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『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』感想(ネタバレ)…変な人でもいい

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

変な人でもいい…映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Miss Peregrine’s Home for Peculiar Children
製作国:アメリカ(2016年)
日本公開日:2017年2月3日
監督:ティム・バートン

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』あらすじ

周囲になじめない孤独な少年ジェイクは、唯一の理解者だった祖父の遺言に従い、森の奥にある古めかしい屋敷にたどり着く。そこには、美しくも厳格な女性ミス・ペレグリンの保護のもと、奇妙な能力をもった子どもたちが暮らしていた。

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』感想(ネタバレなし)

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ティム・バートン監督風の「X-MEN」

“ティム・バートン”といえば「奇才」だの「鬼才」だのと語られることの多い今や有名監督ですが、それはキャリアを築いた以降の評価。その才能が一般に認知されていなかった若い時はそうではありませんでした。よく聞かれる話からは、極端に無口で奇行も目立つ「変な人」扱いされていたことが窺えます。

なんか悲しい話ですが、現実なんてそんなものなのかもしれません。手のひら返しをしながら、いとも簡単に他人への目線をコロコロ変える世の中。

そんな世間の目を“ティム・バートン”自身はどう思っていたのかは本人のみぞ知るです。しかし、彼のフィルモグラフィーを観ていると、なんとなくわかるような気がします。

思えば“ティム・バートン”監督の作品には世間からはズレた「変な人」が登場することがとても多いです。『バットマン』(1989年)のジョーカー、『シザーハンズ』(1990年)のエドワード、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993年)のジャックなど、挙げだしたらキリがないほど。これらの「変な人」に“ティム・バートン”監督自身を投影していることは言うまでもないでしょう。

そして、“ティム・バートン”監督最新作である本作『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』でもやはり「変な人」が登場します。しかも、「変な人」だらけです。いや、この監督の作品はたいてい「変な人」率が異様に高いのですけど。

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は、ひとりの保護者的立場の人によって、屋敷という閉鎖的なコミュニティで育てられた、特殊な能力を持った子どもたちが活躍するという内容。この設定を聞くと「X-MEN」を想像する人も多いはず(去年は『X-MEN: アポカリプス』も公開されました)。実際に観てみると、確かになるほど「X-MEN」です。「X-MEN」っぽい特殊能力を駆使したチーム戦もあります。そういう意味ではティム・バートン監督風の「X-MEN」といえるかもしれません。

ただ、そこはなんだかんだで“ティム・バートン”監督なので、アメコミ映画とは同じにならないのが面白いところ。

“ティム・バートン”監督の前作は『ビッグ・アイズ』(2014年)という伝記ドラマであり、こちらも良い作品なのですが、典型的な“ティム・バートン”監督作品を期待していると物足りなかった人もいたでしょう。今回は、なによりティム・バートン監督らしいダークでメルヘンチックな世界観が帰ってきました。好きな人は見逃せない一作になると思います。

それにしても公式サイトを見ると「キミョかわいい」キャンペーンなるものを実施していて、「キミョって何だ?」と思ったら邦題の「奇妙」のことか…。たまに公式のプロモーションに付いていけないことがある…。

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『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』予告動画

映画「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」予告B
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』感想(ネタバレあり)

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ただの家ではない、その秘密

物語は御伽噺スタイル。

ジェイクは子どもの頃からずっと祖父に聞かされていた「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」の話に夢中でした。なんでもそれはどこかにある家で、女主人であるアルマ・ペレグリンのもと、不思議な能力をそれぞれ持っている子どもたちが暮らしているのだとか。そんな事実かどうかはわからない話でしたが、当のジェイクにとってはここではないどこかの世界に心をひきよせられます。

そして、16歳となったジェイクは成長してもその思いを捨てられません。ある日、祖父から電話がかかってきて、なにげなく祖父の家に向かうと、そこにはショッキングな光景が。なんとそこには両目が失くなった状態の祖父がいて、「ケインホルム島へ行き、1943年9月3日のループへ行け。そうすれば鳥が全てを教えてくれる」と意味深な言葉だけを告げ、ジェイクに言い残して亡くなるのでした。

いきなりのハードな展開ですが、多少の童話的な語り口にコーティングされていたので、子どもが見れないほどではない映像でしたけど…。

そんなこんなで不可解な状況に困惑するジェイクですが、追い打ちをかけるように謎の怪物が襲ってきます。しかし、どうやらこれはジェイクにだけ認識できるようでした。つまり、事態を打開できるのは自分のみ。

ジェイクは父とともに例のケインホルム島へ向かいます。パブに泊まり、単独で行動を開始するジェイクですが、さっそく困難な壁に直撃。怪しい家の存在を突き止めたものの、そこは1943年9月3日にドイツ空軍の空襲を受けて破壊されていたのです。

この島はウェールズ(イギリスを構成する4つのうちの1つですね)にありますが、時期的にはイタリア戦線が行われている最中。ノルマンディー上陸作戦によってドイツ軍が追い込まれていく前の話なので、まだまだイギリスを含む連合国にとっては暗い時期でした。

映画に話を戻すと、ジェイクは手掛かりを求めてウロウロとしますが、やっぱり諦めきれず、またもあの家の場所に行ってみると、説明がつかないですがそこには家が健在。そして、ジェイクは「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」と出会い、この家の秘密を知ることに…。

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奇妙なこどもたちは本気だして

あらかじめ言っておくと、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は「ハヤブサが守る家」という小説が原作なのですが、私は原作未読なので原作と比較してどうこうは言えません。

それでも一応、原作について軽く調べると、原作小説は挿絵の代わりに実物の昔の写真が挿入されていて、そこに写っている人たちから物語を想像して作られたものなのだとか。なので独特な不気味さがあります。

その点では、さすがティム・バートン監督というか、本作は原作の特徴を見事映像化できていたように思います。特殊能力を持った子どもたちを描くからといって、いわゆるアメコミ映画にありがちな、VFXやCGをバリバリ使ったくっきりした絵作りでなく、古ぼけた写真にいるような儚い存在感がいい感じです

役者陣も良かった。なんといってもティム・バートン監督の定番のジョニー・デップやヘレナ・ボナム・カーターが出ていない! 長編デビューの子とか、2作目です、みたいなフレッシュな役者が“奇妙なこどもたち”には多いので、観ていて新鮮です。

ミス・ペレグリンを演じた“エヴァ・グリーン”は存在感ありましたね。ティム・バートン監督はヘレナ・ボナム・カーター(元カノ)からエヴァ・グリーンに乗り換えるのか!?というのは冗談にしても、今後もティム・バートン監督作の常連になりそうです。

主人公の“エイサ・バターフィールド”は“奇妙なこどもたち”の面々の影に隠れて目立たないのが惜しいところ。まあ、エイサ・バターフィールドのファンは『僕と世界の方程式』を観ましょうということです。

役者で残念だったのは“サミュエル・L・ジャクソン”。なんか小物だったなぁ…。あと、“ジュディ・デンチ”は無駄遣いだった気がする…。

“サミュエル・L・ジャクソン”絡みでいえば、本作は物語の推進力が弱いのが欠点に感じました。悪役側が強いのか弱いのかよくわからないんですね。あの怪物はクロスボウで倒せちゃうし、むしろ無生物のモノを操れるあの子の能力の方がよっぽど脅威な気がして冷めてしまいました。絶対“奇妙なこどもたち”は訓練すれば空襲の爆弾も防げるし、「X-MEN」と互角に戦えることだってできますよ。そんなアホなツッコミは置いておいても、終盤の戦闘は予定調和すぎました。

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は原作からいって、別にアクションメインの作品ではなく、先にも説明したように歴史の影とそこに埋もれてしまった子どもたち(戦死者など歴史の犠牲者としての暗喩でもあるのは言うまでもなく)の御伽噺による“救い”です。本当はもっとストーリーテリングとビジュアルだけで見せていくことが理想なのですけど、どうも“ティム・バートン”監督は、有名になりすぎてしまったせいか、映画の商業性の間でジレンマに陥っている気がします。やっぱりあまり名の知れていなかった時期の作品の方が伸び伸びと好きに作っている感じもしますしね。

私は早くも“ティム・バートン”監督の次作「ダンボ」の実写化に興味がいっています。これまた、ビックタイトルですけど、どうくる? ティム・バートン。

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 65% Audience 60%
IMDb
6.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 5/10 ★★★★★
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関連作品紹介

・『ダンボ』
…ディズニーの名作アニメーションを“ティム・バートン”監督によって実写映画化。この作品でも彼の人生観や作家性が滲み出ています。

作品ポスター・画像 (C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation.

以上、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の感想でした。