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『バイオハザード ザ・ファイナル』感想(ネタバレ)…もうひとりのアリスに敬意をこめて

バイオハザード ザ・ファイナル

もうひとりのアリスに敬意をこめて…映画『バイオハザード ザ・ファイナル』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Resident Evil: The Final Chapter
製作国:アメリカ(2016年)
日本公開日:2016年12月23日
監督:ポール・W・S・アンダーソン
バイオハザード ザ・ファイナル

ばいおはざーど ざふぁいなる
バイオハザード ザ・ファイナル

『バイオハザード ザ・ファイナル』物語 簡単紹介

人類の大半がアンデッドとなった荒廃した世界で、人類最後の希望となったアリス。陰謀と策略の中、生き延びてきたアリスは、悪夢のような現実の全ての始まりの場所、ラクーンシティのハイブへ戻ることになる。しかし、そこでは全ての元凶である巨大企業アンブレラ社と真の黒幕が、因縁の相手であるアリスとの最終決戦のために待ち構えていた。この崩壊した世界の行く先でアリスは何を目にするのか…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『バイオハザード ザ・ファイナル』の感想です。

『バイオハザード ザ・ファイナル』感想(ネタバレなし)

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最後っぽくない最終章

長らく続いてきた映画『バイオハザード』シリーズも6作目で終わってしまいました。

通常、ここまで作品が継続すると、迷走したりして、だいたい飽きられてくるものです。実際のところ、最終作バイオハザード:ザ・ファイナルは、製作国のアメリカでは興行・批評ともにさっぱり良くないです。

でも実は、本作は製作費4000万ドルに対して3億ドル以上の興収を記録しているので、じゅうぶん大成功してます。その理由は、中国と日本。興収のうち約60%が中国と日本になっており、人気の高さが窺えます。日本はゲームの故郷だからわかるとして、中国は何なんでしょうね。『スターウォーズ』はイマイチに終わった中国ですけど、ゾンビ映画が好きなのか? ゲームが人気なのか? 謎です。

最終章の本作もそんな支持層であるアジアへのアピールのため、日本からローラ、韓国からイ・ジュンギが出演。でも、二人とも扱いがかなり雑なのが残念ですが…。

なんだかんだでグローバル展開では見事成功してみせたゲーム映画化シリーズですから、凄いことです。また、作品群がひとつのストーリーとしてつながりがあり(多少破綻してますが)、ずっと同じ主人公であるというのも、この手のシリーズものではなかなかない気がします。

ポール・W・S・アンダーソン監督の執念というか、監督自身よく飽きなかったな…。

最終章ですけど、これだけ成功してると、きっとある時いきなりリブートが発表されたりするんじゃないですか。現にミラ・ジョボビッチが出演するのは最後という意味での「ファイナル」らしいですし。いっそのこと、もう中国が作ればいいよね。

冒頭でいつものように主人公があらすじを説明してくれるので、本作で『バイオハザード』シリーズを始めて観る人でも大丈夫。「終わっちゃうのか」というしんみり感もとくにない、なんとも奇妙な最終話です。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『バイオハザード ザ・ファイナル』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):最後?

革新的な科学者であるジェームズ・マーカス博士アンブレラ社を率い、科学の発展を支えていました。しかし、そんな彼にも簡単に解決できない問題が。それはアリシアという娘のこと。彼女は進行性の病「プロジェリア」を患っていました。若くして年老いていく病気で、治療法はありませんでした。できることは娘の記録をとるだけ。

そんなとき、T-ウイルスの発明に成功。これで彼女の人生は救われます。あらゆる病気を治せることになり、世界は感染症などの病や障害から解放された…かに見えました。このT-ウイルスには思いがけない副作用があるとは知らず…。

それは前触れもなく起きました。急に人が人を襲いだしたのです。最初のアンデット誕生でした。

事態に慌て、共同の研究者であるアイザックス博士と激しく議論するも、マーカス博士は殺されてしまいます。アンブレラ社は欲と権力に支配され、さらに強力な人工知能を作ります。アリシアのデータを活用し、「レッドクイーン」と名付けて…。

そして10年前、ラクーンシティでそれは起こりました。T-ウイルスの世界的拡散です。パンデミックは文明を崩壊させました。

物語は最後の語り手に委ねられることに…。

この荒廃した世界でアンデットと闘い続けているアリス。今や人型のアンデットだけではなく、飛行する大型モンスターも存在する、死と隣り合わせの危険地帯。今日もそんな巨大なアンデット化け物を車両突撃&自爆アタックで倒したばかり。

いきなりサイレンが鳴り、アリスはある建物の地下に降りていきます。生き残りはいるか捜索していると、レッドクイーンがモニターに映ります。そしてこう言うのです。

「あなたに私を止めてほしい」

そう簡単に信用できないアリス。なんでもアンブレラ社が空気媒介の抗ウイルス剤を開発しているらしく、ラクーンシティに48時間以内に行って散布しないと、人類は壊滅するとのこと。これでウェスカーに復讐もできる、最後のチャンスと訴えられ、それに従うしかありません。

アリスは車で向かうもトラップにかかり、明らかに不自然にバイクが置いてあるのを発見。案の定、急に現れるヘルメット集団。逆さまに吊るしあげられますが、アクロバティックな身のこなしで撃退してみせます。しかし、バイクにまたがると不正ユーザーを検知して電流が流れてしまい、気絶。

目覚めると残り20時間でした。拘束された人が他にも複数います。そこでこんなことをした犯人と対面。それはよく知った顔、アイザックス博士です。

装甲車から放り出され、腕をロープで引っ張られたまま走ることに。後ろから無数のアンデットが追いかけてきます。しかし、百戦錬磨のアリスには難しいステージではありません。サクっと「手」を借りてバイクを強奪し、爆走。ラクーンシティに到着。

そこで待っていたのはこれまたよく知る顔。クレア・レッドフィールドたちが率いるレジスタンスの面々。クリスチャンはアリスを信用しないものの、リーダーであるドクに諭されてひとまず銃を下げます。

そしてクレーターの底にあるハイブへと向かうために協力することに…。

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最後もいつもどおりだった

観た人は承知のことですが『バイオハザード』シリーズ作品は毎回同じテンプレを繰り返してきました。

①冒頭、謎の孤独状態で覚醒するアリス

②なんやかんやで仲間が現れる

③アンデットやら悪そうな奴らを倒す

④次の不吉を示して幕引き

だいたいこんな感じです。

さすがに『バイオハザード ザ・ファイナル』は最終章だし、変えてくるかなと思ってたら、全く同じでした…。まあ、最後まで広げた風呂敷を畳む気はないのがこのシリーズらしいですけど。最終章によくありがちな展開といえば、歴代キャラクターの総出演ですが、なんと本作は総出演していない! 過去作に登場したクリスやジルはどうしたと思ったら、多くの観客に知られることなく、死んだようで…(ノベライズ版で語られているらしい)。この潔さ、もうそれで良いと思います。

最終章もいつもと同じように始まります。目覚めて早々、空飛ぶ鉤爪しっぽのモンスターを、ISIS顔負けの車自爆特攻で倒したアリスは、相変わらず強い。この後、アンデットマラソン大会、アンデット火祭り、アンデットワンコ触れ合い体験、障害物トラップアトラクション、恒例のレーザーダンスをひととおりクリア。いつものごとく何人か死にましたが、真の黒幕であるウェスカーとアイザックスの元に到着。いつものごとく真相を教えてもらって、いつものごとく悪者倒して、いつものごとくどこかへアリスは消えていきました。「7」へ続くと言われても違和感ない…。

それにしても、アンブレラ社はほんとにブラック企業ですね。解雇されると死ぬ職場とは…。ウェスカーが可哀想という感情が残って最終章を観終えるとは思わなかったです。

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表舞台には登場しない別のアリス

6作品全てで主人公アリスを主演しきった“ミラ・ジョボビッチ”はお疲れ様です。『バイオハザード』シリーズの2000年代から今までのキャリアの中で、結婚・出産を経験しつつ、仕事を続ける…なかなかできないことではないでしょうか。社会で活躍する多くの女性のひとつの理想を実現する、まさに主人公級の女優でした。

ただ、このブログではもうひとり敬意を表したい人がいます。それは名前さえも一般に知られていない影のアリスを演じた人物。

アクションスタントを担当した人…スタントウーマンの“Olivia Jackson氏”です。彼女は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』などでスタントを行ったベテラン。

実は本作の撮影中、彼女のスタントで事故が起きたのです。その結果、一時昏睡状態に陥り、左腕を切断することになったという痛ましい事態になってしまいました。職業生命を断たれたわけで、肉体的にも精神的にも相当辛いのは言うまでもないでしょう(詳細は以下の記事を参照)。

こういうスタントの人たちは世間では全く認知されません。映画を宣伝するメディアも本作のアクションを褒めるわりにはスタント・パーソンに言及することはほとんどないです。注目されるのはいつも俳優。私たち観客も、アクションシーンはつい俳優にばかり印象が残ります(もちろん俳優にも自分でスタントする人もいますが)。アカデミー賞にも、スタント賞はありませんしね。

でも、映画のアクションの裏には、Olivia Jackson氏のように命の危険も覚悟して仕事に挑む影の功労者であるスタント・パーソンがいる…それを多くの人にも忘れないでほしい。

だから私はいつもエンドクレジットでも退席することなく、目立たないけど映画を作り上げた一員である多くの製作者の名前を見届けたいと思ってます。

ぜひスタントの人の名前も探してみてください。

『バイオハザード ザ・ファイナル』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 37% Audience 48%
IMDb
5.6 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 3/10 ★★★
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関連作品紹介

「バイオハザード」シリーズの感想記事です。

・『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』

作品ポスター・画像 (C)ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

以上、『バイオハザード ザ・ファイナル』の感想でした。

Resident Evil: The Final Chapter (2016) [Japanese Review] 『バイオハザード ザ・ファイナル』考察・評価レビュー