信じるくらいしかできないけど…映画『プラダを着た悪魔2』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2026年)
日本公開日:2026年5月1日
監督:デヴィッド・フランケル
恋愛描写
ぷらだをきたあくまつー

『プラダを着た悪魔2』物語 簡単紹介
『プラダを着た悪魔2』感想(ネタバレなし)
DWP2!
2006年に公開された映画『プラダを着た悪魔』。ファッショナブルな悪魔を描いたホラー映画…ではないのですが(そういうのも観てみたいけど)、2003年の“ローレン・ワイズバーガー”の小説を映画化した本作は、ファッション誌という最先端の流行を築くメディアで働く人たちを描いた一作でした。
この『プラダを着た悪魔』…通称「DWP」は、劇場公開から瞬く間に大ヒットし、カルト映画化。熱烈なファンダムを獲得しました。
その多大な影響力は例を挙げだすキリがありません。女性を主役に据えた映画で、女性の客層に大きく響き、映画界における女性の市場の再評価に繋がりました。一方で、「女なんて“プラダを着た悪魔”の話題をだしとけばウケるんでしょ」なんて得意げに語るシネフィル男も散見されるなど、「女性と映画」のイメージの固定化もみられたり…。あちこちでパロディにもなり、ネタにされ、今や「映画は観たことないけどタイトルだけ知っている」という人もいたはず…。
でもそれも過去の話。20年の時を経て、2026年に続編として帰ってきました。
それが本作『プラダを着た悪魔2』。
前作に引き続き、監督“デヴィッド・フランケル”、脚本“アライン・ブロッシュ・マッケンナ”が起用され、もちろん、“メリル・ストリープ”、“アン・ハサウェイ”、“エミリー・ブラント”、“スタンリー・トゥッチ”も勢揃い。
堂々たる「ザ・同窓会」映画であり、ノスタルジーを刺激しまくります。何より俳優陣がこの20年間でキャリアを蓄積し、みんな大物になってしまったので、あらためて再集結すると前作以上にゴージャスなパワーが桁違い…。こんな同窓会の会場、実際にあったら気軽に足を運べない…。
しかし、前作と同じことを繰り返すような退屈なことはしていません。ちゃんと1作目のときとは異なるこの現代における業界のテーマに向き合っています。
そんなことよりファッションを楽しみたい!という人でも全然OKですけどね。今回もファッションはたっぷり(カットごとにファッションを変えるのはやっぱり贅沢)。
ちなみに、私はそもそも『プラダを着た悪魔』にそこまで熱はない人間なので、後半の『プラダを着た悪魔2』の感想もそんな温度感です。そこはあしからず。
『プラダを着た悪魔2』を観る前のQ&A
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Q『プラダを着た悪魔2』を観る前に観たほうがいい作品は?
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A
前作『プラダを着た悪魔』を観ないと物語が完全に理解できなくなるわけではありませんが、観ておくと各キャラクターの関係性がより馴染めます。この2作目を観てから1作目を初めて観るのでも、新鮮な体験ができるでしょう。
鑑賞の案内チェック
| 基本 | — |
| キッズ | 大人向けのドラマです。 |
『プラダを着た悪魔2』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
ニューヨーク・シティの一流の記者のアンドレア(アンディ)・サックスはジャーナリストの授賞式に参加し、賞賛を受けていました。しかし、同じ編集部が揃っている机に置かれたみんなのスマホが一斉に振動して鳴ります。怪訝に思いながら各自のスマホに目を向けると、そこには一方的な解雇の知らせが…。全員が言葉もでないほどにあっけにとられます。大企業のトップの方針でこうもあっさり一瞬で捨てられるとは…。途方にくれますがどうしようもありません。
ところかわってニューヨークのエリート・ファッション誌「ランウェイ」のカリスマ編集長としてファッション業界の頂点に君臨するミランダ・プリーストリーは、華々しいモデルが揃うイベントの中で、自身も真紅のドレスをまとい、優雅にフラッシュを浴びていました。
しかし、ミランダの長年の右腕であるナイジェル・キプリングはその場で自分のスマホに映るある記事のせいで集中できません。それは美しさで着飾ったブランドの外見の内部にある劣悪な労働環境についてのもの。こちらとしては上手く誤魔化したつもりでしたが逆効果だったようで。
その記事の悪評は瞬く間にネットに拡散し、ミランダの偽善を批判するネット・ミームが次々とSNSに広がり、信頼は急落していく真っ最中。このままだとマズいです。
ナイジェルはミランダの第一アシスタントであるアマリ・マリにさりげなく指示し、ミランダに何気なく近づき、状況を説明。ひとまずマスコミが嗅ぎつける前に引き上げさせます。
納得のいかないミランダは新しい夫スチュアート・シモンズのいる邪魔の入らない部屋で、親会社で上司のアーヴ・ラヴィッツから怒りの電話を受けます。
困ったアーヴはたまたまネットでバズっていたアンディの動画を目にし、この危機を打破できる怖いもの知らずの特集記事編集者として採用しようと試みます。
アンディは今から20年前、記者になる以前はあのミランダのもとでアシスタントをしていたこともありました。そのなりふり構わないミランダに翻弄され、確かに昔のアンディの目にもミランダは高圧的で嫌な人間として映っていたこともありました。今は横暴さは抑えられているらしいです。
安定した職を失って他にやることもないアンディはミランダのもとへ足を運びます。どうやらミランダはアンディが雇われたことを知らなかったようで、あからさまに不機嫌に…。
今の窮地を噛みしめているナイジェルは、現在のブランドは広告主との関係を維持することに傾倒し、オンラインでの注目集めに腐心していると苦々し気に語ります。アンディが働いていた頃にはなかったことですが、これも時代の流れです。
今の主要な広告主のひとつは「ディオール」で、そこには「ランウェイ」時代にアンディの先輩同僚だったエミリー・チャールトンが上級幹部でビシバシ活躍しているとのこと。
こうして懐かしい4人が一堂に会しますが…。

ここから『プラダを着た悪魔2』のネタバレありの感想本文です。
改善されていく職場
1作目の『プラダを着た悪魔』は、業界を知らぬ未熟者の新人が、ストレスフルで容赦のない業界の洗礼を受けていく中で、自分のやりたいことを見つける…そんな物語でした。
それは有害な企業文化の批評としてはやや社畜思考すぎるトーンであり、今回の『プラダを着た悪魔2』はその点をしっかりまず最初に自己反省し、「まあ、ダメだったよね」と断言します。
そして2作目はもうそのテーマは繰り返しません。確かに作中の「ランウェイ」のオフィスを見渡しても、過去のような圧は感じさせません。パワハラもないですし、何よりも働いている人たちの姿が以前のような狭い「美」の価値観に絞られず、多様化しています。
昔のアンディと同じポジションである第二アシスタントを勤めるチャーリーからしてその変化を私たちにみせつけます(チャーリーを演じるのは“ケイレブ・ヒアロン”。ゲイであることを公表しています)。
今回のアンディのアシスタントをしてくれる“ヘレン・J・シェン”演じるジン・チャオもそうです。なお、このキャラクターは予告動画の時点で「アジア系のステレオタイプである」として日本含む東アジア各国の一部の人々から批判を受けました。ただ、まあ、全然出番がないので、表象批評するボリュームすらなかったけど…。
今作はアジア系のキャラはこのジン・チャオのみだけでなく、案外とアジア系が多いです。ミランダの第一アシスタントとして前面で働くアマリを演じるのはインド(タミル系)の“シモーヌ・アシュリー”。アマリはいかにも美形のモデル風ですが、前のエミリーのような露骨な嫌な先輩っぽさは無しです。そして、“ルーシー・リュー”演じるサーシャ・バーンズは今回の物語の要となる人物。
ただ、サーシャを除けば、アジア系のキャラたちはたいしたキャラクター・アークはなく、どうとでもカットできる存在なんですね。事実、フィリピン系の“コンラッド・リカモラ”がアンディのルームメイト役で起用されていたらしいですが、スクリーニングで不評でカットされたとのこと。
本作の「良い職場になりました」演出のために存在するキャラクターたちは、トークン・マイノリティっぽさが無視できず、コレ込みでの風刺なのか…(いや、違うだろうな…)。
でも肝心のミランダ自身がわざとらしく善人化したとも思えず、そこはやっぱり“メリル・ストリープ”だからの説得力だとも思うのです(“メリル・ストリープ”は人権擁護の姿勢を常に示してきましたからね)。
そういう意味では今作のミランダは、インスピレーションのひとりとされる「アナ・ウィンター」からも離れ、オリジナルの存在として確固たるものになったのではないでしょうか。
“アン・ハサウェイ”演じるアンディの存在もその業界の好転の納得感に貢献していました。ここも“アン・ハサウェイ”自身の人柄も無意識に観客の私の印象に作用しているのかもしれないですけど。“アン・ハサウェイ”に任せておけば、職場環境を悪い方向に傾けさせたりはしないだろうし。
今作では何かと対立する側になる“エミリー・ブラント”演じるエミリーも、敵としてそこまで嫌悪感のある存在にはさせませんし、“スタンリー・トゥッチ”演じるナイジェルにいたっては最後に花を持たせます。
『プラダを着た悪魔2』で間違いなく良かったところは、「ガールボス」の定型にハマりがちなプロットをきっちり避けたことでしょう。
誰かひとりをカリスマとして崇めるのではなくて、みんなで共同して築き上げる職場の楽しさを素直に描いてみせていました。
悪魔はもっと高みにいる
『プラダを着た悪魔2』は現場の職場環境問題は好転させましたが、よりスケールの大きい別の問題を提示して、そこをサスペンスにしています。
ここ最近の業界裏側&オフィスものでは定番というか避けることはできない企業批評ですが、『プラダを着た悪魔2』が描いたのは「企業所有者である大富豪に翻弄される現実」です。
これは現実のメディアでまさに起きまくっていることなので、当事者にしてみれば死活問題です。もうメディア運営も記事執筆も全部AIがやるようになる可能性すら現実味を帯びてきている…(レビュー記事だってAI生成の架空のライターが書いていたという事例もあるし…)。
結局は何をするかは全部、経営権を持つ大富豪が決めること。末端で働く者たちは、それこそミランダですら、この大富豪に逆らえません。
その現実に対して、この『プラダを着た悪魔2』は、ポジティブに言えば「明るく希望溢れる現実的な理想」を示す…ネガティブに言えば「批評としてはマイルドすぎて切れ味の悪い希望的観測」を示す…そういう着地でとりあえず片づけています。
要するに「大富豪は善き行いのためにカネを使え」というオチですよね。権力者は正しいことにその権力を使ってくれれば、多くの人は救われますよという、さも当たり前のことをあらためて訴えていました。それが現実ではできていないから、こうフィクションで訴えないといけないのですけど。
欠点を挙げるなら、本作の買収のリアリティのなさはあるでしょう。実際の買収はそんなアンディのレベルの人間が動くことでどうこうなるものでもないでしょうし、もっと多くの経営に影響力を持つ者たちのパワーゲームに翻弄されるでしょうから。
それにアンディ近辺はそれで満足しても、他の労働者からすれば「ちょっと待った!」と考える人もいるでしょうし、本作はやはりアンディ中心に何でもかんでも動かしすぎな感じはあります。
ドラマ『メディア王 華麗なる一族』並みのヒリつく生々しさを映せとは言いませんが、『プラダを着た悪魔2』の理想の物語が数年後に現実のニュースで一瞬にして陳腐化しないか心配です…。
『プラダを着た悪魔2』は、論争的なことは極力避け、ファンサービスを適度に交えつつ、最も無難な「お仕事モノ」の最低限の批評をクリアして優等生にみせているあたりは、じゅうぶんに現状を踏まえた賢いストーリーなのかもですけどね。
『プラダを着た悪魔2』、世界でも日本でも大ヒットしているようで、2026年もその人気を更新したことで、「成功作を上回れるのはその成功作の続編しかない」というハリウッドの上層部の固定意識をまた高めたことでしょう。それが誰を昇進させ、誰をクビにするのか、考えると不安にはなりますが…。
シネマンドレイクの個人的評価
–(未評価)
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
以上、『プラダを着た悪魔2』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)2026 20th Century Studios. All Rights Reserved
The Devil Wears Prada 2 (2026) [Japanese Review] 『プラダを着た悪魔2』考察・評価レビュー
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