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『赤い光点 Red Dot』感想(ネタバレ)…Netflix;誰がなぜ狙っている?

赤い光点

誰がなぜ狙っている?謎のスウェーデン・スリラー…Netflix映画『赤い光点』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Red Dot
製作国:スウェーデン(2021年)
日本では劇場未公開:2021年にNetflixで配信
監督:アラン・ダルボルグ

動物虐待描写

赤い光点

赤い光点

『赤い光点』あらすじ

プロポーズの瞬間は幸せだった。しかし、その充実なスタートは唐突な衝撃とともに砕け散った。今ではケンカばかりの毎日を過ごし、一緒にいるだけでも苦痛。そんなズタズタになった関係性をリセットするため、真冬のキャンプ旅行へとやってきた若夫婦。子どもが生まれることがわかった矢先、姿の見えない殺人者に執拗に狙われ始める。犯人の目的は一体何なのか…。

『赤い光点』感想(ネタバレなし)

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レーザーポインターが狙っている

レーザーポインターを持っていますか?

私は子どもの頃、なぜか無性にレーザーポインターに憧れており、手に入れたかったです。まあ、カッコいいですよね(単純)。光の線がビュンと伸びていくあの感じ。ライトセーバーっぽいし。

でも今の10代や20代前半の若者は知らないと思うのですけど、実はレーザーポインターは日本では2001年頃に大問題になったのです。当時、日本では危険な高出力のレーザーポインター製品が普通に出回っており、光を目にあてれば失明の危険もありました。そんな危険度の高い代物が平然とごく普通の土産物なんかで販売されており、子どもでも買えたのです。その危険性が報道されると瞬く間に社会問題化し、マスコミが取り上げまくり、あれやこれやの大騒ぎになりました。思い出すとあの時はちょっとしたモラルパニックになっていた気がする。ともかく結果、レーザーポインターは消費生活用製品安全法を2001年に改正したことで、いろいろな規制の対象となりました。

なので私がレーザーポインターを手に入れることはありませんでした。あんな状況ではね…。

今だったら講師とかがホワイトボードを指し示すときにレーザーポインターを使ったりします。もちろん出力の低いやつを使って。私も大人になってから使ったのですけど、そういうホワイトボードを指し示すのにはなんか不便だったというか、イマイチしっくりきませんでした。どうしたんだ、私の子どもの頃のレーザーポインターへの欲求は…。

そのレーザーポインターと同じように銃にもレーザーサイトというのを装着することがあります。戦争モノとか警察モノの映画でよく見るあれですね。赤い光線がツーっとターゲットにあたり、狙いをつけて射撃する、それです。

映画だと他に「お前のこと、こっそり狙っているぜ」と脅迫するためにレーザーサイトの赤い光点だけが体にあたり、登場人物が怯える…みたいな演出もあります。これも定番。

こうなってくるとレーザーもどう映画で駆使するか、腕の見せ所じゃないでしょうか。

今回紹介する映画はそのレーザーが登場するサスペンス・スリラーであり、その名も『赤い光点』です。原題は「Red Dot」。そのまんますぎますね。

内容は、とある若い夫婦が一組。雪が積もる大自然で息抜きのためにキャンプをします。テントをはってのんびりと新鮮な空気を味わっていると、夜中に赤い光点が…という恐怖を味わうことに。日本だったらそんな目に遭うことはないでしょうし、あってもイタズラでしょうけど、本作の舞台は北欧。ハンターが普通にいる地域で、銃にはレーザーサイトを取り付けています。ちなみに日本では狩猟者が銃にレーザーポインターを取り付けているケースはあまりないと思います。使えるシチュエーションがほとんどないので。北欧ではどうなのでしょうかね。

とにかく自分たちがなぜかターゲットになっていることに気づき、逃げ惑うことになる夫婦の運命やいかに…という映画です。シンプルですね。

『赤い光点』はスウェーデン映画であり、監督は“アラン・ダルボルグ”。私は聞いたことがなかったのですけど、調べると主にテレビシリーズで仕事している人だそうです。2014年には『マスター・プラン』という邦題がついた銀行強盗モノ映画を監督もしています。

主演は“ナンナ・ブロンデル”。彼女はMCUの『ブラックウィドウ』でも仕事しているらしいとのことですが、まだ公開されていないのでなんとも…。他には“アナスタシオス・ソウリス”、“トーマス・ハンソン”、“ヨハネス・バー・クンケ”、“トーマス・ベリストローム”など。

鑑賞前に気を付けてほしいポイントとしては、『赤い光点』は寒々しい映画なので、温かい環境で視聴してください。まあ、寒い部屋で観る人はあまりいないと思いますが…。

あとカップルでの鑑賞は積極的にオススメしません。なかなかにロマンスというものをクラッシュさせる内容ですし、見終わった後に気まずくなります。胸糞悪いストーリーですから、基本は…。

加えて、犬が酷い目に遭うので、犬好きの人はご注意ください。本作は犬の愛好家にしてみれば「許すまじ!」な映画だと思います。その一点でも本筋となる全体を許せなくなるんじゃないかな…。

要するに、ひとりで鑑賞するか、ある程度のツッコミ覚悟のうえで友達とふざけつつの鑑賞が適切かなと思います。

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『赤い光点』を観る前のQ&A

Q:『赤い光点』はいつどこで配信されていますか?
A:Netflixでオリジナル映画として2021年2月11日から配信中です。

オススメ度のチェック

ひとり◯(胸糞な映画をお好みなら)
友人◯(許容力のある人と)
恋人△(雰囲気が悪くなります)
キッズ△(残酷描写がかなり多い)
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『赤い光点』予告動画

Red Dot | Official Trailer | Netflix
↓ここからネタバレが含まれます↓

『赤い光点』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):もう逃げられない

血まみれで震える男。雪が積もる野外です。その男は絶望に表情をこわばらせながら「彼女は悪くない」と絞り出します。一方で、必死に走る女性。血を流しています。彼女は逃げていました。あるものから…。

事の発端は、1年半前。卒業式のパーティ。ダビッドは恋人のナジャにプロポーズをするつもりでいました。しかし、全然勇気が出ないので、彼女を席に残したまま、自分はトイレに籠ります。そしてメッセージ・リクエストを使い、公開プロポーズを実施。トイレでスマホにナジャへの愛の言葉をやや雑な感じで伝えます。それは建物内に全部流れており、「結婚してくれ」という切実なお願いはナジャにも当然聞こえました。

ダビッドがトイレを出るとナジャが前にいます。読めない表情をしているナジャは「イカれている」と恋人の正気を疑います。しかし、「もちろん結婚する」とキスしてくれました。

こうして幸せいっぱいのカップルが誕生し…。

1年半後。ナジャは怒っています。夫のダビッドはぐうたらしており、ゲームで遊ぶ暇はあるのにもっと役に立つことをほしいとナジャは不満爆発。洗濯機の故障すらも直してくれない…。

しょうがなく下で洗濯していると ナジャは急に吐き気を感じ、吐いてしまいます。そこに隣人の年配男性であるトーマスがやってきて、ナジャはこれは病気じゃないと説明。つまり…妊娠です。まだダビッドにも話していない、親になれるか不安、このままじゃ全部を私がやることになってしまう…そんな怖さを一気に打ち明けるナジャに、トーマスは子どもの尊さを説き、励ましてくれました。

翌朝。洗濯機は直っています。車で待っていると紙もあり、「ごめん。2人だけでのんびりしたいと思って」とダビッドが渓谷へのキャンプ旅行を誘ってくれました。「世界一の仕事をしているけど世界一の女性を失いたくない」…そこまで言ってくれる夫にナジャは少し生活の不安が和らぎます。

車で移動。犬のボリスも連れてです。しかし、ナジャはまた吐き、車酔いだと嘘をつきます。

ガソリンを入れていると男が話しかけてきて、犬に興味があるようでしたが、ナジャのことも話題に触れてきます。怪しさを感じるダビッド。荷台にはシカの死体。ハンターでしょうか。

しかし、車を出すときにその男の車にゴツンとぶつけてしまい、ダビッドはかすっただけだとその場を立ち去ります。

宿へ。受付の女性はなぜか引っ込んでしまい、代わりに男が出てきます。黒人のナジャをチラッと見て、差別主義者じゃないよと弁解。なんとなく周辺の宿泊者の目線に嫌なものを感じます。

朝。冷え切った雪景色。宿を出て駐車場の車に向かうと、車が傷だらけ。黒人が乗っていますと落書きまで。酷いありさまです。

道中、犯人と思われる相手の車を発見。ナジャは降りて車を傷つけます。しかし、見つかり、逃げることに。犬が突っ込んでくるので、車を走らせ、その場を退散。最高の気分だとナジャ。すっかり家でのストレスは消えたようです。

森へ。一面の銀世界です。久しぶりの開放感。スキーで大地を滑っていきます。テントを設営し、2人の仲は回復。ナジャは妊娠したと告げ、ダビッドも喜んでくれました。

しかし、その夜、それは起こります。テントの中で並んで寝ていると、テントに赤い光点がちらついているのに気づきます。「誰なの?」と声をかけますが、無反応。外に出るも真っ暗闇。地面に赤い光点があり、それは自分たちの体にも。「やめろ」と怒りますが、相手は何も見えません。

悪ふざけにしては度が過ぎている。移動しようということになり、テントで荷物を整理しますが、犬のボリスが外に走り出してしまいます。そして見えなくなったと思ったら銃声。まさか、そんなことが…。

さらに電気が割られ、発砲の連続。2人は命の危機を感じ、緊迫状態で一目散に逃げます。けれども発光弾が撃ちあがり、周囲を照らし、2人はバレバレ。しかも、後ろから迫る何か。エンジン音です。

前触れもなく始まった襲撃。2人は無事に逃げ切れるのか。そして明かされるのは2人の罪…。

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被害者はどちらか

『赤い光点』はキャラクターの真実が明らかになることで立場の逆転が起こる作品です。

最初、あのダビッドとナジャの2人は夫婦喧嘩のようなもので仲が悪いように観客には見えます。よくある最初はラブラブでも、結婚1年も経てばボロが出ていくといった感じで…。

キャンプ先への移動中に他人の車にぶつけてしまい、逃走するというくだりも、当初の印象では「まあ、悪いことだよね」という平凡なものですが、真実を知ってしまうとこれもこのダビッドが反省していないことの表れでもあると理解できます。

その後にナジャすらも差別的な対応に腹を立てて相手の車にやり返し、スッキリしたと嬉しそうにするのですが、これも後にこの2人が受ける仕打ちのとおりです。人は復讐で開放感を得ることができる、と…。

そしてテントで起きる悲劇。前半の内容を踏まえれば、行く先々で出会った差別主義者によるヘイトクライムなのかと予想できます。カップルが自然あふれる田舎で惨劇に直面するというのも、定番のホラーですからね。観客もここまではこの2人を可哀そうな人たちと同情します。

ところが終盤に明かされる真実で一転。それまでも伏線はあったのですが、答えとしては、ダビッドとナジャはプロポーズで幸せの最高潮にあった日に、トーマスの幼い子を轢き逃げで殺しており、現場から逃走していたのでした。つまり、2人は加害者であり、この一連の襲撃はトーマスが仲間と仕組んだもの。用意周到にまず2人のアパートに引っ越し、キャンプ旅行を推薦し、特定の場所に誘導して、いたぶっていく。計画的な復讐劇です。

子どもを殺している過去があるからこそ、ダビッドはナジャの妊娠に対して「あの子が頭から離れない。父親になる資格がない」とフラッシュバックまで起こして苦しみ悶えていたのでした。

当然、あの夫婦の仲が悪化しているのも、その轢き逃げの一件があったからでしょうし、良心の呵責の中で苦悩してきたナジャと、それを忘れようと仕事に打ち込んでいるダビットの亀裂はどんどん大きくなっていました。

ちなみに主人公夫婦の「ダフタンダー」という姓。スウェーデンのレビューサイトを見ていたら、あまり北欧では聞かない苗字らしいです。あんな非道なことをする人だから、一応は一般の人と重なってしまうとまずいので配慮したのでしょうか…。

ともあれこういう「被害者だと思ったら加害者だった!」というスリラーはよくありますよね。具体的にこの作品とはネタバレになるので言えないのですけど…。

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野犬に食われてほしかった

そんなショッキングな展開を売りにする『赤い光点』ですが、その物語構成自体、あまり上手いとも言えない気も…。

まずそもそも論として、なぜこんな手の込んだ復讐をするのか。第一、轢き逃げの証拠はあのドローンで撮影された映像としてしっかり残っているし、車のナンバーもばっちりわかります。素直に警察に通報する方が先じゃないのか。もしかしてスウェーデンでは轢き逃げの罪が軽いのかなと思ったのですけど、さすがに死亡事故となると有罪の刑期は重いだろうし…。

トーマスという男に感情移入させるなら、もっと逼迫した「こうせざるを得なかった」というシチュエーションを作り出すべきですし、そうしないと単に錯乱したまま衝動的に復讐したように見えます。

また、あのダビッドとナジャは轢き逃げしていた!というサプライズが公開されて以降、それ以上の展開の衝撃がないのも残念です。普通、一転だけでなく、二転三転させてこそのスリラーじゃないですか。

例えば、ナジャは実は数ヶ月前からトーマス側に回っており、この復讐に加担していたとか。もしくはトーマスすらも実は何かの加害者で、この場に誘導されていて、第3の被害者がいるとか。いくらでも思いつくのに…。トーマス側の仲間割れも結構な唐突で、もっと効果的にサスペンスに繋げても良かったのですが…。

さらに深刻なのは犬ですね。あの犬には罪が全くないわけで、それにもかかわらず生首状態という最も残酷な目に遭うのはどう考えても理不尽。たぶんあのシーンをもって、トーマス側に全く同情できなくなった観客も一定数いると思います。だいたい犬を酷い扱いにする奴は敵なんですよ(ジョン・ウィック談)。

ラストにトーマスがどこからともなく現れた野犬の群れに襲われて、食べられていく展開が起きれば、ちょっとしたカルト映画になったかもしれないのになぁ…。

やっぱり「みんな死んだ…」展開がこの映画にはふさわしいでしょう。

タイトルにある赤い光点が活かされるシーンも全然ないのは欠点としてデカいです。エンターテインメントとしてのスリルは大きく不足しています。最初の赤い光点の出現時はすごく「これからどうなるんだ!?」とハラハラするんですけどね。

ビデオゲームの「バトルフィールド」を家でダビッドがプレイしているというフラグを立てておきながらの、このレーザーポインターの無駄遣いは残念ですよ。

あの家での終盤での拘束シーンからの転換として、レーザーの光点が活かされる場面を用意しておかないと、このタイトルは返上しないといけない気がする…。

とりあえず犬だけは殺してはいけません。最強の殺し屋がやってきますからね。

『赤い光点』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer –% Audience 9%
IMDb
5.4 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 3/10 ★★★

作品ポスター・画像 (C)Netflix

以上、『赤い光点』の感想でした。