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ドラマ『1899』感想(ネタバレ)…みんなが意味深に三角形を取り出して考察を煽る!

1899

みんなが意味深に三角形を取り出して考察を煽る!…ドラマシリーズ『1899』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:1899
製作国:ドイツ・アメリカ(2022年)
シーズン1:2022年にNetflixで配信
原案:ヤンチェ・フリーセ、バラン・ボー・オダー
性暴力描写 性描写 恋愛描写

1899

1899

『1899』あらすじ

1899年。新天地であるニューヨークを目指し、海を渡る移民船。そこには大勢の人が乗船しており、貧富も人種もさまざまであった。しかし、その途中で不可解な出来事に遭遇した乗客たちは、謎に満ちた恐怖と混沌の渦へと飲み込まれていく。その予兆となるのは4カ月前に忽然と航海中に消えてしまったという大型の船の存在。この海で何が起こっているのか。その真実を認知できる者はいるのだろうか…。

『1899』感想(ネタバレなし)

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また考察の時間がやってきました

“サンティアゴ・ラモン・イ・カハール”という人物を知っているでしょうか。

たぶん大半の人は知らないはず。でもこの人物の研究によって得た知見は大半の人が学校で習います。

“サンティアゴ・ラモン・イ・カハール”は1852年生まれのスペイン出身です。医者でしたが、1880年代から本格的に研究職に就き、教授となります。そして興味を持っていったのが神経組織でした。当時、神経繊維は末端で互いに途切れることなく連続して網を形成しているとする「網状説」が主張されていました。しかし、“サンティアゴ・ラモン・イ・カハール”は神経線維も細胞の集合で非連続の単位から構成されるという「ニューロン説」を主張。1890年代には真っ向から対立することになります。

そして今日ではこの「ニューロン説」がおおむね正しいとされており、学校でも「ニューロン」について簡易図で学んだ人も多いでしょう。今では“サンティアゴ・ラモン・イ・カハール”は神経科学の礎を築いた人物としてその名が語られています。

要するに1890年代あたりから著名な科学者の功績もあって神経科学という学問が急速に整理され始めたんですね。

なんでこんな話をいきなり始めたのかというと、今回紹介するドラマシリーズと関係がある…かもしれないからです。いや、関係ないかも…。これすらもミスリードかも…。でも知っておいて損はないかも…(どっちなんだと怒られてもしょうがない)。

それが本作『1899』です。

このドラマシリーズはまず製作陣について語るのがいいでしょう。本作を製作するのは、巧妙なテンポと映像力のあるサスペンスとともにミステリアスなストーリーを1話ずつ視聴者に届け、絶妙なクリフハンガーで目を離せなくしてきて大好評となったドラマ『ダーク DARK』を手がけた“ヤンチェ・フリーセ”“バラン・ボー・オダー”の2人。

マニアの間では考察議論が盛んに行われるほど話題になったドラマ『ダーク DARK』ですが、その製作陣が最新作を送り込んできました。

そのドラマ『1899』はこれまた同系統の作品で…。さあ、考察してくださいよ!と言わんばかりのミステリアスな仕掛けが満載。今回も謎だらけの世界観に、登場人物の複雑な人間関係と、考察する素材に事欠きません。

舞台はガラっと変化しています。今作では巨大な船が舞台です。船上ミステリーな感じで幕開けするのですが、すぐに事態は予想の斜め上をいくようなトンデモない変貌を見せるのです…。

ドラマ『1899』はドイツのドラマシリーズとしては史上最高額の助成金を得て製作されたそうで、確かにそれはクオリティにも表れています。シーズン1からスケールがデカいですし、映像面も迫力があります。なんでもロケとかではなく、ステージクラフト(セット全体をディスプレイで囲むやつ)で撮影されているみたいですね。船が舞台なんだから船内だけしょ?と思っていると度肝を抜きますよ。

もちろん本作の面白さのメインは謎解きです。第1話から「?」となりますが、第2話も「?」が追加されますし、第3話も「?」が数個は連なりますし、第4話も…。「ちょっと誰か解説してもらえますか!」とサポートを呼びたくなる…。

俳優陣は、『リトル・ジョー』の“エミリー・ビーチャム”、『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』の”アナイリン・バーナード”、『ダーク DARK』でも重要人物を演じた“アンドレーアス・ピーチュマン”、『マリアンヌ』の“アントン・レッサー”、『コンティニュー』の“マチルド・オリヴィエ”など。他にも挙げきれないほどにたくさんです。

キャラクターの把握がちょっと大変かもですが(それでも今回は人種や国籍がバラバラなのでまだわかりやすい)、観ていれば覚えられるでしょう(後半の感想ではもう少し整理しています)。

ドラマ『1899』はNetflix独占配信で、シーズン1は全8話。1話あたり約50~60分のボリュームですが、見始めると続きが気になって止めどころがないです(でも謎は山積みなので整理もしたいし…困る…)。

誰かと「あそこはああなるんじゃない?」とか「この次はこうなるだろう」とか、そんな考察談義でもするのがよいのではないでしょうか。

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『1899』を観る前のQ&A

✔『1899』の見どころ
★謎が謎を呼ぶミステリアスな展開。
✔『1899』の欠点
☆謎がなかなか解決しない。

オススメ度のチェック

ひとり 3.5:謎解きが好きなら
友人 3.5:互いに考察し合って
恋人 3.5:一緒に解き明かして
キッズ 3.0:やや難解だけど
↓ここからネタバレが含まれます↓

『1899』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤):目覚める

精神病棟のような場所で拘束されるひとりの女性が「兄さんはプロメテウス号で父さんの計画を突き止めた」「なぜ私は何も思い出せないの?」と叫んでいます。

目を覚ますモーラ・フランクリン。生々しい夢でした。「プロメテウス号、行方不明から4カ月」という記事を取り上げ、ヘンリーと書かれた手紙に目を通します。「父さんが何をしていたか突き止めた。ニューヨークで待つ。誰も信用するな」とそこには短く記されていました。

1899年10月19日。モーラはケルベロス号というアメリカ行きの大型客船に乗船していました。

船内には1600人以上が乗っており、多くの客は4カ月前に海で忽然と消えたプロメテウス号という同型の船の話題で持ち切りです。どこに行ったのか、沈没なのか、その詳細はまだ未判明でした。

1等客室の乗客が利用する大食堂では大勢が各々の時間を過ごしていました。優雅でリッチそうな夫婦もいれば、スペイン語でまくしたてる神父とその付き添いもいます。芸者の格好をした和服の女性もいました。

モーラもその食堂の椅子に座ると、緑のドレスを着た社交的そうなヴァージニア・ウィルソンが話しかけてきました。モーラは自分は医者だと紹介します。

そのとき、食堂に帽子の若い男性が「助けて」と入ってきます。妹のために医者が必要だそうですが、彼は3等客室の者だったので追い出されてしまいます。見捨てられないモーラは後を追いかけ、下層の客室で苦しんでいるトーベという名の妊婦の面倒を見ます。

なんとか体調が回復したトーベを見届けたモーラ。傍にいたトーベの妹の幼いエイダはモーラにも子どもはいないのかと聞いてきますが、モーラは「私は産めないの」と答えます。するとモーラは何か異常を感じ、急いで甲板にでて息を整えます。

そうしていると船長のアイクが話しかけてきました。しかし、会社から電信を受け取った船長は顔色を変えます。プロメテウス号かもしれない信号を観測したらしいです。

何度も座標だけ送ってきており、船長は周囲の反対を押し切って進路を変えると指示。そんなアイクは「失われたものは見つかる」という手紙を密かに持っていました。

アイクは一等客に事情を説明しますが、大半の客はプロメテウス号の1400人以上の安否には興味ないようでした。

ついに前方に船が見えてきます。一等航海士の戻るべきという提案を無視して救助ボートをだす船長アイク。モーラも行くことになり、ラミロ神父にも同行してもらいます。たまたまボートの傍にいた作業員のオレクジェロームも補助でついてきてもらい、プロメテウス号に接近します。

海はやけに静かで、船は真っ暗です。船に乗り込むと、船内はぐちゃぐちゃでした。誰もいません。

しかし、バンバンと叩く音が聞こえたかと思えば、戸棚の中にひとりの子どもを発見。その子は何も喋らずに小さなピラミッド型のものを取り出してモーラに見せます。

一方、ケルベロス号には謎の男がひとり乗り込んできていました。その目的とは…。

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シーズン1:登場人物を整理

ドラマ『1899』、まずはおさらいがてらに登場人物を整理しましょう。

ケルベロス号の船長はアイクという寡黙そうな男。妻が長女のニナを含む3人の娘を巻き添えに焼身自殺したという過去を引きずっており、一等航海士セバスチャンや船長の右上であるフランツなど他の船員から精神状態を心配されています。さらに乗客名簿から失踪したプロメテウス号の船長だったことも判明し、本人も大混乱です。

パリ富裕層に見えるルシアンクレメンスの夫妻。2人の夫婦関係は険悪で、ルシアンは性行為できずに焦っており、手術を受けるために渡米するとのこと。実はフランス外人部隊中尉と偽っていただけのルシアンは脆い仮面を抱えています。一方のクレメンスは女の抑圧にうんざりし、作中ではスカートを脱いて抵抗する意志も…。

そのルシアンと実は因縁があるのは、密航者のジェローム。脱走兵ということになっていましたが、ルシアンの仕業であり、クレメンスと信頼関係を深めていきます。

イギリス人のヴァージニア・ウィルソン夫人は周囲の観察が趣味のようで、乗客の隠しごとに目ざとく気づいていきます。

秘密と言えば、芸者風のリン・イーとその母。実際は香港人で、日本語を部屋で学んでいます(このへん、どこまで製作者がアジア系をリアルに描きたいのか謎)。リンは妹メイ・メイの死に後悔を感じており、本当は妹が渡米するはずでした。

スペイン語を話す神父のラミロとその隣にいるなぜこちらの方が偉そうな口ぶりの男であるアンヘル。兄弟と表面上は振舞っていますが、本当は兄でも司祭でもなく、ゲイカップルでした。アンヘルは船内の3等客室のクレスターを気に入り、彼もゲイなようで、近づいていきます。

そのクレスターの妹であるトーベは妊娠中。こちらはデンマークの一家ごと新天地を目指しており、父のアンカーと母のイーベン、末妹のエイダと一緒。故郷では地主にトーベはレイプされ、その場にいられなくなってしまいました。母親のイーベンはかなり信仰深く子どもたちを縛り付けます。子ども3人は渡米後に親元から逃げるつもりのようでしたが…。

船を動かす石炭をくべる作業員のひとりオレクはブルックリンの写真を持っており、兄がアメリカにいると口にします。作中ではリンと関係を深め、キスもしていましたが…。

そしてメイン主人公のモーラ・ヘンリエッタ・フランクリン/シングルトンキアランという兄がおり、父の名はヘンリー。兄はモーラをヘンリエッタから由来してヘンリーと呼んでいたのでややこしいです。モーラは4カ月記憶がなく、船内でも最も混乱しています。

そのモーラのもとに出現する謎の少年(エリオット)。さらにどこからか紛れ込んできてシレっと混ざっている謎の男であるダニエル・ソーレス

このモーラの秘密が解き明かされていくことでようやく点と点が線で繋がり始めるのですが…。

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シーズン1:現実へようこそ

『1899』のシーズン1では、消失したはずのプロメテウス号が発見され、そこからケルベロス号も遭難し、乗客がバタバタと死亡したり、次々と海に身投げしたり(セイレーンがおそらく着想元で、同時期公開の『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』とネタ被りしている)、大変なことになります。

で、オチからズバリ答えてしまうと、これは大掛かりなシミュレーションで、仮想空間での出来事でした。脳の研究をしているモーラの父であるヘンリーがこのシミュレーションをモニタリングしており、その目的はシミュレーションからの脱出の手段を探すこと

しかも、ヘンリーが黒幕に思えましたが、シミュレーションを開発したのはモーラ、そして夫であったダニエル。2人の子がエリオットであり、モーラはその病気のエリオットの喪失に耐えられず、我が子の意識をデータで転送。仮想の世界で親子生活を楽しんでいましたが、いつのまにやらこんな事態に。

船と乗客は何度もループしており、使い終わった船はアーカイブの海に浮かんでいました。

脱出の鍵であるモーラの持つ小さな鍵とエリオットの持つピラミッドを組み合わせ、いざモーラだけまずは脱出すると、まだまだ衝撃が待っていました。そこは2099年の宇宙船の中。周囲には他にも装置に接続した人がおり、事態の深刻さを窺えます。つまり他にも生身の人間が仮想世界に閉じ込められているということです。

そしてこの状況をコントロールしているのがモーラの兄であるキアランだとも示唆され、シーズン1はひとまず閉幕です。

いやぁ~、作中観ている間は「誰か説明しろよ!」って思ったけど、いざ説明すると「結局どういうことなんだよ…」ってなりますね。

確かに終盤に世界観のネタ晴らしがあるけど、謎がさらに増えまくっています。謎が浸水してくるみたいに…。

あの乗客たちの生い立ちも仮想設定なのか、実際のものなのか。そもそも乗客たちはどこまでか生身の人間なのか。私が上記で頑張って整理した登場人物の設定も意味なくなっちゃうのか…。

第一、「プロジェクト・プロメテウス」でキアランは何がしたいのか。2099年には何が起きているのか。

でも考えてみると、あのシーズン1最終話のラストの2099年の世界もシミュレーション内である疑いが濃厚です。入植の移民船が宇宙船に変わっただけですからね。本当の現実は何年なのか、そこも今後の最注目要素なのかな。

『1899』は後出しジャンケンなので、ちょっと仕掛けとしては卑怯なのですけど、作品に都合よく翻弄されまくるの好きなドMな人(?)には楽しいドラマです。これだけハチャメチャな設定を豪快な製作規模で思いっきり描けるなんて贅沢なもんですよ。仮想世界幽閉モノは2022年にも何作か観てきましたけど、その中でも屈指のふり幅ですから。

とりあえずここが現実がわからなくなったら甲虫を追いかければいいんですよ。たぶんなんかヒントがでるはず!(身勝手なアドバイス)

『1899』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 80% Audience 77%
IMDb
7.8 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
6.0

作品ポスター・画像 (C)Netflix

以上、『1899』の感想でした。

1899 (2022) [Japanese Review] 『1899』考察・評価レビュー