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日本のゲームのLGBTQキャラクターのリスト【整理中】

日本のゲームのLGBTQキャラクター

日本のゲームに登場するセクシュアル・マイノリティ(LGBTQ+)のキャラクターを(有名なものを中心に)作品ごとにリストにしています。

こうした日本の創作物のLGBTQキャラクターは世界中で愛されています。中にはステレオタイプなキャラクターもありますが、そのあたりについてはLGBTQに関するトロープの一覧も参考にしてください。

LGBTQコミュニティには大のゲーマーも多く(クィアなゲーマーは「gaymers」というスラングで呼ばれたりもするほど)、いくつかのゲーム・キャラクターはクィア・アイコンとして親しまれてもいます。しかし、日本のメディアではそういう一面を紹介することがあまりないので、今回はまとめてみることにしました。

そのキャラクターがセクシュアル・マイノリティに該当するのか、またどのセクシュアル・マイノリティのラベルに該当するのかは、私が判断したものではなく、他のメディアの言及を参照しています(主に「Fandom.com」を参考にしつつ、別のメディアの場合は各々で出典のリンクを掲載しています)。公式設定とは限らず、解釈の余地(クィア・コードに基づいたクィア・リーディング)があるもの、アイコンとしてファンに親しまれているものもあります。ここでの紹介はあくまで便宜的なカテゴライズだと思ってください(「このキャラクターは○○だ」と解釈を制限する意図はありません)。

▼以下のラベルは大まかな区分です。別途で詳細に説明を追記しています。
ゲイ レズビアン バイ+ アセクシュアル / アロマンティック トランスジェンダー ノンバイナリー クィア

▼各アイデンティティのラベル用語の意味がわからない場合は、以下のサイトのページなどを参考にしてください。

「LGBTQ+」関連の用語集【意味・定義】

▼日本の漫画やライトノベル、アニメに登場するセクシュアル・マイノリティ(LGBTQ)のキャラクターのリストは以下の記事で整理しています。

全ての作品・キャラクターを網羅はしていません。また、最新の物語の展開を反映していることを保証するものではありません。ここでいう「日本のゲーム」とは、基本的に開発元が日本のスタジオであるものを指していますが、一部に例外があります。
作品やキャラクターによってはネタバレを含む場合がありますので、ご了承ください。

『キャサリン』シリーズ

●「エリカ・アンダーソン」トランスジェンダー女性(『キャサリン』)

アトラスの『キャサリン』(2011年)にて、主人公の旧友として登場するウェイトレスの女性。ミスジェンダリングされるシーンが多くAnime Feminist、「Trap」や「ミスジェンダリングの天丼ネタ化」の型に当てはまるとみなされることもあります。

●「リン」トランスジェンダー女性(『キャサリン・フルボディ』)

リメイク版の『キャサリン・フルボディ』(2019年)では上記の差別的な描写の多くは削除され、新たにこのリンが追加されましたGayming Magazine

『GUILTY GEAR(ギルティギア)』シリーズ

●「テスタメント」 ノンバイナリー

アークシステムワークスのクリエイターである“石渡太輔”によって「両性」と説明されています。当初は両性具有/バイジェンダー(両性具有)とされていましたが、2022年に『GUILTY GEAR -STRIVE-』に追加された際に「無性」と説明されるようになりました。

●「ブリジット」トランスジェンダー女性

ブリジットは表象の変化が熱烈な反応を生んだキャラクターです。そもそもの設定は、迷信ゆえに息子ではなく娘として親に育てられて、出生時の性別が世間の目から隠された…という背景になっていましたAnime Feminist。「男の娘」の型に当てはまるかたちで解釈されてきましたが、2022年に『GUILTY GEAR -STRIVE-』に追加された際、自らで自身のジェンダー・アイデンティティを「女性」として生きることを決意する描写があり、LGBTQコミュニティはこれをカミングアウトのエピソードと捉え、トランスジェンダー・アイコンとして大きな話題を集めましたInverse。ブリジットはGaymingアワード2023で「ベストLGBTQ+キャラクター賞」にノミネートされました。

この他には、黒人のアサシン組織に属する男で、ザトーという人物に忠誠を誓って熱烈に固執する「ヴェノム」ゲイなどが、クィア・アイコンとして挙げられることがありますThe Michigan Daily

『グランブルーファンタジー』シリーズ

●「カリオストロ」トランスジェンダー女性

出生時は男性だったが、錬金術で身体を少女の姿に変えているという設定になっています。

●「ファスティバ」トランスジェンダー女性

種族の男性らしい体つきは維持していますが、女性のアイデンティティを前面に振る舞っています。

この他には、「カタリナ・アリゼ」バイ+「ヴィーラ・リーリエ」レズビアン「ユエル」レズビアン「ロゼッタ」クィア などが、クィア・アイコンとして挙げられることがありますGame Rant

『ストリートファイター』シリーズ

●「イーグル」ゲイ(『ストリートファイター』『CAPCOM VS.SNK 2』)

英国紳士の棒術の達人で、『CAPCOM VS.SNK 2』(2001年)でプレイアブルキャラクターになりました。ゲイを示唆するセリフがあります。フレディ・マーキュリーからインスピレーションを得ているとのこと。

●「ジュリ」バイ+(『スーパーストリートファイターIV』)

残忍なサディスティックな女性であり、男性よりも女性に惹かれる傾向が描かれますGame Rant。「Depraved Bisexual」の型に当てはまります。

●「マリーザ」バイ+(『ストリートファイター6』)

ギリシャ・スタイルのこの女性は、男性にも女性にも性別問わずに愛を示す描写があります。

この他には、『FIGHTING EX LAYER』などの「シャロン」レズビアンなどが、クィア・アイコンとして挙げられることがありますGame Rant

『ストリートファイター』シリーズを始めとする対戦型格闘ゲームのジャンルはLGBTQ表象が多彩な傾向にあり、『The Michigan Daily』の“アリエル ・リトワク”は、その背景として、異種格闘技としてさまざまな国や文化のキャラを登場させること、そして女性でも男性と対等に格闘するためジェンダーロールを超越した表現が求められること…などの理由を分析しています。

『ゼノブレイド』シリーズ

●「リンネ」レズビアン(『ゼノブレイド2』)

英語名は「Sheba」。

●「ユズリハ」ノンバイナリー(ジェンダークィア)(『ゼノブレイド3』)

英語名は「Juniper」。性別は不明となっていますが、英語版では代名詞は「they」が使用されていますThe Gamer

この他には、「ホタル」トランスジェンダー女性 などが、クィア・アイコンとして挙げられることがあります。

『ファイナルファイト』シリーズ

●「ポイズン」トランスジェンダー女性

1989年にカプコンからアーケードゲームとして発売されたこのベルトスクロールアクションゲームに登場する(後に『ストリートファイター』シリーズにも参戦しました)ポイズンというキャラクターは、ゲームの歴史上の最古のトランスジェンダーに数えられることもあります。ゲーム内では完全に女性と扱われていますが、設定上で「ニューハーフ」と説明されているのがその理由で(デザイナーの“安田朗”氏は2015年にもSNSで「ポイズンは日本では女性、海外ではニューハーフ」と説明しており、よくある「日本国内だけ保守的な対応を固持するパターン」ともいえます;Gayming Magazine)、複雑な起源が解釈をややこしくしています。

『ファイナルファンタジー』シリーズ

●「ディオン・ルサージュ」ゲイ(『ファイナルファンタジーXVI』:FF16)
●「テランス」ゲイ(上に同じ)

『ファイナルファンタジー』シリーズにおいて初の明示的なゲイ・カップルであり、作中で2人の関係性は物語で大きく取り上げられます。高潔で良心に溢れる皇子のディオンは側近のテランスと恋人関係です。LGBTQゲーマーの間では、このカップルの誕生を機にすっかり召喚獣のバハムートは勇ましいプライドの象徴となりました。ディオンはGaymingアワード2024で「ベストLGBTQ+キャラクター賞」にノミネートされました。

MMORPGの『ファイナルファンタジーXIV(FF14)』ではエターナルバンドというシステムでプレイヤーキャラクター同士が事実上の結婚が可能ですが、同性同士でも結婚できるようにオプションが追加され、同性カップルにもクリスタルの祝福が訪れました。

このように近年の作品では包摂的な傾向がありますが、『ファイナルファンタジー7 リメイク』シリーズなどでは、男性のゲイらしさが依然としてギャグっぽく扱われるなど、ステレオタイプな表象もなおも目立ちます。

この他には、『ファイナルファンタジーV(FF5)』の「ファリス・シェルヴィッツ」トランスジェンダー男性、『ファイナルファンタジーIX(FF9)』の「クイナ・クエン」ノンバイナリー(ジェンダークィア)、『ファイナルファンタジーXIII(FF13)』の「ヴァニラ」「ファング」レズビアンなどが、クィア・アイコンとして挙げられることがありますThe Gamer

『ぷよぷよ』シリーズ

●「おしゃれコウベ」ゲイ

英語名は「Dapper Bones」。女性的な口調で話すキャラクターで、男性の恋人がいることが暗示されます。「Camp Gay」の型に当てはまります。

『BLAZBLUE』シリーズ

●「マイ=ナツメ」トランスジェンダー女性

出自は男性ですが、魔導書によって身体が女性に変えられ、自身の肉体を元に戻そうと当初は奮闘するも、後に女性としての自分を受け入れるようになりました。

●「マコト=ナナヤ」バイ+

シリーズクリエイターの“森利道”氏によれば、当初は別のキャラをレズビアンにしようとしたものの、説得力のある表現に至らなかったため、そのギャップを埋めるために、マコト=ナナヤのセクシュアリティを設定したとのことGame RantLGBTQ Video Game Archive

『ベヨネッタ』シリーズ

●「ベヨネッタ」クィア

この主人公の魔女は、そのキンキーでキャンプなスタイル(ファッションも戦闘も含めて)によって、クィア・アイコンとして支持されていますPolygon

『ペルソナ』シリーズ

●「白鐘直斗」トランスジェンダー男性(『ペルソナ4』)

中性的な外見で男性として当初は振る舞っていますが、途中で女性であるとアウティングされます。作中のキャラクターアークは、白鐘直斗が出生時の性別である女性としてのアイデンティティに馴染んでいくことに焦点を当てており、「Cure Your Gays」の型に当てはまるトランスジェンダー抹消的な描写として指摘されていますKotaku

Gayming Magazine」にて“ジョージナ・ヤング”氏が「これほどまでに多くの矛盾したメッセージを発したシリーズはかつてない」と評しているように、この海外でも絶大な人気を誇るアトラスの『ペルソナ』シリーズはLGBTQ表象は退行的であったり、とも思えばちょっと前進的であったりと、一定はしてきませんでした。同性愛嫌悪やトランスフォビアに通じる無神経なジョークや露骨な敵対的な描写、異性愛規範が散りばめられてきたからです。

『ペルソナ2 罪』(1999年)では同性愛を包摂することを示唆する選択肢やセリフがありましたGame Rant。対する『ペルソナ5』(2016年)では典型的な「Predatory Gay」が描かれますGayming Magazine。一方で『ペルソナ5 タクティカ』(2023年)では、同性愛を包括する(そして嘲笑しない)選択肢がわずかに盛り込まれました。『ペルソナ3』(2006年)には悪名高いトランスフォビア(「Depraved Transgender」の型)なシーンがありましたが、リメイク版の『ペルソナ3 リロード』(2024年)ではそのシーンは削除されたものの、表象の試みすらも消えましたInverse

『星のカービィ』シリーズ

●「カービィ」ノンバイナリー(ジェンダークィア)

性別は不明ということになっていますが、このピンクの丸い愛らしい主人公のキャラクターは、コピー能力でさまざまなファッションを披露し、ジェンダー規範に縛られることは一切ありません。

『マリオ』シリーズ(任天堂)

●「キャサリン」トランスジェンダー女性(『夢工場ドキドキパニック』)

英語名は「Birdo」。見た目はピンク色で頭に大きな赤いリボンをつけており、言葉遣いも女性らしく、あからさまに「女性的」なデザインになっています。しかし、当初の設定上は「女の子と思い込んでいる」ことになっており、この設定から、キャサリンは「ゲーム史上で初のトランスジェンダーのキャラクターのひとり」と評価されることもありますPinkNews。『キャプテン★レインボー』というゲームに登場した際は、「女の子だと主張したキャサリンが“間違ったトイレを使用した”として投獄される」というエピソードまであり、非常にトランスジェンダー的な差別体験っぽいです。初期は「オカマ」をいじるステレオタイプな蔑視的な描かれ方でしたが、近年はすっかりそうした笑い者にされる扱いは減り、他の女性キャラと対等に混ざって扱われています。

●「ビビアン」トランスジェンダー女性(『ペーパーマリオRPG』)

『ペーパーマリオRPG』(2004年)にて登場し、出生時は男性に割り当てられていましたが、女性として生きようと奮闘するも、姉たちに認められずに孤立するキャラクターでした。当初はミスジェンダリングされる描写もありましたが(英語版ではそもそもそのキャラクター背景の描写自体が削除されていた)、2023年のリメイク版で描写が変わり、ジェンダー・アイデンティティを肯定する描写が大幅に増加。LGBTQコミュニティからこのビビアンの表象は高く評価されましたPolygonGLAADアワードのゲーム部門にゲームタイトル自体がノミネートされ、Gaymingアワード2025で「ベストLGBTQ+キャラクター賞」にノミネートされました。

『メタルギア』シリーズ

●「ヴァンプ」バイ+(『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』)

バイセクシュアルという設定で、作中で言及されます。吸血鬼のような振る舞いをする悪役として登場し、「Depraved Bisexual」の型に当てはまります。

●「ヴォルギン」バイ+(『メタルギアソリッド3 スネークイーター』)

バイセクシュアルという設定で、作中で男性とも関係を持っています。拷問を好むヴィランであり、「Depraved Bisexual」の型に当てはまります。

この他に、「ストレンジラブ」クィア「マクドネル・ミラー」バイ+「オセロット」ゲイなどが、クィア・アイコンとして挙げられることがあります。とくにオセロットはシリーズでも重要なキャラクターであり、そのセクシュアリティをめぐってファンの間で白熱した解釈議論が行われたこともありました(「Metal Gay Solid」なんてフレーズもファンから生まれました)。なお、シリーズを生み出したクリエイターの“小島秀夫”が後に独立して立ち上げた「Kojima Productions」では性的マイノリティの多様性を包摂する取り組みを企業として行っており、日本のゲームスタジオでは珍しくプライドパレードにも参加しています。

『ロックマン』シリーズ

●「セレナード」ノンバイナリー(ジェンダークィア)

性別は無いという設定になっています。

雑談
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シネマンドレイク

ライター(まだ雑草)。LGBTQ+で連帯中。その視点で映画やドラマなどの作品の感想を書くことも。得意なテーマは、映画全般、ジェンダー、セクシュアリティ、自然環境、野生動物など。

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