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映画『バックルームズ』感想(ネタバレ)…KLWNA SVY 446 Cinemandrake 4 SEP 2026

バックルームズ
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管理人はいません…映画『バックルームズ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Backrooms
製作国:アメリカ(2026年)
日本公開日:2026年9月4日
監督:ケイン・パーソンズ
バックルームズ

ばっくるーむず
『バックルームズ』のポスター。黄色い壁に体を押し付ける女性を映したデザイン

『バックルームズ』物語 簡単紹介

家具店を経営するクラークは事業が上手くいかないばかりか、家庭も思うようにならず、鬱憤を抱えつつ、セラピストに不平不満を言っていた。ある日、自身の閑散とした店舗内の壁の一部に違和感を感じる。そして、恐る恐る調べてみると、想像を超えるとんでもない空間に迷い込む。その未知の空間に刺激的な可能性を見いだし、憑りつかれたように個人で調査を続けるが…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『バックルームズ』の感想です。

『バックルームズ』感想(ネタバレなし)

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あの部屋が映画に

毎年、その年を象徴するホラー映画というのが現れるものですが、2026年はまだ半年しか経過していない段階で、とんでもない2作のホラー映画が存在感を発揮しました。

興味深いのは、どちらもYouTuber出身のこれが映画デビュー作となる若手監督だったことで、その背景もあって、新時代の幕開けとしてメディアで盛んに持て囃されることになりました。

そのひとつは『オブセッション 災愛』でした。こちらは日本でも2026年7月に劇場公開済みです。

そして、もうひとつの映画が日本でも2026年9月に劇場公開されました。

それが本作『バックルームズ』

『オブセッション 災愛』のほうは完全にオリジナルでしたけど、この『バックルームズ』は違います。でも原作がある…というのとはまた異なっていて…。少々特殊な出自があるんですね。

このタイトル、もしかしたらすでに聞いたことがある人もいるでしょうし、「あの部屋」をネット上で見たことがある人もいるでしょう。でも元ネタはよく知らないことが多いんじゃないでしょうか。

始まりは、掲示板サイト「4chan」で、2019年5月、「なんだかおかしいと思う画像を投稿して」というお題でたてられたとあるスレッドがきっかけでした。そこに投稿された1枚の写真が「妙に使い古されてそうな単調な黄色みがかかったフロア」でした。そして「ここは現実世界から抜け出して迷い込んでしまう“Backrooms”(バックルーム;裏側の部屋)」という設定が添えられました。

もちろんこれはおふざけというか、ユーザー同士で勝手に妄想で考えていった設定です。こういうネットユーザーたちが共有していく過程で生まれるホラーの都市伝説を「クリーピーパスタ」と呼びます。「スレンダーマン」や「サイレンヘッド」など、これまでもいろいろなクリーピーパスタが誕生していました。

ただ、この「Backrooms」はただの部屋であるというところが逆に想像を膨らませやすかったのか、どんどんいつの間にやら話がデカくなり、インターネットの社会現象的なミームにまでなっていきました。これをネタにしたゲームもいくつも作られ、有名なのは『Escape the Backrooms』です。

そんな中、“ケイン・パーソンズ”というYouTubeで創作活動をしていた10代の若者がいて、この“ケイン・パーソンズ”が2022年から「Backrooms」を題材にした独自のウェブシリーズを制作し始め、公開したのでした。これが高く評価され、「Backrooms」はますます話題になりました。

その“ケイン・パーソンズ”の才能に目をつけ、今回の長編映画『バックルームズ』に至ったという流れ。なので原作はないですけど、あえて言うなら“ケイン・パーソンズ”のウェブシリーズが原作であり、世界観も共通しているらしいです。

“ケイン・パーソンズ”は本当に若くて、2005年生まれで、映画完成時はなんと20歳。今回の『バックルームズ』の大ヒットにより、北米の興行収入で初登場1位を獲得した最年少の監督となりました。これまでの記録だと、『クロニクル』(2012年)の“ジョシュ・トランク”監督の27歳、『ジョーズ』(1975年)の“スティーヴン・スピルバーグ”監督の28歳と比べても、大幅な更新。もうこれより若い記録はでないんじゃないかな。あまりにも若すぎるので“ケイン・パーソンズ”の名前をだせば「20歳」がネタとしてこすられまくる現象が起きました。

なお、脚本は、ドラマ『死霊のはらわた リターンズ』を手がけた“ウィル・スーディク”が担当しています。

『バックルームズ』のホラー映画のアプローチとしては、いわゆる『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)のときと同じで、視覚映像を主体にしていくタイプですね。手持ちカメラの一人称視点のパートが多いので、映像酔いしやすい体質の人は注意してください。

映画『バックルームズ』に出演する俳優陣は、『サンキュー、チャック』“キウェテル・イジョフォー”『センチメンタル・バリュー』“レナーテ・レインスヴェ”、ドラマ『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』“フィン・ベネット”、ドラマ『シュリンキング 悩めるセラピスト』“ルキータ・マックスウェル”『Biosphere』“マーク・デュプラス”など。

元ネタを知っている人も知らない人も、映画『バックルームズ』に迷い込んでみましょう。映画館で観る際は建物から出れると思いますが、足元に注意です。

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『バックルームズ』を観る前のQ&A

『バックルームズ』の見どころ
★ミステリアスに映像化されたあの空間。
『バックルームズ』の欠点
☆一部のシーンは映像酔いしやすい。

鑑賞の案内チェック

基本
キッズ 3.0
暴力の描写があります。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『バックルームズ』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

殺風景なフロア。全体的に壁も天井も床も黄色味がかかっており、多少のしきりはあるものの、部屋というほどのものではなく、どこかまとまりがないです。まるで何か建設途中のような空間ですが、窓は一切存在せず、どこにあるのか見当がつきません。普通の天井に蛍光灯があるものの、明かりは一様ではなく、場所によってはかなり暗いです。そして何よりも誰もいません。

いや、ひとりだけいます。ひとりの人間が息を切らしながら、そのフロアを通り抜け、無線機のようなもので助けを呼びます。しかし、何かを感じて振り向きます。1羽の鳥が迷い込んだようですが、明らかに不自然です。

その人物は細長い廊下を進むと、家具などの品が壁や天井に中途半端にめりこんでいます。その瞬間、何かに襲われ、転倒。その人の持っていたカメラは床に転がり…。

ところかわって、メアリー・クラインは解体される自分のかつての家を眺めていました。子どものときの記憶が蘇ります。

メアリーはセラピストで、今日はクラークという男と家でセッションします。クラークは家具店の経営が上手くいかず、そのうえアルコール依存症を抱え、妻と離婚し、かなり切羽詰まっていましたが、本人は整理しきれていません。

メアリーに促され、クラークはメアリーを妻という設定で対話のロールプレイをします。しかし、できる限り気さくに喋っていたクラークはどんどん苛立ち、一方的に不満をぶちまけていきます。自分は建築家であるというこだわりを怒鳴り散らし、我に返って謝りだす始末。その間もメアリーは表情を変えずに目の前で座ったまま付き合っていました。

クラークはアシスタントマネージャーのキャットと彼女のボーイフレンドのボビーを雇って、自分で店の海賊のマスコットの格好をして捨て身でテレビコマーシャルを撮影します。これで客が来ると期待していました。キャットとボビーは困惑しながら撮影に付き合います。

また、店の電気代が異様に高いと業者に伝えられます。配電盤をチェックしてもらうと、謎のスイッチを見つけます。いじってみますが店内に変化はないです。通電していないのか、意味不明であったものの、原因はハッキリしないまま。

クラークは店内に住み込み、夜を過ごしますが、真夜中に展示しているベッドの上でだらけていると、やはり電気系統がおかしいことに気づきます。

別の夜、また店内でベッドに寝転がってテレビを見ていると、急に画面が変わり、黄色っぽいフロアが映し出されたかと思えば、何もつかなくなります。そしてチカチカと電気が明暗。壊れているのだと思って怒りのままに配電盤に行き、やけくそで全部のスイッチを付け直すも、真っ暗になってしまいました。

そのとき、ある壁の一部から縦の光が見えることを発見。まるでその奥に空間があって隙間から光がこぼれるようです。近づき、手をあてると、いきなり前に倒れ、壁を通過したことがわかります。

そこは黄色みのある謎のフロアでした…。

この『バックルームズ』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2026/09/04に更新されています。

ここから『バックルームズ』のネタバレありの感想本文です。

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映画の舞台の良い選択

映画『バックルームズ』は、いわゆる「ソリッド・シチュエーション」と呼ばれる脱出サスペンスが主体です。謎めいた閉鎖的な空間に閉じ込められ、そこからどうやって脱するか。そのスリルを楽しむことになります。最近だと日本でも映画『8番出口』がありました。

『8番出口』でもそうでしたが、『バックルームズ』も日常で普段から見られる何気ない風景や空間なのにどこか違和感というか薄ら怖い感じがする…という感覚を意識した作りになっています。これは「リミナルスペース」と呼ばれ、今や恐怖演出の定番になってもいます。

映画『バックルームズ』はあの元ネタのクリーピーパスタがしっかり不気味な空間として映像化されていて凄い…と褒めたいところですけど、そもそも“ケイン・パーソンズ”のウェブシリーズの段階でかなり高クオリティで映像化されているんですよね。だからそっちが最初から凄いって話で…。

ちなみにこの私の感想ではあの空間の考察とかはしません。というか、考察したかったらウェブシリーズのほうを観るべきです。そちらのほうがたっぷり描かれているし、世界観は共有しているらしいですからね。映画『バックルームズ』だけを観ると「“Async”の研究所って何なの?」とかいろいろ疑問だらけになりますし…。

映画となった『バックルームズ』は実物の広大なセットで撮っているだけあって、ウェブシリーズと違い、ボヤけた画質に依存しない、ズームアップにも耐えられる映像品質になり、登場人物ができることが大幅に増えました。ずっと手持ちカメラありきにならないのも、この映画だからこそのパワーアップの結果です。

ああいうセットのテーマパーク、あれはあれでウケそうだな…。1泊2日(食事・寝具は各自用意)で10000円で売っていこう…。

今作ではクラークの経営する家具店、それも店と言いつつも相当に閑散としていてやる気がない感じなのですが、その店と接続する構造になったことで、職場の威圧感や薄気味悪さを漂わせます。このあたりは「Backrooms」からインスピレーションを得たであろうドラマ『セヴェランス』のアプローチに近いところもありますね。

そしてその家具店は当然ながら一般家庭のアイテムを売る場所であり、その空間は個人の家庭とも重複します。このあたりの仕掛けも上手くいっていました。今作はこの家具店を舞台に選んだことで、結構成功しているなと思います。

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誰の心にもあの空間はある

映画『バックルームズ』でオリジナリティが濃いのは、主人公の登場人物です。

今回の前半の主役はクラークです。彼については明示的ではないのですけど、その過去から人物像を推察できるようになっています。そして、これも偶然にも映画『8番出口』と同じなのですけど、「過去から現在に続く行為に紐づく不誠実な性格を抱えた男」が土台にあり、それもその不誠実さはある種の男らしさと結びついており、作中では「その欠点と向き合えるか」が問われていきます。

いわゆるソリッド・シチュエーションを内面的な心理の表現に用いる定番のパターンです。

クラークの場合、より深刻で、開始時点で妻と離婚していますが、どうやらあの後の空間描写から推察するに、このクラークはアルコール依存症ゆえなのか妻に家庭内暴力を振るっていたような示唆があります

メアリーとのカウンセリング・セッションの段階ですら全然反省しきれていない、「俺は悪くない!」状態でしたが、あの空間に憑りつかれてからは、狂信的に自己正当化に閉じこもってしまいます。模倣的な家庭に自己満足を得て、それを強要していくあの姿は怖いですね。

一方の後半の主人公のメアリーは、冒頭から感情に乏しいですが、母親との過去のせいでトラウマを抱えていることが、わりとハッキリ回想含めて明示されます。

メアリーの母に何が起きたのかは明らかになりませんけど、彼女も昔にあの空間に迷い込んで恐怖を体験したことがあると考察してもいいですし、クラークとのテーマ的な繋がりで言うなら何かしらの男性的な暴力の被害を受けたことが原因と解釈できなくもないでしょう。

メアリーにとっては昔に母と住んでいた家こそが閉塞感のある空間であり、それが「Backrooms」に結びついていく流れもしっくりきます。「Backrooms」は誰の心の中にもあるから、神出鬼没なんですね。

また、現実に基づいた欠陥のある記憶違いのコピーが無限に増殖していくという設定は、現在進行形で猛威を振るう生成AIとも似ているので、そういう風刺性も結果的に生まれているのも奇妙なシンクロです。

今回の映画だけだと世界観の一端を覗いた…という感触にどうしてもなりますが、映画単体としてもじゅうぶんな見ごたえを提供しており、“ケイン・パーソンズ”監督の実力は確かに証明されていたのではないでしょうか。

“ケイン・パーソンズ”は「Backrooms」で成功する前は、『進撃の巨人』を歴史的な戦争写真のスタイルで表現した映像集を制作したり、まだまだアプローチの手数はある人ですし、「Backrooms」以外の作品にもどんどん挑戦していってほしいですね

大手ハリウッドの大企業は「クリーピーパスタがウケるのか!」と今作の成功で有頂天かもですけど、「Backrooms」以上に有名なクリーピーパスタは早々生まれないので、安易な模造品を量産しないでください。そういう儲けありきのスタジオ幹部は「Backrooms」に永遠に閉じ込められていいです。

『バックルームズ』
シネマンドレイクの個人的評価
7.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)

以上、『バックルームズ』の感想でした。

作品ポスター・画像 (C)2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.

Backrooms (2026) [Japanese Review] 『バックルームズ』考察・評価レビュー
#アメリカ映画2026年 #ケインパーソンズ #キウェテルイジョフォー #レナーテレインスヴェ #フィンベネット #ルキータマックスウェル #脱出サスペンス #ハピネットファントムスタジオ

ホラー
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シネマンドレイク

ライター(まだ雑草)。LGBTQ+で連帯中。その視点で映画やドラマなどの作品の感想を書くことも。得意なテーマは、映画全般、ジェンダー、セクシュアリティ、自然環境、野生動物など。

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