「2025年」の感想
私のワン・ムービーバトル・アフター・アナザー
2025年も終わり。
今年も映画をいろいろ観ました。あらためて思いました。ツラく苦しいときこそ映画だ、と。
ということで、私、シネマンドレイクが選んだ2025年の映画ベスト10を発表したいと思います。対象は私が今年観た「2025年に劇場公開された or 配信スルーで発売された or 動画配信サービスで配信された新作映画」です(一部で日本では2026年公開の作品も含まれます)。
さらにドラマシリーズのベスト10も発表しています。
ついでに独自の部門別でも選びました。
もちろんAIなんかに文章を書かせませんよ。AIコンテンツが大量に氾濫する今のインターネットを眺めていると、私が私の手で積み重ねてきたこのウェブサイトは私にとっては本当に思い出そのものだなと痛感します。AIに思い出は作れないのです。
2025年は無理せずに思い出を綴ることに専念。生活環境も変わったし、何よりもこの2025年は私にとっては「10年に1度」ぐらい病気にかかりやすいイヤーでした…。なのでやはりあまり映画鑑賞の本数は多くはないのですが、少なくても個性をだせればそれでいいかなと思ってます。
ちなみに過去の年の「映画ベスト10」は以下のページで確認できます。
また、「2025年のLGBTQ映画&ドラマを振り返る」という記事も作っています。そちらも興味があれば読んでみてください。
映画 ベスト10
映画のベスト10です。10位から1位の順で発表しています。
10位『教皇選挙』

こんなパっと見は“おじさん”ばかりがでてくる映画なのに、クィア映画で、フェミニズム映画な、時代を抉るポリティカル・スリラーだなんて…。という感じの感想を私は書いて紹介したのですけども、『教皇選挙』が日本で話題になったのは良かったとして、明らかに社会正義に関心のない…それどころか普段からそういうものを冷笑している人まで、この映画を各々で受け入れている光景をみると…。う~ん、神様、人間って不思議な生き物ですね!
9位『罪人たち』
やっぱり“ライアン・クーグラー”なんだよなぁ…。そうなんだよなぁ…。そればかり呟きたくなる映画『罪人たち』。アカデミー賞を獲れなくても、私の中ではオスカーに輝いています。音楽や映画などの文化は、常に歴史と共にある。どこぞの吸血鬼風情の権力者がそれをどんなに否定しようとも、絶対に消せない事実がある。今は亡きあの人の意志を受け継ぎながら、私もその一部として楽しみつつ抵抗していきたいです。
8位『FEMME フェム』
有害な男らしさからどうやって離脱するか、さらにはいかにして内面化されたクィアフォビアを乗り越えてそれを受容するか…。異性愛規範の男らしさに染まり切っている立場にある男性となると、その難易度は跳ね上がりますが、『FEMME フェム』はその苦悩を巧みなストーリーテリングで表現していました。2025年もこの苦悩は過小評価されたままだったと思いますし、痛ましい事件が起きる前にもっと向き合いたいですね。
7位『顔を捨てた男』
『顔を捨てた男』も前述の『FEMME フェム』と並んで、男の自己嫌悪的な劣等感を滲ませる映画でしたが、今作はその滲みかたがドロッドロで…。とくに「当事者性」というものへと痛烈な批評があり、私も普段から何気なく感想の中で「当事者」という言葉を使っていますが、考えさせられる一作でした。ここまで当事者性を遠慮なしにエグるような作品はなかなかないので、忘れることのできない鑑賞体験になりました。
6位『入国審査』
この映画『入国審査』で描かれているよりも今のアメリカの入国審査は酷いありさまになってしまいました。SNSの開示を義務付ける案を検討中らしいとのことでね。私のシネマンドレイクのSNSは映画の感想だらけだけど、「これはどういう意図だ?」とか聞かれるのだろうか…。「こんな映画を観ている奴はテロリストだ!」と決めつけられたら、どうしようもないですけど、映画の感想は止めないですよ。
5位『ハウス・オブ・ダイナマイト』
「核の抑止力」に依存する軍国主義の虚勢のみの愚かさを容赦なく炙り出した『ハウス・オブ・ダイナマイト』。現在の日本政府でも「核を保有したほうがいい」などと保守的な為政者の本音がこぼれているありさまですが、それは「国を守る」ものじゃなく、ただ世界を破滅させるだけの自爆的な愚行。映画のように世界の崩壊を呆然と眺めているだけなんて嫌ですから、核兵器にNOを2026年も言っていきたいです。
4位『ヘッダ』
どんな手垢のついたと思っている名作も、巧妙で大胆な翻案と、鋭利なクィアネスを上手く織り交ぜれば、ここまで新鮮な一作になる…そのお手本をみせてくれました。ジェンダー、セクシュアリティ、人種、アカデミックなプレッシャー…さまざまな要素が緊張感を複雑に絡ませ、目を離せなくなる危なっかしさ。私みたいな凡人には耐えられない世界だけど、『ヘッダ』は「楽しかった」のひと言に尽きます。
3位『SEX』『LOVE』『DREAMS』



くそ、“ダーグ・ヨハン・ハウゲルード”監督作、3つとも最高だった…映画トップ10に全部入れられないぞ…ああ、そうだ、3つまとめて1本ってことにしてしまえばいいんだ…。そういうわけでこのとおり。異なる者同士のささやかな対話を通じて道徳や責任に揺れる感情を浮き上がらせる…そして何よりもあのラストの余韻。『SEX』『LOVE』『DREAMS』…どれも味があり、今振り返っても一番は決められないかな…。
2位『Sorry, Baby』
世界のろくでもなさを痛感する1年だった2025年。正義もない、救いもない、将来が見えない…そんな今、全てを抱え込んでしまっている自分を、この映画はほんの少し救ってくれたかもしれません。いや、「救う」というのは大袈裟で、本当はちょっと手を握り締めてくれただけかも。この世界で、何気なくクィアであることが、新たなまだ見ぬ楽しさや喜びが詰まった始まりに繋がっているといいな。
1位『サブスタンス』
日本のダサい宣伝くらいしか欠点がない。そう言い切れるこの映画『サブスタンス』を生み出せてしまう才能が恐ろしくゾクゾクする…。誰かに媚びるでもなく、小手先の暗示に頼らずにトラウマだろうがなんだろうが原液をドバドバと物語に流し込み、釘付けにする視覚的演出とプロットの荒業で強引に引っ張っていく…この異才を全身で体験してしまうと他の映画が霞むという副作用が問題ですね…。
総評&ベスト10に惜しくもリストできなかった映画
あらためて私の2025年映画BEST10は以下のとおりです。
2位『Sorry, Baby』
3位『SEX』『LOVE』『DREAMS』
4位『ヘッダ』
5位『ハウス・オブ・ダイナマイト』
6位『入国審査』
7位『顔を捨てた男』
8位『FEMME フェム』
9位『罪人たち』
10位『教皇選挙』
あれこれ考え抜いた結果のベスト10でした。
当然、惜しくも入れられなかった映画も2025年もいっぱいあります。
『RED ROOMS レッドルームズ』、『ヤニック』なども良かったです。
ドラマシリーズ ベスト10
ドラマシリーズのベスト10です。10位から1位の順で発表しています。
10位『ブラック・ミラー(S7)』

もうこのインターネットに公開したあらゆるものはAIの餌食にされることが当たり前な世の中になったんだなと実感した2025年。きっとこの文章もAIに読まれているに違いない…。『ブラック・ミラー』もシーズン7になって、ついにリアルとフィクションの境界が限りなく急接近してきた時代を迎え、いろいろな意味で大変になってきたなと他人事に思っていようと思いましたが…悲しいかな、全然、他人事でもなかったですね…。
9位『ザ・スタジオ』
政治干渉、買収、AI…2025年はハリウッドはかつてない岐路に立たされた…というけど、この業界っていっつも滅茶苦茶にカオスじゃないか? そんなことをやりすぎなくらいの痛々しい自虐精神で思い出させてくれる『ザ・スタジオ』。こんなテキトーな狂乱で今までたいていはやってきたなら来年もどうにかなるか! ね! そうだよね! うちらは百戦錬磨の業界人だしね! ムービー! ムービー!! ムービー!!!
8位『ジェン・ブイ(S2)』
2025年に滅茶苦茶だったのはハリウッドだけではありませんでした。大学もです。言論の自由と学問の自由はドロップアウト寸前。牛耳るのは権力という名のスーパーパワーに陶酔した者たち。そんな「ヒーロー」という言葉が剥奪されている時代に、自分の言葉を取り戻し、それが正義に繋がる。そのことを高らかに血塗れで誇示する『ジェン・ブイ』のシーズン2は、やはり未来を作るのは若者だと思い出させてくれます。
7位『ピースメイカー(S2)』
「この時代、この世界で正しくあるにはどうすればいいんだろう?」と自問自答を繰り返して身を探る白人男性を描いた作品が目立っていた気がする2025年。とくにヒーロー作品はその葛藤は避けられないようで、映画『スーパーマン』やドラマ『デアデビル ボーン・アゲイン』などがそのテーマを突き進んでいましたが、その中でも『ピースメイカー』のシーズン2は愛すべきバカたちに囲まれた多様性の居心地の良さをしっかり伝えてくれました。
6位『キャシアン・アンドー(S2)』
しょせんフィクションでしょ?という意見はありますけど、でもフィクションが何よりもリアルを鋭利に浮かび上がらせることはあると私は信じている。この『キャシアン・アンドー』のシーズン2はそれをまさにみせてくれました。目を背けたくなる現実を前に「正当な理由なき虐殺(ジェノサイド)」と言い切り、黙らないことがいかに重要か。自分を見失わないこと、勝つために負けること…それが希望ですよね。
5位『プルリブス』
世界が激変する瞬間を迎えたとき、あなたは正しくあろうと抗うか? それとも憎しみで敵意を向けるか? はたまた適応するのが賢いと思ってしまうか? この葛藤は既視感がありますよね(2025年は毎日そんな選択を強いられていた気がする)。『プルリブス』の「世界を救う!」はヤケクソかもしれませんけども、ときにはそういう開き直りみたいな行き当たりばったりの正義も良いのかもしれません。考えすぎると疲れるもん…。
4位『THE LAST OF US(S2)』
『THE LAST OF US』のシーズン2は、とてもショッキングで悲しい事態が起きることは私は原作ゲームプレイ済みで知っていたのでね…。逆に知らずに観た人のメンタルが気の毒でしょうがない…。でも製作陣があの「行為」の罪にドラマ版でより誠実に向き合ってくれたのは嬉しかったです。それにクィアネスを社会を築く架け橋として静かに描いてくれたのも良かったなと。陰惨な世界にこそそういう希望がないとね。
3位『チーフ・オブ・ウォー』
単なる考証にとどまらず、ハワイの歴史というものに真摯に魂を込め、多角的に見つめ、民族的な複雑さを表現してみせていた『チーフ・オブ・ウォー』。この作品は歴史ドラマのお手本のような一作でした。史実を忠実に再現するのではなく、作り手がどう歴史と民族の重さに責任を持って表現するかを考えに考え抜いた一作としてずっと参照していきたいです。
2位『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』
ある緊急救命室での計15時間の1日のシフトに社会の縮図とも言えるようなさまざまな現代アメリカのトピックが詰め込まれた『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』。とにかく情報量が多すぎるので1回の鑑賞では圧倒されて私も頭が追い付きませんでしたが、このジャンルのドラマとしては文句なしで面白かったです。年末のリラックスしたいときにオススメしやすいドラマの内容ではないのがあれですけどね…。
1位『アドレセンス』

2025年のベスト1位はやっぱりこの『アドレセンス』を直視するしかありませんでした。別に本作は「マノスフィア」というイマドキの新しい現象を扱っているわけではなく、実のところ、「男性」という存在が歴史上ずっと抱えて解決できないままでいる、普遍的なジェンダー構造上の課題だと思うのです。これ以上、周囲が傷つかないために、そして何よりも男性自身が苦しまないために、何ができるか考えましょうというこのドラマの警告を真剣に受け止めてほしいですね。
総評&ベスト10に惜しくもリストできなかったドラマシリーズ
あらためて私の2025年ドラマシリーズBEST10は以下のとおりです。
2位『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』
3位『チーフ・オブ・ウォー』
4位『THE LAST OF US(シーズン2)』
5位『プルリブス』
6位『キャシアン・アンドー(シーズン2)』
7位『ピースメイカー(シーズン2)』
8位『ジェン・ブイ(シーズン2)』
9位『ザ・スタジオ』
10位『ブラック・ミラー(シーズン7)』
こちらもあれこれ考え抜いた結果のベスト10でした。
2025年は続シーズンが多くランクインしているのは、私があまり新作を観れていないのもあります。
アニメシリーズ ベスト1
アニメーション・シリーズはまだまだ多くを観ていないのでベスト1だけを選出します。日本・海外どちらも含む作品が対象です。あくまでシリーズものだけを対象とし、単発の映画は対象にしていません。
1位『光が死んだ夏』
アニメシリーズのベスト1位は、日本産のクィア・ホラーの素晴らしい完成度をみせてくれた『光が死んだ夏』に。日本の田舎において、異性愛規範と内面化されたホモフォビアの呪いに取り込まれ、それでも己のアイデンティティの葛藤の狭間で、大切な相手との瞬間をもぎとろうとする。その繊細な描写がジャンルに上手く織り込まれていました。あと、もっとこういう作品をクィア批評する文章が読みたいなとも思いました。
独自部門の個別賞
ベストランキングの次は、俳優や監督のベスト…と言いたいところですが、そんなものはやり尽くされていて面白くない。そこで以下の独自な部門を勝手に設置して、自己満足で作品を選びました。作品の対象は映画・ドラマシリーズ・アニメなど全てを範囲として含みます。
★ベスト・ドキュメンタリー賞
…通常の作品とは評価基準が異なってくるドキュメンタリー作品から年間ベストをひとつ(もしくは複数)。
★ベスト・エンターテインメント賞
…自分の中でその年を象徴するエンタメ満載な作品をひとつ。
★ベスト・ミュージック賞
…音楽や楽曲が優れていて作品自体にマッチしていた作品をひとつ。
★ベスト・アニマル賞
…個人的に「動物」が好きなので、作品に登場した動物の中からピックアップ。
★メモリアル賞
…ベストに入れられなかったけど、ベスト以上に心に強く残った作品に贈ります。
★忘れてない?賞
…日本でビデオスルーもしくは公開規模わずかになってしまった良作映画に贈る、個人的イチオシ。
★ベスト・Ace/Aro賞
…私がアセクシュアル&アロマンティックということで、その好みに合う作品orキャラに。
★ベスト・ノンバイナリー賞
…私がノンバイナリーということで、その好みに合う作品orキャラに。
★ベスト・アライ賞
…いろいろなマイノリティを支えてくれる献身的な作品orキャラに。
ベスト・ドキュメンタリー賞
『リハーサル ネイサンのやりすぎ予行演習(S2)』
厳密にはドキュメンタリーではないかもですが、もうこの枠で本作を評価することにします。幼稚で単純に露悪的なだけのトロッコ問題なんかよりも何百倍も面白い、不確実性と奇抜な方法で向き合うヘンテコな試み。人間の不完全さって厄介ですけど、でも同時に尊いものでもあり、不思議で可能性にも満ちている。人生の教訓をさりげなく与えてくれたこの本作のおかげか、私もなんだか飛び立てるような気分になりました。
ベスト・エンターテインメント賞
『みんな、おしゃべり!』
表面的なあらすじだけを聞くと「それってエンターテインメントになるのか? というかエンターテインメントにしていいのか?」と心配にもなるけども、不謹慎さで意地悪に弄ぶわけでもなく、日本に確かに存在する当事者に誠実に向き合って、ちゃんとエンターテインメントにしている。そんな理想の映画だった『みんな、おしゃべり!』こそ私の中ではベスト・エンターテイメント賞にふさわしいと思いました。
ベスト・ミュージック賞
『ラテン・ブラッド ザ・バラッド・オブ・ネイ・マトグロッソ』
世間的には2025年の世界的社会現象だった『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が音楽を総なめにしていましたが、私の2025年の一番の印象的な音楽映画は『ラテン・ブラッド ザ・バラッド・オブ・ネイ・マトグロッソ』です。どんな社会になろうとも、権力によるマイノリティへの検閲に屈することなく、自己表現を貫くこと。ミュージシャン伝記映画を量産するハリウッド大作でもできない圧倒的すぎるエンパワーメントにクラクラです。
ベスト・アニマル賞
『チンパン・クレイジー』
この『チンパン・クレイジー』はベスト・ドキュメンタリー賞に入れてもいいのですが、ベスト・アニマル賞のほうがぴったりでしょう。その動物が狂暴かどうかが問題なのではない…私たち人間は動物をそのときどきで常に都合よく捉えてしまう癖があるということが何よりも問題で…。他人不信で自己の檻に閉じこもってしまった人の内面に向き合う必要があることを教えてくれる本作…私たち人間はチンパンジーからコミュニケーションを学べるでしょうか。
メモリアル賞
『ブルーボーイ事件』
日本におけるトランスジェンダーの歴史における重大な出来事を脚色込みで勇気をもって映画化した本作は、世界的にみても稀有なトランスジェンダー表象の映画としてもっと注目されるべきだと思います。当事者さえも忘れてしまいがちですが、今の個人の人生は過去の誰かの努力や犠牲の上に成り立っている。それを思い出しながら、次はどんなバトンを渡していくか。「事件」ではない「幸福」の存在として記録されるために…。
忘れてない?賞
『The People’s Joker』
日本でもたくさんの人に観てもらいやすくなるといいなと願いを込めて、『The People’s Joker』をここにピックアップしておきます。「自認」という言葉が流行りのフレーズとして安直に使い回される2025年の日本社会において、自分のアイデンティティに本気で苦悩する人のツラさが軽視されていると常々感じますが、この映画はそんな当事者の喜怒哀楽に寄り添ってくれていました。笑われるのではなく、自分が笑えるようになりたいですよね。
ベスト・Ace/Aro賞
「Hellaverse」


アセクシュアルやアロマンティックの表象は2025年も非常に乏しかったのですが、そんな中、このシーズン2が始まった『ハズビン・ホテルへようこそ』と、本格的に日本語配信が始動した『ヘルヴァ・ボス』…両作の世界である「Hellaverse」は、AセクAロマのキャラクターがそのセクシュアリティゆえに特異な苦しみを抱える存在として浮き出ることもなく、他の奴らと混ざり合って、くだらなくボヤいているだけ。それがただただ嬉しいです。
ベスト・ノンバイナリー賞
『テレビの中に入りたい』
果てしない暗いトンネルをとぼとぼと歩き続けて、光の見える入り口を探すかのように、LGBTQ表象を追い求めて彷徨っている私を代弁するかのような映画だった『テレビの中に入りたい』。「こんな濃厚に当事者の心理を映像化していいのか!」とびっくりしたけど、あらためて思えば、何も遠慮する必要なんてないのでした。いろいろ思い出して、心をぐしゃぐしゃにされたけども、この鑑賞体験の傷跡の真相は私だけの秘密です。
ベスト・アライ賞
『ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン』
「あの差別主義者が殺されて“嬉しい”と思ってしまった自分」は罪なのか…。この葛藤はまさに2025年の社会正義が肌で感じていた感情じゃないでしょうか。でもそんなあなたでも正義を諦める必要はないよ…と、その先の道のりを光で照らして教えてくれる。これは神様にしかできない芸当なのか、それとも低俗なオタク探偵にもできること? どちらにせよ、私はそれを「アライ」と呼びたいのです。
以上です。
2026年も「シネマンドレイク」は映画などの作品を観て、その感想を書き続けます。映画を実際に観ていないAIにはまだまだ負けません。自分で考えて書くことが何よりも楽しいですから。
2026年もたくさんの心震わす作品に出会えますように。

























