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映画『デスストーカー』感想(ネタバレ)…グロ映画のおっさん、剣聖になる

デスストーカー
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なれる?…映画『デスストーカー』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Deathstalker
製作国:アメリカ・カナダ(2025年)
日本公開日:2026年7月3日
監督:スティーヴン・コスタンスキ
ゴア描写
デスストーカー

ですすとーかー
『デスストーカー』のポスター

『デスストーカー』物語 簡単紹介

真紅の騎士集団による虐殺によって衰退しつつある王国では、古代の魔術師の不穏な噂も飛び交っていた。そんな中、傍若無人な戦士のデスストーカーは、呪われた謎の護符を手にしてしまい、次から次へと凶悪な刺客に狙われる身となってしまう。その裏にある邪悪な陰謀を知り、デスストーカーは運命の魔剣が絡む戦いへと導かれていく。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『デスストーカー』の感想です。

『デスストーカー』感想(ネタバレなし)

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この現代に復活した「デスストーカー」

「低予算B級映画の帝王」として知られる“ロジャー・コーマン”は、1980年代もそのクリエイティブ方針は変わりませんでした。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年)のヒットによってハリウッドが一変する中、“ロジャー・コーマン”は巷で大成功した映画をいかに低俗かつ低予算にパクる…いや、着想を得て再創造するかに腐心。

そして1980年代はアルゼンチンで映画作りも始め、その第1弾が1983年の『勇者ストーカー』(原題は「Deathstalker」)でした。この映画は当時話題だった『コナン・ザ・グレート』(1982年)に便乗して作られたものです。

日本の配給は「ダーク・ファンタジーの金字塔」と紹介しているのですけど、そうだったっけ…?

まあ、いいか。この『勇者ストーカー』(それにしても邦題があれですね。これだとただの“つきまといストーカー”みたいに思う人もいそう…)は、要するにエログロな内容で、お世辞にも「万人にオススメ!」とは言えないです。女性たちは軒並みヌードのためだけに登場し、ひたすら男たちに乱暴されるだけですから…。

で、この『勇者ストーカー』はそのやりたい放題な中身ゆえにでしょうけど、カルト的なファンを集め、4作目まで続編も作られました。

そして、2025年、なんとリメイク(リブート)されました

それが本作『デスストーカー』です。

一体誰だよ、そんなリブートなんてしようと考えたやつ!?…と思ったら、『サイコ・ゴアマン』でおなじみのカナダのクリエイター集団「アストロン6(Astron-6)」の奇才“スティーヴン・コスタンスキ”(スティーブン・コスタンスキ)でした。うん、この人ならやりそうだな…。

この2025年に蘇った『デスストーカー』は、元の映画と大枠は同じ(ソード&ソーサリーの世界観)ながらだいぶ再創造されています。早い話が、「1980年代のノスタルジーを味わいいただけます。昔の性差別的な部分は除去しておきましたのでご安心ください!」というパッケージですね。最近は『マスターズ・オブ・ユニバース』といい、このアプローチが目立ちますが、オリジナルが極端にアレだった『デスストーカー』もその流れをくむとは…。

ということで本作には、レイプもヌードもありません。というか、性行為や恋愛の描写すらないです。“スティーヴン・コスタンスキ”監督は全くヌードに興味なかったそうで、自分のやりたいことではないと判断し、企画の初期の時点でその要素は検討もしなかったらしく、この英断ができるのはさすが。

けれども、ゴア描写だけはしっかりあります。そこは遠慮なしです。今作も低予算で製作されていますが、このゴアにだけは最優先で予算をかける…おカネの使いどころにブレがありません。

そして、“スティーヴン・コスタンスキ”監督作ではもはやメインと言っていいシュールなユーモアどこか懐かしい特撮アートセンスも当然満喫できます。別モノだと怒る人もいるかもですが、楽しみどころはこれでじゅうぶんです。

“スティーヴン・コスタンスキ”監督いわく、「誰もこれを望んでいなかっただろうし、フランチャイズとしてはほとんど忘れ去られていたから、楽しい挑戦になると思った」とのことで、やっぱり変なことをするのが好きなんだなぁ…。

親しみやすくなった『デスストーカー』は清らかな心のマッチョおっさんをとくに歓迎しています。

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『デスストーカー』を観る前のQ&A

✔『デスストーカー』の見どころ
★元の映画は忘れて、気楽に眺められる。
✔『デスストーカー』の欠点
☆元の映画は忘れてください。

鑑賞の案内チェック

基本
キッズ 2.0
残酷な殺人やゴア描写が多いです。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『デスストーカー』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

アブラクシオン王国は、真紅の騎士集団「ドレッドナイト」の襲撃によってほぼ壊滅状態にありました。王国の兵士たちはドレッドナイトの猛攻に対抗できず、残酷に殺されていきました。血を吹き出し、肉片が飛び散り、断末魔をあげる時間もないです。

その凄惨な戦場に突如として現れたひとりの戦士。彼は何も言わずドレッドナイトを八つ裂きにします。そして、近くの地面に倒れていた、ドレッドナイトにやられた瀕死のひとりの手をとります。

ただし、無言で金品を奪い取るだけ。誰も助けることはしません。この惨状もどうでもいいです。盗るものだけ盗り、あとは去るのみ。

彼の名はデスストーカー。少なくともそう呼ばれるだけの男でした。人と関わらず、感情もみせず、ただ佇むだけの戦士です。

酒場に寄ったデスストーカーは相変わらず黙ったまま酒を飲み干し、食事を貪ります。酒場の常連ならこの戦士が何者かは知っています。安易に扱うべき相手ではないことを…。

そのとき、酒場に2つ頭の怪人がやってきて、デスストーカーを名指しで護符(アミュレット)を求めてきます。先ほどの死にかけの人間からくすねた護符のことのようです。あんな汚らしい護符のどこがいいのかわかりません。

酒場の外でそいつに剣で対峙するデスストーカー。なかなかにしぶとい強靭さでしたが、隙をみて攻撃し、馬で立ち去りながら倒します。あんな奴にいちいち襲われるのでは気が休まりません。

どうやらこの護符は面倒事を招くようです。さすがに持っているだけで邪魔なので沼地に投げ捨てます。ところが後ろを振り向いた瞬間、自分の手元に護符が戻ってきていることに気づきます。何度やっても同じです。間違いなくこの護符は呪われているようです。

困ったデスストーカーは呪いのことに詳しい魔女のトラルヴァを訪ねます。自分の血を差し出し、なにやら儀式をする魔女。それによれば、護符の文字を理解できる魔術師を探さなければならないらしいです。さらに巨悪が目覚めつつあると警告されますが、デスストーカーは自分のことで精いっぱいなので世界の平和は気にしていません。

しかし、デスストーカーはまだ知りませんが、古代の魔術師「ネクロメムノン」が復活し、その魔の手は確実に迫っていました…。

この『デスストーカー』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2026/07/04に更新されています。

ここから『デスストーカー』のネタバレありの感想本文です。

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幼稚さをリブートする

1983年のオリジナル映画の『勇者ストーカー』は、裸の女性たちが嗜虐的に扱われているのを眺めることを見どころにしているような作品でしたが、私に言わせれば「醜男は女に手をだすな。ただしイケメンだったら何をしても許される」みたいなノリだったなとも感じていました。作品のスタンスの中心はそういう幼稚さでした。

今回の2025年に再創造された『デスストーカー』は、幼稚さは継承しているのですが、性差別的なことをするのを「幼稚」で正当化することは全くせず、誰も傷つけない新しい「幼稚」にしていました。要は幼稚さをリブートしている感じでしょうか。

まず主人公が激変していて、今回は、まあ、端的に言うと「おっさん」ですよ。演じているのは“ダニエル・バーンハード”ですからね(現時点で60歳)。アクションができるからという理由での起用だと思うのですけども、“スティーヴン・コスタンスキ”監督はそこまで高度なアクションを追求したいタイプのクリエイターではありません。

“スティーヴン・コスタンスキ”監督はこのおっさんをいかに愛らしく描くかに注力しています。最近は愛らしいおっさんがいろんな映画に溢れていますが、『デスストーカー』もめでたくその仲間入りです。

冒頭からこのおっさんであるデスストーカーは、その名を勇ましい意味ではなく、本当にただただ死体漁りしているだけという情けなさで出オチにしています。そのマッチョな肉体の大部分を無駄遣いしているような…。

なんか世界観がファンタジーなので、「おっさんが迷い込んだ」みたいな雰囲気にもみえる…。こういう異世界転生もの、日本にもあるな…。

もちろんさっきから説明しているように、今作には女性を性的対象化する要素は一切なく、メインキャラクターとしてパーティーメンバーに加わる盗賊のブリスベイン(演じるのはフィリピン系カナダ人の“クリスティーナ・オルセロ”)も、対等な位置づけ。

そこに小さな魔術師のドゥーダド(演じるのは“ローリー・フィールド”だけど、声は“パットン・オズワルト”)も加わると、良い感じのボケとツッコミが循環する3バカトリオが完成します。

この3人は素直に楽しいですね。あの世界観でもずっとアホなことをしながら、のんびり生きていってくれると確信させてくれます。

本当に平和です。いや、残虐なことは起きるのですけども、空気感は平和。ゴアさえなければ子どもでも楽しめる…というか、子どもレベルのギャグじゃないか!というオンパレード(クドさ)ですから。陰鬱にしないぞ!という“スティーヴン・コスタンスキ”監督のこだわりを感じますね。

“スティーヴン・コスタンスキ”監督はオリジナルよりも2作目の『勇者ストーカーの冒険』が好きだったらしく、あちらの映画は1作目よりもコミカルでパロディ色が濃いんですよね。今回の2025年の『デスストーカー』はそっち方面のユーモアを活かしているアプローチでした。

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低予算はみんなで現場で作るから楽しい

そして忘れてはいけない、『デスストーカー』の魅力になっているのは、“スティーヴン・コスタンスキ”監督の味のある怪人造形

いろいろ登場するのですけど、私が個人的に一番好きなのは、あの石の巨人みたいな奴かな…。暗黒教皇のネタそのものなネクロメムノンも、よいアホさだったけど。

つい最近も『マンダロリアン・アンド・グローグー』が往年の初期の頃のモーションを再現するような演出をみせていましたけど、あれは大作映画が大予算を使って低予算風にみせていたわけじゃないですか。別にそれでも全然いいですし、咎めるつもりもないのですけど、『デスストーカー』は本当に低予算で、その中でもスーツアクターの人が演じる造形も大切にしています。つまり、何が言いたいのかというと、結局はここは予算規模云々よりもこだわるかどうかの問題なんですよね。

確かに今は生成AIでいとも簡単にああいう怪人みたいなフィクションな存在もそう時間をかけずに創造できてしまいますよ。私ですらそれが可能になっている時代です。

たぶん“ロジャー・コーマン”が今の時代に生きていたら、AI映画を作っていただろうなと思います。低予算の極みみたいなものですし、AIを積極的に導入していたでしょう。

しかし、それが作っていて楽しいのか?という話で…。AI映画だったら、撮影現場自体が存在しなくなります。けれども、俳優が不気味な造形の怪人を着込んだスーツアクターの人と対峙し、「こっちの視野はここまでくらいしかないので…」と指で確認してもらいつつ、「うぉーっ!おりゃ~!」っと戦う…。この撮影体験そのものが醍醐味であり、エンターテインメントであり、文化ですよね。私はそう思っています。

“スティーヴン・コスタンスキ”監督はその作る過程を楽しんでいる人です。“ロジャー・コーマン”とはまた違うクリエイターなのだと思います。

私もここ最近は、完成した映像にばかりではなく、その作る過程込みの視点で感想として言及しようかなと意識しているのですが、それは生成AIの時代のうえで重要だと思い始めているからです。そうじゃないと「はい、この映像はクオリティがいいですね」みたいな、映像単位の評価をただ言い並べるだけになってしまいますし…。

“スティーヴン・コスタンスキ”監督は、次は“ロジャー・コーマン”のアルゼンチン産第2弾『SFカインの剣』をリブートしたりはしないと思いますが、どんな作品であれ、きっとまた楽しそうな撮影現場を届けてくれることでしょう。

『デスストーカー』
シネマンドレイクの個人的評価
7.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)

以上、『デスストーカー』の感想でした。

作品ポスター・画像 (C)2025 HANGER 18 DEATHSTALKER MOVIE INC.

Deathstalker (2025) [Japanese Review] 『デスストーカー』考察・評価レビュー
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