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ドラマ『コブラ会 Cobra Kai』感想(ネタバレ)…負け犬に人生の続編はあるのか

コブラ会

ベストじゃないワースト・キッド(大人含む)が暴れまわる…ドラマシリーズ『コブラ会』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Cobra Kai
製作国:アメリカ(2018年~)
シーズン1:2018年にYou Tubeで配信
シーズン2:2019年にYou Tubeで配信
シーズン3:2021年にNetflixで配信
原案:ジョッシュ・ヒールド、ジョン・ハーウィッツ、ヘイデン・シュロスバーグ

イジメ描写

コブラ会

コブラ会

『コブラ会』あらすじ

34年前、ある男は少年時代に屈辱を味わった。空手の大会決勝で卑劣な手段まで使ったにもかかわらず相手に負けて以降、ジョニーは最低の奴という汚点を人生に残してしまった。今や酒に溺れ、惨めなまでの生活に喘いでいた。一方、自分を打ち負かした相手は人生も成功を収めている。そして、再起を狙うジョニーはあの苦い経験の出発点である空手道場「コブラ会」を再興すると決める。

『コブラ会』感想(ネタバレなし)

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『ベスト・キッド』は終わっていない!

「Wax on, Wax off」

映画好きなら何の作品のセリフなのかは一発でわかるはず。

そうです、1984年の映画『ベスト・キッド』にて主人公の少年が日系人の高齢師匠に空手を教えてもらう際に、訓練としてこのワックスがけをさせられるときの言葉。これのどこがトレーニングになるのかと最初は訝しげにやっていた主人公ですが、その単純に見える動作の繰り返しが後の空手の技として光っていくのでした。この映画を象徴するシーンですね。

ちなみにこのワックスがけのやり方は実際には実用性の点でオススメしません。仕上がりが雑になります。

それはさておき『ベスト・キッド』はアジア系の要素が物語に深く入り込んでおり、過去の日系人差別にも少し踏み込んでいく描写もあるため、今観てもなかなかに意欲的な作品だったなと思います。2020年代を迎えた昨今ではハリウッドでもアジア系を主題にした作品が咲き乱れ始めていますが、ある意味でその偉大な先駆けでした。

その『ベスト・キッド』は人気となったために後にシリーズ化され、続編が3作も作られ、2010年にはリメイクもされます。正直、一連の続編は私も蛇足かなとは思うのですが、まあ、人気作の宿命ですかね。

しかし、そのすでにクラシック化しつつあった『ベスト・キッド』の世界観が、2018年になっていきなり再び脚光を浴びることになります。

その理由はスピンオフにして正当な続編でもあるドラマシリーズ『コブラ会』が登場したからです。

こういうときは誰もが思うものです。「続編なんて今さら作る必要ある?」…と。けれどもこの『コブラ会』は登場するや、大歓迎で熱狂の渦を巻き起こしました。批評家も大絶賛、ファンも大興奮、歓喜感激の嵐です。もうここまで来ると『ベスト・キッド』は『コブラ会』のためのプロローグに過ぎなかったのではないか…。そう思いたくなるほど。

『ロッキー』シリーズも『クリード』シリーズとして再燃を成功させましたが、『コブラ会』はちょっと違うのです。『クリード』シリーズは主人公が交代するいかにも正攻法な新規続編でした。一方の『コブラ会』はタイトルのとおり映画第1弾で敵だったあのコブラ会が主役。主人公のダニエル・ラルーソーを反則技で攻め、結局は負けて世間から卑怯者として大ブーイングを浴び、人生が若くして地に落ちたジョニー・ロレンスが主人公。彼が中年になって再起を狙うという、中年オヤジ奮闘モノになっています。こんなに中年ダメ男が惨めさ丸出しでもがきあがく作品もなかなかないです。

クリード』シリーズの『クリード 炎の宿敵』は『コブラ会』と同様の構成のストーリーでしたが、この『コブラ会』はもっとバカさがあります。それもそのはず『ハロルド&クマー』というカルト的な人気を集めた映画シリーズを生んだ“ジョン・ハーウィッツ”“ヘイデン・シュロスバーグ”が原案なんですね。なのでギャグも馬鹿馬鹿しい下品さですし、起きることもやりすぎなくらいに過激。全体的に大人の幼稚さ全開です。そこを愛嬌として許せるかどうかは『コブラ会』にハマれるかの分かれ目かなと思います。

別の表現をすればすごく完成度の高い過激な二次創作といった感じ。でも俳優はあの懐かしい顔ぶれが揃うので間違いなく本家公式なのです。

主人公ジョニーを演じるのはすっかり中年になった“ウィリアム・ザブカ”。そしてもちろん『ベスト・キッド』の主人公だったダニエルを演じる“ラルフ・マッチオ”も。さらには「えー!この人も!?」というサプライズが続々と登場するので、それは観てのお楽しみ。なお、ミヤギ先生でおなじみの“パット・モリタ”は2005年に亡くなっているので回想でのみの登場です(それもグッとくるけど)。

『コブラ会』のシーズン1とシーズン2は「YouTube Premium(以前はYouTube Redという名称)」で配信されていたのですが、そちらがドラマ製作を終了したので、シーズン3はNetflix配信となっています(前のシーズンも取り扱っている)。結果的に見やすくなったのかな。

1話30分~40分と短いので意外に見やすいドラマシリーズです。『ベスト・キッド』を鑑賞済みなら『コブラ会』も今すぐどうぞ。手荒な歓迎でお待ちしています。慈悲は無し!

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『コブラ会』を観る前のQ&A

Q:『コブラ会』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:少なくとも『ベスト・キッド』1作目と2作目は鑑賞をオススメします。過去の全シリーズを観るのは時間がある人だけでいいでしょう。
鑑賞前の おすすめ PiCKUP!

↑『ベスト・キッド』…始まりの1作目。

オススメ度のチェック

ひとり◯(映画を観た人はぜひ)
友人◯(話題として盛り上がる)
恋人◯(サクッと気軽に観れる)
キッズ◯(教育には良くないかも)
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『コブラ会』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『コブラ会』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤):コブラ会、復活!

少年時代。不良グループのリーダーとして幅を利かせていたジョニー・ロレンスは、街にやってきた転校生のダニエル・ラルーソーと衝突しました。きっかけは元カノだったアリに気に入られている感じが許せなかったから。ダニエルはいかにも弱そうで、「コブラ会」という空手道場に所属して空手選手権のチャンピオンだったジョニーにとっては雑魚です。喧嘩を吹っかけて簡単に倒してしまいました。

しかし、悔しさを抱えたダニエルはミヤギという空手の達人の高齢者に技を習い、少年空手選手権で再びジョニーと対峙することになります。意外にも強くなっていたダニエルに苦戦するジョニー。けれども「先生」であったコブラ会のジョン・クリースから反則に近い悪質な技を使えと指示され、躊躇うものの、ダニエルに一撃を加えます。ところがダニエルの闘いへの意欲は挫けることなく、華麗な反撃を受け、ジョニーは敗北してしまいました。ダニエルが勝利の栄光に喜ぶ中、ジョニーは負けた悔しさを抱え、クリースからも敗者として見下され、世間からも後ろ指を指され、孤独に落ちぶれていくしかなく…。

そして34年後。中年になっていたジョニーは相変わらず堕落した人生を送っていました。粗暴な性格はそのまま。仕事も全く上手くいっていませんし、妻にも逃げられ、孤独に生活中。一方のダニエルは地元で自動車ディーラーとして成功し、妻と娘に囲まれた温かい家庭を持ち、コミュニティからも愛された空手のヒーローの象徴でした。それがまたジョニーは気に入らず、イライラするばかり。

ある日、コンビニで普段どおり荒れていたジョニーは、その店の前で不良たちに絡まれる少年を目撃します。その子はミゲル・ディアスという名で、お隣さんでした。最初は無視しようかと思いましたが、ジョニーは助けに入ることにし、その不良少年たちを久々の空手技で圧倒します。

そんな中、大切な愛車を少女たちの運転する別の車にぶつけられ、挙句にその壊れた愛車がダニエルの会社のもとに修理で運ばれてしまいます。会いたくない相手。それでも対面してしまったかつての好敵手。ダニエルはまるで昔のことなんてなかったかのようにフレンドリーに接してきます。親切に助けてあげるとも。その優しさがジョニーには上から目線に映りました。しかも、自分の車をこんな目に遭わせた少女がダニエルの娘・サマンサ(サム)だと知り、怒りは頂点に。

コブラ会なんてないほうがいい…。

その言葉がジョニーの鎮火していた炎を再燃焼させます。コブラ会を復活させてやろう。今度こそアイツに目にものを見せてやる…。

こうして再び立ち上がったコブラ会。「先生」となったジョニーのもとには、いつも虐められていたミゲルを始め、地元のウエストバレー高校の負け組たちが男も女も揃います。

STRIKE FIRST, STRIKE HARD, NO MERCY…攻めて攻めて攻めまくる番です。

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シーズン1:中年オヤジ風刺

中年オヤジってなんでもこうもダメダメなのか…。でもそこが『コブラ会』の面白さ。

自信過剰で、女や子どもの保護者になりたがるくせに、責任は曖昧で、現代的価値観も追いついていない。でもなかなか自分の欠点を認めようとせず、ひたすらに強がって、他の男とぶつかってばかり。こういう中年オヤジの不甲斐なさを『コブラ会』は見事に露悪的に風刺できています。

その代表格が主人公のジョニー。彼は一応本人としては“チョイ悪オヤジ”的な「bad ass」なカッコよさを出そうとしているのですが、他者から見れば本当にただただだらしがない中年にしか見えず…。

このアホさがまたキャラクターとしては楽しいです(実際に付き合いたいかと言えば…まあ、その…)。ITの知識がろくすっぽないのになぜか知ったかぶりし、恋愛に失敗してばかりの人生だったのに講師ぶる。この中年オヤジのウザ絡み。

コブラ会を始めて先生になるも、「プッシー」を連発する口の汚さで、性差別も人種差別にも疎く、教え子にすらもうちょっとちゃんとした方が…と諭される始末。

こういう負け組を自覚しながらも劣等感をそのままに反省もしない奴、確かに周りにもいるよね…という。

一方のダニエルは一見すると勝ち組。でも別に億万長者ではないし、盤石なキャリアというわけではない。大手企業にゴマをすらないと危ういですし、言ってしまえば中間管理職なポジションです。結局、ダニエルもダニエルでいかにもありがちな中年オヤジの停滞期に突入しているんですね。家庭においてもベタな家父長制によるぬるま湯に浸かっているだけ。彼が日本の武道を信念としてこうなった男と考えれば、この状態も日本の保守的な家庭観すらも風刺できていると言えなくもないですが、そこまで作り手が想定したのかは曖昧です。

ともかく2人とも似たり寄ったりな中年オヤジ。それがREOスピードワゴンの80年代ソングを聴いて、一瞬だけ仲良くなれる感じでよく表れていました。
でも過去の因縁を無かったことにはできない。オールバレー空手選手権でまたも一戦交える2人。今度は先生として。

そしてジョニーの前に現れる、中年ではない、老齢男の影…。

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シーズン2:良い先生になるには

シーズン2はついにジョニーが「コブラ会」の、ダニエルが「ミヤギ道」の先生として活動を本格化させ、対決が白熱します。

ここで持ち上がるテーマが「人はどうやったら良い先生になれるのか」です。これはある程度の年齢の大人であれば、普遍的な課題だと思います。職業とか関係なしに、大人はいずれは先生になるものですから。

ジョニーは明らかに過去を反省しており、「正しく勝て、汚く勝つな」と子どもたちに教えます。自分みたいな子ども時代を送ってほしくはないわけです。

しかし、血気盛んでエネルギーが爆発する少年少女たちは自分本位で能力を使う傾向に走りがちで、どうも上手くコントロールできません。正直、ジョニーはそのへんの舵取りが下手糞です。まあ、あんな雑な性格ですからね…。

そこに甘い言葉を囁きかけて虎視眈々と計画を実行していく、ジョニーのかつての先生であるクリースの存在。“マーティン・コーヴ”が演じていますが、彼は本当に黒帯を持っているせいなのか、もう立っているだけで凄い威圧感。間違いなくジョニーが獲得できなかった「bad ass」を有しています。

一方の世間的に善人として確立できているはずのダニエルも先生になるのにまさかの苦戦。師であるミヤギの言葉を思い出しながら一歩一歩、娘のサムやジョニーの息子・ロビーに技を伝授していきますが、なかなか道場を人気にはできません。やっぱりジョニーの見栄え重視のコブラ会の方がこのSNS時代ではウケる。しかも、ミヤギ道はあげくに「ホワイトウォッシング」だとか、「ペンキ塗りは詐欺」だとか言われてしまう。このへんの非アジア系の人間がアジア・カルチャーを全面に出すときの今の世間の反応が風刺されているところも笑えました。

そして『ベスト・キッド』と同様に色恋沙汰を引き金に起こってしまった校内大乱闘。もう空手じゃないぞ…。

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シーズン3:リハビリ、そして和解

シーズン3はズタズタになった信念が再生するリハビリのストーリーでした。
前シーズン最終話の校内大乱闘で、ミゲルは重体。サムも心理的トラウマを負い、ロビーは逮捕。地元のニュースでは「VIOLENT KARATE CLASH」と報道されていてシュールなんですけど、銃乱射事件みたいな扱いですかね。学校は厳重体制です。

クリースに乗っ取られたコブラ会はすでに空手というか、『ジョン・ウィック』の暗殺者でも養成してるのかなという雰囲気の殺伐さに変貌。

そしてジョニーとダニエルは良い先生になるのに失敗し、自信喪失。そこでこのダメ中年オヤジに光を与えるのが2人の女性

ひとりは『ベスト・キッド2』で沖縄でダニエルと出会い、親しくなったクミコ。久しぶりに沖縄を再訪し、モールになったトミ村にガッカリするも、立派に自立した大人の女性となったクミコの計らいでミヤギ道の精神を取り戻します。クミコを演じる“タムリン・トミタ”、本当に素敵な人でしたね(ダメな中年男ばっかり目にしているから余計に輝いてみえる…)。

もうひとりは『ベスト・キッド』でジョニーとダニエルを対立させる引き金になったアリ。彼女もこれまた自立した女性に成長しており、今度は2人を繋げる役割を果たします。

そしてついにミヤギ道と旧コブラ会(イーグルファング空手)は和解。クリースに支配されたコブラ会に勝つべく、共闘に動き出す…という超王道な展開。なんとなく推察はできたけど、アツいからOK。

まあ、苦言はあります。とくにあのクリースの過去話で描かれるベトナム戦争の描写はいいのか…とか。これだと全ての元凶はベトコンになってしまいます。それに良いトラディショナルなアジアとしてのミヤギの日本に対して、おどろおどろしい悪いアジアとしてのベトナムという配置になるのはさすがに歴史的にも人種的にもね…。

あと、もう大会で決着をつけるとかそういう次元ではない気がするのだけど…。多額の示談金を請求できますよ(法廷劇になるけど…)。ミゲルの回復力はスーパーパワーだよ…。

シーズン4へ続く!

『コブラ会』
ROTTEN TOMATOES
S1: Tomatometer 100% Audience 95%
S2: Tomatometer 89% Audience 91%
S3: Tomatometer 97% Audience 94%
IMDb
8.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 7/10 ★★★★★★★

作品ポスター・画像 (C)Hurwitz & Schlossberg Productions, Sony Pictures Television Studios

以上、『コブラ会』の感想でした。