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『樹海村』感想(ネタバレ)…樹海で動画配信もコトリバコの検索もダメらしいぞ!

樹海村

樹海で動画配信もコトリバコの検索もダメらしいぞ!…映画『樹海村』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

英題:Suicide Forest Village
製作国:日本(2021年)
日本公開日:2021年2月5日
監督:清水崇

樹海村

樹海村

『樹海村』あらすじ

自殺の名所として世界的にも広く知られる富士の樹海。インターネット上の怪談スレッドで「絶対に検索してはいけない」と語り継がれる通称「コトリバコ」。この2つが合わさったとき、そこには未知の恐怖が待っている。ある姉妹はその絶望的な状況の渦中に囚われることになるが、どんなに足掻いても事態は悪くなるばかり。その恐怖の正体を探るべく、全ての元凶である樹海へと足を踏み入れるが…。

『樹海村』感想(ネタバレなし)

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樹海は自然が魅力なところだよ!

「ウェルテル効果」というものがあります。これは自殺に関するメディアによる報道や描写が自殺を助長するという事象のことで、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」(1774年)に由来します。これは主人公であるウェルテルという青年が婚約者のいる女性に恋をするのですが、それが叶わぬことに絶望して自殺するまでを描いています。当時、この本の影響で自殺をする若者が増加して社会問題になったそうです。

これはフィクションの創作物でも起きうるものらしく、最近ではドラマ『13の理由』が若者の自殺に繋がったとして大問題になり、メディアや創作物における自殺描写のガイドライン作成の後押しにもなりました(詳細は『最高に素晴らしいこと』の感想を参照)。

日本でも芸能人の自殺報道を発端に自殺者が増加する傾向がたびたび確認されています。

そして何よりも日本で有名なのが「富士の樹海」問題です。青木ヶ原樹海とも呼ばれるこの地域が自殺の名所としてあまりにも定着してしまったきっかけのひとつは、「波の塔」という松本清張が1959年に書いた長編小説とも言われています。以来すっかり「富士の樹海=自殺の場所」になってしまい、実際に自殺を望む者がやってきてしまい、地元は大迷惑することに…。さすがに自殺の名所は観光材料にならないですからね…。

なのであんまり富士の樹海のイメージを悪くさせるのは心苦しいのですが(実際は自然豊かでステキなところなんですよ)、今回またもや印象に影響を与えかねない映画が日本から登場してしまいました。それが本作『樹海村』です。

本作の監督は“清水崇”『呪怨』の大ヒットによって一躍「ジャパニーズ・ホラー」というジャンルを世界的に確立させた人物のひとりであり、そのクリエイターとしての存在感は海外にも波及し、『呪怨』シリーズはハリウッドでも幾度もリメイクされてきました(最近は『ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷』が公開)。

その“清水崇”監督でも『呪怨』に並ぶようなホラー映画シリーズをまた作るのは難しいもので…。ホラー映画はもちろん心霊現象を取り巻く社会の反応も様変わりしてしまいましたからね。やっぱりつくづく思うのですが、日本人のホラー感というのはかなり伝統的生活に土着したものですよね。逆に最近の新しい生活スタイルに土着したホラー文化を生み出すのは難しいんだろうな、と。

そんな中で“清水崇”監督が次なるシリーズとして打ち出してきたのが「実録!恐怖の村」シリーズ。その第1弾となったのが2020年の『犬鳴村』。これが興行収入14億円となかなかにヒット(2月公開だったのでコロナ禍がなければもう少し興収は増えたかもしれません)。これで勢いがついた状態で、1年後の2021年2月に第2弾の『樹海村』が公開されました。

正直、いまどき富士の樹海が舞台というのは古すぎないだろうかと思ったのですけど、そこはしっかり考えられていて、そもそもこのシリーズはひとつの心霊的題材を描くのではなく2つの題材を合体させて新しい怪談を創造するというアイディアが採用されています。なのでどこかで知っている怪談でありながら新鮮さもあるバランスになっているんですね。

『犬鳴村』は福岡県の旧犬鳴トンネルと都市伝説「犬鳴村伝説」の2つを織り交ぜていましたが、本作『樹海村』は自殺スポットである「富士の樹海」の逸話と、ネット検索してはいけないとされる「コトリバコ」怪談を組み合わせています。「コトリバコ」なんて私は知らなくて思わずネット検索したのですけど(やっちゃった)、結局はよくわからなかった…(検索結果に「【楽天市場】コトリバコの通販」って表示されるのは笑ってしまった)。

『樹海村』の俳優陣は、主人公の姉妹を演じるのが、『ミスミソウ』で鮮烈に大活躍をし、『小さな恋のうた』『ジオラマボーイ・パノラマガール』などキャリアを積み重ねている“山田杏奈”、『僕に、会いたかった』『太陽の家』の“山口まゆ”。その脇を固めるのは『私がモテてどうすんだ』の“神尾楓珠”、『夏、至るころ』の“倉悠貴”、『のぼる小寺さん』の“工藤遥”など。

冒頭の話に絡めると『樹海村』が自殺を助長しないか不安になってきますが(実際に青木ヶ原樹海での撮影が山梨県から却下されているようです)、映画自体はそれどころではない方向に転がっていくのでお楽しみに。私はアレ、大好きですけどね。

海外のホラーもいいけど、やっぱり日本のホラーは風情があっていいですね。

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『樹海村』を観る前のQ&A

Q:『樹海村』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:前作の『犬鳴村』とストーリーの接続は基本的にないので気にしないでください。
Q:怖いのが苦手でも観れる?
A:こればかりは人によりますが、本作には多少の残酷描写(身体部位切断など)があります。

作品を観れます!

オススメ度のチェック

ひとり3.5:心霊よりも怪奇モノ好きに
友人3.5:暇つぶしにでもどうぞ
恋人3.0:恋愛気分は減退するかも
キッズ3.0:ホラーが苦手でないなら
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『樹海村』予告動画

樹海村 60秒<予告>
↓ここからネタバレが含まれます↓

『樹海村』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):なぜかそこにある“箱”

1台の車が朗らかな森の道路を走っています。その道路の脇をひとりのリュックを背負った男が疲労困憊な感じでトボトボ歩いていました。車の助手席の女性はその男を気にしますが、ハンドルを握る老齢の男は気にせず通りすぎます。

「残念だったな。死ぬ奴の目じゃない」「ここで死ぬ奴を散々目にしてきた。普通に挨拶して普通に話して普通に別れたりする。今のあんたならわかるだろう」

そう喋っていると、車の進行方向目の前に2人の女の子が。服はボロボロです。運転手の男性は子どもを捕まえ、嫌がる子どもたちを抱えます。

ここは富士の樹海。広大に続く森林こそが自殺の名所…。

そんな森で、ひとりのYouTuber女性が配信しながら森を歩ています。「オカルト特集第2弾! 富士の樹海から生配信でお送りしています」…準備万全だと視聴者にアピールしつつ、森を進む女性。赤いテープを通り道につけつつ歩いていると人を前方に発見。あれは自殺を考えている人なのかと緊張が走ります。「すみません、待ってください」と話しかけに行くもののどんどん相手は行ってしまい、見失うことに。視聴者は呑気にコメントしており、息切れしながら大きな木のそばを足元に気を付けながら進んでいると、なんだかわからないモノを発見。GPSも狂いだします。無言になり、急いで逃げる女性。映像は乱れ…そして…首を吊った遺体と遭遇。パニック。映像は切れます。何かの存在を映しながら…。

その映像を家の部屋のパソコンで見ていた天沢響。ご飯ができているという祖母の声も無視し、お菓子を持って部屋に閉じこもります。姉のが部屋にやってくるも話は耳に入らず。

鳴は鷲尾真二郎と結婚する予定で、引っ越しの真っ最中。翌日は幼馴染の片瀬美優阿久津輝が手伝いにやってきます。この2人は婚約済みで、美優のお腹には赤ん坊も…。

外で作業していた美優は家の床下から何かを発見。黒い箱のようです。触ろうとするとダメだと響は反応。そこに鷲尾真二郎が遅れてやってきます。「これなんなの?」と響に聞くも答えはなし。検索してはいけない呪いの箱「コトリバコ」だと鷲尾真二郎がその場でスマホで調べてくれました。「私、触っちゃったよ」と美優は不安がりつつ、「みんなも変に乗っからないでよ」と鳴は冷たい態度。

箱は処分しておくからと近所の男が持っていきましたが、その瞬間にトラックに轢かれてしまいました

部屋でコトリバコ関連の動画を見る響。「やめておきなさい」と母が部屋に入り、忠告します

響は例のYouTuber配信者の視聴者同士の音声チャットに参加していました。ジーニーというネームで響も参加していますが、喋りません。そのうちのひとりが「樹海の中には死にきれなかった人が作った村がある」と話しだし、「みんなで探しに行こうよ」と提案。しかし、急に赤ん坊の泣き声が聞こえだし、雑音と画面のノイズとともにアイコンさえもおかしくなります。響だけの現象のようです。パソコンの線を抜いて、背後に気配を感じる響。

その夜、美優は引っ越し最中に転倒して怪我をし、お腹の子を失ってしまいました。

しかし、不吉な出来事はそれだけではなく…。

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バッドエンドしか見えない

“清水崇”監督は、日常に潜む恐怖がどんどん伝染するように継承されていくというジャパニーズ・ホラーの王道を築き上げましたが、今作『樹海村』もそのパターンどおりです。

『犬鳴村』に続いて本作『樹海村』の主人公である天沢響は冒頭からすでにその継承が完了済みであり、この“山田杏奈”が漂わす不気味さが何とも言えない作品の味になっているのですが、さっそく序盤から箱登場で凄惨な事件が勃発。これぞホントのビックリ箱だ…。

一方で今作はこの天沢響に対する負の畳みかけが凄まじく、箱に火をつけて鷲尾真二郎の実家の寺を全焼させるわ、結果的に人を殺してしまうわ、あげくに統合失調症と精神科医に診断されるわ、なかなかに中盤あたりでもうバッドエンドしか見えない勢いで突っ走ります。

もう少し救いがあるのかないのか観客をハラハラさせてもよさそうなものですが、“清水崇”監督は情け容赦なかった…。

阿久津輝(てる)は精神科医ヘッドアタックで死亡し、鷲尾真二郎はうっかりクッキングミスで自分を切断し、たぶん大方の観客はホラーというか、ドン引きレベルになっていたかもしれない。全然若者がハッピーを見い出せない話ですからね。

一方で富士の樹海で自殺を望む人を拾う活動をしている出口民綱を“國村隼”が演じていることで、『哭声 コクソン』鑑賞済み者は別の恐怖展開が起きるのではハラハラし、響と鳴の母である天沢琴音を演じる“安達祐実”の下手したら娘役俳優よりも若く見えるのではないかという若々しい風貌に別の意味で震撼するという…。このキャスティング、ちゃんと意味があるもので上手かったですね。

響から鳴へと視点は変わり、最終的には母親から継承される姉妹愛の物語へと繋がっていき、周りはかなり滅茶苦茶に不幸になっていますが、まあ、なんとなく綺麗な話で着地した感じはある…。

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地球温暖化も防げるよ

ホラー映画として純粋に恐怖させるエンターテインメントを期待していた人はこの『樹海村』は妙にヘビーでスピリチュアルゆえに肩透かしだったかもしれません。

しかし、私はある一点において満足できたのでそれでじゅうぶんです。

その一点とは「怪奇植物ホラー」

本作はいわゆる怪奇植物が出てくる映画なんですね。作中では富士の樹海にある村では捨てられた人たちが住み着き、やがて森と一体化するようになっていきます。『犬鳴村』は水と犬の属性があるとしたら、今作の『樹海村』は“草”属性です。

怪奇植物は馴染みない人は「は?」って感じの反応だと思いますが、ホラージャンルの古き王道です。有名なのは『人類SOS!』(1962年)などのトリフィド系ですが、日本でも『ウルトラマン』第31話「来たのは誰だ」に登場する「ケロニア」とか、『ゴジラvsビオランテ』(1989年)とか、いろいろあります。

私はこの怪奇植物ホラーが大好きなんですよね。植物と人間が禍々しく組み合わさったり、人間が植物に食われたりするのっていいじゃないですか(恍惚な表情)。

本音を言えばこの『樹海村』ももう少し怪奇植物ホラーとして振り切ってほしかったですよ。樹海を支配する怪奇植物の大ボスが登場して大暴れするとか、鳴がそいつ相手にお手製火炎放射器で対抗するとか…(完全に別ジャンルになってきている)。

でも怪奇植物に対するそこはかとない愛を感じられるオチだったし、これはこれでOKです。みんな植物になればいいんだよ。光合成で酸素を出せるようになるから地球温暖化も防げるよ。カーボンフリーだね。

『樹海村』は全体としては前作もそうですがやや詰め込みすぎなところがネックです。もうちょっと『コンジアム』とか『返校 言葉が消えた日』とかの最近のアジアン・ホラーを見習って、登場人物を最小限に抑えるほうがいい気もするし…。『樹海村』だけでもあの配信視聴者の面々を入れると15~20人の登場人物がいるんですよね。さすがに多すぎるかな…。

「実録!恐怖の村」シリーズはまだまだ続くそうで次回は『牛首村』です。牛かぁ…牛をめぐって群衆が暴れまくっている映像があれば絶対に一定の面白さは担保しているな(勝手に納得)。

ぜひ4作目は「選手村」にしてほしいですね。だってほら、あれだけの疫病による死者、そして人々の職や生活を犠牲にして作られた村ですよ。普通に考えて怨念の溜まり場になるのは当然じゃないですか。一時期のメガスポーツイベントの熱狂も一瞬で冷め切り、かつての面影もなく淡々と再利用されている元選手村施設に起きる説明不可能な怪奇現象。そこに立ち入った者は次々と息苦しさと高熱にうなされて…。そういうホラーを作ることが現在進行形の社会の闇を目にしている者の使命な気がします。

『樹海村』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer –% Audience –%
IMDb
?.? / 10
シネマンドレイクの個人的評価
6.0

作品ポスター・画像 (C)2021「樹海村」製作委員会

以上、『樹海村』の感想でした。

ホラー
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