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『シックスヘッド・ジョーズ』感想(ネタバレ)…サメは増える、サメ映画も増える

シックスヘッド・ジョーズ

サメは増える、サメ映画も増える…映画『シックスヘッド・ジョーズ』の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:6 Headed Shark Attack
製作国:アメリカ(2018年)
日本では劇場未公開:2019年にDVDスルー
監督:マーク・アトキンス

シックスヘッド・ジョーズ

しっくすへっどじょーず
シックスヘッド・ジョーズ

『シックスヘッド・ジョーズ』あらすじ

メキシコ・バハ半島沖コラゾン島。この大自然が体感できる島で、カップルの関係修復を目的としたキャンプセラピーが行われていた。しかし、険悪ムードの参加者たちに、インストラクターのウィルは手を焼いていると、さらに厄介な存在が襲ってくる。

『シックスヘッド・ジョーズ』感想(ネタバレなし)

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頭が6つあるサメです

国際捕鯨委員会(IWC)に日本が加盟したのが1951年。それから幾年もの時間が過ぎ、日本はこの国際機関に背を向けた。終わりの見えない反捕鯨国との議論に終止符を打ち、「商業捕鯨がしたい!」という願望だけを胸に独自の道を歩むことにしたのだ。その船出を祝う諸外国はいない。国内からも疑問の声があがる。しかし、そんなことはどうでもいい。捕鯨がしたくてしたくてたまらない。それは性欲のように底なしの本能だった。

こうして商業捕鯨が再開された。捕鯨船が出航する記念すべき日。大勢のマスメディアが集まる中、国家の威信をかけた新たなスタートに目を輝かせる船員たち。水産庁の職員が1名。大手水産企業の派遣社員が1名。研究機関の研究員が1名。漁師歴60年のベテランが1名。20代子持ちのバツイチ若手漁師が1名。水産系大学から研修に来た学生が男女それぞれ1名。他にも必要な人員がいる。この大事な船に乗るメンバーだ。日本商業捕鯨再開セレモニーとして豪華なステージが用意され、水産庁長官は自慢に満ちた顔でスピーチする。「捕鯨という名の日本の伝統文化を誇りに思っています!」 内心はこう思っていた。「これで大手水産企業とのパイプも骨太になったし、私の権力も不動のものになったな…」

船は海を進む。目指すは鯨の確認されている沿岸の生息海域だ。それぞれの思惑を抱えるも、捕鯨で利害は一致しているメンバーに迷いはない。

しかし、この船に乗る人間たちは知らなかった。そこには恐怖の存在が待ち構えていることを…。

日本人が鯨に夢中になっているあいだ。海で暮らすサメたちは考えていた。「あの人間とやら、日本ではまだ食べられるのに捨てられている食べ物、いわゆる“食品ロス”が年間約632万トンにも上るそうじゃないか」…サメは環境問題に詳しかった。「…なのに、なんでさらに鯨の肉が欲しいんだ? どれだけ欲張りなんだ?」…サメは正論を語る。「だったら、俺たちが鯨を全部食い尽くしてやる!」

サメたちは一斉に鯨に襲いかかり、有言実行で全てを喰らった。そして、鯨をたらふく食べたことで通常では考えられない進化を遂げた。それは食物連鎖によって鯨に濃縮された水銀や放射性物質の影響だった。今や日本近海に生息するサメは図鑑に載っているような存在ではない。

捕鯨船は何も知らずに近づく。そして、戦いの火蓋が切られる。これは後に50年にも及ぶ日本人と超進化したサメとの戦争の始まりである。


 

………以上の話は、これから紹介する『シックスヘッド・ジョーズ』とは一切関係ありません

関係、ないです。

全部、私の妄想です。

お付き合いありがとうございました。

『シックスヘッド・ジョーズ』について語らないとですね。えっと、頭が6つあるサメが人を襲う話です。以上です。

えっ…それで終わりかって? そうですよ、終わりですよ、悪いか(逆切れ)。

『ダブルヘッド・ジョーズ』に始まる頭いっぱい系の“進化サメ”シリーズもついに6つになってしまいました。ポスター、見てください。もう単に残像で頭が分かれているようにしか見えないでしょう? でもちゃんと頭が6つあるんです。どうやって泳ぐのかって話ですよ。尾びれが大変だよ…。

頭がいっぱいある怪物といえば、日本でも古来から「ヤマタノオロチ」なんてのがいるくらい、まあ、ロマンです。だからわからなくもない。わからなくもないが、わからない。

そもそも頭が6つになったからって脅威度が上がるのか? しかし、そこは本作の監督を手がける、B級映画界のスピルバーグこと“マーク・アトキンス”。考えていました。

その考えが素晴らしいかどうかは置いといて、考えているので安心してください(何が)。

シリーズものに見えるかもしれませんが、関係なく、一作ごとに独立しているので大丈夫です。

さあ、『シックスヘッド・ジョーズ』、観たくなったでしょう? え、そうでもない? そうか…うん、まあ、そうだよね。でも、ほら、この映画を観るとスマホゲーで欲しいキャラがガチャで必ず出るって噂になっているんですよ(悪質な詐欺)。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『シックスヘッド・ジョーズ』感想(ネタバレあり)

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泳げるんですか?

“進化サメ”シリーズの中でも絶大な人気を誇り、最終作の『シャークネード ラスト・チェーンソー』がまさかの4DX劇場上映という快挙を成し遂げた『シャークネード』シリーズ。

こちらはインフレっぷりが尋常ではない進化の仕方でした。

その一方、この『ヘッド』シリーズは、地道に頭の数を1つ1つ増やしていくという、牛歩戦術のようなやり方で観客を焦らします。実際に焦らされている観客はいないと思いますが、この手段が伝統になってしまったのは事実。「もう増えないだろ。もう作らないだろ」と観客が油断していると、「はい、作りました」と誰も頼んでいない“おかわり”を差し出す。別に前振りじゃなかったのだけど…。

今回は頭が6つ。「奇形」と呼ぶのはあれですね、差別なのでやめましょうかね。ほら、動物の権利があるのですから、サメにも人権がありますからね。絶滅しそうにない危惧種、6つ子サメ…いや、ここは素直に「シックスヘッド・シャーク」と呼称しましょう。

このシックスヘッド・シャーク、上から見るとちょうどヒトデみたいなシルエットになっており、右に3つ、左に3つの頭があります。本来、大型のサメというのは流線形の泳ぎに適した美しいフォルムをしているのですが、その進化の歴史を愚弄するようなデザイン。どう考えたって泳げないだろうと思いますが、作中ではなんと超高速で水泳し、渦潮を発生させる、ポケモンみたいな荒業まで披露。もうなんでもいいんです、やったもん勝ちなんです。

一応、便宜上、このシックスヘッド・シャークの6つの頭部を「右1」「右2」「右3」「左1」「左2」「左3」と呼び分けておきましょうか。そんな必要性は限りなくないのですが、それっぽい分析している風になるので、そうしておきます。

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歩けるんですか!

さて、ストーリーのおさらいをしましょう。そうしないと書く感想文章のネタがない、記憶を整理してあの映画体験を忘れないためにも。

映画開始からわずか1分。いきなりシックスヘッド・シャークが人を襲います。絶好調です。

一方、そう遠くない場所の海辺で、4組のカップルがコーチの男の指導のもと、ある研修みたいなコースに参加していました。なんでも恋愛関係を深めるためらしいですが、正直、シックスヘッド・シャークの存在以上に意味が分かりません。彼ら彼女らの名前は…まあ、どうせ大半は死ぬので覚えなくていいです。

そうこうしていると、その男女たちの前に無残なバラバラの人間の死体が流れてきます。ショックで凍り付く男女たち。シックスヘッド・シャーク、この演出のためにわざわざ綺麗に食べ尽くさないで残しておきました。上手くいきました。

海面に浮遊した足場だけでは心もとないので、皆で手で漕いで近くの船に逃げます。勇ましい音楽。『パイレーツ・オブ・カリビアン』に匹敵するサウンド効果ですね。

退避したはいいけどどうするんだと騒いでいると、ひとりの男が「俺なら倒せる」と言わんばかりに自信満々で立ち向かっていきます。やられます。体が真っ二つ! はんぶんこ!(こう書くと可愛いよね)

この際、なぜかシックスヘッド・シャークの右1も食いちぎられますが、わりとすぐに再生します。

人死にが出たことでパニックも増して皆で泳いで陸地に到着。ここで唐突に喧嘩モードに突入。“第3次世界大戦、勃発か!”くらいの緊迫感でしたが、5秒ほどで終了。そこへ遠方に怪しい雲。嵐が接近しています。冷静になる人間たち。物語をとりあえず派手にしてくれる助っ人、「嵐」くんです。世の中、嵐と名の付くものであれば、天候だろうが、アイドルグループだろうが、凄いんです。なお、この後、そこまで嵐っぽい描写はありません。

このあとシックスヘッド・シャークを記したメモを見つけたり、吊り橋効果で愛を深めたカップルが直後にシックスヘッド・シャークの餌食になったりしましたが、それはたいしたことないです。

サメから逃げるために岩場を進む生存者たち。きっと撮影は大変だったんでしょうね(真顔)。なんとか上陸。さながら銃弾と爆発とその他戦場兵器を一切カットした『プライベート・ライアン』のオマハ・ビーチ上陸作戦です。

しかし、ここで人間は驚愕の光景を目にするのでした。サメが…歩いている。右2と右3、左2と左3は足の役割を持っていたのです。カニのように、しゃかしゃかしゃかと移動し、人間を喰らうシックスヘッド・シャーク。

これがシックスヘッド・シャークの本当の真価だったのだ…!

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どうするんですか…

でも、ちょっと待ってください。だったら、頭じゃなくて足が生えればよくない? ヘッドである意味はどこにあるのか。もう本作シリーズの根底が揺らぎ始めてます。というか、やっぱり頭は6つもいらないって製作陣も薄々気づいていますよね。

ここでコーチが登場。大型の刃物で右1を首チョッキン。なぜ右1ばかりがやられやくなのか、それは同じ映像素材を使いまわせるからです。

そんなこんなでまたも犠牲者を出しつつ、ようやく灯台にたどりついた生存者たち。

最終作戦としてガスボンベでシックスヘッド・シャークを倒す計画を実行。しかし、灯台の上に陣取ったライフル野郎が独断行動でシックスヘッド・シャークを狙撃。左1が撃たれ、右1が機能しなくなった左1の頭を食いちぎって投げ、灯台へポイっとシュート

その後はもみ合いのすえ、シックスヘッド・シャークにガスボンベが絡まります。これはチャンス。ふふふ、サメのような知能の低い海洋生物には知るまい。ガスの恐ろしさを。たとえスプレー缶でも100本以上を狭い部屋で一度に噴射すれば大爆発を起こせるパワーがあるのだ。人間は当然それくらい知識として知っている。でもサメは…(以下略)。

発煙信号弾によって点火したガスボンベは勢いよく爆発。シックスヘッド・シャークは四散しました。明らかに爆風の近くにいたであろう二人の生存者も、まあ、運よく無傷(そういうこともある)。

ここにベストカップルが誕生したのです。愛って、いいものですね。

…こんなドラマチックな物語が描かれる映画です。こんな贅沢な作品がDVDでたったの4600円。高い。でも、ほら、デジタルレンタルだとワンコイン以下の値段で観れますからね(まだ高い)。

それにしても、このシリーズ、どうするのでしょうか。すでに頭を持て余していますからね。このまま増えると、テヅルモヅルみたいになるし…

ま、別にどうでもいいか!

『シックスヘッド・ジョーズ』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer –% Audience 33%
IMDb
3.2 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 2/10 ★★

(C)2018 TAUT PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved. シックスヘッドジョーズ

以上、『シックスヘッド・ジョーズ』の感想でした。

6 Headed Shark Attack (2018) [Japanese Review] 『シックスヘッド・ジョーズ』考察・評価レビュー