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【2026年】LGBTQ+映画祭「OutfestNEXT 2026」の上映作品を紹介

OutfestNEXT

「OutfestNEXT」(アウトフェストネクスト)が2026年7月23日~26日にわたって開催されました。

「Outfest」は1982年に設立され、LGBTQ+を基盤にフィルムメーカーの育成、映画祭の企画などを行っているアメリカのロサンゼルスの組織です。

イベントを一時中止していた時期もありましたが、2025年に「OutfestNEXT」として復活し、新体制のもとでリスタートしました。

今回はその「OutfestNEXT 2026」における、上映された映画を紹介しています。

去年の2025年の作品ラインナップは以下の記事からどうぞ。

長編映画

『Barbara Forever』

アメリカの“ブライディ・オコナー”(Brydie O’Connor)監督作で、レズビアン映画の先駆者と評される実験映像作家でフェミニストでもあった「バーバラ・ハマー」(1939–2019)を主題にしたドキュメンタリー。『ナイトレイト・キス』など素晴らしい傑作を生み出してきた“バーバラ・ハマー”監督の功績を未来に受け継ぐ一作です。2026年の第76回ベルリン国際映画祭のテディ賞の受賞作(ドキュメンタリー部門)で、「BFI Flare」や「Frameline」など各地のクィア映画祭で上映され、好評を博しています。

『Before I Do』

テキサス州オースティン出身の“ゲイリー・ジャッフェ”(Gary Jaffe)の長編映画監督デビュー作。親友や昔の恋人といったゲイやバイセクシュアル仲間との湖畔での独身最後の週末パーティーを描く笑い満載のロマンティック・コメディ。“コール・ドーマン”、“マイケル・スー・ローゼン”、“ロビン・デ・ヘスス”など、ゲイ当事者の俳優がたっぷり揃っています。低予算ながらも親密な雰囲気に観客の評判も良さげ。見るからにポップコーン片手に楽しめそうです。「Frameline」でも上映されました。

『Black Burns Fast』

これがデビュー作となった“サンドゥレラ・アサンダ”(Sandulela Asanda)監督の南アフリカのレズビアン青春映画は、保守的な母親の言うことをよく聞く子が、名門キリスト教系女子寄宿学校で首席になるという目標を与えられ、理想の模範生になる…と思いきや、運命の女の子に出会って人生が激変する話。オタクでも恋がしたい!のラブストーリーは南アフリカにもあるのです。遊び心のある8ビット風などポップな演出が散りばめられ、恋を愉快に応援してくれます。「Frameline」でも上映されました。

『The Brittney Griner Story』

レズビアンであることを公表し、アメリカの女子プロバスケットボール選手として瞬く間にクィア・アスリートの象徴となった「ブリトニー・グライナー」の激動の半生を、“アレクサンドリア・ステイプルトン”(Alexandria Stapleton)監督のドキュメンタリーは振り返ります。2026年は「WNBA」はXX-XYシャツを着た人たちが群がり、たちまちトランスフォビアの溜まり場になってしまいましたが、そんなダサい風景ではなく、こういうカッコいいアスリートに光をあてましょう。「Frameline」でも上映されました。

『Can’t Go Over It』

“イーサン・ファースト”(Ethan Fuirst)監督が描くのは、毎年恒例のハイキング旅行で親密さを深めるゲイ男性とその友人のクィア女性のクィアなプラトニックな関係。関係性は決して深まるだけではないという事実を映します。「友情がゆっくりと崩壊していく様子を見るのはとても美しい」「誰かが悪い方向に変化していくのをただ見ているだけで、何もできないというのは、どれほど悲しいことでしょうか」といった感想が覗けます。「BFI Flare」でも上映されました。

『Dreamboi』

“ロディナ・シン”(Rodina Singh)監督による、トランスジェンダーのセクシュアリティと欲望を空想と現実の境界線を曖昧にしながら色彩豊かに映し出すユニークなフィリピン映画。ドリームボーイという名で知られるクリエイターによるアンダーグラウンドのオーディオポルノがどうしようもならない抑圧的な人生の微かな救いになる…。ホラーとソフトコアポルノの映像スタイルを融合させたとのことで、どんな中身なのか気になります。「Frameline」でも上映されました。

『Ephemera』

アメリカ・シンガポール合作で、“シャン・ジャン”(Shan Jiang)監督が送り届ける、上海でのある夜の出会いがゆっくりと燃え上がるような切ないレズビアン・ロマンスのささやかな幕開けとなるロマンティック映画。コロナ禍以降の社会を描く作品であり、社会に蔓延する人間関係の欠如ゆえに、都市やコミュニティ、あるいは仲間同士の間で帰属意識を切望する若いオンライン世代がリアルに綴られる…。あなたの共感を刺激するかもしれません。「Frameline」でも上映されました。

『I Want Your Sex』

『ミステリアス・スキン』や『ブリザード 凍える秘密』の“グレッグ・アラキ”(Gregg Araki)監督作で、性的に欲求不満のZ世代の若者が倫理的に危ういエロティックなキンクの関係性に溺れていく。“オリヴィア・ワイルド”と“クーパー・ホフマン”の共演ですが、脇にいるキャストもなかなかに豪華。“グレッグ・アラキ”流の卑猥で不遜なセックス・ポジティブな映画は、どうしたって好き嫌いの分かれるところですが、それも承知で飛び込んでいくのがこの映画の作法。「Frameline」でも上映されました。

『Jaripeo』

“エフライン・モヒカ”(Efraín Mojica)と“レベッカ・ツヴァイク”(Rebecca Zweig)の2人の監督による、メキシコのロデオショーにおける男らしさの儀式の裏にあるクィアなサブカルチャーを映すドキュメンタリー。視覚的に美しく、官能的な映像になっているらしく、スクリーンで観たほうが絶対にいいでしょうね。こういうドキュメンタリーが映画館にあまりやってこないのはもったいない…。「CPH:DOX」や「BFI Flare」、「Frameline」でも上映されました。

『Madfabulous』

奇抜すぎて「どう考えてもクィアだ」と注目された第5代アングルシー侯爵ヘンリー・シリル・パジェット(1797-1869)という歴史上のイギリス貴族を描くのは、『The Almond and the Seahorse』の“ケリン・ジョーンズ”(Celyn Jones)監督。主演するのは“カラム・スコット・ハウエルズ”で、英国上流社会の厳格な社交儀礼なんて一切気にもしない自分らしさを貫く生き様を堂々と体現。「変人」は褒め言葉です。「BFI Flare」や「Frameline」でも上映されました。

『Maspalomas』

スペインの“アイトール・アレジ”(Aitor Arregi)と“ホセ・マリ・ゴエナガ”(Jose Mari Goenaga)の監督コンビが、カミングアウトしたばかりの70代の男性を主人公としたエネルギッシュな高齢クィア・ストーリーを描いてくれました。保守的な規範が漂う老人ホームに行ってしまったら、もう人生の華やかな時期は終わりなのか。成長は20代の若者だけのものではないことを、本作は自分のペースで示してくれるようです。「BFI Flare」や「Frameline」でも上映されました。

『Mineshaft: The Cruising Murders』

1980年の公開当時に同性愛コミュニティで論争の火種となった“ウィリアム・フリードキン”監督の映画『クルージング』。この映画に対するかつての拒絶的反応と再評価の過程を分析し、クィア表象の奥深さを“ジェフリー・シュワルツ”(Jeffrey Schwarz)監督がドキュメンタリー映画として現代に整理してくれました。クィアの表象は単純な良し悪しでは断言できない、複雑さをともなうのがまた面白いところです。「Frameline」でも上映されました。

『On the Road』(En el Camino)

2025年のヴェネツィア国際映画祭でクィア獅子賞に輝いた“ダヴィッド・パブロス”(David Pablos)監督のメキシコ映画。若いゲイの放浪者が、孤独で寡黙なトラック運転手とで出会い、メキシコ北部の埃っぽい荒涼としたハイウェイを走るうちに肉体的な絆が芽生える物語ですが、エロティシズムと暴力が入り乱れる様子。「ブロークバック・マウンテン」ならぬ「ブロークバック・カミーノ(道)」なんてコメントも見かけました。「Frameline」でも上映されました。

『Out of the Woods』

“サル・バルド”(Sal Bardo)監督の長編映画監督デビュー作で、“フランシス・フィッシャー”を主演に迎え、認知症となった高齢の女性の人生最後の目覚めを描くとのこと。旧友であり文通相手でもあったある女性との偶然の再会が、まさかこの年齢で新たな章への突入に繋がるとは…。長い間眠っていた失われた愛への想いが再び呼び覚まされるとき、どんな結末が待っているのでしょうか。高齢クィア女性の映画も少しずつ現れているので見逃したくないです。

『Something You Should Know About Me』

“アンディ・フィドテン”(Andy Fidoten)監督の長編映画監督デビュー作で、ブルックリンに住む内気な漫画家で不器用なトランスジェンダーの男が、1週間のゲイ・コミックキャンプ(クィア・アーティスト・ワークショップ)に参加する準備をする中、愛に振り回されていく映画。主演は“E・J・マーカス”。こんな現実なのですから、トランスジェンダーの喜びに溢れる作品はもっとたくさんあっていい。「Frameline」でも上映されました。

『Sparks』

“ファーガス・キャンベル”(Fergus Campbell)監督の長編映画監督デビュー作となったアメリカ映画で、母親とネバダ州スパークスに引っ越して間もない主人公が、ヌーヴェルヴァーグの独創的世界に憧れ、地元のパンクたちと仲良くなり、やがて都市伝説に身を投じる。クソみたいな町から逃げ出したいティーンエイジャーはどこにでもいます。主演は『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』の“エルシー・フィッシャー”です。「Frameline」でも上映されました。

『Test』

アマチュアボディビルの世界を夢見る小さな町の青年が、極限のマッチョイズムの中でゲイネスとも交差して絡まっていく葛藤を映してみせた“サム・マコーネル”(Sam McConnell)監督。実際にボディビルダーである“ブロック・ユーリッチ”が脚本と主演を兼任しています。ゲイに優しいマッチョは珍しくなくても、ゲイであるマッチョをじっくり主体的に描く映画はまだ未発達。これが強力な一歩となれば良いですね。「Frameline」でも上映されました。

『Time Warp』

LGBTQコミュニティにとっての最高の応援鑑賞エンターテインメントこそ『ロッキー・ホラー・ショー』。ではそのパワーは、ワイオミング州の保守的な小さな町でも通用するのか。初のドラァグとクィアの劇団を立ち上げようと奮闘するひとりの人物をとおして、“アリソン・バーグ”(Allison Berg)監督はその可能性を解き放ちます。カルト的人気を誇るクィア映画が次の未来を切り開く…こういう連鎖もクィア作品の醍醐味。「Frameline」でも上映されました。


この他にも、以下の短編映画が取り上げられました(作品数が多いのでタイトルの紹介だけにしています)。

  • 『ALAS』
  • 『All the Worlds I Could Lift』
  • 『Arabic Disco Funk』
  • 『Big Bass』
  • 『Birds of Paradise』
  • 『Bobo in Bliss』
  • 『Crash Season』
  • 『Dancing in Tomorrowland』
  • 『daylight』
  • 『Fight!, Fight!, Fight!, Fight!…』
  • 『Glory/Us』
  • 『Hail Maya』
  • 『hi mom』
  • 『Humans Are Shapes』
  • 『Infinity Mirror』
  • 『Internet Boy』
  • 『ITCH』
  • 『Kiloran Bay』
  • 『The Long Con』
  • 『Mones』
  • 『The Motive』
  • 『Munchies』
  • 『My Dear Watson』
  • 『My Structuralist Film』
  • 『One Of The Girls』
  • 『Princess Sparkles』
  • 『Queerbait』
  • 『Sofia』
  • 『Stay a Little Longer』
  • 『Sunday Sauce』
  • 『The Warmth Of An Empty Teacup』
  • 『Welcome to Tool Shed』
  • 『Wife Wife』
  • 『Wild Ones』
参考文献
●OutfestNEXT

#映画祭