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【2026年】「BFI Flare」(BFIフレア ロンドンLGBTQIA+映画祭)の上映作品を紹介

LGBTQ

「BFI Flare」(BFIフレア ロンドンLGBTQIA+映画祭)が2026年3月18日~29日にわたって開催されました。

「BFI Flare」は「英国映画協会(BFI)」が主催しており、 1986年から始まりました。毎年、LGBTQ+を題材にした多くのクィア映画が集められ、上映されています。

今回はその2026年の「BFI Flare」における、取り扱われた映画を紹介しています。

  1. 長編映画
    1. 『Amantes』
    2. 『Another Man』(Un Altre Home)
    3. 『Can’t Go Over It』
    4. 『そこにきみはいて』(英題『The Deepest Space in Us』)
    5. 『Drunken Noodles』(邦題『ドランクヌードル』)
    6. 『I Am Going to Miss You』(Eu Vou Ter Saudades de Você)
    7. 『ìfé: (The Sequel)』
    8. 『Jone, Sometimes』(Jone, Batzuetan)
    9. 『Lady Champagne』
    10. 『The Little Sister』(La Petite dernière)(邦題『リトル・シスター 秘密』)
    11. 『Love Letters』(Des preuves d’amour)
    12. 『Lunar Sway』
    13. 『Madfabulous』
    14. 『Montreal, My Beautiful』(Montréal, ma belle)
    15. 『On the Sea』
    16. 『Satisfaction』
    17. 『Skiff』
    18. 『Strange River』(Estrany Riu)
    19. 『Washed Up』
    20. 『10s Across the Borders』
    21. 『Bearcave』(Arkoudotrypa)
    22. 『The Broken R』(Rotacismo)
    23. 『Cherri』
    24. 『Don’t Come Out』(No Salgas)
    25. 『Jaripeo』
    26. 『Keep Coming Back』(Siempre Vuelven)
    27. 『Low Rider』
    28. 『Maspalomas』
    29. 『Mickey & Richard』
    30. 『Perro Perro』
    31. 『Queen of Coal』(Miss Carbón)
    32. 『The Serpent’s Skin』
    33. 『A Sweetness from Nowhere』
    34. 『Treat Me Like Your Mother』
    35. 『Warla』
    36. 『We Are Pat』
    37. 『Barbara Forever』
    38. 『熱狂をこえて』(英題『Beyond the Fire: The Life of Japan’s First Pride Parade Pioneer』)
    39. 『Castration Movie Chapter iii. Junior Ghosts—Premorphic Drift; a fragmentary passage』
    40. 『Death and Life Madalena』(Morte e Vida Madalena)
    41. 『Julian』
    42. 『The Last Guest of the Holloway Motel』
    43. 『Out Laws』
    44. 『TO DANCE IS TO RESIST』
    45. 『Uchronia: Parallel histories of queer revolt』
    46. 『What Will I Become?』
    47. 『Whisperings of the Moon』(Chao Xi Di Yu)

長編映画

『Amantes』

パリを舞台にミレニアル世代の3人の女性の人生と恋愛が交錯するフランス映画。宣伝では「100%レズビアンのアンサンブル・ロマンティック・コメディ」と堂々と推しだされており、もうこの時点で「いいぞ、いいぞ!」と観客の気分を盛り上げてくれます。監督は“キャロライン・フルニエ”(Caroline Fournier)で、製作陣は女性主体で成り立っているようです。

『Another Man』(Un Altre Home)

バルセロナの居心地の良いアパートで楽しく愛情に満ちた関係を築くゲイ・カップルが、ある隣人の存在を意識し始めることで緊張感が生まれていくスペイン映画。長期にわたるクィアな関係性の浮き沈みを繊細に映し出すには熟練の腕が要りますが、カタルーニャ出身の“デビッド・モラガス”(David Moragas)監督は、どれだけ上手く語ってみせているのでしょうか。

『Can’t Go Over It』

毎年恒例のハイキング旅行で親密さを深めるゲイ男性とその友人のクィア女性の、クィアなプラトニックな関係の映し出すアメリカ映画。ロードムービーならぬハイキング・ムービーもまた人生の旅路の縮図です。恋愛だけでない、友情にも目を向ける映画もやっぱり必要。監督は“イーサン・ファースト”(Ethan Fuirst)で、まだまだ才能の伸びに注目したいところです。

『そこにきみはいて』(英題『The Deepest Space in Us』)

『の方へ、流れる』“竹馬靖具”監督、『やがて海へと届く』“中川龍太郎”原案の、アセクシュアル&アロマンティックの女性を主人公とする日本映画。日本では2025年11月28日に劇場公開済みですので、これ以上の紹介は割愛とします。

『Drunken Noodles』(邦題『ドランクヌードル』)

“ルシオ・カストロ”(Lucio Castro)監督のアメリカ・アルゼンチン合作映画。日本では2026年5月1日に劇場公開。「OutfestNEXT」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『I Am Going to Miss You』(Eu Vou Ter Saudades de Você)

トランスジェンダーのカップルが同棲を始め、互いの違いに直面せざるを得なくなる様子を温かくユーモラスに描いたブラジル映画で、トランスジェンダーのキャストのみで構成されているらしいです。T4T(トランス当事者同士の親密なリレーションシップ)が炸裂していそうですね。監督は『彼の見つめる先に』“ダニエル・ヒベイロ”(ダニエル・リベイロ;Daniel Ribeiro)

『ìfé: (The Sequel)』

ナイジェリア初のレズビアン映画となった“パメラ・アディ”(Pamela Adie)監督の『ìfé』の続編。人生を燃え上がらせる新たな恋、再び沸き起こるかつての恋。実際、検閲に遭ったそうですが、同性愛嫌悪に負けじと映画も続いてくれるのはいいですね。日本でもこれは2作並んで一般公開してほしいのですけど…。

『Jone, Sometimes』(Jone, Batzuetan)

スペイン・バスク州のビルバオで、介護の苦労の最中、真夏の恋に身を投じていく女性を描くエネルギッシュな一作とのこと。20歳の初恋を描くみたいです。“サラ・ファントヴァ”(Sara Fantova)監督は日本ではたぶんまだ全然、日の目を浴びてないと思いますが、このクィア作品を掲げればじゅうぶん初動の注目は良さそうです。

『Lady Champagne』

『裸の銃を持つ男』のクィア版だと紹介されているのですが、アメリカのドラァグクイーンである“ダーシー・ドロリンガー”(D’Arcy Drollinger)監督の手がける世界を私は知らないので、これは観てみたい!と衝動が…。もともと低予算エクスプロイテーション映画へのオマージュ作品を作るのが得意みたいです。

『The Little Sister』(La Petite dernière)(邦題『リトル・シスター 秘密』)

『君は愛にふさわしい』“アフシア・エルジ”(Hafsia Herzi)監督の2025年の新作は、フランス系アルジェリア人のティーンエイジャーが、自身の性的アイデンティティ(レズビアン)とイスラム教徒としての宗教的アイデンティティの狭間で、家族の期待も混ざって葛藤する姿が描かれるとのこと。カンヌ国際映画祭で女優賞とクィア・パルムを受賞したフランス・ドイツ合作映画です。

『Love Letters』(Des preuves d’amour)

“アリス・ドゥアール”(Alice Douard)監督のフランス映画。「OutfestNEXT」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『Lunar Sway』

“ニック・バトラー”(Nick Butler)監督のこのカナダ映画は、ド田舎の砂漠の町に身を置くバイセクシュアルの男性が、詐欺師の実母の突然の訪問を受け、大混乱が巻き起こるそうで、コメディと説明されていましたが、だいぶ物騒なものがトレイラーでは映っていたような…。トレイラーだけでも惹きつけられる映画ですね。

『Madfabulous』

“ケリン・ジョーンズ”(Celyn Jones)が監督として描く題材に選んだのは、「トッピー」の愛称があった第5代アングルシー侯爵という奇抜なイギリス貴族。あまりに規範に従わないその自由奔放さゆえに、どう考えてもクィアだったに違いないと思われているこの歴史上の人物を、愉快でキッチュなコメディとして描いてくれているようです。

『Montreal, My Beautiful』(Montréal, ma belle)

中国系カナダ人で少数民族のルーツを持つ“シャオダン・ヘ”(Xiaodan He)監督の2作目の長編映画は、モントリオールに住む中年のレズビアンの中国人移民を描いたもので、この人生の中間点でセクシュアリティの探究という試みをしようとする姿を丁寧に映し出すようです。個人的には日本に紹介されてほしい監督のひとりです。

『On the Sea』

漁村で不倫? でもその男同士の関係は下世話なスキャンダルでは片づけられない…。小説家から監督業へと活動を広げ、『The Violators』で監督デビューした“ヘレン・ウォルシュ”(Helen Walsh)の卓越したストーリー・テリングで観客の心を震わせてくれる…のかな。北ウェールズを舞台にしたクィアなイギリス映画がまた増えました。

『Satisfaction』

“アレックス・ブルノヴァ”(Alex Burunova)のアメリカ・イタリア・ギリシャ・ウクライナ合作となる長編劇映画デビュー作は、登場人物全員がクィアであるとのこと。ロンドンの音楽学校で始まった2人のロマンスがギリシャの孤島で繰り広げられる中で現代の苦悩も映し出す物語が展開される模様。気になる新しい監督が登場してくれました。

『Skiff』

『フェリー』“セシリア・ヴェルヘイデン”(Cecilia Verheyden)監督のベルギー・オランダ・スウェーデン合作映画。地元のクラブで才能あるボート選手である15歳が思春期の最中に、家族や同級生のことなどさまざまな悩みを乗り越えていくことになる話のようで、よくある青春モノなのかなと思いますが、脚本も手がける監督はどんな語りでみせるのかな。

『Strange River』(Estrany Riu)

16mmフィルムで撮られた“ジャウメ・クラレット・ムシャート”(Jaume Claret Muxart)監督のこのスペイン・ドイツ合作映画では、ドナウ川沿いのサイクリング旅行に家族と同行する10代の少年が、謎めいたドイツ人少年と出会い、恋の感情に向き合う作品だそうです。東京国際映画祭では『ストレンジ・リヴァー』のタイトルで上映されました。

『Washed Up』

“イザベル・デイリー”(Isabel Daly)監督の長編デビュー作であるイギリス映画で、サフィック・ロマコメだそうです。コーンウォールの美しい海辺の村でセルキーに出会う? 「異性愛者がより心地よく感じるであろう特定の方法でクィアの人々を表現しなければならないというプレッシャーがありますが、異性愛規範に創作活動を妨げられてはいけません」と語る監督を支持します。

『10s Across the Borders』

『POSE』は東南アジアにも!? ニューヨークの伝説的なボールルーム文化が東南アジアのマレーシア、フィリピン、タイにも響き渡り、そこで自分らしさを表現しようと奮闘する人々を映す“チャン・シーウェイ”(Sze-Wei Chan)監督のドキュメンタリー。トレイラーを観ているだけでテンションが上がってくる…。この国境を優雅に超えるクィアの魂…。

『Bearcave』(Arkoudotrypa)

“ステリオス・ディノプロス”(Stergios Dinopoulos)“クリシアナ・B・パパダキス”(Krysianna B. Papadakis)の長編映画デビュー作は、自身の短編をもとに、ギリシャの田舎で親友同士の若い女性2人がジェンダーの抑圧の中でクィアな触れ合いを感じていく物語のようです。クィアなギリシャ映画も着実に新進気鋭の監督の手で増量していますね。

『The Broken R』(Rotacismo)

エクアドル生まれの“リカルド・ルアレス・エギグレン”(Ricardo Ruales Eguiguren)は、トリーチャー・コリンズ症候群と呼ばれる極めて稀な遺伝性疾患を抱えつつ、自分のセクシュアリティを模索していく姿を自らでドキュメンタリーとして記録しています。タイトルは障害ゆえに「R」の発音ができないことに由来しているとのこと。

『Cherri』

障害のある夫の介護をしつつ、若い男性への片想いに夢中にもなっている、太った体型のチェリーのこの物語は、欲望、拒絶、そして自己不信の合間で漂っている模様。“ファビアン・スアレス”(Fabian Suarez)監督は、キューバの高等芸術学院で演劇学を専攻し、実力を確実に蓄積しているフィルムメーカーです。個人的に私の好みな一作かもしれない…。

『Don’t Come Out』(No Salgas)

同性愛嫌悪の疑いがある凶悪な殺人事件が相次ぐドミニカ共和国で、クィアであることを明かしていない医学生が、命を脅かす勢力に追われながら、自身のセクシュアリティと向き合う映画だそうです。“ヴィクトリア・リナレス・ヴィレガス”(Victoria Linares Villegas)監督の本作は、クライム・スリラーかと思いましたけど、もう少し当事者バフのあるクィア・ホラーっぽいですね。

『Jaripeo』

“エフライン・モヒカ”(Efraín Mojica)“レベッカ・ツヴァイク”(Rebecca Zweig)のドキュメンタリー。「CPH:DOX」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『Keep Coming Back』(Siempre Vuelven)

“セルヒオ・デ・レオン”(Sergio De León)監督の2025年のウルグアイ・アルゼンチン合作映画では、思春期から青年期への移行を描いている様子。タイトルは主人公が母の鳩小屋を相続することに由来しているらしく、トレイラーを観るかぎりは鳩だらけなので、これはもう実質、鳩映画。鳩でクィアな映画なら私は観るしかないですね。

『Low Rider』

『Stud Life』でデビューし、クィア・アーバン・ロマンティック・コメディの名手として、そしてアフリカ系のストーリーテラーとして、さらにトランスジェンダーのクリエイターとして、“キャンベルX”(Campbell X)監督の2025年の新作。ロンドン在住のミレニアル世代の主人公がケープタウンで何かするらしい。この監督はもっと伸びてほしいです。

『Maspalomas』

カミングアウトしたばかりの70代の男性を主人公としたエネルギッシュな高齢クィア・ストーリーを手がけたのは、スペインの“アイトール・アレジ”(Aitor Arregi)“ホセ・マリ・ゴエナガ”(Jose Mari Goenaga)の2名の監督。高齢者の連帯を鮮やかに描くだけでも意義は深く、クィアネスは若者だけの文化ではないことは何度映してもいいですからね。

『Mickey & Richard』

1980年代のポルノスターである「ミッキー・スクワイアーズ」としても知られるリチャード・バーンスタインを主題にしたドキュメンタリー。監督は“ライアン・A・ホワイト”(Ryan A. White)“A・P・ピクル”(A.P. Pickle)。ハイパーマスキュリンをゲイのエロティックへと昇華させたそのテクニックをたっぷり眺められるのでしょうか。

『Perro Perro』

“マルコ・バーガー”(Marco Berger)監督のアルゼンチン映画。「OutfestNEXT」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『Queen of Coal』(Miss Carbón)

俳優ペドロ・パスカルの妹であるトランスジェンダーの“ラックス・パスカル”(ルクス・パスカル)が主演するこの映画は、女性には禁じられていたパタゴニアの鉱山で初めて働いた実在のトランスジェンダー女性「カルラ・アントネラ・“カルリータ”・ロドリゲス」の伝記となっているそうです。監督は“アグスティナ・マクリ”(Agustina Macri)

『The Serpent’s Skin』

パンクでトランスジェンダー・メインのクィア・ホラー。そのうえ、レズビアン・ゴスや吸血鬼、悪魔が満載だって!? じゃあ、好きなやつですね。はい、公開をお願いします。“アリス・マイオ・マッケイ”(Alice Maio Mackay)監督は、『T Blockers』『Satranic Panic』『Carnage for Christmas』と、クィアなジャンル的オーストラリア映画を量産しています。

『A Sweetness from Nowhere』

“エステル・ベルグスマルク”(Ester Bergsmark)監督のスウェーデン製作のアート・パフォーマンス・ハイブリッド・ドキュメンタリー。「CPH:DOX」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『Treat Me Like Your Mother』

1980年代から2000年代にかけてのアーカイブ映像と、トランスジェンダーやインターセックスのコミュニティに長きにわたって身を置いてきたレバノンの当事者の歴史を垣間見せる貴重なドキュメンタリーとのこと。“モハメド・アブドゥニ”(Mohamad Abdouni)監督のこの2025年の作品は、中東のクィア史を知るうえでもきっと必見の一作でしょう。

『Warla』

“ケビン・アランブラ”(Kevin Alambra)監督は、フィリピン人のトランスジェンダー女性による自警団が、性別適合手術の資金を得るために外国人ビジネスマンを誘拐する姿を描いているとのこと。俳優経験のほぼない当事者も起用しながら、底辺のマイノリティの生っぽい物語を上手く表現していそうです。オールトランス女性のアンサンブルの俳優名をみると日系なのかなという名もチラホラいますね。

『We Are Pat』

“ローワン・ハーバー”(Rowan Haber)監督のアメリカのドキュメンタリー。「OutfestNEXT」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『Barbara Forever』

“ブライディ・オコナー”(Brydie O’Connor)監督のアメリカのドキュメンタリー。「第76回ベルリン国際映画祭のテディ賞」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『熱狂をこえて』(英題『Beyond the Fire: The Life of Japan’s First Pride Parade Pioneer』)

日本初の商業ゲイ雑誌を創刊し、1994年には日本初のプライドパレードを組織した「南定四郎」の波乱万丈の人生を映し出す、“松岡弘明”監督による歴史ドキュメンタリー。こうした日本のLGBTQ史を世界に知ってもらうことだけでも意味はありますが、日本国内にも伝える価値はまだまだあるでしょう。日本では2026年6月5日に先行公開、6月26日に広く劇場公開となります。

『Castration Movie Chapter iii. Junior Ghosts—Premorphic Drift; a fragmentary passage』

有象無象のネット文化をカオスに混ぜ込みながら現代のトランスジェンダーをめぐる風景を容赦なく切り取る“ルイーズ・ウェアード”(Louise Weard)監督の『Castration Movie』シリーズの第3弾。生物学的本質主義、トランスメディカリズム、デトランジション、4chan…。ジェンダーイデオロギーだと揶揄される前から、こっちの世界はもうごちゃごちゃです…。

『Death and Life Madalena』(Morte e Vida Madalena)

妊娠8ヶ月の映画プロデューサーで、低予算のSF映画の撮影を控えている主人公を、辛口でウィットに富んだ語り口で描き出す作品とのこと。“グト・パレンテ”(Guto Parente)監督はこのブラジル・ポルトガル合作映画の前から、独自色の濃い映画を続々と作っていますが、本作はどんな味なのかな。クィア映画は美的、政治的な面でより大きな自由を可能にする」と語る監督の言葉を信じたいです。

『Julian』

『CLOSE/クロース』“ルーカス・ドン”が製作総指揮で、“カトー・クスターズ”(Cato Kusters)の長編映画監督デビュー作となったこのベルギー映画は、結婚の平等に挑戦するカップルを映し出していく物語とのことです。まだ駆けだしたばかりの監督ですが、すでに注目度は高いので、今後さらにステップアップしていきそうですね。

『The Last Guest of the Holloway Motel』

1970年代の元フットボール選手であり、現在は老朽化したホロウェイ・モーテルの高齢の支配人である「トニー・パウエル」をとおして、プロスポーツ世界におけるホモフォビアを映していく、“ラミエル・ペトロス”(Ramiel Petros)“ニコラス・フリーマン”(Nicholas Freeman)の両監督のドキュメンタリー。同性愛嫌悪の歴史は現在も継続中であり、これは過去な話ではないです。

『Out Laws』

“レクシー・パウナー”(Lexi Powner)“ジェームズ・ルイス”(James Lewis)の2名の監督は、同性カップルの権利のために立ち上がったひとりのナミビア人ゲイ男性の闘いを映し出す模様。世界中にある反LGBTQの制度。その多くが実は植民地主義(とくに大英帝国)の負の遺産であるという目を背けてはいけない歴史を探っているようです。

『TO DANCE IS TO RESIST』

2022年のロシアによるウクライナへの本格的な侵攻以来、2人のウクライナ人ダンサーに密着し、クィアとして生きることがいかにして政治的に困難になっているのかを直視させるドキュメンタリーだそうで、“ジュリアン・ローテンバッハー”(Julian Lautenbacher)監督のその視点の提供はどこか遠い話とは思えなくさせるものでしょう。

『Uchronia: Parallel histories of queer revolt』

アルチュール・ランボーという神童とされたフランスの詩人がいるのですが、その詩集『地獄の季節』に着想を得たドキュメンタリー・エッセイ実験映画とのこと。過去150年間のLGBTQ史を、世界中の異端児や反体制派の奇人たちを称えながら振り返るようですが、“フィル・イエロプロス”(Fil Ieropoulos)監督のこの作品は、観ないことには何もわからないかも。

『What Will I Become?』

“レクシー・ビーン”(Lexie Bean)“ローガン・ロゾス”(Logan Rozos)の2人の共同監督のアメリカのドキュメンタリー。「第76回ベルリン国際映画祭のテディ賞」の記事でも紹介したので、そちらを参照してください。

『Whisperings of the Moon』(Chao Xi Di Yu)

“ライ・ユチン”(Lai Yuqing)監督の長編デビュー作で、主人公の舞台女優が父親の死後にニューヨークから故郷のカンボジアのプノンペンに戻り、元恋人と再会するほろ苦い物語だそうです。なお、この監督は残念ながら2025年12月に亡くなってしまい、23歳の若さでの別れとなりました。この才能がさらに羽ばたいていくのを観れないのは本当に残念です。


この他にも、以下の短編映画が取り上げられました(作品数が多いので一部のタイトルの紹介だけにしています)。

  • 『Abstraction Belongs to Us』
  • 『America』
  • 『Bottlecap』
  • 『COYOTES』
  • 『Daria’s Night Flowers』
  • 『Don’t Ask, Don’t Tell』
  • 『Fish & Chips』
  • 『Kanekalon』
  • 『Krizalit』
  • 『Last Dance at the Sundance Stompede』
  • 『Lonelier Than Love』
  • 『Newbies』
  • 『Notice Me』
  • 『One Day This Kid』
  • 『Seek No Favour』
  • 『The Fling』
  • 『The Motorcycle』
  • 『You and Me Makes Three』
  • 『0004NGEL』
#映画祭
雑談
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シネマンドレイク

ライター(まだ雑草)。LGBTQ+で連帯中。その視点で映画やドラマなどの作品の感想を書くことも。得意なテーマは、映画全般、ジェンダー、セクシュアリティ、自然環境、野生動物など。

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