マインドホーン
Netflix映画『マインドホーン』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Mindhorn 
製作国:イギリス 
製作年:2017年 
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信 
監督:ショーン・フォーリー 

【個人的評価】
 星 6/10 ★★★★★★

あらすじ

義眼刑事「マインドホーン」を演じて80年代に名を馳せたTV俳優リチャード・ソーンクラフトは、今では人気が低迷し、俳優人生は地に落ちていた。しかし、そのTVドラマの刑事が実在すると信じる殺人犯の男が現れたことで、自分の俳優人生を取り戻そうと奮闘し始める。

俳優の自虐的英国コメディ

イギリス製コメディはアメリカ製コメディとは違った趣があってまた楽しいものです。普段は紳士だ階級だと気取っているイギリス人がアホやっているのはそれだけでも見ごたえがあります。TVドラマだと、昔は「Mr. ビーン」をよく観たものですが、最近のものは全然知らないですね…。

そんな英国コメディTVシリーズで2000年代に活躍している俳優のひとりに“ジュリアン・バラット”がいます。代表作に、2004~2007年に放映された『マイティ・ブーシュ(The Mighty Boosh)』というBBC製作のコメディがあり、カルト的人気があるそうで。なんでもコンビが動物園の飼育員だったり、ミュージシャンになったりしながらハチャメチャやるという、良い感じでアホなドラマっぽいです。

そのコメディに主演する“ジュリアン・バラット”はコメディアンであると同時に、制作にも関わるマルチクリエイター。そして、“ジュリアン・バラット”が主演と脚本を手がけた最新コメディ映画がNetflixで配信されているので紹介します。

それが本作『マインドホーン』です。

主人公であるTV俳優リチャード・ソーンクラフトの代表作は「マインドホーン」というドラマ。

1983年、特別捜査官のブルーツ・マインドホーンは極秘任務中にシベリア国境で捕虜となり、サイボーグ手術の実験台に。片目をくりぬかれ、眼球型うそ発見器を埋め込まれ、真実の目をもつ男が誕生。ロシアを離れ、故郷のマン島に戻ったマインドホーンは、島一番の腕利きの私服刑事として、嘘がはびこる世の中でカポエイラを駆使して大活躍!…というのがそのドラマの内容。

実に…キテるドラマですが、当時は大人気。でも、今は「なんだっけそれ?」状態。俳優リチャードも忘れ去られ、ただの禿げた腹の出たおっさんに。たぶん感想ブログとかに「この俳優は演技が下手すぎます。★1ですね」と辛辣に書かれること間違いなしな現状。

そんなとき、マン島を震撼させている殺人犯がなんとTVドラマ「マインドホーン」の刑事を呼べと言ってきたことで、おっさんリチャードは日の目を見るチャンス到来とノリノリ。さあ、どうなる?

本作の主人公は俳優自虐コメディとなっており、ギャグも英国コメディらしさ満載。そして、1980年代~90年代のチープなTVドラマ風に作られているのも魅力で、良い意味で大げさで気の抜けた映像は最大の注目ポイントです。ちゃんと(主にうっかりボケで)二転三転するサスペンスもハラハラさせてくれます。

カッコいいアクションはない(たぶん)。
クールな名推理もない(たぶん)。
でも、マインドホーンの目は誤魔化せない!







↓ここからネタバレが含まれます↓





ジンガ・タイムだ

コメディ映画は、主役が魅力的で好きになれるかどうかが最大の問題ですが、その点では本作は満点でした。“ジュリアン・バラット”演じる主人公・リチャードはずっと見ていられる。やっぱりハゲでデブでも“頑張るおっさん”はつい応援したくなりますね

前半の、事の重大さを全くわかっていないなかで、ノリノリで「マインドホーン」を演じる姿はとても愉快。まずビジュアルがそもそもダサイので、何してもアホに見えますよね。容姿も衰え、体力もない状態でも、プロ意識だけは残っている。そんな彼なりの真面目な演技は今や周囲にとってウザイだけ。でも、私たち観客はそこが楽しい。電話に出る動作のシミュレーションを何度も繰り返すシーンとかが、個人的に好きです。絶対、コメディアンに転身すれば人気回復するだろうに…。

マインドホーン

そして、物語は一転。殺人犯と考えられていた、「マインドホーン」を信じる若い男ポール・メリーでしたが、実は真犯人は市長と判明。濡れ衣を着せられたポール・メリーと死んだことにされたリチャードは、一緒に真実を世間に知らせるために奮闘することになります。

後半の、逆転してイヤイヤ「マインドホーン」を演じるリチャードの姿はやっぱり愉快。いざ「マインドホーン」になってみると、全然役に立つことがないどころか、動きにくい。でも、役に立つアイテムが活きてきますが…。それ以上に彼をずっと信じて愛してきたファンがいるというのが、リチャードの最大の武器になるわけで。

最後は役を演じるという俳優の力で事態を収拾するオチも綺麗。こうやって最後まで観ると、優等生なコメディドラマだったんだなぁと実感。

ちょっと登場人物が多すぎるかな?というのと、終盤の展開は見え見えなのがあれでしたが、まあ、いいでしょう。

ラストの「ジンガ・タイムだ」のシーンの勢いだけで全てを肯定したくなるそんな映画でした。皆もジンガの練習をしよう。