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『1922』感想(ネタバレ)…ネズミの駆除は独りでは手に負えない

1922

ネズミの駆除は独りでは手に負えない…Netflix映画『1922』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:1922
製作国:アメリカ(2017年)
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信
監督:ザック・ヒルディッチ

1922

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『1922』あらすじ

ペンを取り、自ら犯した罪悪の事実を書き残していく農夫。平穏だった家族の生活。己の世界を守るためにとった行動は、たった一人を殺めるだけのはずだった。しかし、その衝動は蠢く不気味な存在とともに、男を恐怖の世界へと引きずり込んでいく。

『1922』感想(ネタバレなし)

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まだまだ映画化ラッシュは続く

ホラー映画『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』のアメリカでの大ヒットを受けて、このビッグウェーブに乗れ!ということなのか、Netflixでは“スティーヴン・キング”原作の映画化作品の新作が相次いで配信されています

この間も、中年夫婦が何気なく行った手錠プレイが地獄へと変貌する『ジェラルドのゲーム』が公開されたばかり。

観てない人はぜひチェックしてほしいのですが、そうこうしているうちに、またスティーヴン・キング原作映画の新作です。

それが本作『1922』

原作は、2010年の中編集「Full Dark,No Stars」の中のショートストーリー「1922」だそうで、割と最近です。私は小説はほとんど読まないのでこんな作品があったことすら初耳。というか、スティーヴン・キング、どれだけまだ映画化されてない作品があるんですか…。

監督は“ザック・ヒルディッチ”というあまり聞いたことがない人。でも、この監督は前作『ファイナル・アワーズ』が高く評価され、シッチェスなどジャンル系の映画祭で賞にいくつも輝きました。作品の内容は、巨大隕石落下によって地球滅亡まで残り12時間となった世界を描いたSFパニック。といっても未曽有の危機に科学者などが集結して解決するみたいなよくある某大作映画と違って、一般市民にフォーカスした映画です。世紀末状態でカオスと化した街と人々を低予算ながら丁寧に描いており、限られた最後の時間の中で主人公が成長していく展開はグッとくるし、面白い一作。個人的には『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』のあのオチは本作の影響を受けているのではと思うくらいでしたが…。こちらも観てない人は要チェックです。

で、その“ザック・ヒルディッチ”監督が手がける本作。別に変わった設定もなく、平凡なホラーではあるのですが、ひとつ言えるのは「ネズミ」が重要になってくることですね。ちょっとしたアニマル・パニック感も味わえます。

本作もあわせてスティーヴン・キング原作映画化ラッシュを堪能してください。

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『1922』を観る前のQ&A

Q:『1922』はいつどこで配信されていますか?
A:Netflixでオリジナル映画として2017年10月20日から配信中です。
日本語吹き替え あり
樋浦勉(ウィルフレッド)/ 大森大樹(ヘンリー)/ 山崎美貴(アルトレット)/ 安藤瞳(シャノン)/ 横堀悦夫(レスター)/ 山岸治雄(ラーズ) ほか
参照:本編クレジット
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『1922』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『1922』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):家族は罪に堕ちる

マグノリア・ホテル。その一室に入った髭面の男。部屋の壁に耳をあて、何かを探るような振る舞いをします。そして手紙を書き出します。

「関係者各位。私はウィルフレッド・リーランド・ジェイムズ。ここに罪を告白する。私が罪を犯して地獄に落ちた原因はネブラスカ州にある100エーカーの肥沃な土地。妻のアルトレットが他界した父から相続した土地だった。私たちはいずれ我が息子のヘンリーへ譲る予定だった」

1922年。自分の誇りは土地と息子だけ。ウィルフレッドは14歳の息子と農作業に明け暮れ、ここでの生活にそれ以上に展望はありません。ただ、妻のアルトレットはこの農家の暮らしに興味はないようで、いつも外の椅子に座って無感情に空虚を見つめているだけでした。

アルトレットはこの土地を売り払ってここを出ていきたいと考えていましたが、引っ越しの提案にウィルフレッドは「街は愚か者が住むところだ」と難色を示します。息子のヘンリーも街には住みたくないと言います。

夫婦の口論は激しくなるばかり。アルトレットは父の土地だけでなく、農場も売って、売ったカネを分けて離婚しようと持ちかけます。ウィルフレッドはどちらをヘンリーが引き取るのかと気にしますが、アルトレットは「私だ」と頑なです。ウィルフレッドは「結論を出せない。時間をくれ」と先延ばしにします。

こうしてウィルフレッドは妻に対して憎しみを抱くようになっていき、関係はさらに険悪に。ウィルフレッドは企てを考えます。

ある日、ヘンリーはシャノンを家に連れてきていました。隣人のコッタリー家の娘です。恋をしているのは誰からみてもわかります。ウィルフレッドはこの関係を利用しようと思いつきました。

「お前はこの先、シャノンとも俺とも別れないといけなくなる。もし母さんがいなくなれば全てが今のままでいられて平和に暮らせる。できることはあとひとつだ」

「僕たちは地獄に落ちるよね?」

「ここが天国だ。向こうでは地獄の穴を掘ることになる」

追い詰められたヘンリーは母に「土地を売るのをやめて」と懇願しますが、叩かれてしまいます。「あの土地は私のもの。私が好きにできる」

ウィルフレッドは妻の提案を受け入れると言い、アルトレットを安堵させます。妻は酔っぱらい、久しぶりの上機嫌。「シャロンと寝るときは気を付けなさい」と好き勝手に息子に卑猥な話を言いまくります。

そしてついにその家族は血に染まることになり…。

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1922年で始まり1930年で終わる

ホテルの一室でウィルフレッド・リーランド・ジェイムズという名の男が紙に文章を記していくところから映画はスタート。「ここに罪を告白する」…そして語られるのは1922年の出来事。

アメリカのよくある田舎の風景に佇む一軒の農家。ジェイムズ家は、夫・ウィルフレッドと妻・アルレット、その二人の息子であるヘンリーの3人暮らし。妻が相続した土地で農業を営んでいましたが、当の妻はこんな田舎暮らしにうんざり。さっさと土地を売って街に引っ越したいと言い出します。しかし、ウィルフレッドはそれを拒絶。ヘンリーも地元に好きな女の子シャノンがいるため反対気味。ところが、妻はどんどん高圧的になり、離婚を迫り、息子を連れて出ていくと言い出します。

このままでは土地も息子も何もかも奪われると焦ったウィルフレッドはヘンリーとともに妻の殺害を計画する…というのが悲劇の始まりでした。

お話としてはど定番といいますか、因果応報のテンプレです。オチも予想しやすく、まあ、そうなるよねという物語です。スティーヴン・キングらしい家族崩壊モノですね。

気になるのは、なぜ「1922年」なのか…です。これはアメリカの歴史ときっと関係あるのでしょう。年老いたウィルフレッドが独白していた時代は「1930年」でした。この年は「世界恐慌」真っ只中です。そしてそれが起こる前の10年間はアメリカが激動していた時期だったんですね。都市部では工業発展により産業が活性化。潤っていました。一方、農村部はイマイチで苦しい生活を余儀なくされていたとか。つまり、本作のジェイムズ家の崩壊はまさにアメリカ経済の崩壊を投影したものです。ネズミに食い尽くされていく家族のようにアメリカという巨大な存在も瞬く間に崩れていく…。だから1922年で始まり1930年で終わるというのは非常に意味があるのです。

ただの胸糞悪いオチというわけではないのですね。

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ネズミさんパーティ

私は原作を読んでいないのであれですが、本作は原作時点で非常に映像化のしがいがある作品だったのでしょう。映像で見てみたいと思うシーンの山盛りです。

その立役者は、見ればわかる通り「ネズミ」。この感想では敬意をこめてネズミ“さん”と表記しますね(謎のこだわり)。

『ジェラルドのゲーム』では犬が大活躍してましたが、私はホラーに登場する動物が大好きなので、今作も大満喫できました。

夜に井戸に投げ込まれた妻の死体を翌朝に覗き込むと無数のネズミさんが群がって酷い有様に。口からも“お邪魔してます”状態でした。

それで、死体隠滅のためにとった作戦が井戸に牛を落とすという田舎らしい荒業。このダイナミック牛落としシーンはどっちかというとシュールで笑ってしまったのですけど、今作はちょいちょい動物絡みで笑わせてきます。

ここからは死神のようにウィルフレッドに憑りついてくるネズミさんたち。家でネズミさんに遭遇し、手を噛まれてしまった場面の、豪快な踏みつけが気持ちいいです。やっぱりこれくらい容赦ないとね、ホラーは(現実では不衛生なのでマネしないでね)。

ヘンリーがシャノンと駆け落ちして消えた後、猛吹雪で極寒の穴あき自宅に籠るしかないなか、独りで夜を過ごしていると、独りじゃないよと言わんばかりに血まみれの妻が大量のネズミさんを従えて乱入。ネズミパーティをする!わけでは当然なく、消えた息子の顛末を耳元で囁きます。息子は逃走中にシャノンが撃たれて死亡した後に自分も命を絶ったのでした。しかも、息子の死体もネズミさんたちにカジカジされており…。さぞかし美味しいだね、この家族。

血まみれの妻&大量のネズミさんのセットで一番笑ったのが、息子の葬儀場面。ちゃんと座って参加しているのが超シュール。なんだこの映画、笑わしたいのかな。

最後は、君もネズミパーティしようぜ!という終わり方でしたね(若干の妄想)。

とまあ、こんな感じで私は本作、怖いというか楽しかったのですが、当のウィルフレッドはネズミ恐怖症に陥っており、罪悪感からネズミをすべて呪いのように見ています。でも、劇中で起こっていることは、血まみれの妻&大量のネズミさんのセット以外は、割と普通に起こりうることです。あの牛の乳房をネズミがかじるのなんかも畜産ではよくある害獣被害ですから。そう考えると本作は、下手をしたらB級感溢れる映像になりそうなところを上手くバランスとっており、クレバーな映画化だったと思います。

『1922』を観た後は、『ジェラルドのゲーム』など他のスティーブン・キング原作映画を観るか、もしくはリアルなネズミのドキュメンタリー『ラッツ』がオススメです。

『1922』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 91% Audience 57%
IMDb
6.3 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 7/10 ★★★★★★★

作品ポスター・画像 (C)Netflix

以上、『1922』の感想でした。

1922 (2017) [Japanese Review] 『1922』考察・評価レビュー