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映画『トロール2』感想(ネタバレ)…Netflix;ノルウェーはトロール・パニック再発中!

トロール2

まずは落ち着いて…Netflix映画『トロール2』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Troll 2
製作国:ノルウェー(2025年)
日本では劇場未公開:2025年にNetflixで配信
監督:ローアル・ユートハウグ
トロール2

とろーるつー
『トロール2』のポスター

『トロール2』物語 簡単紹介

雄大なノルウェーの大地に突如として巨大なトロールが出現し、ノルウェーの国民に衝撃を与えた事件から3年後。過去を否定する政府と王室に嫌気が差して隠居していた学者のノラのもとに、トロールをめぐるひた隠しにされていた秘密が明かされる。そして地上は再びトロールの脅威にさられることに…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『トロール2』の感想です。

『トロール2』感想(ネタバレなし)

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トロール、再来!

2025年は日本では東北を中心にによる死傷被害が多発しました。その被害規模以上に何よりもメディアの報道が過熱したことも印象深かったです。コロナ禍に因んで「クマ禍」と呼び始めるメディアもいれば(2025年4月~10月までの熊が原因で死亡した日本の人数は13人。なお2025年6月だけで新型コロナウイルスが原因で死亡した日本の人数は455人;厚生労働省、「災害級」だと言い切るメディアもいました。恐怖や不安を煽るセンセーショナルな見出しが勢いよく飛び交い、熊の被害でない死亡者を「熊に襲われた」と誤報が流れたり、不正確な対策などの情報も蔓延しました。まさにモラルパニック…熊パニック現象です。

野生動物に対して検証を前提に科学的に対応するべきなのに、ゴシップ感覚で雑に扱ってしまう…何度繰り返しても学ばない世の中…。

はい、ということで今回は巨大な生物が人々を襲う映画を紹介します。

あれ? 既視感…? デカい生物が人々を襲う映画はやっぱり楽しいのよ…。

その映画は『トロール2』です。

現代のノルウェーに突如として巨大なトロールが出現し、呆然とする人間たちの前で大暴れする…。『ゴジラ』のトロール版のような怪獣映画にしてしまった、一部のマニアの夢を叶えてくれた最高のオタク・ムービー。そんなノルウェー映画『トロール』「Netflix(ネットフリックス)」で配信されたのが2022年。

私もその『トロール』を大満喫したのですが、なんと続編を作ってくれました。おいおい…1度きりの大サービスじゃなかったのか…!

こうして再出現した『トロール2』。やることは、まあ、同じです。トロールがノルウェーの地でドッタンバッタンします。

ただ、今回は「トロール vs トロール」の対決もみられる…! 怪獣プロレスの伝統を踏襲してくれるとは…。2020年代になってノルウェーが怪獣映画のトップレース集団に食い込み始めてしまったよ…。

『トロール2』を監督するのは前作に引き続き、“ローアル・ユートハウグ”です。主演の“アイネ・マリー・ウィルマン”などキャストもほぼ同じ顔触れ。

温かい家でなるべく大画面でトロール怪獣大進撃をお楽しみください。物語自体は完全に前作から続くので、まだ1作目を観ていない人はそちらからどうぞ。

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『トロール2』を観る前のQ&A

Q:『トロール2』はいつどこで配信されていますか?
A:Netflixでオリジナル映画として2025年12月1日から配信中です。
Q:『トロール2』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:1作目の映画を観ることをオススメします。
✔『トロール2』の見どころ
★トロールが暴れてる!(単純)
✔『トロール2』の欠点
☆ややジャンル的な盛り上がりに欠ける。

鑑賞の案内チェック

基本
キッズ 4.0
子どもでも観れます。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『トロール2』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

ノルウェーのヨートゥンハイメンのスタインブ峡谷。極寒の大地に建つ小さな小屋でノラ・ティーデマンはひとり過ごしていました。彼女は3年前にトロールが出現した際に政府とともに対応にあたった学者です。御伽噺の存在だと誰もが思っていたトロールは実在しました。1体の巨大なトロールの出現に、ノルウェーは大混乱に包まれましたが、なんとかノラの協力もあって事態を収束させることができました。

ノラは今も研究を続けていますが、政府は信用できないので距離をとっています。父から聞かされていたノルウェーの過去にあったとされる歴史の闇。そのトロールをめぐる王族の行いを追求し、本も書きました。その王室の疑惑の告発によって、すっかり世間で話題の人物です。しかし、やはりその行動ゆえに問題視もされ、トロール委員会を辞任し、王室からも敵視されています。

そんな隠居のノラのもとへアンドレアス・イサクセンが単独でやってきます。久しぶりです。単刀直入に「力を貸してほしい」と言われますが、ノラは政府関係者を信用できるわけもありません。アンドレアスは首相補佐の仕事は辞めたらしいですが、新政権との繋がりは残っている様子。

しかし、アンドレアスは新しいトロールの情報を示し、ノラの表情は一変します。まさかあの1体だけではなかったのか…。

とりあえずアンドレアスに同行し、ノラはヘリで現場に向かいます。そこはヴェモルク発電所。メラー教授とヴァンゲル教授が出迎えてくれます。

そして秘密の地下にずっと隠蔽されていたものを見せてくれます。それはトロールでした。直立不動で静止していますが、確かに巨大なトロールです。100年前に発見されていて、ヨートゥンと呼ばれているのだとか。今はUVライトで石化しています。

これは「ヨートゥン計画」と呼ばれていて、トロールを完全に人間のコントロール下に置こうとしているようです。責任者のマリオン・オーリュン・ラダニはノラを歓迎しておらず、さっそくギクシャクします。

研究室にはかつて共にトロールに対処した仲間だったシグリットもいます。アンドレアスとの間に子どももいて妊娠中。

なんでももっと多くの個体がいる可能性があり、それはいつ出現するかもわからないので、対応策を考えないといけないとのこと。しかし、研究は行き詰っているようです。型破りな仲間がほしいらしく、ノラにコンタクトしてきたとのことでした。

けれども、ノラは気軽に輪には加われません。首相も絡んでいるこの計画を信じることは難しいです。

そんな中、ノラの口ずさんだ歌に呼応して、あのトロールがいきなり覚醒してしまい…。

この『トロール2』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2025/12/05に更新されています。

ここから『トロール2』のネタバレありの感想本文です。

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科学者描写でマイナス点

『トロール2』はトロールの再出現によって幕を開けます。

一般的に怪獣映画にはその怪獣の起源があり、わりと唯一無二の存在として位置づけられていることが多いです。特殊な経緯で誕生した「ゴジラ」とか、地球の守護神的な「ガメラ」とか。

その点、この本作のトロールは、いわゆる「古来からの先住の生物」というパターンです。それも昔はかなりうようよといたようで、そんなに珍しい存在ではありません。

そのトロールがなぜ本作の世界観ではこうも表から姿を消してしまったのか…。前作でもチラっと匂わせていましたが、本作はこの歴史を深掘りしていきます。

本作の冒頭でも語られているとおり、オーラヴ2世(1015年~1028年に在位したノルウェー王)による強制的なキリスト教の改宗行為によって、この地に昔から人間と共存していたトロールは異端扱いとなり、当時の王は虐殺を命じた…という植民地主義的な加害史です。

その秘匿された歴史の謎をニーダロス大聖堂といった有名なロケーションを巡って探っていくパートもあるので、このへんは『ダ・ヴィンチ・コード』みたいになってます。

とは言え、あまりこの謎解きパートはしっかり作り込まれておらず、ちょっとだけ添えられる程度の前菜なので、そんなに面白くはなかったかな…。

本当だったらもっと本格的に調査してほしいのですけどね。本作の歴史調査の描写がいかんせん雑すぎるので、主人公のノラの学者としての才能が若干信憑性が低いというか、本物感が減退しているのは残念です。

本作の科学関連の描写の雑さは私としては結構マイナスポイントですよ。今作ではマリオンという別の科学者も加わって、「じゃあ、科学の連携によって打開策を見いだす展開があるのかな」と期待していたら、そうでもないし…。かと思えば、あのアンドレアスにいたっては、もはや「それ以外に本当に方法はないのか?」というありがちな捨て身の犠牲キャラに成り下がるし…。シグリットなんてただ妊娠し待っているだけの女性に格下げされているし…。

一番の問題は、この科学が先ほどの歴史のテーマとそんなにシンクロもしないこと。科学によって歴史を解き明かしたいのか、トロール対策を見つけ出したいのか、どちらにも繋がっていくのか…そんなことはうやむやになっていくだけだった…。

惜しいと思います。せっかくこれだけ歴史の加害的な側面を取り上げているのですから、そこにがっつり向き合えばもっと映画のクオリティが1段2段と引き締まったのに…。

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進撃する私の妄想

いやいや、わかっています。『トロール2』の見どころは、トロールが暴れるスペクタクルにある、と。私だって『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のような迫力と興奮を期待はしていました。

確かに序盤からスキー場までの掴みは良かったと思います。あの地下施設での覚醒はハラハラしますし、スキー場で盛大に人を食べまくっているトロールも可愛いです。『進撃の巨人』ならぬ「進撃のトロール」が始まる気配を高めてくれます。

でも、あのUVライト搭載ヘリはツッコミどころが多すぎましたけどね。もっと安全に光を照射する方法が絶対にあっただろうに…。大丈夫か、ノルウェー軍…。

そしてお待たせしました…「トロール vs トロール」の本番です! …と思ったのですが、なぜか氷の下に落下してお預けを食らい(お前、昔はどうやってこのノルウェーを闊歩してたんだよ…)、終盤にやっと対決がみれるも、ここでもたいして重要な意味もないんですよね。

うん…『ゴジラ×コング 新たなる帝国』くらいのスケールにできないのは、私も重々承知だけど、二大怪獣バトルの醍醐味をたっぷり味わうことに専念してほしかった…。

何よりもあのトロールの倒し方は何もカタルシスもないですよ。科学も歴史も関係ないじゃないか…。これだったらミサイルでも倒せるし、普通に「軍事力、最高!」みたいな着地になりかねないでしょう。

なお、ノルウェーは徴兵制もあるくらいには、がっつり軍事国家です。ああいう怪獣相手なら総力をあげて軍を投入してきそうですが、本作はあまりそこを論点にはしたくないのか、映画的に見栄えのある犠牲者をちょろっと描く程度でしたね。

妄想の激しい私は本作を観ている間、ずっと「私の考える観てみたかった最終展開」というのを頭で思い描いていて…。

まずあの暴れん坊の「人間なんて駆逐してやる!」と息巻く進撃のトロールに対して、ノルウェー政府は抹殺で対応しようとし、それをノラは「ちゃんとコミュニケーションで対話できる文化的な生き物だから、それはやめて!」と制止します。それでもトロールと人間の緊張は最大限に高まり、市街地で一大衝突になりかけた瞬間、あの別のトロールが出現。さらに地中から続々と他のトロールたちも活性化し、人間たちが見ている目の前で、大勢のトロールが怒れるトロールを身振り手振りで「説得」します。そして怒れるトロールは進撃をやめます。こうしてトロールに文化的な知性と共感力があることが眼前で示され、ノルウェー人たちはこの母国の先住生物に敬意を払い、共生は自分たちの責務だと痛感する…めでたしめでたし。

でもあれですよ。さらなる続編のプロローグとして、今度は懲りていないノルウェー政府はトロールを軍事利用できないかと画策し、「トロールは人間と同じ知性があるなら、徴兵の義務もあるよね」なんてレトリックでトロールを徴兵対象に拡大する法案を成立させようとし、そのうえ、人気低迷する王室はトロールを外交の目玉として使おうと狙う…。そんな感じでね。

う~ん、想像力が止まらない…。やっぱり好きなジャンルは妄想しているときが一番楽しいかもしれない…。

『トロール2』
シネマンドレイクの個人的評価
5.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)

以上、『トロール2』の感想でした。

作品ポスター・画像 (C)Netflix

Troll 2 (2025) [Japanese Review] 『トロール2』考察・評価レビュー
#ノルウェー映画 #続編 #2作目 #ローアルユートハウグ #アイネマリーウィルマン #怪獣 #トロール

SF
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シネマンドレイク

ライター(まだ雑草)。LGBTQ+で連帯中。その視点で映画やドラマなどの作品の感想を書くことも。得意なテーマは、映画全般、ジェンダー、セクシュアリティ、自然環境、野生動物など。

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