抗議デモのやりかたとか…「Disney+」アニメシリーズ『スター・ウォーズ – モール/シャドウ・ロード』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2026年)
シーズン1:2026年にDisney+で配信
原案:デイブ・フィローニ
すたーうぉーず もーる しゃどうろーど

『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』物語 簡単紹介
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』感想(ネタバレなし)
2026年の「スター・ウォーズ」はモールで開幕
『スター・ウォーズ』フランチャイズを制作する「ルーカスフィルム」は、2026年からは新体制になりました。1月に“キャスリーン・ケネディ”が社長を辞任し、それまでクリエイティブ面を率いていた“デイブ・フィローニ”が新たに社長に加わり、CCOを兼任。“リンウェン・ブレナン”と揃って社長もすることに。
とは言え、顔触れはあまり変わらないので、方向性に大きな変化はないと思いますが…。
でも、2026年は久しぶりに『スター・ウォーズ』が劇場に帰ってくる記念すべき年でもありますし、新しいアニメシリーズも始動します。“デイブ・フィローニ”が忙しさで倒れないか心配ですけど、アニメはずっと“マット・ミクノヴェッツ”や“アシーナ・イヴェット・ポルティーヨ”といった製作陣に支えられているので大丈夫でしょう。
2024年に完結したアニメ『スター・ウォーズ バッド・バッチ』に代わる、新しいシリーズ…それが本作『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』。
本作はそのタイトルにあるとおり、あのファンに人気の悪役キャラクター「モール」がやっと主人公になりました。
ここでモールについて本作『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』に至るまでの過程を簡単におさらいがてら振り返りで整理しておきます(ネタバレが嫌な場合は読み飛ばしてください)。
モールはダース・シディアス(後の皇帝)の弟子であり、ゆえに「ダース・モール」の名を持っていました。銀河共和国時代にオビ=ワン・ケノービによって真っ二つにされて倒されます(『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』)。
しかし、しぶとく生き残り、ナイトシスターの実母の魔法と科学技術で復活。オビ=ワンへの復讐心を燃やしつつ、シャドウ・コレクティヴと呼ばれる犯罪シンジケートを結成。マンダロアすら一時は支配するも、失脚し、ダース・シディアスにも見過ごされ、アソーカと決闘して捕まります。そして、オーダー66(すべてのジェダイを抹殺する命令)のどさくさに紛れて逃走(『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』)。
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』は、この『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』の後のモールの物語を描くものです。なお、『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』と『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ 反乱者たち』でも、モールは登場しますが、こちらは『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』のその後の物語ということになるはず。
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』では、ついに到来した銀河帝国の時代の始まりの中、モールは何をしていたか…が描かれます。
ジャンルとしては、犯罪ドラマになっており、これまでの『スター・ウォーズ』アニメシリーズの中では最もダークで大人なストーリーです。アニメーションも一番にリアル寄り。緊迫感のあるアクションはいっぱい満喫できます。
アニメ畑の“デイブ・フィローニ”はアニメシリーズもオマケで片づけず、しっかり世界観の拡張に活かしてくれるのがいいですね。今作もあんな作品に接続したりと、意外性をみせてくれます。
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』のシーズン1は全10話で、1話あたり約22分です。
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』を観る前のQ&A
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Q『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』を観る前に観たほうがいい作品は?
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A
映画『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』と、アニメ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』を観るのがオススメです。
鑑賞の案内チェック
| 基本 | — |
| キッズ | やや大人向けのところもありますが…。 |
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
惑星ジャニックスにて、大都市のとある高層ビルの外壁を降下し、銀行に潜入する一団。マンダロリアンとダソミリアンのザブラク族で構成される彼らは一瞬でドロイドを制圧し、銀行輸送機ごと強奪。
駆けつけた警察に囲まれるも、背後のシップから誰かが現れます。その人物は黒いフードを被り、赤いライトセーバーを二刀流で振り回し、圧倒的な力を発揮し…。
一方、逃亡中で隠れ潜んでいるジェダイ・マスターのイーコ=ディオ・ダキと彼のパダワンのトワイレック族のデヴォン・イザラ。オーダー66以降、ジェダイは銀河帝国から追われる身となり、表立って活動はできません。デヴォンは露店で食べ物を盗もうとしますが、ダキはそれを制止。しかし、デヴォンは盗んでしまい、ドロイドに見つかって自分だけ逮捕されてしまいます。
翌日、TDFのブランダー・ローソンとその相棒の警察ドロイド「2B0T(トゥー=ブーツ)」は犯行現場を捜査。この銀行は犯罪王として恐れられるニコ・ディーミスのものなので、普通は誰も襲撃しようと思いません。ライバルの犯罪者であるルーティ・ヴァリオの仕業かと思いましたが、妙に洗練された犯行でした。
モールは現在一緒に行動している元デス・ウォッチのルーク・カストに「弟子を育てたい」という願望を話します。犯罪シンジケートの再建も考えてシャドウ・コレクティヴのわずかな残党と今回の銀行強奪を仕掛けましたが、弟子の切望はモールの個人的な考えです。次こそ敗北しないために、フォースの相方が必要である、と…。

ここから『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』のネタバレありの感想本文です。
シーズン1:復讐心しかない
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』で満を持して主人公となったモール。レガシー・キャラクターの悪役がメインということで異彩を放つ本作ですが、モールが正義のヒーローに転身したわけではありません。
確かに本作においてモールは、犯罪組織や帝国権力そのものに赤いライトセーバーを向けます。しかし、それは言ってしまえば「俺を見捨てておきながら、俺より成功している悪は許さない」という極めて歪んだ動機です。故郷も家族も失い、ジェダイにもシスにもなれないモールは、ひたすら復讐に憑りつかれています。
シーズン1の第8話で、モールが自身の過去をフラッシュバックさせ、涙までみせるほどに弱々しい姿を晒すのは、これまでにないキャラクターの感情描写でした。アナキン・スカイウォーカーがダースベイダーとなったのとはまた違う、ひとりの人物の闇を垣間見せてくれます。アナキンと異なり、モールはシスにすら見限られたんですから、まあ、ツラいですよね…。
そんな負け続きでメンタル的にも追い込まれているモールは、「やはり弟子がいないとダメだ」という基本に立ち返り、弟子の獲得に固執。一応、「マイ・ロード」と慕ってくれるルーク・カストなど周りに仲間はわずかにいるのですけど、フォース使いの人は弟子にこだわるのがこの業界のお約束。モールもその定型をなぞろうとするあたりは平凡です。
ということでデヴォンに目をつけるわけですが、“デイブ・フィローニ”のアニメシリーズとしては始まりである『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』の「アナキン&アソーカ」の再来という感じ。しかし、よりダークな関係性を描いてきました。
まずこのデヴォンはパダワンとは言え、すでにかなりしっかりしており、そう易々とモールの口車に乗せられません。「もう時代は変わった、人生は善悪の二元論ではない」と、どこぞのSNSの論破カルチャーに染まった人みたいに、レトリックでコントロールしようとするモールですが、デヴォンは相手しません(これはこれでSNSでは正しい対処法ですね…)。
ただ、SNSと違ってブロックとかできないので、モールもしつこいです。そのうえ、モールのやろうとしていることは事実、反体制活動の手法としてはありなのかもしれないと頭によぎる…。
ドラマ『キャシアン・アンドー』みたいに、抗議デモとか、演説とか、結社の自由で、抵抗運動を展開しようということにはならず、暴力的な復讐に傾倒してしまう…。
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』は、こういう「圧倒的な権力に直面して復讐心に飲まれる」という人間の弱さを突きつけていく物語になるのでしょうか。それは現代社会においても身近な感情の問題でもありますよね。
アナキンのキャラクター・アークではやりきれなかった課題となるテーマを『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』では向き合うことにしたのかな。
シーズン1:政治がわからないと…
『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』ではモール以外のフォース側ではない庶民の物語も地味によかったですね。とくに個人的に気に入っているのが、ブランダー・ローソンとトゥー=ブーツの関係性。
これまでこの『スター・ウォーズ』では「人間にとってのドロイド」と言えば、「マスコット的な愛嬌のある存在」か「頼もしい味方」もしくは「敵」…わりと極端でした。
しかし、今作のトゥー=ブーツは絶妙にリアルで、要するに「政治に無関心であり、従順であることがいかに権力に与してしまうか」という最近も現実で身に染みて実感できる問題をこれ以上なく表していました。
トゥー=ブーツはドロイドらしくプロトコルに従い、帝国を呼んでしまいます。それがどういう政治的作用を生むのか、そういう緊張感を理解していません。「政治」がわからないのです。もしくは政治的に中立なつもりでも、実態は全くそうはならないということ。トゥー=ブーツがどんなに手順を守ろうとも、帝国は手順を守りませんしね。
それでもトゥー=ブーツは規定外の行動もとっていて、マグカップを差し出す行為が、このドロイドの中の手順と思いやりの狭間を上手く表現していて良かったです。
ブランダー・ローソンも似たり寄ったりで、子どもでも観られるフランチャイズでは珍しい離婚家庭を映しており、元妻は帝国人。ブランダーは良識があって、でも夫婦や組織のしがらみ(政治的価値観の亀裂)に無力さを感じ、息子のライリーとも心を通わせられない…。こちらもドラマ『キャシアン・アンドー』を彷彿とさせる生々しい大人像でした。
善悪の狭間に立つブランダーとトゥー=ブーツが示すのは、「人生は善悪の二元論ではないから、悪しき行いをしていい」ではなく、「人生は善悪の二元論ではないからこそ、善き行いがより大切になってくる」という教訓。
そんなブランダーも脱落し、デヴォンの善の師であったイーコ=ディオ・ダキも貫かれ、いよいよあのメンバーの中に、善き行いを説くメンターはいなくなりました。
その前に、ファン大熱狂のフィナーレ・バトル。ファンがずっと妄想していた、最も壮大なダークサイドの対決である「ダース・モール vs ダース・ベイダー」が正史になってしまいましたよ。ドラマ『アソーカ』に続く尋問官マロック(ファースト・ブラザー)や、同じく尋問官のイレブンス・ブラザーも怖いけど、やっぱりダースベイダーは別格だった…。絶望感がハンパないですね。
絶望すればするほど人は暴力の復讐に染まる…。シーズン1のラストでついにデヴォンはモールの赤いライトセーバーを手にし、モールの思惑どおりになりました。これはドラマ『スター・ウォーズ アコライト』のあのペアを思い出しますけど、どうなるやら…。
とりあえずクリムゾン・ドーンのドライデン・ヴォスと接続したので、『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』は報われましたね。8年ぶりの伏線回収だ…。長かった…。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
関連作品紹介
以上、『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)Lucasfilm スターウォーズモールシャドウロード
Star Wars: Maul Shadow Lord (2026) [Japanese Review] 『スター・ウォーズ モール/シャドウ・ロード』考察・評価レビュー
#スターウォーズ #スペースオペラ




