この「シネマンドレイク」というサイトは、映画の感想を書くことを主体とした、いわゆる「映画感想ブログ」です。いまどきは優れた大手の映画レビューサイトもありますし、膨大なユーザーのネットワークを持つSNSも日常化しています。なので映画感想ブログはすでに旧時代コンテンツなのですが、それでも自由気ままに書けるこの空間が気に入っています。
もしかしたら「自分も映画感想ブログをやってみようかな…」と漠然と考えている人もいるかもしれません。私も映画感想ブログを書く仲間がどんどん増えていってほしいなと常々思っています。
しかし、何を気をつけて始めるべきなのか、最初の一歩に困るかもしれません。
そこで、初心者に読んでほしい「映画感想ブログの書き方」をまとめました。これはもともと私の自分用の備忘録としてメモしていたものを、一般向けに読めるようにリライトしたものです。
ある程度は参考になると思いますので、よろしかったら目を通してみてください。
1. 世界の中心で映画愛を叫ぶ
映画感想ブログに限った話ではないですが、サイトを作ろうと思ったとき、必ず話題にでるのが「SEO」です。SEOというのは「Search Engine Optimization」の略であり、検索エンジン最適化をすること。自分のサイトをGoogleに高く評価してもらい、Googleの検索結果の上位を狙うためのものです。ギャング映画におけるドラッグのごとく、ウェブ界隈ではSEOが話題を集め、ときに人の人生を狂わせています。
「映画感想ブログ 書き方」とかでGoogle検索して上の方に表示されるサイトを見ると、やっぱりSEOに関連した内容を説明しているものが多いです。「キーワード選定」やら、「タイトルのつけ方」やら、「独自ドメイン」やら、「文字数」やら、「記事公開日」やら…。
でも私の意見ですが、そんなことは忘れましょう。
そもそも映画の感想なんて十人十色です。いくらGoogleが「ページ内容を分析して検索クエリに応じたサイトを表示する」というアルゴリズムを極めようとも、人の感想という個人的思考までニーズを判断するのは現代技術では不可能です。映画の公開日を調べるみたいに明確な答えがあるならまだしも、感想は正解がないので、結局は読み手の好みに合うかどうかの話。
だから、極論として「映画愛」が一番大事だと思います。
あらすじを長々と書いて「う~ん、でも私にはよくわからなかったです」なんて一言で締める感想は読みたくないでしょう。その感想を読んだことで「なるほど、そんな面白さがあるのか!」「へぇ~、そういうことだったのね」「うんうん、私もそう思っていたよ」など、刺激を受けるような感想が好まれるはずです。
結局は、読者となる人がついてくれるような、愛の伝わる文章を書くしかないし、それはウケ狙いで媚びたものではなく、やっぱり書き手の想いの問題なのだとつくづく感じます。
2. ボンド。ジェームズ・ボンドだ(SNS)
SEOとして「文字数」なんて気にするなとは言いましたが、さすがにページを開いたら50文字しか感想が書かれていなかったら、ブログという媒体においては読み手にガッカリされると思います。
「でも私は文章を長く書くのがどうも苦手で…」
そう思うのなら素直にSNSで感想を発信するほうが断然いいです。短いテキストで的確に感想を伝えられるのは一つの才能です。ブログにこだわる理由は何もありません。
SNSで感想をあげる場合の利点は、話題に乗りやすいことであり、時間もかからないので、とてもスムーズです。サイトの管理というのはやってみると結構面倒なもので、無料ブログサービスを利用しているならともかく、WordPressなどで独自ドメインでサイト運営していると予想外の諸々の作業の多さに、感想を書く時間が減るという、元も子もない事態になりかねません。
SNSはその心配がゼロなので、とてもラクチン。
しかも、オマケの利点として、映画好きの仲間と繋がれるというメリットがあります。映画の感想をあげるような人をフォローしていけば、すぐに一定の数の仲間に出会えるはずです。映画趣味人はつながって語り合うのが好きなので、案外と友達づくりの敷居は低いです。
別にどこかの殺しのライセンスを持ったスパイみたいにバカ正直に本名を名乗る必要はありません。自分をアピールできればそれでじゅうぶん。
SNS上でたくさんの仲間と知り合っておけば、いざ自分が映画感想ブログを始めた際に、すぐに読者になってくれるでしょう。
ただし、ひとつのSNSに依存するのはオススメしません。アカウントが凍結されたり、サービスが終了したりする場合もあるからです。複数のSNSを並行して用いると安心です。
3. 画像は、著作権と共にあらん事を
映画感想ブログでは、映画作品のポスターやワンシーンの画像を掲載しているものが多いです。これは著作権に違反しないのでしょうか。
無論、映画作品のポスターやワンシーンの画像も著作物であり、本来は許可なく無断で使用することはできません。大手の映画情報サイトなどでは、著作物の権利を持つ各映画配給会社などが正式に使用を認めた画像を掲載しています。しかし、映画感想ブログを運営する人は「個人」なので、その場合は各映画配給会社などから許可が下りることは普通ないです。
でも「引用」という手段があります。引用であれば、他者の著作物を自分のブログ内で使用することができます。これは著作権法の第32条で明記されています。
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
ただし、引用とみなされるには条件があります。そのいくつかは以下のとおり。
①引用部分が公表された著作物であること②引用部分と自己の著作物の区分が明瞭であること③自己の著作物が「主」であり、引用部分が「従」であること④「引用の目的上正当な範囲内」であること⑤出所を明示すること⑥改変など、引用部分の著作者人格権を侵害しないこと
③についてはとくに注意が必要で、映画感想ブログの場合にやりがちなこととしては、画像を掲載しすぎることがあります。ページの半分以上が画像だったら、さすがに引用部分が「従」であるとは言い切れないでしょう。画像は少なめに抑えるべきです。
⑤の出所の明示については、「(c)」などでその作品の権利者を明記しておけば大丈夫です。
⑥は画像の改変をするなということであり、「コラ画像」なんかは厳密にはアウトなので、控えましょう。
②の「引用部分と自己の著作物の区分が明瞭である」については、テキストベースのブログだと“画像は引用です”と「(c)」とセットで示せばわかるのですが、動画で感想をあげている人は要注意。動画内に画像を組み込んで使用するのは、引用の定義に当てはまらない可能性があります(自分でDVDやチラシを持ってみせるとかなら問題ないでしょうけど)。
なお、感想の味付けとして漫画のひとコマの画像を掲載する人もいますが、最近は違法アップロードサイトの問題もあって、漫画画像への取り締まりが非常に厳しいので止めるのが無難だと思います。
いわゆる「フリー画像」なら大きな心配はいりません。
まあ、要するに同人誌的なグレーな領域でもあるので、「ほどほどに…」ってことです。
4. 奴はとんでもないものを引用していきました
「画像は引用するように」という話はしましたが、テキストも引用は重要です。
もし、映画の公式サイトや映画情報サイトから「あらすじ」をそのままブログに載せたいとき、インタビューの一部を載せたいとき、他の映画感想ブログの文章が気に入ったので一部だけ載せたいとき、必ず「引用」という形式にしましょう。
その際は「blockquote」という引用・転載文であることを示すタグを使います。これで明確に「引用ですよ」と明示したことになるので、引用の条件を満たすことが可能です。
「blockquote」タグの詳細は、他のサイトでも参照してください。別に難しくありません。ブログサービスならばたいていは引用タグを挿入できるボタンなどがあるはずです。
別のサイトから引用した場合は、URLをリンクとして載せるのも忘れずに。こうすることで「出典」を明示できるので、あなたのサイトがちゃんとしていることも伝わります。
いちいち「blockquote」を使うのは面倒くさい…そんな怠慢は禁物です。きちんと引用しないで、ただコピペしていると、あなたのブログはコピーコンテンツと見なされ、検索結果に表示されなくなったり、ブログ自体が削除されたりします。
しっかり形式を守って引用をしているブログはそれだけでサマになって見えるので、綺麗な映画感想ブログを作りたい場合ならば鉄則で守ると良いでしょう。完全に自分のオリジナル文章だけでブログを書くのもいいですが、適度な引用によって好印象を読み手に与えることもできます。むしろ上手いサイトほど適切に引用を使いこなしているのではないでしょうか。
5. ヒューストン、相互リンクのトラブルだ
映画感想ブログの中には、他の同じようにブログを書いている人と、「相互リンク」というかたちでリンクを張り合っている人もいます。ブログの横サイドに他の映画感想ブログをズラリと並べて紹介している光景はいまもときどき見られ、ブログの昔からの伝統みたいになっていますが、あまりオススメはしません。
こういう「相互リンク」はGoogleが推奨していないタイプの悪いリンクの張り方として認識されるケースもあり、そうなると自分だけでなく相手のブログにも迷惑をかけます。
どうしても他人のブログを紹介したいのならば、サイドのスペースに掲載するのではなく、個別のページを新規に作って(「私のオススメの映画感想ブログを5つ紹介!」みたいな感じ)、そこにリンクを載せると(もちろんリンクだけでなく、魅力なども書いてね)、相手のブログにもとても喜ばれるでしょう。
今はSNSという便利なものがありますし、それでフォローし合うだけでも価値はあると思いますが。とにかく安易な「相互リンク」はしないのが吉です。
これに関連して、「ブログランキングサイト」を利用するのも控えた方がいいと思います。自分のブログを登録して、専用のリンクを設置すると、そこからのアクセスに応じて順位が決まり、こちらのブログへのアクセスも見込めるというものですが、重大な欠点がひとつ。それはブログランキングサイト自体の管理が雑で、違法なサイトが多数登録されているということ。なので、自分のブログがその違法サイトと関連があると思われかねないです。
基本的にあなたの感想に役に立つリンクを載せることは“良いこと”なので、適切に実行してきましょう。
6. I’ll be backしない公式サイト
リンクに関連して、映画感想ブログならではの問題として、映画の公式サイトのリンクを載せたい場合があります。映画の公式サイトは情報も充実しているものも多く、最も信頼できる便利さです。
別に何の問題もないように見えますが、意外な落とし穴があります。
それは「リンク切れ」。
映画の公式サイトは永続的に存在し続けることはあまりなく、一定の期間後に閉鎖もしくは移動してしまいます。映画配給会社サイトのドメイン下に映画作品の公式サイトがある場合はまだ良いのですが、独自ドメインの映画公式サイトだとまるごと跡形もなく消えたりします。しかも、割と早くにサイト消滅するものもあって、公開から1年ともたない事例も。当然、リンク切れを起こします。
リンク切れだけならまだマシです。問題はその映画公式サイトだったドメインが売られ、全然別のサイトとして生まれ変わってしまった場合。最悪、アダルトサイトになっているかもしれません。
となると、もしあなたのブログでそんな映画公式サイトのリンクを掲載したまま放置していると、気づかないうちにアダルトサイトにリンクしていたという事態になります。これは訪問者にとって不愉快です。
そのため映画の公式サイトのリンク掲載は慎重になる必要があるでしょう。自分が常にリンクをモニタリングしているなら良いのですけど。
どうしても…という人には、映画の公式SNSへのリンク(Twitterとか)だったらまだ安全性の点でマシと推奨できます。これならばいつのまにか別のサイトにすり替わっていることもないです。そもそも今はSNS時代。読者もSNSを紹介される方が嬉しいという人も多いでしょうから。
7. 猿の惑星は地球です
え…地球? 自由の女神? なんのことですか…。
映画感想ブログを書くうえで必ず出てくるのが「ネタバレ問題」。
突発的にネタバレされて嬉しい人はあんまりいないと思いますけど、感想を書くうえでどうしてもネタバレを避けることはできないこともあります。また、ネタバレ込みで作中あの部分はなんだったのか知りたい!というような関心を持ってブログに来る人もいます。
この「ネタバレNO派」と「ネタバレOK派」を上手くすみ分けて、不必要な軋轢を避ける唯一の方法は、「このブログにはネタバレがあります(もしくはありません)」と目立つ場所に明記することくらいしかありません。できればタイトルに書いておくのもよいですが、それだと大切なタイトルが汚れる感じで嫌だという人は、ページの一番最初に目立つ色や大きさの文字で示しておきましょう。
ネタバレを書くことは違法ではありません。あくまでマナーの問題です。
例えば、Wikipediaは百科事典なのであらすじにネタバレをガッツリ書くことを宣言しています。こんな風に要するに書き手のスタンスに委ねられます。
もちろん、わざとネタバレを大勢に拡散してやろうという悪意をもってブログを書いたら、大不評を買うだけなので、絶対にやめましょう。
8. 君たち、戦争部屋で戦争は困る!
「表現の自由」という素晴らしい権利が私たちにはあるので、映画の感想を書くのも、たとえ作品を褒めようとも、ボロクソに批判して貶そうとも自由です。
でも、たとえ表現の自由があろうとも、書いてはいけないことがあります。
第1に「誹謗中傷してはいけない」という点。
とくに映画製作に関わっている俳優、監督、その他のスタッフ、映画企業、配給会社、批評家などなど。そういう人たちをいくら気に入らないことがあったとしても、誹謗中傷してはいけません。
こうした行為は、名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、信用毀損及び業務妨害罪、偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪などの刑事罰に問われるリスクがあります。
第2に「ヘイト表現はしてはいけない」という点。
これは、特定の国、人種、民族、ジェンダー、障がいの有無などで相手を差別するような意図を持つ表現です。これら憎悪を煽るヘイトは近年急速に問題となっており、重大な犯罪につながる事態も起こっているため、規制が活発に議論されています。すでにネット上でのヘイトの禁止を条例で定めた自治体もあります。あなたのブログで感想と称してヘイトを書くのは論外です。
これら「誹謗中傷してはいけない」「ヘイト表現はしてはいけない」というのは、あなたのブログのコメント欄にも適用されます。あなたが書いたわけでなくとも、ブログを運営するあなたの責任になるので、しっかりコメントを管理し、問題があるものは削除しましょう。
ちなみに、書いてはいけないわけではありませんが、ポルノ作品について紹介するような文章を書くと、当然といいますか、あなたのブログは世間一般で言うところの「アダルトサイト」扱いになるので注意です。場合によっては、フィルタリングの対象にもなるでしょう。ポルノ作品でなくとも、アダルトな画像や単語を掲載してしまうと、同様の事態になるので、あなたのブログが未成年にも見てほしいのか、それとも気にしないのか、ちゃんと決めておきましょう。
以下のサイトで自分のサイトやブログがフィルタリングの対象になっているかを簡単に確認できます。
9. 二つでじゅうぶんですよ!(いやひとつで…)
これは滅多に起こらないことだとは思いますが、あなたのブログで書いた感想が他のサイトでまるまるコピペされ、あたかもそのサイトのものであるかのように盗用されてしまう事件も起きるかもしれません(引用にあてはまらないもの)。
自動的にプログラムでネット上のサイトをコピペして記事を濫造する手法もあり、そんなことをされたら迷惑です。でもこの場合は、賢いGoogleがすぐに不正コピーを認識して、そのマネしたサイトのページを検索結果に表示されないようにするので、基本は気にしなくて問題ありません。
ただ、個別に丸ごとコピペされたら不快です。
私のサイトもページ内容の一部が第3者によって大手の映画レビュー投稿サイト・サービスにほぼコピペで掲載されてしまったことがあるのですが、問い合わせすることで削除対応してもらえました。
しかし、早急になんとかしてほしいと思っても、相手に問い合わせる手段がなかったり、無視されたりすることはしょっちゅうです。
そういう“にっちもさっちもいかない”状況になったら、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づき、著作権を侵害するコンテンツの削除依頼をGoogleへ申請することができます。これにより、コピーサイトは検索結果に表示されなくなります。
それでも検索結果に表示されなくなっただけで、サイト自体は残っています。サイトそのものを削除してほしい場合は、そのサイトが使用しているブログサービス会社もしくはレンタルサーバー会社に権利侵害として通報すれば、所定の手続きにのっとり、削除か修正の対応を行ってくれるはずです。
もちろん、嘘の通報をしたら、あなたが違法になるので厳禁です。
10. 無限の彼方へ!さあ行くぞ!
結局、映画感想ブログは何から書けばいいの?
その答えはひとつ。あなたの書きたいことを書くのです。逆に書きたいことがないのなら、ブログなんて苦痛でしかないので止めたほうがいいです。
自分の好きな映画なら書きたいことが山ほど湧いて出てくる…そういう状態が理想です。別に毎日書く必要はなく、1週間に1回でも、1か月に1回でもいい。とりあえず自分の“書きたい”という欲求が満たされればいいのです。
私も映画の感想を文章化するようになって、その作品についてさらに勉強したりするようになり、ますます映画が好きになりました。映画感想ブログは映画をもっと好きになる方法のひとつです。
感想を書くのは無料です。読むのも無料です。でも映画好きの人が増えるきっかけになります。最高ではないでしょうか。
あなたも映画感想ブログを始めてみてください。
もし書いたよという人がいたら、私のTwitter(@cinemandrake)まで来ていただければ、私はフォローして、あなたの感想の最初の読者になりますよ。
以下は、さらに応用編の記事です。