いろいろ覚醒しすぎて意味がわからない…映画『シャークネード4(フォース)サメ覚醒』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。
製作国:アメリカ(2016年)
日本では劇場未公開:2016年にDVDスルー
監督:アンソニー・C・フェランテ
しゃーくねーどふぉーす
『シャークネード4(フォース)』物語 簡単紹介
『シャークネード4(フォース)』感想(ネタバレなし)
親方!空からサメが!(4回目)
日本各地で梅雨明けのお知らせが続々と聞こえてくる中、このお天気映画シリーズは今なお止む気配はありません。そのシリーズとは、B級サメ映画界に旋風を巻き起こした「シャークネード」シリーズです。
この「シャークネード」シリーズ、知らない人のために簡潔に説明すると、“サメが空から降ってきます”。竜巻(トルネード)にサメが巻き上げられた“シャークネード”なんです。いや、意味わかんないと思いますが、そういうものなんですよ。説明、終わり。あと、テーマソングもあるんですよ。
このトンデモ現象はB級サメ映画界におけるちょっとした革命です。従来は当然のように「サメ映画=水場」という縛りがあったわけで、水場から離れると安全でした。ところが、「シャークネード」シリーズは空から襲ってくるので陸地でも容赦なしです。しかも、建物内でも強風とともに窓をぶち破って入ってきますし、じゃあ地下なら安全かと言うと、増水した水とともになだれ込んできます。要するにどこへ行ってもスリルが持続し、何が起こるかわからないのです。降ってくるサメも多種多様で、落ちてきたジンベエザメにつぶされて人が死んだりもします(ジンベエザメで人が死ぬサメ映画なんて初めて観た気がする…)。
でも、あれっ、それじゃあ、サメじゃなくても竜巻に巻き上げられたら何でも危険なんじゃないの」と思ったそこのあなた。それは忘れて。忘れるんだ。
とまあ、そんな「シャークネード」シリーズの最新作にして4作目『シャークネード4』の登場です。ちなみに邦題はTV放送では『シャークネード4(フォース)サメ覚醒』だったりします。
タイトルやポスターを見れば誰でも察しがつくように、本作は『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のパロディとなっています。ただ、肝心の中身については「スター・ウォーズ」っぽい要素は案外薄めです。というか、いちいち言及しているとキリがないくらい、あらゆる作品のパロディが山盛りなので、相対的に「スター・ウォーズ」成分が薄く感じるだけかもしれないですが。
クソ暑い夏の日は、アイスでも食べながら家でゆっくり本作を観ましょう。
『シャークネード4(フォース)』感想(ネタバレあり)
5年間の学習の成果
前作から5年後が本作『シャークネード4(フォース)』の始まり。ずいぶん経過しましたね。
アストロX社の開発した天候安定システムによりシャークネードの発生を抑制することに成功し、すっかり安心しきった世界。前回のシャークネードとの戦いで妻のエイプリルを亡くしたフィン・シェパードは、カンザスの農場で幼い息子ギルと母親の三人で平穏な生活を送っていました。結婚するらしい長男マットと再会するために、フィンの姪ジェムと一緒にラスベガスへ向かいます。
そのラスベガスでは「シャークワールド」というホテル兼アミューズメント施設がお目見えし、お祭り騒ぎ。あれだけ犠牲者が出たのにひと段落ついた途端にこんなもの作るなんて凄い神経だ…。日本でいうと「津波遊園地」を東北に作るようなものですよ。まあ、この世界の人たちは皆イカれてるので仕方がないか…。
そこへ案の定、どういうメカニズムでビル街で発生するのかは知らないけれど、竜巻が! 「シャークワールド」のサメが空中へ巻き上げられ、いつもの阿鼻叫喚の地獄絵に。
5年経っても全く何も変わらない、この“無学”。これぞB級サメ映画の醍醐味ですね。
シャークネードの大安売り
前作の3作目『シャークネード エクストリーム・ミッション』では、ついに舞台を宇宙にまで広げてしまった本シリーズ。4作目の本作はどうするのかと思ったら、「属性をつける」というアイディアで勝負してきました。
岩や砂など付加物があるせいで天候安定システムが効果がないんだ(えぇ…)という研究者たちの言うとおり、今回のシャークネードは普通じゃない(普通の概念が崩壊中)。サンド・ネードは岩や砂を巻き込んでおり、ポケモンで言うところの岩タイプが加わったようなサメが舞い上がってます。油田を襲うと、今度はオイル・ネードへ変化…からのファイア・ネードで炎上。さすがにここまで燃え上がってたらサメはいないだろうと思ったら、ちゃんとサメは降ってくるという謎。発電所に突っ込んだらライトニング・ネード。あげくにはカンザスで農場の牛が巻き上げられると「カウ・ネードだ!」。サメですらなくなった! まあ、サメが美味しく頂くだけなんですが。
ラスボスとして登場したのは、原発を襲って生まれたニュークリア・ネード。このニュークリア・ネードのサメに襲われると人が一瞬で消滅します。もう、ツッコまない。
正直、「属性をつける」というのは他のB級映画ではよくやることです。サメ映画だと、雪を潜る『アイス・ジョーズ』とか、放射能を纏う『シン・ジョーズ』とか。もともと「シャークネード」シリーズは、B級サメ映画とB級ディザスターパニック映画を合体させたのがオリジナリティでしたが、今作では余計にB級っぽくなりました。あらためて1作目を見直してみると、結構普通にサメ映画してるのでびっくりしましたよ…。まさかここまで…ハジけるとは…。
“覚醒”というかB級要素の大安売りでした。
サメより強いファミリーの異常進化
ただ、シャークネードのパワーアップよりも、主人公勢のパワーアップのほうが心配になるくらい、あの、ぶっ飛んでないですか。
フィンはいいんですよ。いつもどおり主人公補正で難なくサメに対処できますから。終盤のメカスーツ(無駄にダサい)もいらないんじゃないかとさえ思う…。
問題はエイプリルです。過去3作からすでに人間ならざるポテンシャルを発揮していた彼女ですが、本作ではいよいよ“非人間”になっちゃいました。サイボーグ化したエイプリルは、手裏剣からチェーンソー、ライトセーバーまで左腕からいろいろ飛び出し、重たい飛んできた車も軽々持ち上げるパワーをゲット。
終盤のニュークリア・ネード戦では、メカスーツで空飛ぶフィン、生身(サイボーグ)で空飛ぶエイプリルの雄姿。もう最強だ…。主人公勢にまでB級要素をプラスすることもないだろうに…。
シリーズ恒例、サメの腹を切り裂いて生還イベント(今作はサメに飲み込まれ、そのサメをサメが飲み込み、さらに大きなサメ、そしてクジラが…とハジケている)を乗り越えたフィン一家。5歳のギルから“デヴィッド・ハッセルホフ”演じるギルバート大佐まで、勢ぞろいした家族に敵うサメがいるのか…。
次回作はどうするんだろう…。ちなみに本シリーズは、溶岩と蜘蛛を合体した「ラバランチュラ」シリーズとクロスオーバーしているので、もしかしたら「VSモンスター」要素を足してくるのか…。それとも、サメ隕石みたいに気象現象を天変地異級に拡大するのか…。舞台を海外にしました以上のものを見せてほしいですね。
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 15% Audience 24%
IMDb
4.0 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 4/10 ★★★★
関連作品紹介
「シャークネード」シリーズの映画の感想記事です。
・『シャークネード5 ワールド・タイフーン』
・『シャークネード ラスト・チェーンソー』
作品ポスター・画像 ©The Asylum & Syfy Films
以上、『シャークネード4(フォース)』の感想でした。
Sharknado 4: The 4th Awakens (2016) [Japanese Review] 『シャークネード4(フォース)』考察・評価レビュー