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映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』感想(ネタバレ)…アンパンマン・コレクトネス

それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!
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略してアンコレ!…映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

英題:Anpanman: Chapon’s Hero!
製作国:日本(2025年)
日本公開日:2025年6月27日
監督:橋本敏一
それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!

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『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』のポスター

『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』物語 簡単紹介

いつものように困っているみんなを助けてまわっていたアンパンマンは、空から落ちてきた不思議な子と出会う。その子は自分の家もわからず、チャポンと名乗る。その流れでチャポンはアンパンマンと一緒に過ごす中で、誰かを手助けして笑顔にする喜びを知り、アンパンマンを兄のように慕うようになる。しかし、ばいきんまんから驚きの事実を知らされる。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』の感想です。

『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』感想(ネタバレなし)

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日本人はパンから正義を教わる

私は子どもの頃に『アンパンマン』のアニメを観ていて、この『アンパンマン』には個人的な良い思い出と、嫌な思い出があるのですけど、まあ、嫌な思い出は今回は忘れることにして、良い思い出だけ振り返っていきましょう。

“やなせたかし”が1968年~1969年にかけて生み出した「アンパンマン」は、『それいけ!アンパンマン』のタイトルで1988年から本格的にアニメシリーズとなり、日本人に親しまれてきました。歴史のあるアニメ作品が、現代になって、どんどん今っぽくリメイクもしくはソフト改変していく中、この『それいけ!アンパンマン』はなおも世界観をほぼあのまま維持し続けてきたことは特筆に値するでしょう。

それだけあの世界観は確立しきっているということもありますが、やはり主人公の「アンパンマン」の正義というものの揺るがなさがその根幹にあるのだと思います。

「どんなに属性の他者であろうと、困っている人がいたら、自己犠牲もいとわず手を差し伸べなさい」という一貫した行動原理。正義を冷笑する時代においても、その「アンパンマン」の正義はブレることはありません。日本人はパンから正義を教わるんです。

そのご長寿の国民的アニメ『それいけ!アンパンマン』は、1989年から劇場版も制作されており、こちらも毎年一本のペースで、映画館に子どもたちを呼ぶ人生初の映画館デビューにぴったりな作品を提供してくれています。この功績は地味ながらも日本の映画文化の定着にとって計り知れないですよね。

私も大人になってから、あらためて『それいけ!アンパンマン』のアニメを見ると、懐かしいという気持ちだけでなく、その正義のテーマに強く共感し直します。本当に時代を超えて大切なことを教えてくれる模範的な作品です。

今回はそんな『それいけ!アンパンマン』の劇場版から2025年の映画をピックアップして、感想として記録しておこうと思います。

その映画が本作『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』

本作は『それいけ!アンパンマン』の劇場版としては通算で第36作目にあたります。いつもどおり、アンパンマンとばいきんまんの対立を軸にしつつ、映画だけの特別なキャラクターが登場し、アンパンマン流の正義が優しく描き出されます。

後半の感想では、かつて「アンパンマンっ子」で今や大人になった私が若干、個人的な思い出に浸りながら、『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』のことをあれこれと書き連ねています。

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『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』を観る前のQ&A

『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』の見どころ
★現代でも全くブレないアンパンマンの正義のアイデンティティ。

鑑賞の案内チェック

基本
キッズ 5.0
低年齢の子どもでも観れます。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

みんなが集まる広場で、みみせんせいが昔話を始めます。

クリームパンダが扮したジャムおじさんは、コキンちゃん扮するバタコさんが見守る中、あるパンをこねていました。世界のどこにもない特別なあんパンができると期待しながら、釜戸にその大きなあんパンを入れて焼き上げます。

そのとき、メロンパンナカバオくんちびぞうくんピョン吉ネコ美たちが扮した命の星が、空から舞い降り、「キラキラ~」と力を与えます。こうして、チーズ扮するアンパンマンが釜戸から飛び出し、みんなは拍手。

困っている人がいれば助けてくれるアンパンマン。お腹を空かせている人には自分の顔の一部を分け与え、みんなの夢を守ってくれるアンパンマン。そのアンパンマンはこうして生まれました。

歌を楽しんでいると、そこにどこからともなくばいきんまんが現れ、舞台を台無しにしてしまいます。

怯えるみんなは大声でアンパンマンを呼びます。するとすかさず空から本物のアンパンマンはやってきて、ばいきんまんをあっという間に倒してしまいました

今回も惨敗したばいきんまんはアジトに舞い戻り、そこでこれまで自分がアンパンマンと戦ってきた映像を眺めます。もう何度も何度も戦ってきました。そう言えば、アンパンマンは顔が濡れると力がでなくなります

そこであるアイディアを思いつきます。アンパンマンを倒す新しいロボットです。ドキンちゃんホラーマンはそれを眺めている中、ばいきんまんは開発に専念。メカメカしいボディのその小さなロボットにエネルギーを送り込んでいるとき、コキンちゃんが手をだしたせいで、大失敗。アジトは水浸しになります。

そして、開発中のロボットは宇宙へと飛び出してしまいます。その宇宙を漂うロボットに命の星がぶつかり…。

その頃、アンパンマンはいつもどおりパトロールに出かけていました。そして畑で種に水をあげていましたが、空か落っこちてくる誰かを見つけ、地面にぶつかる前に受け止めます。

その落ちてきた子に、「きみはどこから来たの?」と質問しますが、その子は空の上を指差すだけ…。

この『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2026/09/13に更新されています。

ここから『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』のネタバレありの感想本文です。

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アンパンマン・コレクトネス

『それいけ!アンパンマン』シリーズは、原作者の“やなせたかし”が亡くなった後もその作家性を継承することを第一としており、近年の劇場版にも“やなせたかし”の思想が丹念に込められているのがわかります。だからこそ、今どきの奇をてらったことはしませんし、変にトレンドを追うこともしません。しかし、その“やなせたかし”の思想こそが、色褪せない、そして今の時代に必要な正義そのものであり、ゆえに現代人の心にも響きます。

まあ、今回はその正義を「アンパンマン・コレクトネス」とでも呼びましょうか。アンコレですよ、アンコレ。

アンパンマンは常にその正義の思想の体現者であり、象徴として揺らぎません。もはやあの世界観では信仰みたいになってますよね。アンパンマンを大声で呼べば、救済してくれる。それだけでなく、正義とは何かを身をもって示し、それが他の人を感化し、正義の輪が広がっていく。これが毎度の恒例です。愛と勇気で形作られ、アンパンマンは“きみ”でもなれる…。そういう物語の型があります。

今回の『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』も、その物語の型を強調しながらなぞってくれます。

ゲストキャラクターのチャポンは、そもそもがアンパンマンを倒すためにばいきんまんによって作られたロボットでした。しかし、出自がどうであれ、「自分が何になりたいか」を自分で決めることができる…という自己決定の尊重を低年齢の子どもでもわかる簡単なストーリーで語っています。

チャポンが、ロールパンナを「おねえちゃん」と慕うメロンパンナの光景を目にして、アンパンマンのことを自分なりに「おにいちゃん」と位置付けるくだりは可愛らしいですが、この世界観特有のあまり血縁家族規範を濃くしない優しさも滲んでいる良い場面だと思いました。

冒頭で再確認されるようにアンパンマンは命の星がパンに生命を与えただけで、何か特別に正義を根差すように目的があって生み出されたものではありません。それでもアンパンマンは正義のために行動します。その理由をチャポンに問われ、「ぼくはただみんなを笑顔にしたいだけ」とアンパンマン・コレクトネスを端的に言い表すアンパンマン…さすが40年近く正義やっている熟練者なだけはある…。余裕の貫禄だ…。

現実社会で社会正義活動をするときも「いや、私はただみんなを笑顔にしたいだけです」とアンパンマンのセリフを引用するようにしようか…。

今回はチャポンが水の能力者ということで、その特性もさりげなく活かされていたと思います。水は確かにアンパンマンの弱点です(半分生モノのあんパンが無防備に野外で活動しているのがだいたいは悪いのでチャポンが気にすることではないと思いますが…)。

アンパンマンだけが水を苦手としているわけではありません。水というのはそれこそ水害のように多くの命を奪えるパワーを秘めています。でも生命に欠かせないものであり、最後のチャポンが植物に水をあげてみせているように、命を育むエネルギーにもなります。

あんパンがみんなを笑顔にするのは比較的わかりやすいじゃないですか。美味しいですからね。

しかし、水となるとそう単純にはいきません。最初はチャポンが「名前がわからない」「おうちはわからない」と何でも“わからない”だらけだったのは、やはり水ゆえのアイデンティティの彷徨いであり、あんパン由来のアンパンマンにはなかなか経験したことのない葛藤かもしれません。

そんなチャポンとアンパンマンが、マントで水流をサーフィンするという、「水と協力するアンパンマン」の本来はあり得ない合体技を披露する終盤の大見せ場は、視覚的に盛り上がるアクションというだけでない、この正義のアイデンティティの到達点をみたような気がします。ここは“倒す”カッコよさではなく、正義のカッコよさを素直に表現していていいですね。

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ばいきんまんもわからないこと

とまあ、ここまで『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』の感想で、アンパンマンの正義の描写を褒めておいてなんですけど、私は子どもの頃から、アンパンマンより、ばいきんまんのほうが好きだった…

今作のばいきんまんはわりと普通です。2024年の前作『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』で、主役を張り、ばいきんまんですら良き心を持っていることを描き切ってしまったので、これ以上やることもないか…。

私がばいきんまんを好きな理由は、いっぱい発明をするところですね。ええ、シンプルです。大雑把に言えば、この世界観って、ジャムおじさんとばいきんまんの創作対決ですよね。ジャムおじさんはアンパンマンを作り、ばいきんまんはメカで対決します。ばいきんまんなんだから、もっと細菌とか不衛生さを武器にすればいいのですが、ちょっと子ども向け作品としては変に生々しすぎるからかな…。

今回のばいきんまんの発明力も相変わらずずば抜けていて、「アンパンマン絶対にやっつけるぞロボ1号」「2号」(「だだんだん」のようなネーミングセンスはどこへいったんだ、ばいきんまん…)を開発できている時点で天才です。ばいきんまんはもっと自分を褒めてあげていい…。

2023年の前々作『それいけ!アンパンマン ロボリィとぽかぽかプレゼント』でも宇宙から飛来する高性能ロボットがゲストキャラクターだったのですが、なんかこの世界のテクノロジー、極まっていますよね。命の星の出番、もう無いんじゃないか…。

笑ってしまうのは、後半でコキンちゃんの激突でばいきんまんはコントローラーを失い、2号が予期せぬ変身をみせ、ばいきんまんが思わず「なにこれ!?」とコメントするシーン。創造主の想定を超えるテクノロジーを生み出してしまっているばいきんまん。お前は神だ…その「なにこれ!?」は神様の心情だよ…。

でも、ここまで書いておいて、もっと申し訳ない…。私はばいきんまんよりも、かびるんるんのほうが好きなんだ…。かびるんるんは作画的な面倒さがあるのか、あまりうじゃうじゃと登場することが少なくなったけど、かびるんるんこそアンパンマンの真の強敵となるべき存在だと、個人的に思ってる…。

風呂場の赤カビを掃除し終えて、この感想を書きながら、そんなことをぼんやり考えた、大人の私なのでした。

『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』
シネマンドレイクの個人的評価
–(未評価)
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
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関連作品紹介

低年齢の子ども向けのアニメ作品の感想記事です。

・『ブルーイ』

以上、『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』の感想でした。

作品ポスター・画像 (C)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV (C)やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025 それいけアンパンマンチャポンのヒーロー

Anpanman: Chapon’s Hero! (2025) [Japanese Review] 『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』考察・評価レビュー
#日本映画2025年 #橋本敏一 #楽しい

アニメ(日本)
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シネマンドレイク

ライター(まだ雑草)。LGBTQ+で連帯中。その視点で映画やドラマなどの作品の感想を書くことも。得意なテーマは、映画全般、ジェンダー、セクシュアリティ、自然環境、野生動物など。

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