ダーク DARK
ドラマシリーズ『ダーク DARK』の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Dark
製作国:アメリカ(2017年・2019年)
シーズン1:2017年にNetflixで配信
シーズン2:2019年にNetflixで配信
製作総指揮:バラン・ボー・オダー、ヤンチェ・フリーセ ほか

ダーク DARK

あらすじ

2019年。ドイツのそれほど大きくはない町「ヴィンデン」。原子力発電所のあるこの静かな地で、ある騒ぎが起きたことで、住人は不安に包まれていた。それは子どもの失踪事件。忽然と姿を消し、事故なのか事件なのかもわからない。そして、また別の子どもが消える。これはヴィンデンを襲う時間を超えた始まりも終わりもないループの物語だった。

『ダーク DARK』感想(ネタバレなし)

このドラマを解き明かせるか?

「ミステリー」が好きな人は多いと思います。何か不可解な事件など出来事が起こり、疑問ばかりが渦巻く中で、謎を解き明かそうとする…。このジャンルが盛況な媒体といえば小説です。「推理小説」というカテゴリがあるように、その人気は昔から高いです。文章の文字だけという極めて限られた情報しか与えられないからこそ、謎かけをしやすく、読者も推察しながら1ページ1ページを読み進めていく面白さがあります。

一方、映像媒体になるとミステリーのアプローチの仕方も変えざるを得ません。映像と音声という情報量の多さもあって、小説では使えたトリックも映像媒体では使えなくなったりするので、かなり根本から異なる工夫が必要になってきます。とくに映画のような2時間程度の限られた時間内で物語を終えるという制約があると、余計に創る側は大変です。

私も小説と映画では同じミステリーでも完全に別物だと思っています。その土俵が違うからこそ、主にパソコン画面だけで展開する『search サーチ』や、電話先の音声のみを頼りに展開する『THE GUILTY ギルティ』といったオリジナリティの際立った意欲作も生まれるわけですから、両者が独自進化していて嬉しい限りですけどね。




一方、映画以外の映像作品媒体としてすっかり台頭している「ドラマシリーズ」も独特のミステリーの面白さを提供できます。ミステリー要素をテンポと映像力のあるサスペンスとともに1話ずつ視聴者に届け、絶妙なクリフハンガーで目を離せなくする。ドラマシリーズと相性が抜群にいいです。この術中にまんまとハマるともう抜け出せません。それで多くの視聴者の心を鷲掴みにした作品は数知れず…。

そんなミステリアスで中毒性の高いドラマシリーズ好きの人にオススメできる新たな一作が本作『ダーク DARK』です。

本作はドイツの作品で、Netflixオリジナルとしてシーズン1(全10話)が2017年に、シーズン2(全8話)が2019年に配信されたのですが、マニアの間では考察議論が盛んに行われるほど話題になりました。

製作陣の中心にいるのは、『ピエロがお前を嘲笑う』『スリープレス・ナイト』を手がけたスイスの映画監督“バラン・ボー・オダー”と、『ピエロがお前を嘲笑う』で脚本を手がけた“ヤンチェ・フリーセ”。トリッキーなアプローチを仕掛けるのが好きなクリエイターなのか、『ダーク DARK』もその傾向が究極的なくらい濃密です。

ある田舎町で起こる怪奇現象に住民が巻き込まれていく…という大雑把な概要だけを見ると、大人気ドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス』っぽいですが、そちらと比べて『ダーク DARK』は遊び心がなく、そのタイトルどおりダークな作風。明らかにキッズには不向きで、ティーン以上の大人向け。

そして本作の何より一番の面白さにして、視聴者が頭を悩ませながら考察することになる根本にあるのが、登場人物の複雑な人間関係

実は本作、大まかに言うと“4つの家族”“3つの時代に渡る3世代”が描かれます。最初は…ですけど(ここ重要)。登場キャラクターの数でいったら相当な人数でざっくり数えると30人以上。それがしかもかなり複雑に入り組んだ人間関係を見せるんですね。誰もモブキャラはおらず、このほぼ全員が重要な役割を物語上で果たすので、油断なりません。

この人物関係性の把握がとにかく大変で、1話・2話と見始めた視聴者も「????」とクエスチョン・マークだらけになると思います。でもそれでいいんです。その人物関係性を把握することこそが『ダーク DARK』の主目的となるのですから。そう、それが一番の謎なのです。

どうしても相関図を知りたいと思って、観る前や鑑賞中にいろいろ調べる人もいると思いますが、海外のサイトではかなりよくできた人物相関図を作成している有志の人がいます(一応、リンクを以下に載せておきます。ちゃんとシーズンごとに別で相関図があるのでネタバレ対策されています)。


でも個人的にはそういう人物相関図を事前に観るのではなく、ドラマを見ながら提示される情報をもとに自分で整理してつなぎ合わせていくのを強くオススメします。「この人とこの人にはそんな関係が…」「あの人の親はこの人なのかー!」そんな発見と驚きこそ、本作の醍醐味です(事前に人物相関図に目を通してしまうとただの答え合わせになるので)。まるでミステリー小説を読み込んでいくような感動を得られますよ。本作を観た仲間同士で語り合うのが最高に白熱して盛り上がるでしょう。

あまりにも多すぎるパズルピースの量に最初は面食らいますが、それが全部カチッと綺麗に合わさってひとつの形をなしたとき、この『ダーク DARK』の本当の恐ろしさがわかるはず…。

オススメ度のチェック
ひとり◎(考察しながらじっくりと)
友人◎(考察を語り合う楽しさも)
恋人◯(ミステリー好きなら)
キッズ△(やや大人向けの難解さ)

予告動画






↓ここからネタバレが含まれます↓





『ダーク DARK』感想(ネタバレあり)

登場人物を軽くおさらい

『ダーク DARK』の、とくにシーズン1の主目的は人物相関図を把握することです(実はシーズン1の第1話で相関図が例の貯蔵室に写真とともに映し出されているのですけどね)。そんなの一般的には物語の基礎情報として提示されるべきことですが、この世界では「タイムトラベル」という要素があり、「タイムトラベラー」が存在するので、ややこしくなってきます。

シーズン1は「2019年」「1986年」「1953年」の33年周期の3つの時代。シーズン2は「2053年」「2020年」「1987年」「1954年」「1921年」の33年周期の5つの時代。この各時代を登場人物が縦横無尽に“時間移動”してしまうのですから、もう大変です。

とりあえず最初はタイムトラベル抜きで人物紹介をしながら整理しましょう(私も混乱する)。

ヴィンデンという町に昔から暮らす4つの家系が『ダーク DARK』の中心にあります。



まずは「カーンヴァルト家(Kahnwald)」

シーズン1第1話の冒頭、カーンヴァルト家のミハエルが自殺するシーンから始まります。物語開始時点から死亡済みのキャラであり、ゆえに謎も多いです。ミハエルの衝撃的な正体はシーズン1第5話で、ミハエルがなぜ自殺したのかはシーズン2第6話で明らかになります。ミハエルの母はイネスで、養子であり…。

そのミハエルの妻がハンナ。彼女は登場するたびに株を下げるキャラですよね(逆にどこまで堕ちるのか楽しみ)。第1話からウルリッヒ・ニールセンと不倫関係にあるハンナ。そのウルリッヒへの想いは子ども時代からあり、学校でウルリッヒ(少年)とカタリーナ(少女)のセックスを目撃し、嫉妬したのでレイプだと警察に通報、さらにレジーナ(少女)が通報したと嘘をカタリーナに吹き込む。とことん悪…それは大人になっても…。ハンナの父親はセバスチャンという人らしいですが、詳細は不明。

ミハエルとハンナの間に生まれたひとり息子がヨナス…本作の事実上のメイン主人公です。父の自殺のショックでカウンセラーに通っていて、シーズン1第1話では久々に学校に戻ってきたことになっています。マルタ・ニールセンと両想いな関係ですが…。



続いて「ニールセン家(Nielsen)」

学校の校長であるウルリッヒカタリーナは子ども時代から交際しており、美男美女カップルだった模様。その二人の間にいる子どもは3人で、上からマグヌスマルタミッケル。マグヌスはフランツィスカ・ドップラーと恋仲にあり、実質本作のメインヒロインであるマルタはヨナス・カーンヴァルトに熱を…。ミッケルはフーディーニ・オタク。

このウルリッヒにはマッツという弟がいましたが、子ども時代に行方不明になっています。ウルリッヒ&マッツの両親はトロンテヤナであり、トロンテはアグネスという母親に連れられ、この町に1953年に移住したようです。



3つ目の家系は「ティーデマン家(Tiedemann)」

ホテルを経営するレジーナと、原子力研究所所長のアレクサンダーの夫妻。ティーデマンという姓はレジーナのものであり、なぜ夫ではなく妻の姓なのか、そこも謎ポイント。この二人の間にはバルトシュというひとり息子がいます。バルトシュはマルタ・ニールセンに好意があるようですが、その気持ちは届かず…。

レジーナの母はクラウディアといって、彼女も原子力研究所の所長でした。このクラウディアが物語上とても大きな影響を与えることに…。クラウディアは失踪後に死亡したことになっており、レジーナは母クラウディアと確執を抱えています。またクラウディアはオッドアイ(瞳の色が両目で違う)です。

クラウディアの両親はエゴンドリス。エゴンは昔から警官であり、昔はウルリッヒ・ニールセン(少年)に対して何かと不信感を持っていましたが、その理由があり…。ドリスはアグネス・ニールセンとレズビアンな付き合いがあります。



最後は「ドップラー家(Doppler)」

ピーターと、警察長のシャルロッテの夫妻。といっても、ピーターはゲイ(もしくはバイセクシャル)であり、そのせいで夫婦仲は亀裂でバッサリ。この二人にはフランツィスカエリザベートというふたり娘がいます。エリザベートは聴覚障害者で普段は手話で会話しています。

ピーターの父はヘルゲであり、2019年時点では重度の痴呆で介護ホームに入居中。ヘルゲは子ども時代はかなり厳格な家庭で育ち、母グレタに厳しく躾されていたようですが、実はその子ども時代にとんでもない経験をしており…。

そしてシャルロッテの両親は本作最大のびっくりポイント。彼女の祖父は「時間の旅」という本を書いたH・G・タンハウスという名の時計屋であり、これまた超重要人物。



以上がだいたいの人物紹介ですが、このほかにもキャラクターはいます。そして、これはまだほんのイントロダクション。ここからが複雑怪奇。でも本作はちゃんと画面の二分割表示やシーンのつなぎを工夫することで誰が誰なのか時間を超えたつながりを観客に視覚的にわかりやすくしていました。

とりあえずこの4家、人間関係、悪すぎますね…。

なお、俳優陣は日本人には見慣れない人ばかりだと思いますが、結構有名作に出ている人もいます。例えば、アダムを演じるのは『ヒトラー 最期の12日間』でローベルト・フォン・グライムになりきった“ディートリッヒ・ホリンダーボイマー”。ウルリッヒ(大人)を演じたのは『帰ってきたヒトラー』でヒトラー役を熱演して話題になった“オリヴァー・マスッチ”(つまりまたタイムトラベルをしているのが笑える)。クラウディア(老)を演じた“リサ・クロイツァー”は、『さすらい』などヴィム・ヴェンダース監督作の常連。

若手も意外に他で見たことがあるかもしれません。ヨナス(少年)を演じるのは“ルイス・ホフマン”で、彼の最近の出演作と言えば『ヒトラーの忘れもの』が記憶に新しいです。エリザベート(少女)を演じた“カルロッタ・フォン・ファルケンハイン”は、『蜘蛛の巣を払う女』でカミラという重要キャラの子役でした。

まだ国際的には知られていない若手出演者でも、注目の新鋭もチラホラ。マルタ(少女)を演じた“リサ・ヴィカリ”は、2017年に『Luna』という主演作で賞に輝くなど最近、勢いに乗っています。

こんなふうに俳優を深掘りするのも面白いでしょうね。

ダーク DARK

シーズン1の要点整理

2019年11月4日。物語はここから始まります。しかし、これは始まりではない…(その意味は鑑賞済みならわかりますね)。

ヴィンデンという町ではエリック・オベンドルフ(15歳)が13日前に行方不明になったきり。このエリックは実は裏ではドラッグの取引をしている奴だったらしく、ヨナス(黄色いレインコートがトレードマーク;重要!)、マルタ、マグヌス、ミッケル、バルトシュはそのヤクの隠し場所である洞窟へ。途中、フランツィスカと遭遇して揉めていると、突然の謎の轟音、ライトの故障。パニックになって散り散りに逃げた結果、11歳のミッケルだけが行方不明になってしまいました

翌朝、警察の捜索によって少年の不審な遺体を発見。しかし、ミッケルでもエリックでもありません。そばに落ちていた古いウォークマンなどから、まるで80年代の子どものようです。

さらにヤシンという別の少年も行方不明に(この子は4家とは関係がない;エリザベートと付き合ってたらしいけど)。

さあ、このままダラダラ書いていてもしょうがないので、箇条書きで要点を整理。
  • ミッケルは1986年にタイムトラベルしていた。しかも、看護師のイネスに引き取られ、ミハエルとして育てられた。つまり、ミッケルが大人になった姿が、ヨナスの自殺した父(ミッケルとヨナスの関係性を匂わす伏線として、両者ともに頭を小突かれていましたね)。
  • エリック、ヤシン、マッツの3人は、例のファンシーな壁紙の部屋(貯蔵室を改装)で、初期型のタイムマシンの実験台にされていた。しかし、失敗作であり、被験者は目を焼かれ、耳を損傷し、死亡した状態で時間移動してしまう。マッツは1986年に、エリックとヤシンは1953年に飛ばされた。
  • その非人道的な実験をしていたのは、ヘルゲ(大人)ノアという謎の男。つまり、ヘルゲはタイムトラベルの事実を知っており、終盤で思いだす。
  • 洞窟には時間移動できる扉とトンネルがあり、ヨナスはその事実を知る。
  • ウルリッヒも洞窟を通って1953年に時間移動。そこで誤解のもとヘルゲ(少年)を暴行。エゴンに逮捕されてしまう。
  • 過去に原子力研究所で事故があり、その際の放射性廃棄物が大量のドラム缶とともに、洞窟内に隠されている。クラウディアとアレクサンダーはその事実を事故後に知り、継続して隠蔽に関与。
  • 時間移動する方法は「椅子」「洞窟」以外にも「装置」があって、それを作ったのはタンハウス。その手助けをしたのはクラウディア(老)とフードの謎の髭の男。
  • フードの謎の髭の男の正体は、大人のヨナスだった。何か目的があるようで…。
  • 貯蔵室に閉じ込められたヨナス(少年)は謎の歪によって、見たこともない未来へ!(2019年から33年後と思われる)

シーズン2の要点整理

シーズン2は、シーズン1ラストの衝撃の未来(2053年)と、さらなる過去(1921年)が追加され、一層複雑になりました。時間軸的には前シーズンより半年が経過しています。そして全ての時間軸で「終末の日」とされる6月27日に向けて物語が動き出します。2020年6月27日、マルタなどを含む何人かは亡くなるらしいことが第1話で判明し、一体何が起こるのか、ハラハラしながら視聴することに。

「sic mundus creatus est(かくして世界は創られる)」…この世界観の根源も見えてきそうな話の拡大でした。

こちらも箇条書きで要点をまとめ。
  • ノアに指示するさらなる上の人物、アダムの存在が明らかに。彼の正体は時間移動を繰り返したヨナス。アダムはシーク・ムンドゥスという組織の指導者らしい。
  • 「椅子」「洞窟」「装置」以外にも球体型の謎物質(ダークマター)で時間移動が可能。これは終末の日に原発施設のプールにコンクリートで埋めた放射線ドラム缶を開けた瞬間に出現。
  • クラウディア(大人)は老いた自分に導かれるようにタイムトラベルを繰り返し、自身の父であるエゴンの死を回避するために行動しようとした結果、誤ってエゴンを押し倒して死亡させてしまう
  • ヨナス(少年)は父ミハエルの自殺を止めれば全て丸くおさまると考え、彼のもとへ時間移動。しかし、実は父を自殺に導いたのは自分だった
  • ヨナス(大人)から時間移動を教えてもらったハンナ。1954年の精神科病棟で捕まったウルリッヒに会いに行くも冷めた愛を察知し、放置。元の時代とは決別する意思を匂わせ…。
  • ウルリッヒとミッケルの生存を知ったカタリーナは単独行動で、ひとり洞窟へ。終末の瞬間、タイムトラベルの扉を発見するが…。
  • 捜査に加わったクラウゼン。実は弟が1986年に失踪。名前はアレクサンダー・ケーラー。そのことでアレクサンダーを問い詰める。
  • クラウゼンとともに捜査に加わるウェラー。彼は何者で、何を知っているのか…。
  • アダムに利用されているだけだと知り、アダムに銃を向けるノア。しかし、ノアはアグネスに撃たれて死亡
  • 癌で闘病中のレジーナは時間移動してきたクラウディア(大人)と再会し、終末の日に貯蔵室へ避難。そこにはピーターとエリザベートもいて、そこへノア(少年)もやってくる
  • エリザベートは2053年に過酷な世界でひとり奮闘。実はシャルロッテの父はノアで、母はエリザベートだと判明。つまり、エリザベートはどこかで時間移動したことに。終末の瞬間、2053年のエリザベート(大人)と2020年のシャルロッテ(大人)が“歪”越しに再会するが…。
  • ヨナス(大人)とともに装置でタイムトラベルしたマグヌス、フランツィスカ、バルトシュ。どうやらこの3人とアグネスはシーク・ムンドゥスの創設メンバーになることを暗示させ…
  • ヨナス(少年)とマルタの感動的な再会。しかし、その場に現れたアダムによってマルタは射殺。ところが、黒髪の全く違った姿をしたマルタが出現。ボール型装置を起動。「いつから来た?」「いつじゃない、“どの世界”よ」

無限ループって怖いどころじゃない

『ダーク DARK』の興味深いところは冒頭でも語られているとおり、「昨日と今日と明日は一列に並んでいない」「終わりのないループでつながっている」…この言葉の意味は最初はピンと来ていませんでしたが、話を鑑賞すれば“なるほど、そういうことか”と納得。

本作はタイムトラベル系のSFですが、かなり特殊です。『ターミネーター』と比較すればわかりやすいですが、一般的にはある大事件が起こって世界が崩壊したとき、その事件が起こる時代に戻って食い止めればいいわけです。原因となるアイテムや人物を止めたり、消したりして。

でもこの『ダーク DARK』は始まりも終わりもないループ構造で、原因の起点が見つからないようになっています。例えば、あのタンハウスの装置が開発できたのは未来からクラウディアやヨナス、ウルリッヒが来たからであり、一方で彼らが過去に来れたのはタンハウスの装置による一連の出来事があったから。矛盾しています。

それは善悪も同じ。当初はクラウディアが光、ノアが闇なんて表現され、善悪の二項対立があるようにミスリードさせていましたが、結局、光あるから闇があり、闇があるから光があり、完全にエンドレスな円環状態です。

なので時間の流れ、もっといえば運命を変えることはできないようになっています。ミッケルが過去に飛ばされるのも、ミハエルの自殺も、ヘルゲの生存も、エゴンの死も、全てが宿命づけられており、それを回避しようと行動しても、それ自体がその現象につながってしまうという帰結に終わります。

この「え、じゃあ、どうやって運命を変えるの!?」という不可能に思える試練を乗り越えるべく動くのが本作の最終ゴールだということが、シーズン2でいよいよ明らかになりました。タイムトラベル系SFはパラドックス(ブートストラップ・パラドックス)に関する問題がツッコまれる弱みになりがちですが、それをこうも堂々と物語の仕掛けに組み込むとは…。清々しい…。

しかもシーズン2のラストでパラレルワールドの存在を示唆する展開まで…。もうこれは製作陣は収拾をつける気があるのかと心配になりますが、ほんと、どうなるのやら…。

けれどもこんなにもタイムトラベル系SFの旨味を凝縮した作品は他にはないので、ジャンル史に刻まれる大作ではないでしょうか。

ROTTEN TOMATOES
S1: Tomatometer 89% Audience 90%
S2: Tomatometer 100% Audience 97% 
IMDb
8.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 7/10 ★★★★★★★

作品ポスター・画像 (C)Wiedemann & Berg Television, Netflix