トランスフォーマー 最後の騎士王
映画『トランスフォーマー 最後の騎士王』(トランスフォーマー5)の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Transformers: The Last Knight 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本公開日:2017年8月4日 
監督:マイケル・ベイ 

【個人的評価】
 星 3/10 ★★★

あらすじ

トランスフォーマーの起源である「創造主」による地球破壊計画を阻止すべく旅立ったオプティマス・プライムに代わり、地球ではバンブルビーがオートボットの新たなリーダーとなり、復活したメガトロンに対抗していた。そこへオプティマスが帰還するが、人類を滅ぼそうとする破壊者へと変貌していた。

ネタバレなし感想

最終章の幕開け…なのか?

映画にああだこうだと言うような評論家なんて知ったことかと言わんばかりに、猪突猛進で突っ走り続けるシリーズ「トランスフォーマー」の最新作が公開されました。

シリーズ最新作『トランスフォーマー 最後の騎士王』は、今回で5作目になります。なんだろう、もう10作目くらいな感覚…。ちょうど1作目の公開から10年の節目の年になるんですね。元は日本の企業のオモチャだった「トランスフォーマー」シリーズ。日本産のエンタメがアメリカに渡り、とんでもないドル箱モンスターに成長するというのは、パワーレンジャーもそうでしたが、不思議な気分です。

一足お先に公開された本国アメリカの様子を窺うと…2億1700万ドルという、シリーズ史上最大の予算が投入! 映画批評家からの評価はシリーズ最低!…と、「トランスフォーマー」シリーズをちゃんとわかっているファンは「ああ、平常運転だな」と安心(?)する、10年経っても変わらない姿がそこにあります。ド派手に作って売れればよかろうという、まさにエンタメ至上主義の王様です。

「トランスフォーマー」シリーズをここまでの怪物に成長させた親であり、「破壊王」なんてあだ名をつけられ、批評家からもバカにされぎみな“マイケル・ベイ”監督はどう思っているのだろうか。ほぼ毎回のように「この作品で監督するのは最後だ」と言っており、今作でも最後にすると発言していましたが、なんと執筆済みの脚本が14本(!)存在することを明かしています。どういうことなの…。

念のため言っておくと、“マイケル・ベイ”監督は自己批判的な映画も作れる人であり、本人は別に素でバカじゃない、むしろバカを批評できる賢さのある人だと、個人的には思っていますが…。

↑バカを冷静にバカにしているマイケル・ベイ監督作品

最新作も、相変わらずのヤケクソ感あふれる“てんこ盛り”です。今回は『キング・アーサー』『インデペンデンス・デイ』『ゴジラ』の要素を映像にトッピング、さらに味がわからなくなってます。こんなにマシマシでも、鑑賞料金は同じ!お得!(えっ)。

ということで、ヤケクソで観ることをオススメします。あ、前作の165分より短い上映時間ですが、それでも149分ですから、長期戦に備えてくださいね。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

何の映画だっけ?

本作は始まった瞬間、「あれっ、入るシアターを間違えたか?」みたいな気持ちになった人がいるのではないでしょうか。それくらい過去作と絵柄が違う映像が流れます。

時は484年。円卓の騎士でお馴染みアーサー王の物語で幕を開ける本作。こちらとしては2か月前にキング・アーサーを観たばかりであり、既視感がハンパないですが、この時代にもトランスフォーマーが…。このように、どうやら「トランスフォーマー」シリーズは、地球の歴史上の出来事には全てトランスフォーマーが関わっていた!みたいなノリでいくらしいです。確かに過去作でも、アポロ計画や恐竜絶滅にトランスフォーマーが関与しているというお話しでしたけど。ただ、今作で判明するバンブルビーがイギリス軍に協力してナチスと戦っていたのはまだわかるとして、フィクションのアーサー王物語までしれっと史実のように語られるのがなんというか凄い潔さ。アーサー王やマーリンが実在したことにもっと驚くべきだろう…。まあ、トランスフォーマーがいる世界だから、感覚がマヒしているのでしょう、きっと。

トランスフォーマー 最後の騎士王

5作目も“凄い”

「トランスフォーマー」シリーズ、というか“マイケル・ベイ”監督流の強引ハチャメチャ展開は、5作目であろうと堂々と健在しているのがもはや恐ろしい領域に達してます。だから、私の感想も全部「凄い」の一言で強引に締めていい気がする…。

一応、本作のストーリーの肝は「オプティマスが敵になる」という点のはず。でも、この悪に染まったオプティマス、映画のかなり後半でやっと主人公たちの前に登場するんですね。しかも、割とあっさり終わる。「他にもいろいろ要素が突っ込んでるからもういいでしょ、ね」…そんな感じ。こんな贅沢な割り切り、「トランスフォーマー」でしか出来ないですよ。凄い(無の境地)。

肝心の戦闘アクションも、これこそ「凄い(棒読み)」としか言いようがない。『インデペンデンス・デイ リサージェンス』の時も思いましたが、オーバーテクノロジーすぎて何でもあり。とりあえず凄いことしていることだけはわかります。それで良し。

あらためて1作目『トランスフォーマー』を見直してみたら、これでも当時はハチャメチャに見えましたが、最新作と比べて非常に大人しく観やすいことに驚きました。

本作のハチャメチャ的存在の代表格である、アーサー王編と現代編にも登場した、3つ首竜“ドラゴンストーム”。まるで「キングギドラ」のような男子心をくすぐるデザインですが、あんまり思ったほど活躍しなかったですね。まあ、コイツが本気で暴れたら物語が破綻しますが。そう、前作で猛威を振るったティラノサウルス型のダイナボット“グリムロック”が行儀の悪い犬みたいになっているは、さすがにヤケクソすぎじゃないか、“マイケル・ベイ”さん…。

こういう勢いまかせの派手さを“マイケル・ベイ”監督が意図して遊んでいるシーンもありました。トランスフォーマーと地球の関わりの歴史を知るエドマンド・バートンが過去を語り始めると、回想シーンが始まるわけですが、そこで流れている壮大なBGM。実はコグマンがオルガンを弾いたりして即興していた…というしょうもないメタギャグでした。凄い(無の境地)。

マイケル・ベイ監督的イマドキ要素

半ばヤケクソで「トランスフォーマー」シリーズを作っているかのような"マイケル・ベイ”監督は、毎回ヤケクソなりに社会的ニーズに答えようとするのが名物化(?)している気がします。例えば、前作だったら中国市場受けを狙って無理やり中国要素を入れていたりとか。

今回の場合、目について気になったのは「女性」要素です。昨今の映画界はジェンダーの観点から「自立した強い女性」を描くことが重視されます。ところが過去の「トランスフォーマー」シリーズで登場してきた女性キャラはセックスシンボル的なグラマーな美女という、コテコテの男性主義的な女性像でした。そして、きっと製作の段階で「ほら、最近よくある自立した強い女、あれ入れようぜ」みたいなノリがあったのか、今作のヒロインであるビビアン・ウェンブリーは大学教授という自立したキャリアのある能動的なキャラになってましたね。

ただし、これは「トランスフォーマー」。いかんせん雑でした…。

他にもうひとつ、「子どもたち」要素も目立ってました。本作のメイン主人公は“マーク・ウォールバーグ”演じるケイド・イェーガーですが、こんなおっさんじゃあ子ども受けが悪いと思ったのか、子どもたちが序盤から登場してました。とくに主人公っぽく描かれていたイザベラは、スクィークスというこれまたいかにも子ども受け狙いな感じのオートボットを連れている露骨さ。

ただし、これは「トランスフォーマー」。いかんせん雑でした…(2度目)。

でも、この雑さが「トランスフォーマー」なので良いのです。そういうことにしよう。

さあ、次は6作目ですか。なんでもこいですよ!

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