない、全男子をメロメロにさせます。

    • 『高慢と偏見とゾンビ』

恋愛の名作にゾンビを混ぜた問題作。クールにスタイリッシュにゾンビだって倒せます。ハエをぶちぶち倒す場面も好き。

    • 『シンデレラ』

リリー・ジェームズの出世作。ディズニーのあの名作アニメを実写化した一作で、やっぱり王道ヒロインが似合っています。

(C)Universal Pictures マンマミーアヒアウィーゴー

以上、『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』の感想でした。

Mamma Mia! Here We Go Again (2018) [Japanese Review] 『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』考察・評価レビュー