そういうことにしておこう…映画『28年後…白骨の神殿』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:イギリス・アメリカ(2026年)
日本公開日:2026年1月16日
監督:ニア・ダコスタ
児童虐待描写 ゴア描写
にじゅうはちねんご はっこつのしんでん

『28年後… 白骨の神殿』物語 簡単紹介
『28年後… 白骨の神殿』感想(ネタバレなし)
『28年後…』から7か月後…
『28日後…』の5年後に『28週後…』が公開されて、『28週後…』の18年後に『28年後…』が公開されて…。ではその『28年後…』の7か月後に公開される続編映画のタイトルは?
なんだか難解な「なぞなぞ」みたいになってきました。
答えは…本作『28年後… 白骨の神殿』です。
急に副題つくじゃん!…って感じですが、物語自体は前作『28年後…』の直後から始まり、『28年後…』を起点とする3部作の第2弾なのでね。シリーズとしては4作目だけども。
“ダニー・ボイル”監督&“アレックス・ガーランド”脚本のコンビがカムバックして、久々に2025年に再始動して生まれた『28年後…』。どうくるのか?と私もドキドキしながら観ましたが、完全に既存のゾンビ系ジャンルをより“ダニー・ボイル”&“アレックス・ガーランド”の色に染め上げまくっていました。鑑賞後に思いましたよ…「あ、これはやりたいようにやりまくる気だな」と…。
問題は前作のあのラスト。観た人ならわかる「なんだこれ…」状態。この続きに何が起こるのか、もはや誰も予想不可能でした。
その続きとなる『28年後… 白骨の神殿』は、“アレックス・ガーランド”が脚本を続投しているので、全体の流れはブレないのですが、監督は“ダニー・ボイル”から“ニア・ダコスタ”に交代。
“ニア・ダコスタ”監督は、2021年に『キャンディマン』で名作ホラー映画を現代に蘇らせる見事な才能をみせ、2023年には『マーベルズ』のような大作も手がけました。そして、2025年は私もその年の映画ベスト10に入れた『ヘッダ』を監督してもいました。


『28年後… 白骨の神殿』に“ニア・ダコスタ”監督が!?と最初に聞いたときはびっくりしましたけども、実際に観てみると、“ニア・ダコスタ”監督の味がとても良い塩梅で混ざっており、このシリーズの深みが増しています。あのラストからよくここまで映画を成り立たせていますよ。
ネタバレ無しで言える範囲だと、前作よりも残酷なゴア描写が増量しています。狂気はパワーアップしているので期待してください。
俳優陣は、前作から続投の人も多め。大抜擢された子役の“アルフィー・ウィリアムズ”は相変わらず可哀想な目に遭いまくっていますし、“レイフ・ファインズ”と“ジャック・オコンネル”にいたっては最高にエンジョイしまくっています。
今作から注目の俳優としては、ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』や、サフィックなファンタジーのドラマ『ウィロー』で注目を集めた“エリン・ケリーマン”がまず重要なキャラクターとして出演。
お次に、『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』の“チ・ルイス=パリー”が、忘れられないキャラクターの存在感を発揮。今作の“チ・ルイス=パリー”は、2026年のベストホラーアイコン賞とかを与えたいくらいですよ。
あと『28年後… 白骨の神殿』は前作と違って映画館だからこその臨場感のある演出もあるので、できれば劇場に足を運びたいところです。
『28年後… 白骨の神殿』を観る前のQ&A
A:前作である『28年後…』の鑑賞をオススメします。物語は前作のラストから繋がります。
鑑賞の案内チェック
| 基本 | 子どもが酷い目に遭うシーンがあります。 |
| キッズ | 残酷な描写が多いです。 |
『28年後… 白骨の神殿』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
感染すると人を一瞬で狂暴化させてしまう未知のウイルスのパンデミックがイギリスで発生してから28年後。イギリスとアイルランドは依然として無期限の隔離状態にあり、危険な感染者が徘徊しており、かつての文明は消え失せました。安全エリアを除けば、過酷なサバイバルを余儀なくされます。
そんなある場所にて、少年のスパイクは謎の集団に囲まれて、また別の絶体絶命の窮地に陥っていました。少し前にリンディスファーン島で暮らしていたスパイクは、重病の母を見捨てる父と故郷に嫌気をさして、あえてこの危険な本土に単身で生き抜くことに決めたのです。しかし、狂暴な感染者に追われていたところ、この謎の集団に遭遇しました。
みんな感染していませんが、全員がジャージで金髪であり、やけにテンションが高いです。武器を手に何をしてくるのかわからない状態でした。
そんな集団はある男の言うことは大人しく聞きます。リーダーと思われる男はサー・ジミーと呼ばれています。正式にはサー・ロード・ジミー・クリスタル。金のネックレスをじゃらじゃらつけ、十字架をぶら下げています。
ひとりと決闘するハメになり、スパイクは必死に抵抗。相手は自分よりもはるかに大きいため、子どものこちらを舐めているようでした。
しかし、スパイクががむしゃらに手にした刃物が対峙した男の股間付近を切り裂き、派手に出血。相手は先ほどの余裕の態度はどこへやら、泣き喚きながら助けを求めます。しかし、サー・ジミーは冷酷に見下ろし、死んでいくのを眺めていました。
サー・ジミーはスパイクの名を訊ね、このみんながジミーを名乗る仲間に加えられます。殺したばかりの男の金髪のカツラを投げ与えられ…。
この集団は手当たり次第に出会う人間を残酷に殺しながら、この世界で生き永らえてきたようです。
一方、スキンヘッドのイアン・ケルソン博士は、レイジウイルスの流行で亡くなった人々を追悼するべく、骨を積み上げる行為を続けていました。遺体を見つければ、運び、処分します。そのせいでケルソン自身は全身が血肉で真っ赤に汚れていますが気にしません。また骨が増える…孤独なルーチンワーク作業にもすっかり慣れていました。拠点には焼却炉のほかに狭いながらも地下空間もあるので安全は確保されています。昔の写真、お気に入りの音楽…。
ある日、ケルソンは近くをうろつく感染者のひとりと遭遇。極めて暴力的で大柄な人物です。生存者を捕まえては食べているようです。
彼はその感染者に特別なものを感じ、モルヒネの吹き矢で鎮静化させ、穏やかに話しかけながらサムソンと名付けます。その場に放置し、拠点に戻りますが、どうやらあのサムソンはまだ近辺をうろついています。サムソンは襲ってくるわけではありません。モルヒネ中毒で大人しいようです。ケルソンはそんなサムソンにまったり隣で語りかける日々を送り始めます。
その頃、スパイクが半ば強制的に属することになったあのジミーたちの集団は、あるコミュニティを占領しており…。

ここから『28年後… 白骨の神殿』のネタバレありの感想本文です。
奇妙で愛おしい2人の男の絆
『28年後… 白骨の神殿』、まずは“ニア・ダコスタ”監督がクリエイティブに本格参加してどう変わったかの部分から。
今回の『28年後…』3部作シリーズは、ほぼいっぺんに連続して製作していることもあって、“ニア・ダコスタ”も監督としては2作目にのみクレジットされているものの、シリーズ全体に関わる内容にも関与できていたようです。
もちろん演出面では監督を務めたこの2作目の『28年後… 白骨の神殿』が最も作家性が際立っているのは言うまでもありません。
今作は何よりも残酷さを綺麗に撮る映像センスが良かったです。前作はiPhoneで撮影していたので、手持ちのチープさをあえて活かすような忙しい映像作りが特徴でした。今回は真逆と言っていいレベルです。撮影の“ショーン・ボビット”が、あの絶望的な世界観をじっくりと、ときにダイナミックに映していました。
とくに今作ではゴア描写も鮮烈です。頭を脊髄もろとも引き抜いたかと思えば、その頭をほじくって脳を食べる…。そして感染者たちは裸で、グロテスクなヌードを堪能させてくれます。ある種の野生に戻った人間の素の禍々しさと言いますか…。
その強烈なゴアと絶妙に対比となって輝くのが、この残忍な世界での人間模様の可笑しくも尊い瞬間で…。
そこで重要な存在となるのが、ドクター・ケルソンにサムソンと名づけられる大男の感染者。彼は前作にも少しだけ登場していたのですが、どうやら“ニア・ダコスタ”監督が前作の開発時点からこのサムソンというキャラクターを作り出したそうです。
ケルソンとサムソンが奇妙で愛おしいリレーションシップを築いていくさまは、本作の最高にチャーミングなパート。2人とも裸同然な見た目なので、どことなくセクシャルにみえてくるのも味があり、ずっと見ていたくなる2人の日常でした。2人が踊り合うシーンで、“デュラン・デュラン”の「リオ」が使われるのもいいですね。
それ以外にも、スパイクとジミー・インク(ケリー)の関係性も、人間性の味の深みを思い出させるものでした。
“ニア・ダコスタ”監督は過去のフィルモグラフィーをみていても思うことですが、こういう人間関係を奥深く豊かに描くのが本当に得意ですよね。
盛り上がっているか!
その一方で『28年後… 白骨の神殿』は“ダニー・ボイル”&“アレックス・ガーランド”のコンビのクリエイティビティも健在。それどころか前作よりも爆発しています。
言うまでもなくその中心にいるのは前作のラストで衝撃のデビューを果たし、観客を呆然とさせたあのギャング集団です。日本版では「ジミーズ」と呼ばれ、オリジナル版では「Fingers」と呼ばれているこの一団は、本当に意味不明の極み。
彼らはイギリスの有名な司会者である「ジミー・サヴィル」から引用して「ジミー」を揃いも揃って名乗ってあの風貌でハシャいでいるのですが、ここで注意してほしいのは、現実の“ジミー・サヴィル”は2011年の死後に本格的に始まった調査で実は未成年に性的虐待をしていたと発覚します。ただ、この映画の世界観では2002年にパンデミックが起こって文明社会が消えているので、“ジミー・サヴィル”の犯罪は明白に露見していないし、認知もされていないのでしょう。
それを踏まえると、あのジミー・クリスタル率いる集団の無知と残虐性が皮肉に際立つ仕掛けになっています。日本社会に合わせるなら「ジャニーズ」って名前の集団ですかね。
そのジミーズたちは今回はよりにもよってスパイクという少年をいたぶるわけです。子どもの精神のまま大人になったようなメンバーたちが、他人を弄ぶように…。人間には本質的な悪があるのだと突きつけるようなエグいシーンが連発します。
暴力への順化というのは前作からこのシリーズのテーマになっていましたが、今作ではそれがさらに酷さを増し、ジミー・クリスタルは猟奇的な行為の強要の反復で、倫理を失わせ、人間性を奪い、従属させます。
その怖いものなしのジミー・クリスタルが、よりカルトとして自分の集団を統率しようと欲を出し、あのケルソンと対峙する…。ここでケルソンも実際のところ別方面で人間性が壊れていたのですが、サムソンとの触れ合いで心を取り戻し、ジミー・クリスタルに一泡吹かせるべく全力で場に乗っかることに…。
ここからはもうライブ・コンサート映画ですよ。2026年の最高の映画のライブ・パフォーマンスはもしかしたら『28年後… 白骨の神殿』になるかもしれない…。
“アイアン・メイデン”の「The Number of the Beast」をリップシンクでパフォーマンスするうえでも、こんなに理想的なステージが他にあるのかって感じです。
そんなこんなで、最悪と最高が入り乱れて終焉を迎えた3部作の中間。次はいよいよ“キリアン・マーフィー”の再登場で、シリーズの原点に立ち戻るのかな。でも何をするんだろう…“ダニー・ボイル”&“アレックス・ガーランド”のコンビなら絶対にさらなる悪巧みを考えていそうです。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
以上、『28年後… 白骨の神殿』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)Sony Pictures 28年後2 ボーン・テンプル
28 Years Later: The Bone Temple (2026) [Japanese Review] 『28年後… 白骨の神殿』考察・評価レビュー
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