感想は2500作品以上! 詳細な検索方法はコチラ。

アニメ『サウスパーク<シーズン27・シーズン28>』感想(ネタバレ)…トランプパークに入国!

サウスパーク

審査も検閲も知ったことか!…アニメシリーズ『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:South Park
製作国:アメリカ(2025年)
シーズン1:2025年にParamount+で配信
原案:トレイ・パーカー、マット・ストーン
性暴力描写 セクハラ描写 動物虐待描写(ペット) 児童虐待描写 LGBTQ差別描写 人種差別描写 性描写 恋愛描写
サウスパーク(シーズン27・シーズン28)

さうすぱーく
『サウスパーク』のポスター

『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)物語 簡単紹介

アメリカ合衆国のコロラド州にある小さな町のサウスパーク。今日も地元の小学校に子どもたちが普通に登校していたが、何かがおかしい。そして校長先生に紹介されて現れたのは誰もが知っているあの人だった。一方で、町の大人たちは選挙で投票したのに全く良くなる気配もない日常に不満を溜め込み、大統領に抗議する。その大統領とはもちろん…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)の感想です。

『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)感想(ネタバレなし)

スポンサーリンク

サウスパークがトランプを描く

「“our nation is back, bigger, better, richer and stronger than ever before.”(我が国はかつてないほど大きく、より良く、より豊かに、より強くなって戻ってきた)」

そんな言葉で2026年2月の一般教書演説でアメリカを絶賛したのは、お察しのとおり、“ドナルド・トランプ”大統領です。

ただ、その演説は相変わらずデタラメだらけでFactCheck.org、いつもどおりの虚勢自画自賛嫌いな相手への罵詈雑言で満ち溢れていました。ひたすらに単純な単語を繰り返しまくって語気だけ勢いをアピールする話術は、今の日本の首相も嬉々としてパクっているのですが…。

まさにカオスな時代に、この1997年から続く長寿のアメリカのアニメシリーズは作品の歴史の中で最大の岐路に立たされている…のかもしれません。

それが本作『サウスパーク』

本作は日本でも名前だけは聞いたことがある、もしくは絵柄だけは見たことがある人もいるでしょう。切り絵風のアニメーションですが、何と言っても最大の特徴は一切の遠慮なしの社会政治風刺です。「サウスパーク」という架空の町を舞台にしつつ、アメリカを中心にあらゆる時事ネタをぶっこみ、パロディの限界に挑戦し続け、カルト的なファンを獲得しました。

この『サウスパーク』を生み出したのが、“トレイ・パーカー”“マット・ストーン”で、2人は長年のクリエイティブ・パートナーで、子どもの頃からブラックジョークで作品を作ってきた経歴の持ち主。『カンニバル!THE MUSICAL』(1993年)、『オーガズモ』(1997年)など実写で本格的なキャリアを開始させた2人が、誰も当たるはずもないと思っていた“どうしようもなく下品な”アニメ企画を「コメディ・セントラル」でシリーズ化するまでこぎつけ、それが爆発的な特大ヒットで社会現象化し、当時は新興ケーブルネットワークだった「コメディ・セントラル」をトップの座に持ち上げました。

これだけの実績があるからこそお墨付きがあるのか、本当にやりたい放題なのですが(政治的には“極中”的なアナキズムの立ち位置っぽい)、当然、アメリカの歴代大統領も風刺の餌食でした。

しかし、2017年から1期目となった“ドナルド・トランプ”大統領についてだけは、当時のシリーズで取り上げず、作中で登場するギャリソンという教師のキャラクターがアメリカ合衆国第45代大統領に選出され、間接的にトランプのパロディになるというアプローチをとっていました。

なんでも製作陣は“ヒラリー・クリントン”が大統領選で勝つと予想して、「どうせトランプはすぐに時代遅れで忘れられるだろう」と見越して当時のシリーズの脚本を書いていたらしいのですけど、トランプが大統領になっちゃったのでいろいろプロットの修正を余儀なくされたらしいです…。

そして世界のリーダーを自称する大国暮らしのアメリカ国民はトランプを2度も大統領に選びました。その後に世界はどうなったか。日々のアメリカのニュースをみていると「アメリカはリアルでサウスパークになったのか?」というハチャメチャな事態の連発です。

こんな社会で『サウスパーク』が存在感を発揮するには「ドナルド・トランプを登場させるしかない」と決断したのか、2期目のトランプ政権の開幕年である2025年から始まったシーズン2728では、ドナルド・トランプが堂々と描かれ、ほぼメインキャラクターとなっています(以前にサダム・フセインを描いたやりかたと同じ、実際の本人の顔写真画像を切り絵風にして、頭部を横直線に半分にして口のようにパクパク動かす描きかた)。

当のトランプ政権は表現の自由なんて気にもせず、メディアを脅しまくっていますが、『サウスパーク』としてはここは一世一代の踏ん張りどころ。なにせ放送権のある「パラマウント・スカイダンス」がトランプ政権と親密になっており、トランプ寄りのメディアに急激に方針転換していますからね。

今回、放送ができたのはもう莫大な放送権料を“トレイ・パーカー”と“マット・ストーン”に払った後なので、カネをドブに捨てるわけにもいきませんし、「まあ、とりあえず流すか」ってことなんでしょう。トランプ政権は放送開始直後は批判しまくっていましたが、飽きたのか、後半は無視を決め込んでいます。

『サウスパーク』のシーズン27は全5話、シーズン28も全5話。

天国の“チャーリー・カーク”もオススメする本作。そんな内容を、現実という名の地獄から観たい人はぜひ。

スポンサーリンク

『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)を観る前のQ&A

Q:『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)を観る前に観たほうがいい作品は?
A:とくに前シーズンは気にしなくていいです。
✔『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)の見どころ
★「表現の自由」で権力を徹底的に罵倒する姿勢。
✔『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)の欠点
☆—

鑑賞の案内チェック

基本 あらゆる暴力、虐待、差別、不謹慎な描写があると考えてください。
キッズ 1.0
子どもは『ブルーイ』でも観てください。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)感想/考察(ネタバレあり)

スポンサーリンク

あらすじ(序盤)

アメリカ、コロラド州にある小さな町「サウスパーク」。ここにずっと暮らしている小学生のエリック・カートマンはいつものように朝を迎えて起床し、いつものようにAlexa(アレクサ)にお気に入りのラジオをかけさせます。

しかし、なぜかノイズしか流れません。自分の大好きだった多様性や社会問題の重要性を教えてくれるあの公共放送「NPR」はどうして聴けないのか。答えはすぐにわかりました。母いわく、大統領が打ち切りにさせたらしいのです。エリックは登校中も不満爆発。「あんなにwokeで素晴らしかったのに…キャンセルとかありえない…」

そんな困惑も収まらぬ中、その日の学校では校長が全校生徒を体育館に集めます。そして校長は「これからは聖書がみんなを導く」と熱弁。以前は「PC(ポリティカル・コレクトネス)」だったのに、今は「パワー・クリスチャン」に変貌していました。

しかも、学校でのキリスト教化推進の一環として、イエスを招待してきました。どうやらこれからは児童のスクールカウンセラーはイエスになるようです。

学校の取り組みの激変に、「それは政教分離原則に違反しないのだろうか」と親はスマホに尋ねます。でもChatGPTは穏便なことしか話しません。「こんなこと選挙の投票のときには言ってなかった」と、バーに集まった大人たちは怒りが溜まり、サウスパークの住民たちは抗議に繰り出すことにします。もちろん相手はこの国の大統領…。

あれ、でも大統領って誰だっけ…。

そう、それは…ドナルド・トランプです。

トランプはホワイトハウスでサタンとベッドで寝ていました。サタンはトランプのペニスが小さいのが嫌らしいですが、トランプは自分の体に自信たっぷり。

ご機嫌なトランプはノリノリでホワイトハウスでパーティしており、自分に文句をいう奴は全部訴訟すると脅してまわっていました。同意しようとしないサタンにもしつこく絡みます。

一方、サウスパークの住民たちが抗議活動を行うと、イエスは言いづらそうに言葉をかけます。

実はイエスが学校にいるのはパラマウント・グローバルとの訴訟の和解の流れであると告白。パラマウント傘下の『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』にて司会者がトランプ批判をしたところ番組が打ち切りになった事件を指摘。イエスは二の舞にならないように住人たちをなだめます。

その頃、サウスパークの小学校に通うスタン・マーシュは校長にイエスの教えに同調しろと強制されていました。以前はあんなにスーパーwokeだったのに今の校長にその面影はないです。

エリックは「Wokeは死んだ」と落ち込み、すっかり変わり果てた風景に沈んでいました。厳格な男女別トイレなんてつまらない…。こんな退屈な世界で生きる意味はあるだろうか…。

そして車の排ガスによる一酸化炭素中毒でクラスメイトのバターズ・ストッチを巻き添えにして自殺しようと試みます。その車が電気自動車であることに気づくことなく…。

この『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2026/03/27に更新されています。

ここから『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)のネタバレありの感想本文です。

スポンサーリンク

大衆の政治無関心の結果

『サウスパーク』のシーズン27と28を観ていて、自分が作中のほとんどのネタがわかるようになっていることに虚しさを感じる…。嬉しくはならない…。昔はこんなじゃなかったのに…。

そんな染まってしまった自分を冷笑しつつ、でもこのシーズンを今観て感想を書かないでいつやるのかという話なので、ここに記しておきましょう(未来のことは何もわからないし…)。

今回はもはや正々堂々とトランプとMAGAファミリーをこれでもかと戯画化しまくっています。イーロン・マスクとマージョリー・テイラー・グリーンは表立っていませんが、まあ、あの人らはトランプと一応は喧嘩別れしたからね…。

まずトランプに対しては第1話から完膚なきまでに罵倒していて、エピソード最後ではトランプ支持動画の体裁を装った悪辣かつ陳腐なディープフェイク実写コンテンツで挑発メッセージを叩きつける。これぞ『サウスパーク』の全力投球という感じの暴虐さでした。普段からトランプ政権自身が稚拙なAIコンテンツを宣伝に利用しているので、やっぱりこれくらいやらないとね…。ちなみに“トレイ・パーカー”と“マット・ストーン”は自身のディープフェイク技術会社も持っていて、こっちの方向性での作品作りも試していくつもりのようです。

トランプお気に入りのリゾート地「マール・ア・ラーゴ」では『ドーラといっしょに大冒険』幼い主人公少女のドーラがICE(移民税関捜査局)に連行されて高齢男性にマッサージをする仕事を強要されているという、エプスタイン・ファイルにも載っていない真実が明らかになったりもします。

MAGAファミリーも同じくです。副大統領でトランプの小さな子分であるJ・D・ヴァンスはキリスト教原理主義者でありながら裏でこっそりトランプの子の中絶を目論むし、国土安全保障省(DHS)の長官であるクリスティ・ノームは犬を撃ち殺しまくるし、司法長官のパム・ボンディの調査能力は役に立たないし、国防長官のピート・ヘグセスは何でもかんでもアンティファだ思い込むし、トランプの最大のテック支持者であるピーター・ティールは意味不明な扇動しかしないし、連邦通信委員会(FCC)の委員長のブレンダン・カーはただただ無能に巻き添えを食らっているだけだし…。

それにしてもこれら戯画化がそこまで史実から外れていないのが何とも…。

ただ、私が本作で一番に風刺としてよくできていたなと思ったのは、このトランプ政権集団…ではなくて、大衆の描写です。

これだけ酷い政権なので、アメリカ国民も、さすがに保守層であっても「あれ?」と違和感を感じるのですが、なんだかんだで馴化していくんですね。そのある種の政治への無関心・無気力・無頓着・無分別の四拍子がサウスパークの住人たちをとおして皮肉に描かれていたな、と。

例えば、ICEのせいで移民労働者がみんな連行されて仕事が成り立たなくなる、トランプに投票した白人経営者たち。関税のせいで値上げしまくるラブブであろうと、推しトレンドのためならカネを出し続ける庶民たち。貧困になり、不安が増せば増すほど、都合よく寄り添ってくれるAIに依存し、予測市場アプリやミームコインで人生が一発逆転できると信じたくもなる…。AIがアニメのキャラと子どもとの児童ポルノを生成しまくっても、トトロが性犯罪者容疑になればスタジオジブリの代理人は許さないけど、庶民はAIを使い続けるのです。

とりあえず「自分が選挙で投票した人は、なんか凄いことをしてくれるだろう」という安直な楽観的期待だけで生きている民衆。日本も全く同じ民衆状態なので、アメリカを笑えない…。

『サウスパーク』は、醜悪な政治家というひとりの存在が国をダメにしたのではなく、社会全体がずっと前からどこかネジが外れている…と、ず~っと描き抜いてきた作品ですが、その風刺の弾丸は今でも急所に当たっています。死なないんですけどね。

スポンサーリンク

クィアなサタンは苦労が多い

『サウスパーク』のシーズン27と28は、全体的に諦めの境地に達しているかのように思えますが、だからと言って敗北主義的にこの世の全てを切り捨てているわけでもなかったのかなとも感じました。

今回のシーズンで最も同情的に描かれているのが、悪魔のサタンです。

サタンは『サウスパーク』のシーズン1から登場しているおなじみのキャラでしたが、でてくるたびに同情的な描写が増し、今回はもはや裏の主人公です。苦労しながら頑張る健気なほうの…。

『サウスパーク』のサタンはゲイであり(同性愛者が悪魔化されてきた歴史への皮肉)、以前はサダム・フセインを含むいろいろな男性と関係を持っていましたが、今回はトランプと関係を持ってしまい、妊娠するに至ります。

(男性的に描写されている)サタンは妊娠できるのか?という疑問は作中のFOXニュースでも取り上げられますが、FOXニュース勢は専門家の言葉をテキトーに引用し、あとはお祭りモードです。これは結果的に、今回のサタンがジェンダークィアな表象に近づき、あのトランスジェンダー・バッシングに執着するFOXニュースがこのサタンは全肯定するというかたちで、より皮肉が強まっているのですが…。

もともと『サウスパーク』で最もクィアなキャラクターはギャリソンで、彼は今やすっかり公然とゲイですが(トランスジェンダー風刺になったこともある)、今回はパートナーの男性と一緒にわりと静かに暮らしており、お休み回ですかね。

『サウスパーク』って別にLGBTQフレンドリーな作品ではないのですけど、現実の政治があまりにアンチLGBTQに傾きすぎて、同情的にならざるを得なくなってるんだろうな…。

あと、同情的だったのは、予測市場アプリでユダヤ系のカイル・ブロフロフスキーの母シーラがガザ地区のパレスチナ病院を爆撃するかが賭け事にされている中、当のシーラはイスラエルに飛び、イスラエル政府によるパレスチナ人の大量虐殺によってユダヤ人の評判が悪くなるからやめろとベンヤミン・ネタニヤフを叱責するくだりでしょうか。怒ってもあの人の耳には届かないだろうけど…。

最後にイエスが自分を取り戻すことで、アメリカにはまだ信じられるものが残っているとほんのわずかな希望をみせ、一応は幕を閉じる今回の『サウスパーク』。

次回作を作れるほどの表現の自由がアメリカに残っているのか…。それは神様にもわかりません。国民の選挙投票が決めるのですから。

『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)
シネマンドレイクの個人的評価
7.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
△(平凡)

以上、『サウスパーク』(シーズン27・シーズン28)の感想でした。

作品ポスター・画像 (C)Comedy Central

South Park (2025) [Japanese Review] 『サウスパーク』考察・評価レビュー
#アダルトアニメ #男子小学生 #ドナルドトランプ #政治 #右派 #極右 #過激主義 #トランピズム #陰謀論 #メディア倫理 #ユダヤ #宗教 #キリスト教 #悪魔 #中絶 #ゲイ同性愛